「やさしいライオン」は、子ども向けの絵本を原作としながら、アニメーション映画としても高い評価を受けた作品だ。
手塚治虫公式サイトの作品紹介には、第24回毎日映画コンクールの大藤信郎賞と、第12回児童福祉文化奨励賞の受賞歴が記載されている。
大藤信郎賞とは何か大藤信郎賞は、毎日映画コンクールにおいてアニメーション作品を対象に贈られる賞だ。
『やさしいライオン』は、虫プロダクションの作品として受賞記録に残っている。
受賞回の年次には注意したい。第24回は毎日映画コンクールの受賞記録では1969年度に分類される一方、手塚治虫公式の作品ページでは「1970年第24回」と表記されている。映画の劇場公開日である1970年3月21日と、映画賞の年度を同じものとして扱わないことが大切だ。
27分の短編に込められた表現力作品の上映時間は公式作品紹介で27分とされている。
この短さのなかで、ブルブルの成長、ムクムクとの別れ、再会への思い、そして最後の幻想的な場面までが描かれる。
特に注目したいのは、子守歌が物語をつなぐ役割を果たしていることだ。
- 幼少期:ムクムクの愛情を伝える歌
- 成長後:ブルブルの記憶に残る歌
- 再会への道:母親を探すきっかけとなる歌
音楽が単なる演出ではなく、登場人物の記憶や感情を伝える装置になっている。
これは、ミュージカルアニメーションという形式を選んだことの大きな成果だ。
作品の魅力は「血縁ではない親子」にあるブルブルとムクムクは、本当の親子ではない。
それでも、互いを必要とし、長い時間を一緒に過ごすことで、強い親子関係を築いていく。
この設定には、やなせたかし作品に通じる優しさがある。
『アンパンマン』でも、人を助けることや他者を思いやることが大切なテーマとして描かれている。「やさしいライオン」では、そうした価値観が、母犬とライオンという異なる種族の関係を通して表現されている。
【プロの結論】
本作の価値は、単に感動的な親子の物語を描いたことではない。親子という関係が血縁だけで決まるものではなく、日々の愛情や記憶によって築かれることを、27分の映像で表現した点にある。
子どもには愛情の物語として、大人には別れや喪失、記憶をめぐる物語として届く。世代によって受け取り方が変わることも、長く読み継がれ、上映される理由の一つだ。
【2025~2026年の放送・上映情報】Eテレと映画祭で再び注目

1970年の公開から半世紀以上が経過した現在も、本作にはテレビ放送や特別上映の機会が設けられている。
2025年のNHK Eテレ放送と、2026年の上映実績を時系列で整理する。
2025年9月20日:NHK Eテレで初回放送2025年9月20日(土)15時から、NHK Eテレで音声リニューアル版が放送された。
今回のテレビ放送では、オリジナルの35ミリフィルムから新たにテレビ映像化された映像が使用された。音声は1998年に声優と一部のセリフを変更したバージョンだ。
NHKプラスでも、9月20日15時27分から9月27日15時27分まで見逃し配信が実施された。
この放送は、やなせたかしの作品がNHK連続テレビ小説「あんぱん」で紹介されたこととも重なり、改めて作品を知る機会となった。
2025年12月28日:Eテレで再放送初回放送の約3か月後にも、再放送が実施された。
| 項目 | 放送内容 |
|---|---|
| 放送日 | 2025年12月28日(日) |
| 放送局 | NHK Eテレ |
| 放送時間 | 16:30~16:57 |
| 作品 | やさしいライオン |
| バージョン | 音声リニューアル版 |
手塚治虫公式サイトも、2025年12月15日に再放送を告知している。
2026年3月14日:東京アニメアワードフェスティバル2026年3月14日には、東京アニメアワードフェスティバル2026(TAAF2026)の招待作品として上映された。
企画名は「やなせたかし特集―親子で楽しむアニメーション上映―」。
上映作品は『やさしいライオン』と『チリンの鈴』の2作品で、上映前には、やなせたかしの作家活動を支えた株式会社やなせスタジオの越尾正子氏によるトークも予定されていた。
- 日時:2026年3月14日(土)9:30~11:00
- 会場:TOHOシネマズ池袋 SCREEN 4
- 料金:2,000円(当日券は200円増し)
- 小学生以下:無料
- 上映作品:『やさしいライオン』『チリンの鈴』
この企画は、作品単体だけでなく、やなせたかしの創作活動を親子で振り返る内容だった。
