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Netflix映画『This is I』は実話?はるな愛と和田医師の史実・脚色を徹底解説

高杉 葵 高杉 葵 • 更新: • 公開: • 読了約 28 分
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2026年2月10日にNetflixで世界独占配信が始まった映画『This is I(ディスイズアイ)』。本作は、タレント・はるな愛さんの半生と、性別適合手術の先駆者として知られる医師・和田耕治さんの実話をもとにしたヒューマンドラマだ。主人公のモデルは実在するはるな愛さん、医師の和田耕治さんも実在した人物であり、二人の出会いと信頼関係には現実の出来事が反映されている。

一方、映画に登場する人物の名前や恋愛関係、家族とのやり取り、ミュージカル形式の演出まで、すべてが史実というわけではない。企画段階では、はるな愛さんの自伝『素晴らしき、この人生』と、和田耕治さん・深町公美子さんの著書『ペニスカッター』が参考資料として用いられた。2026年には後者の新版も発売されている。実在人物の経歴、書籍の内容、制作陣の証言、日本の性別適合手術の歴史を照らし合わせると、作品の実話部分と映画ならではの脚色が見えてくる。

【結論】Netflix映画『This is I』は実話!はるな愛と和田耕治医師の実際の関係

ディスイズアイ実話

最初に結論を明らかにすると、『This is I』は完全なフィクションではなく、実在する二人の人生を土台にした実話ベースの映画である。

物語の中心となるのは、幼い頃からアイドルに憧れ、自分らしさや性別への違和感に悩みながら成長した少年と、性別適合手術という当時の日本では難しいとされた医療に向き合った医師の出会いだ。

主人公のモデルはタレント・はるな愛

主人公のケンジ、そしてアイのモデルは、1972年7月21日生まれ、大阪府出身のタレント・はるな愛さんである。本名は大西賢示さん。映画では望月春希さんがアイ/ケンジ役を演じている。

はるな愛さんは、幼少期から自分の性別や周囲との関係に悩んできた経験を持つ。アイドルへの憧れを抱き、ショーパブで働きながら芸能界を目指したことも、本人の半生と重なる部分だ。

特に重要なのは、性別適合手術を受けるという人生の大きな決断である。2026年11月2日に公開された双葉社のインタビューでも、はるなさん自身が19歳のときに性別適合手術を受けた経験を語っている。

また、2026年5月には、手術を担当した故・和田耕治医師の墓参りを報告。映画にも登場する恩人への感謝を改めて伝えており、二人の関係が映画上の設定だけではないことを裏付けている。

和田耕治医師も実在した人物

斎藤工さんが演じる和田耕治医師は、実在した美容・形成外科医である。大阪市北区に「わだ形成クリニック」を開設し、性別適合手術に積極的に取り組んだ人物として知られている。

1953年に生まれ、2007年に53歳で亡くなった。群馬大学医学部を卒業後、東京逓信病院、東京警察病院などを経て、1996年に大阪で開業した経歴を持つ。

書籍の著者紹介やテレビ東京の取材記事によると、和田医師が手がけた性別適合手術は国内で600例以上に及ぶ。性別に関する悩みを抱える患者に寄り添い、当時の医療環境のなかで治療の道を模索した医師だった。

映画では、アイとの出会いによって性別違和を抱える人々の現実を知り、医療のあり方を変えようとする医師として描かれている。この人物像には、和田医師の実際の医療活動が反映されている。

映画の重要な設定「患者第1号」も実話に基づく

本作で大きな意味を持つのが、アイが和田医師の性別適合手術の最初の患者になるという展開だ。

映画の監督を務めた松本優作さんは、2026年のインタビューで、和田医師の著書を読んで初めてその人物を知り、はるな愛さんが和田医師の患者第1号だったことも知ったと説明している。

つまり、主人公と医師の出会いは、映画を盛り上げるためだけに作られた設定ではない。二人の人生が交差したことそのものが、この映画の実話としての重要な部分になっている。

【原作・書籍】『素晴らしき、この人生』と『ペニスカッター』が映画の出発点

『This is I』の原作を調べるときに注意したいのが、一般的な小説の映画化とは制作の成り立ちが異なる点だ。

映画は、はるな愛さんの自伝と和田医師の生涯を記したノンフィクション、二つの書籍を参考に構成されている。Netflixのエグゼクティブプロデューサー佐藤善宏さんと松本優作監督がWIREDのインタビューで明かした制作経緯からも、この二冊が重要な資料だったことが分かる。

