映画『愚行録』の中心となるのは、妻夫木聡演じる田中武志と、満島ひかり演じる妹の田中光子です。田中が一家惨殺事件を調査する過程で、小出恵介、松本若菜、臼田あさ美、市川由衣、中村倫也、眞島秀和らが演じる人物が登場します。
映画公式サイトのキャスト紹介と映画.comの出演者情報を照合すると、主要人物と役名は次のとおりです。
出典:映画『愚行録』公式キャスト紹介、映画.com作品情報。役名の表記は公開資料に基づく。
主演・妻夫木聡と満島ひかりの役柄妻夫木聡:田中武志
物語を動かす週刊誌記者です。田向一家の事件を再調査するため、被害者と関係のあった人々を訪ね、過去の出来事や人物像を聞き出していきます。
取材を通じて明らかになるのは、事件の被害者についてだけではありません。証言する人々自身の価値観や欲望も、徐々に浮かび上がってきます。
公式キャストページでは、妻夫木が田中の内面に潜む闇を意識して役に向き合ったことが紹介されています。
満島ひかり:田中光子
田中武志の妹です。育児放棄の疑いで逮捕されており、兄が追う一家惨殺事件とは別の問題を抱えています。
事件の調査を進める武志の姿と、光子が抱える問題が並行して描かれることで、物語は単純な犯人探しにとどまらない構造になっています。
事件関係者を演じる実力派キャスト- 小出恵介:田向浩樹
事件で殺害された一家の夫。周囲からはエリートサラリーマンとして認識されていた人物です。
- 松本若菜:夏原友季恵
田向浩樹の妻。大学時代の人間関係をたどることで、外から見た夫婦像と実際の姿との違いが浮かび上がります。
- 臼田あさ美:宮村淳子
友季恵の大学時代の同期。田向夫妻について証言する人物の一人です。
- 市川由衣:稲村恵美
浩樹の大学時代の恋人。過去の交際関係から、浩樹の別の側面が見えてきます。
- 中村倫也:尾形孝之
宮村淳子の恋人。事件をめぐる証言者同士の関係にも関わる人物です。
- 眞島秀和:渡辺正人
田向浩樹の会社の同僚。仕事上の関係から被害者の人物像を語ります。
濱田マリは弁護士の橘美紗子役、平田満は杉田茂夫役を担当しています。また、松本まりかも山本礼子役で出演しています。
主演の二人だけでなく、脇役にも映画や舞台で経験を積んだ俳優が集まっている点が、本作の群像劇としての厚みにつながっています。
【愚行録のキャスト相関図】田向一家と事件関係者のつながり

『愚行録』の人物関係を理解するうえで大切なのは、田中武志が誰に何を聞いているのかを整理することです。
この作品では、事件の当事者だけでなく、会社の同僚、大学時代の友人、過去の恋人など、異なる立場の人々が証言者として登場します。
田向一家を中心とした人間関係
田向一家田向浩樹 × 夏原友季恵
エリートサラリーマンの夫とその妻、娘からなる一家
浩樹側の関係者
渡辺正人
会社の同僚
眞島秀和
稲村恵美
大学時代の恋人
市川由衣
友季恵側の関係者
宮村淳子
大学時代の同期・臼田あさ美
恋人:尾形孝之(中村倫也)
事件を追う側
田中武志(妻夫木聡)
週刊誌記者・取材者
妹:田中光子(満島ひかり)
公式あらすじに記載された人物関係をもとに整理。
1.田向浩樹の過去を知る人物が複数いる
渡辺正人は会社の同僚、稲村恵美は大学時代の恋人です。異なる時期・環境で浩樹を知っているため、それぞれの証言には異なる角度からの人物評価が含まれます。
2.夏原友季恵と宮村淳子は大学時代のつながりがある
宮村は友季恵の大学時代の同期です。さらに宮村の恋人が尾形孝之という関係にあり、事件をめぐる人間関係が複雑につながっています。
3.田中兄妹の問題は事件とは別の軸を形成する
武志の妹・光子は育児放棄の疑いで逮捕されています。武志が取材対象者の過去を掘り下げる一方で、彼自身も身近な問題を抱えている点が重要です。
この構成によって、観客は事件の真相を追いながら、取材する側と取材される側の境界についても考えさせられます。
【愚行録のあらすじ】一家惨殺事件を追う記者が見た真実
映画『愚行録』は、理想的な家族に見えた田向一家が惨殺された事件から始まります。
夫はエリートサラリーマン、妻は美しく完璧な人物として周囲に認識され、娘とともに幸せな家庭を築いているように見えていました。
ところが、事件発生から1年が経過しても犯人は見つからず、事件は迷宮入りしたままです。
そこで週刊誌記者の田中武志が、事件の再取材を始めます。
取材によって変わっていく田向夫妻の印象武志は田向浩樹の会社の同僚である渡辺正人、妻の大学時代の同期である宮村淳子、さらに浩樹の元恋人である稲村恵美らに話を聞いていきます。
取材の初めに浮かび上がるのは、社会的にも恵まれ、周囲から羨望を集めていた一家の姿です。
しかし、証言を重ねるほど、理想的な夫婦という印象は揺らいでいきます。