2026年7月26日:世田谷文学館で上映2026年7月26日には、世田谷文学館で開催された「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」の関連イベントとして、『やさしいライオン』の上映会が行われた。
上映されたのは1970年作品の1998年音声リニューアル版。DVD上映という形式だった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年7月26日(日) |
| 1回目 | 10:10~10:40 |
| 2回目 | 11:00~11:30 |
| 会場 | 世田谷文学館1階 文学サロン |
| 定員 | 各回先着100名 |
| 料金 | 無料 |
| 対象 | 乳幼児~一般 |
この上映会は、当日先着順で参加できる形式だった。
2026年11月現在、次の上映予定は?ここは視聴を考えている人にとって要点だ。
2026年のTAAF上映と世田谷文学館での上映は、いずれも終了している。2026年11月6日現在、これらのイベントに続く新たな上映日程は確認できない。
また、2025年のNHKプラス見逃し配信も、当時の配信期間を終了している。
一方、音声リニューアル版のDVDは2015年12月2日に発売された記録がある。現在の販売在庫やレンタル状況は店舗ごとに異なるため、映像ソフトを探す場合は発売情報と現行の取り扱いを分けて確認したい。
今後の上映を希望する場合は、手塚プロダクション、東京アニメアワードフェスティバル、世田谷文学館などの公式告知が確認先になる。
【よくある質問】やさしいライオンアニメに関するFAQ
Q1:やさしいライオンのアニメは何年に公開されましたか?
A1:1970年3月21日に劇場公開されました。虫プロダクション制作、東宝配給の短編アニメーションです。上映時間は27分です。
Q2:やさしいライオンの原作絵本は誰が書いたのですか?
A2:やなせたかしが作・絵を担当した絵本です。1969年にフレーベル館から刊行されました。2022年には新装版も発売されています。
Q3:ブルブルとムクムクの声優は誰ですか?
A3:オリジナル版ではブルブル役が久里千春、ムクムク役が増山江威子です。1998年の音声リニューアル版では、それぞれかないみか、千々松幸子に変更されました。
Q4:1998年の音声リニューアル版は別の映画ですか?
A4:別の新作映画ではありません。1970年公開作品の音声を変更したバージョンです。声優と一部のセリフが変更され、2025年のNHK Eテレ放送でも使用されました。
Q5:やさしいライオンはNHK Eテレでいつ放送されましたか?
A5:2025年9月20日15時に初回放送され、同年12月28日16時30分から再放送されました。いずれも過去の放送であり、2026年11月6日時点で次回の放送日時は確認できません。
Q6:2026年にはどこで上映されましたか?
A6:確認できる主な上映実績は、3月14日の東京アニメアワードフェスティバル2026と、7月26日の世田谷文学館です。どちらも現在は終了しています。
Q7:やさしいライオンは子どもでも楽しめますか?
A7:楽しめる作品ですが、明るく楽しいだけの動物アニメではありません。親子の愛情に加え、別離や死別も描かれます。小さな子どもと見る場合は、鑑賞後に物語について話す時間を設けるとよいでしょう。
「やさしいライオン」は、やなせたかしが1969年に発表した絵本を原作とし、手塚治虫の製作、虫プロダクションの制作によって1970年に劇場公開された27分のミュージカルアニメーションだ。
ブルブルとムクムクの関係は、血縁を超えた親子の愛情を描いている。久里千春・増山江威子によるオリジナル版と、かないみか・千々松幸子による1998年の音声リニューアル版という2つの音声の歴史も、本作を語るうえで欠かせない。
2025年のNHK Eテレ放送、2026年のTAAFや世田谷文学館での上映は、過去の名作に改めて触れる機会となった。
これから初めて見る人には、次の3つの楽しみ方をおすすめしたい。
- 物語を知りたい人: まずは原作絵本を読み、ブルブルとムクムクの関係を味わう。
- 映像表現を楽しみたい人: ミュージカル形式や子守歌の使い方に注目する。
- 作品の歴史を知りたい人: オリジナル版と音声リニューアル版を比較し、声優や演出の変化を楽しむ。
『やさしいライオン』が伝えるのは、誰かを大切に思う気持ちは、簡単には失われないということだ。
時代が変わり、見る人の年齢が変わっても、ブルブルとムクムクの物語が心に残る理由はそこにある。今後も再放送や特別上映の機会が設けられることに期待したい。