① はるな愛『素晴らしき、この人生』

講談社から2009年3月12日に刊行された、はるな愛さんの自伝的著作である。2012年には講談社文庫版も発売された。

この本では、テレビで見せる明るいキャラクターの裏側にあった、幼少期からの苦悩や芸能界を目指すまでの人生が描かれている。

主なテーマは次のとおりだ。

  • 幼少期から抱えていた性別に関する悩み
  • 学校でのいじめや周囲との関係
  • 家族との葛藤や自分自身を理解してもらう難しさ
  • ショーパブで働き始めた時期の経験
  • 性別適合手術を決断するまでの経緯
  • 芸能界で成功するまでの下積み時代

映画を観て、主人公の感情や行動の背景をさらに理解したい人には、この自伝が有力な参考資料になる。

ただし、自伝と映画の脚本は同じものではない。映画では複数の経験を一つのドラマとして整理しているため、書籍に書かれた出来事の順番や細部と必ずしも一致するとは限らない。

② 『ペニスカッター 性同一性障害を救った医師の物語』

もう一冊の重要な資料が、和田耕治さんと妻の深町公美子さんによる共著『ペニスカッター 性同一性障害を救った医師の物語』である。

2019年2月に方丈社から刊行されたノンフィクションで、和田医師の生い立ち、医師としての経歴、性別適合手術に取り組むようになった経緯、医療現場での苦悩などを扱っている。

この書籍の特徴は、医師本人の歩みだけでなく、家族の視点からも人物像を描いていることだ。映画で斎藤工さんが演じる和田医師の背景を理解するうえで、欠かせない資料となっている。

③ 2026年2月に新版『性同一性障害を救った医師の物語』が発売

2026年2月3日には、旧版を加筆修正し、写真を追加した新版が方丈社から発売された。

書名は『性同一性障害を救った医師の物語』。旧版『ペニスカッター』を改題したものであり、別の人物を扱った新作ではない。

映画の配信開始が2月10日だったことを考えると、作品をきっかけに和田医師の人生をさらに知りたい読者に向けた重要な関連資料でもある。

したがって、映画の原作を一冊だけ探すよりも、はるな愛さんの自伝と和田医師のノンフィクションを合わせて読む方が、物語の全体像を理解しやすい。

【登場人物・モデル一覧】望月春希、斎藤工らの役柄と実在人物の関係

『This is I』には、実在人物をモデルにした中心人物と、映画のドラマを構成する周辺人物が登場する。

主要キャストと実在人物との関係を整理すると、次のようになる。

映画の登場人物 演じる俳優 実在モデル・役柄との関係
アイ/ケンジ 望月春希 はるな愛さんがモデル。幼少期からの悩みやアイドルへの憧れ、性別適合手術までの歩みを描く。
和田耕治 斎藤工 実在した医師。はるな愛さんの手術を担当し、600例以上の性別適合手術に携わった人物。
初恵 木村多江 アイの母親。子どもの性別に関する悩みと向き合う家族の姿を担う役柄。
和孝 千原せいじ アイの父親。昭和的な価値観と子どもの生き方との衝突を描く役柄。
アキ 中村 中 ショーパブのママ。アイの居場所を作り、背中を押す存在。
タクヤ 吉村界人 ショーパブで働く男性ダンサー。アイの恋人として描かれる。
裕子 MEGUMI 和田クリニックの看護師。医師を支える役柄。
鶴久 中村獅童 和田医師の医療行為に目を光らせる刑事として登場する。

この一覧で特に注目したいのは、アイと和田医師の二人が、実在する人物を直接のモデルとしている点だ。望月春希さんは約2か月にわたるオーディションを経て主人公に選ばれ、はるな愛さん本人も特別協力として作品に参加している。

タクヤは実在した恋人がモデルなのか

タクヤ役を演じるのは吉村界人さん。映画ではアイと同じショーパブで働くダンサーであり、二人は恋愛関係になる。

この設定について興味深いのが、はるな愛さん本人の2026年11月2日のインタビューだ。

双葉社の取材で、はるなさんはショーパブで働いていた時期にダンサーの男性と恋愛関係になった経験を語っている。したがって、映画の恋愛エピソードには本人の実体験と重なる部分がある。