証言者たちが語るのは、単なる過去の思い出ではありません。羨望、嫉妬、見栄、優越感、恋愛感情など、それぞれが抱えていた感情も含まれています。
同じ人物について語っているはずなのに、証言する人によって印象が変わる。この食い違いこそが作品の大きな仕掛けです。
田中光子の問題が物語に加えるもう一つの視点武志の妹・光子は、育児放棄の疑いで逮捕されています。
田向一家の事件を追う武志にとって、光子の問題は他人事ではありません。
事件関係者の過去を掘り下げる武志自身も、家族との関係や自らの内面から逃れられない立場にあります。
映画公式サイトは、本作を羨望や嫉妬、見栄、駆け引きといった日常的な感情が複雑に絡み合う群像ミステリーとして紹介しています。
ネタバレを避けて楽しむなら鑑賞前に知っておきたいのは、作品の中心が単純な犯人当てではないということです。
誰が何を語り、なぜそのように語るのか。証言者の立場や過去を意識しながら見ると、何気ない会話や人物の表情にも意味が生まれます。
特に、複数の人物が同じ夫婦について異なる印象を語る場面は、本作の見どころです。
【俳優別の見どころ】妻夫木聡・満島ひかりらの演技に注目
『愚行録』のキャスティングで特徴的なのは、主演二人の存在感に加えて、物語の途中で登場する人物にも重要な役割が与えられていることです。
妻夫木聡:正義感だけでは割り切れない記者
田中武志役
事件の真相を追う記者でありながら、自身の家族にも問題を抱える人物です。
公式サイトに掲載されたコメントでも、田中の心の闇を感じ取ることに集中したと説明されています。単なる正義の記者ではない複雑さが、演技の見どころです。
田中光子役
武志の妹という近い立場にありながら、彼女自身も深刻な問題を抱えています。
事件の取材パートとは異なる緊張感を生み出し、兄妹の関係を通して人間の内面を描きます。
田向浩樹役
周囲から羨まれる社会的立場と家庭環境を持つ男性です。
しかし、彼を知る人々の証言が積み重なるにつれ、観客が抱いていた人物像も変化していきます。
夏原友季恵役
田向浩樹の妻として、事件の中心に位置する人物です。
大学時代の友人関係などを通じて、周囲が抱いていた印象と、証言から見える姿との違いが描かれます。
臼田あさ美
宮村淳子役。友季恵の大学時代の同期。
市川由衣
稲村恵美役。浩樹の大学時代の恋人。
中村倫也
尾形孝之役。宮村淳子の恋人。
眞島秀和
渡辺正人役。浩樹の会社の同僚。
この4人は、事件の被害者と異なる接点を持つ証言者として物語に参加します。演じる俳優の個性だけでなく、登場人物同士の距離感にも注目したいところです。
なお、公式キャストページには出演者自身の役作りに関するコメントも掲載されています。中村倫也は尾形を自然に演じること、眞島秀和は自分の価値観と他人の価値観の違いを意識したコメントを残しています。
【原作・監督・脚本】貫井徳郎の小説を石川慶が映画化
映画『愚行録』を理解するには、原作と映画制作の背景も押さえておきたいところです。
原作は貫井徳郎の直木賞候補作
原作:『』
出版社は東京創元社です。
単行本は2006年3月30日に初版が刊行され、同年の第135回直木賞候補作に選ばれました。創元推理文庫版は2009年4月17日が初版です。
原作の魅力は、複数の人物の証言を通して、事件と被害者の姿が少しずつ変わっていく構成にあります。
東京創元社の紹介でも、隣人や友人などが語るエピソードを通じて、人間たちの愚行が浮かび上がる作品として説明されています。
映画でも、この証言を重ねる構造が重要な役割を担っています。
監督は石川慶、脚本は向井康介
監督:
1977年愛知県出身。東北大学物理学科を卒業後、ポーランド国立映画大学で演出を学びました。
『愚行録』は長編映画監督デビュー作です。
脚本:
『マイ・バック・ページ』『聖の青春』などの脚本を手がけた人物です。
原作の証言を中心とした複雑な構成を映画の物語として組み立てています。
原作者の貫井徳郎は、映画化にあたり、映像化が難しいと考えていた作品が映画として成立したことに期待を寄せていました。
また、撮影監督にはポーランド出身のピオトル・ニエミイスキ、音楽には大間々昂が参加しています。
第73回ベネチア国際映画祭で正式上映本作は国内公開に先立ち、2016年の第73回ベネチア国際映画祭で上映されました。
公式サイトによると、オリゾンティ・コンペティション部門への正式出品が決まり、2016年9月6日(現地時間)には石川慶監督や満島ひかりらが記者会見とレッドカーペットに参加しています。
公式上映後には拍手喝采の中で上映を終えたことも報告されています。
この国際映画祭への選出は、単なる国内向けのサスペンス映画にとどまらない、本作の映像表現への評価を考えるうえでも重要な出来事です。
【2026年に見る『愚行録』】キャスト情報の誤解と作品の評価ポイント
公開から約9年が経過した2026年11月現在、『愚行録』は出演者の若い時期の演技や、現在の活躍を振り返る視点でも楽しめる作品です。
ただし、キャスト情報を調べる際には、いくつか注意したい点があります。
夏原友季恵と夏原友希恵、どちらが正しい?この作品で特に気をつけたいのが、松本若菜の役名表記です。
- 映画公式サイトのキャスト紹介:夏原友季恵
- 映画公式サイトのストーリー紹介:夏原友希恵
- 映画.comの出演者一覧:夏原友希恵
このように、公開資料の中でも表記に揺れがあります。
そのため、公式キャストページの表記を確認する場合は「夏原友季恵」、あらすじや一部映画データベースを調べる場合は「夏原友希恵」という違いを把握しておくと混乱しません。
キャスト相関図だけでは分からない作品の面白さ『愚行録』は、人物関係を整理するだけでは作品の核心に届きません。
重要なのは、証言者がどのような立場から過去を語っているかという点です。
例えば、会社の同僚と大学時代の恋人では、同じ人物について知っている情報が異なります。また、友人関係にある人物同士でも、相手に対する評価や感情が一致するとは限りません。
この違いが、観客の中にある人物像を少しずつ変えていきます。
どんな人におすすめできる映画なのかおすすめできる人
- 人間心理を丁寧に描くミステリーが好きな人
- 複数の人物の証言から真相を考える作品が好きな人
- 妻夫木聡や満島ひかりの演技をじっくり見たい人
- 中村倫也、松本若菜、眞島秀和らの過去の出演作を振り返りたい人
- 原作小説と映画の構成の違いに興味がある人
好みが分かれる可能性がある人
- アクションや派手な展開を中心に楽しみたい人
- 登場人物の関係を整理しながら見るのが苦手な人
- 明快な善悪の区別や単純な犯人探しを期待する人
上映時間は120分。人物の証言や心理描写に時間をかける作品なので、会話の細部まで味わいたい人に向いています。
【愚行録キャスト】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:映画『愚行録』で妻夫木聡と満島ひかりは何役ですか?
A1:妻夫木聡は週刊誌記者の田中武志役、満島ひかりは武志の妹である田中光子役です。二人の兄妹関係は、事件の取材とは別の物語の軸にもなっています。
Q2:松本若菜は『愚行録』で何役を演じていますか?
A2:田向浩樹の妻、夏原友季恵役です。公式キャスト紹介では「友季恵」、公式ストーリー紹介や映画.comでは「友希恵」と表記されています。
Q3:中村倫也と眞島秀和の役名は何ですか?
A3:中村倫也は宮村淳子の恋人である尾形孝之役、眞島秀和は田向浩樹の会社の同僚である渡辺正人役です。
Q4:映画『愚行録』の原作と監督は誰ですか?
A4:原作は貫井徳郎の同名小説、監督は石川慶、脚本は向井康介です。原作小説は2006年に刊行され、第135回直木賞候補作に選ばれています。
Q5:映画『愚行録』はいつ公開されましたか?
A5:2017年2月18日に劇場公開されました。上映時間は120分で、ジャンルはサスペンス・ミステリーです。
Q6:『愚行録』は実話をもとにした映画ですか?
A6:実話を原作とする作品ではなく、貫井徳郎の同名ミステリー小説を映画化した作品です。作中の一家惨殺事件や登場人物は、原作に基づく物語として描かれています。
映画『愚行録』は、妻夫木聡と満島ひかりを中心に、小出恵介、松本若菜、臼田あさ美、市川由衣、中村倫也、眞島秀和らが出演する群像ミステリーです。
作品を理解するために押さえておきたい要点は次のとおりです。
- 田中武志を演じるのは妻夫木聡、妹の光子を演じるのは満島ひかり。
- 田向浩樹を小出恵介、妻の友季恵を松本若菜が演じる。
- 宮村淳子、稲村恵美、尾形孝之、渡辺正人は、事件の背景を明らかにする重要人物。
- 原作は貫井徳郎の第135回直木賞候補作。
- 石川慶監督の長編映画監督デビュー作であり、第73回ベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門で正式上映された。
2026年に改めて鑑賞するなら、俳優の現在の活躍と比較しながら、2017年当時の演技や役作りに注目するのも楽しみ方の一つです。
何より、この映画の本質は、事件の真相だけではありません。他人について語る人間が、どのような価値観や感情を持っているのか。登場人物一人ひとりの証言を追うことで、タイトルに込められた「愚行」の意味がより深く伝わってきます。
映画『愚行録』は、キャストの豪華さだけでなく、俳優たちが演じる人物の複雑な人間関係と心理描写に注目して楽しみたい作品です。