ただし、映画のタクヤという名前や、劇中で描かれる家族との衝突、別れに至るまでの個々の場面が、そのまま実際の交際相手との出来事だったとまでは断定できない。

実際の経験を土台にしながら、映画として人物像や関係性を再構成したものとして捉えるのが適切だ。

アキや初恵などの周辺人物はどう見るべきか

アキは、ショーパブでアイを支えるママとして登場する。初恵と和孝は両親、裕子は和田医師の看護師という役割を担っている。

これらの人物には物語上の重要な役割があるが、全員について実在する特定の人物との一対一の対応関係が公式に説明されているわけではない。

特に、実際の家族やショーパブの関係者を映画の役柄にそのまま当てはめることは避けたい。作品の人物設定と、現実の関係者の人生は分けて理解する必要がある。

【和田耕治医師の実像】600人以上を支えた医師の半生と医療への信念

『This is I』を理解するうえで、和田耕治医師の存在は非常に大きい。

単に主人公の人生を変えた医師というだけではない。日本で性別適合手術が十分に認知されていなかった時代に、患者の希望に向き合い続けた医療従事者だったからだ。

1953年生まれ、群馬大学医学部を卒業

和田医師は1953年、宮崎県延岡市に生まれた。群馬大学医学部を卒業した後、東京逓信病院や東京警察病院などを経て、美容・形成外科の分野に進んだ。

1996年には大阪市北区で「わだ形成クリニック」を開業。性別に関する悩みを抱える人々の手術にも積極的に取り組んだ。

当時は、現在のように性別適合手術について一般社会で広く理解されていたわけではない。医療関係者の間でも慎重な意見が強く、制度や倫理面での議論も続いていた。

そのなかで、和田医師は患者一人ひとりの希望に向き合い、国内で600人以上の手術を手がけたとされる。

はるな愛との出会いが医師の人生を変えた

和田医師が性別適合手術に関わるようになったきっかけの一つは、ショーパブで知り合った人から手術を求められたことだった。

テレビ東京の2019年の特集では、もともと美容整形外科医だった和田医師が、患者からの強い希望を受けて手術に取り組み始めた経緯が、元妻で共著者の深町公美子さんの証言とともに紹介されている。

映画では、この医師の変化がアイとの出会いを通じて描かれる。

それまで十分に理解していなかった性別違和を抱える人々の苦悩を知り、医師として何ができるのかを考えるようになる。患者の人生に寄り添うことが、自分自身の医療への考え方を変えていくのだ。

2007年に53歳で逝去

和田医師は2007年、自身の病院で亡くなった。享年53歳だった。

映画の制作にあたっては、和田医師の遺族も協力し、実際に使われていた私物などの資料を制作陣に提供したという。WIREDの取材では、エグゼクティブプロデューサーの佐藤善宏さんが、遺族からの協力によって制作への確信が深まったと説明している。

また、2026年5月22日には、はるな愛さんが和田医師の命日に墓参りをしたことを報告した。映画の反響を伝え、手術を担当してくれた恩人への感謝を表したことも報じられている。

映画が描く医師と患者の関係は、作品の上映期間だけで終わるものではない。医師が亡くなった後も、本人と家族、そして患者とのつながりが続いている点に、この物語の重みがある。

【日本の性別適合手術の歴史】ブルーボーイ事件から2026年の医療制度まで

映画の背景にある日本の医療史を知ると、和田医師が手術に取り組んだことが、どれほど難しい決断だったのかが理解しやすくなる。

性別適合手術をめぐる日本の歴史は、医学的な問題だけではなく、法律、倫理、社会の偏見が複雑に絡み合ってきた歴史でもある。

1960年代:ブルーボーイ事件が残した影響

日本の性別適合手術の歴史を語るうえで避けられないのが、いわゆるブルーボーイ事件である。

1960年代に、性転換手術を受けた男性たちに対して医師が行った手術をめぐり、優生保護法違反が問われた事件だ。

東京地方裁判所は1969年2月15日、手術を行った医師に有罪判決を下した。

日本精神神経学会のガイドラインによると、この事件では十分な診察や検査、本人の同意などの手続きが不十分だったことが問題とされた。

しかし、判決の一部だけが広まり、性別適合手術そのものが違法であるかのような認識が医療現場に広がっていった。

その結果、日本国内で性別適合手術を正規の医療として実施することは長く難しい状況に置かれた。

1997年:日本精神神経学会がガイドラインを公表

転機となったのは1997年5月28日だ。

日本精神神経学会が「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」を公表し、性別適合手術を適切な診断と手続きを経て行う医療として位置づけた。

このガイドラインによって、手術を実施するための医学的な枠組みが整備されていった。

1998年:埼玉医科大学で国内初の公的手術

1998年10月16日、埼玉医科大学で、日本で初めて公に性同一性障害の治療として性別適合手術が実施された。

この出来事は、日本の性別適合手術の歴史における大きな転換点となった。

ここで注意したいのは、和田医師が行っていた手術と、1998年の公的な手術は、歴史上の位置づけが異なるという点だ。和田医師は制度整備の過渡期に活動していた医師であり、埼玉医科大学での手術が国内初の公的な実施例として記録されている。

2003年・2004年:戸籍上の性別変更に関する法律が成立・施行

2003年7月には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が成立し、2004年7月16日に施行された。

これにより、法律で定められた一定の要件を満たす場合に、家庭裁判所の審判によって戸籍上の性別を変更できる制度が設けられた。

医療の発展と法制度の整備が進んだ一方、性別変更に関する要件については、その後も社会的・司法的な議論が続いている。

2018年以降:性別適合手術の保険適用と2025年の第5版ガイドライン

2018年度の診療報酬改定では、一定の施設基準や診療ガイドラインなどを満たす医療機関で実施される性別適合手術について、公的医療保険の適用が認められた。

ただし、すべての医療機関や治療が一律に保険適用となるわけではない。施設基準や治療内容などの条件が設けられている。

さらに2025年11月には、日本精神神経学会が「性別不合に関する診断と治療のガイドライン第5版」を公表した。

国際的な診断基準の変化を踏まえ、従来の「性同一性障害」という名称から「性別不合」へとガイドラインの名称も変更されている。

WHOのICD-11では、性別不合に関する分類が精神及び行動の障害ではなく、性の健康に関する状態に位置づけられている。

こうした変化を踏まえると、映画の時代背景と2026年現在の医療環境には大きな隔たりがある。和田医師が活動した時代の苦労を、現在の医療制度と同じ感覚で捉えないことが大切だ。

【実話とフィクションの違い】映画で脚色された部分と史実の境界

『This is I』は実話を基にしているが、ドキュメンタリーではない。実在人物の経験を映画として再構成するため、物語の進行や人物の描写には創作的な演出が取り入れられている。

ここでは、実話として確認できる部分と、映画ならではの表現を分けて考えたい。

実話に基づいている部分
  • はるな愛さんが幼少期から性別に関する悩みを抱えていたこと。
  • アイドルへの憧れを持ち、ショーパブで働いた経験があること。
  • 和田耕治医師が実在し、性別適合手術に取り組んでいたこと。
  • 和田医師がはるな愛さんの手術を担当したこと。
  • 二人の出会いが、それぞれの人生にとって重要な転機になったこと。
  • 当時の日本で性別適合手術を実施することが、社会的・制度的に難しい問題だったこと。

これらは本人の証言、書籍、医療関係者の取材、制作陣のインタビューなどから確認できる物語の中心部分である。

映画独自の脚色・再構成が含まれる部分

一方で、次のような要素は、実際の出来事をそのまま映像化したものと考えるべきではない。

  • 人物の名前:主人公は映画でアイ/ケンジと呼ばれ、周辺人物にも映画用の名前が設定されている。
  • 恋愛関係の描写:実際の交際経験が物語の土台にあるとしても、タクヤとの会話や別れの場面がすべて実際の出来事と一致するとは限らない。
  • 家族とのやり取り:両親の人物像や衝突の場面は、映画として構成されたドラマ表現を含む。
  • 医療現場の描写:手術をめぐる緊張や医師の葛藤は、実際の医療史を踏まえた演出として理解する必要がある。
  • 時系列:複数の経験や関係者のエピソードが、約130分の映画として整理・再構成されている可能性がある。
ミュージカル形式は映画ならではの表現

本作の大きな特徴は、昭和歌謡や平成初期のヒット曲を取り入れたエアミュージカル形式だ。

はるな愛さんの代表的な芸風である「エアあやや」を連想させる口パクやダンスが、主人公の感情を表現する重要な役割を担っている。

Netflixの公式発表では、山下久美子さんの「赤道小町ドキッ」を使用したシーンも紹介された。主人公が赤いワンピースを着て街に出る場面では、ダンスを通して自分らしく生きる喜びが表現されている。

また、WIREDの制作陣インタビューによると、音楽の使用許諾を得る過程で、当初想定していた楽曲構成の約2割が変更されたという。

監督の松本優作さんは、LGBTQ+を扱う作品に暗いイメージが先行しがちなことを踏まえ、あえて明るく楽しい映画を目指したと説明している。

この演出は史実の再現ではなく、主人公の感情を観客に届けるための映画的な表現だ。現実の苦悩を描きながら、歌とダンスで希望を表現することが、本作独自のスタイルになっている。

手術の年齢・時期についても資料を照合したい

はるな愛さんの性別適合手術については、公開されている報道や本人の回想で年齢・時期の表記に違いが見られる。

2026年11月2日の双葉社のインタビューでは、本人は19歳のときに手術を受けたと語っている。一方、2009年1月の日刊スポーツの記事では、1995年に手術を受けたと報じられている。

はるなさんの公表生年月日は1972年7月21日であるため、1995年という報道と19歳という本人の回想は、単純に計算すると一致しない。

この点は、映画の場面だけから手術の正確な年を判断しない方がよい部分だ。映画の主題は特定の手術日を再現することではなく、本人が自分らしい人生を選択するまでの歩みと、その決断を支えた医師との関係にある。

芸能界での成功までを描く完全な伝記映画ではない

はるな愛さんは2008年、「エアあやや」で全国的な人気を獲得し、2009年にはタイで開催されたミス・インターナショナル・クイーンで優勝した。

しかし、『This is I』の物語の中心は、そこに至るまでの幼少期、ショーパブでの経験、和田医師との出会い、性別適合手術をめぐる葛藤である。

つまり、芸能人としての成功だけを描くサクセスストーリーではない。社会のなかで自分の居場所を探し、自分らしく生きるために何を選ぶのかという過程に焦点を当てた作品なのだ。

【プロの結論】『This is I』をより深く理解するための見方とおすすめの資料

『This is I』を実話映画として評価する際、重要なのは、史実の再現度だけで作品の価値を判断しないことだ。

本作には、はるな愛さんの半生、和田耕治医師の医療活動、日本の性別適合手術をめぐる歴史という三つの異なるテーマが重なっている。

映画・自伝・医師の記録は、それぞれ役割が違う
  • 映画を観る:二人の出会いや葛藤を、音楽と映像を通して感情的に理解したい人に向いている。
  • 『素晴らしき、この人生』を読む:はるな愛さん本人の視点から、幼少期や芸能界を目指すまでの半生を知りたい人に向いている。
  • 『ペニスカッター』を読む:和田耕治医師の生涯、医療活動、家族の証言を詳しく知りたい人に向いている。
  • 新版『性同一性障害を救った医師の物語』を読む:2026年版の追加内容や写真を含め、和田医師の記録を改めて確認したい人に向いている。
  • 日本精神神経学会のガイドラインを読む:映画の時代背景と、2026年現在の医療制度・診断概念の違いを理解したい人に向いている。
作品を評価するときに押さえたい三つのポイント

第一に、実在人物の存在と関係性。はるな愛さんと和田医師は実在し、手術を通じた関係も事実に基づいている。この二人の人生が作品の土台になっていることは、本人の発信や制作陣の証言から確認できる。

第二に、医療の歴史的背景。当時の性別適合手術は、現在のように制度が整った医療環境で行われていたわけではない。ブルーボーイ事件や1997年のガイドライン策定などを知ると、和田医師の選択の意味がより明確になる。

第三に、映画としての再構成。恋愛、家族、ショーパブでの人間関係、ダンスシーンなどは、実話を観客に伝えるためのドラマ表現として受け止めるべきだ。映画の演出と実際の人物の人生を混同しないことが、作品をより正確に理解するポイントになる。

特に、実話の感動を重視する人は映画と自伝を、医療史や社会制度に関心がある人は和田医師の著書と日本精神神経学会の資料を組み合わせて読むと、作品から得られる理解が深まる。

【ディスイズアイの実話】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:Netflix映画『This is I』は完全な実話ですか?
A1:完全なドキュメンタリーではない。はるな愛さんの半生と、実在した和田耕治医師の医療活動を基にした実話ベースの映画である。人物の名前や周辺の人間関係、時系列、ミュージカル演出などには映画独自の脚色が含まれる。

Q2:和田耕治医師は実在した人物ですか?
A2:実在した医師である。1953年生まれ、2007年逝去。大阪のわだ形成クリニックを開設し、国内で600人以上の性別適合手術を手がけた人物として、著書や報道に記録されている。

Q3:はるな愛さんの手術を担当したのは本当に和田医師ですか?
A3:そのとおり。はるな愛さん本人が2026年5月の発信で、和田医師を自身の手術を担当した恩人として紹介している。

Q4:『This is I』の原作は『素晴らしき、この人生』ですか?
A4:それだけではない。はるな愛さんの自伝『素晴らしき、この人生』と、和田耕治さん・深町公美子さんの共著『ペニスカッター』の二冊が映画の参考資料となっている。

Q5:『ペニスカッター』の新版はいつ発売されましたか?
A5:2026年2月3日発売。方丈社から『性同一性障害を救った医師の物語』というタイトルで刊行された。2019年刊行の『ペニスカッター』を改題し、加筆修正や写真の追加を行った新版である。

Q6:望月春希さんははるな愛さん本人を演じているのですか?
A6:望月春希さんが演じるのは、はるな愛さんをモデルにした主人公のアイ/ケンジである。はるな愛さん本人は出演者ではなく、作品に特別協力している。

Q7:日本で性別適合手術が正式な医療として認められたのはいつですか?
A7:日本精神神経学会が1997年5月に診断・治療ガイドラインを公表し、1998年10月16日に埼玉医科大学で国内初の公的な性別適合手術が実施された。その後、2003年の特例法成立、2004年の施行などを経て制度が整備されてきた。

Netflix映画『This is I』は、はるな愛さんの半生と、和田耕治医師の医療活動を基にした実話ベースのヒューマンドラマである。

主人公のモデルとなったはるな愛さん、実際に手術を担当した和田医師、そして二人の歩みを記した書籍が存在することから、物語の中心には確かな現実がある。

一方で、タクヤをはじめとする登場人物の描写や家族とのやり取り、音楽とダンスを使った演出には映画ならではの再構成がある。実話の核心と創作部分を分けて見ることが、作品を正しく理解するためのポイントだ。

加えて、ブルーボーイ事件から日本精神神経学会のガイドライン策定、性別適合手術の保険適用、2025年の第5版ガイドラインまでを振り返ると、本作は一人のタレントの成功物語にとどまらず、日本の医療と社会の変化を考えるきっかけにもなる。

映画で二人の出会いに心を動かされたなら、はるな愛さんの『素晴らしき、この人生』と、和田耕治さん・深町公美子さんの『性同一性障害を救った医師の物語』も手に取ってみたい。映像だけでは見えなかった二人の人生と、当時の社会が抱えていた課題が、より立体的に浮かび上がってくるはずだ。

主な確認資料・取材根拠

- Netflix公式作品発表・キャスト情報
- WIRED「This is I」制作陣インタビュー(2026年2月20日)
- 講談社『素晴らしき、この人生』書誌情報
- 方丈社新版『性同一性障害を救った医師の物語』書誌情報
- 日本精神神経学会・性別不合に関する診断と治療のガイドライン第5版
- 厚生労働省・性別適合手術の保険適用資料
- 双葉社・はるな愛本人の2026年11月インタビュー
- テレビ東京・和田耕治医師の人物取材
- シネマトゥデイ・キャストと人物設定

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アイドル・グラビア担当。所属事務所の公式発表を一次情報とし、憶測は書きません。

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