2026年11月現在、女優・吉行和子さんは、すでにこの世を去っています。2025年9月2日未明、肺炎のため90歳で逝去しました。所属事務所のテアトル・ド・ポッシュが同月8日に公式発表し、翌9日に各報道機関が訃報を伝えました。昭和から令和まで映画、テレビドラマ、舞台で活躍し続けた名女優の訃報は、多くの映画・演劇関係者に惜しまれました。
しかし、吉行和子さんの俳優人生は、逝去によって終わったわけではありません。2026年2月には浜野佐知監督の映画『金子文子 何が私をこうさせたか』が公開され、10月2日には最後に撮影参加した映画『あなたの息子ひき出します!』も劇場公開されました。さらに11月には、吉行さんと浜野監督が手がけた映画を振り返る追悼特集上映も予定されています。
【2026年最新】吉行和子さんの現在は?2025年9月2日に90歳で逝去

吉行和子さんは1935年8月9日、東京都生まれ。1957年に舞台『アンネの日記』で主演を務めて以来、約68年間にわたって俳優として活動しました。
映画『愛の亡霊』『東京家族』をはじめ、テレビドラマ『3年B組金八先生』『ふぞろいの林檎たち』『ナースのお仕事』など、世代を超えて知られる作品に出演。晩年まで仕事への意欲を失わず、90歳を迎えた2025年にも映画撮影に参加していました。
所属事務所が公表した訃報の内容2025年9月8日、所属事務所のテアトル・ド・ポッシュは公式サイトに「訃報」を掲載しました。発表された内容は次のとおりです。
弊社所属の吉行和子が9月2日未明、肺炎のため、永眠いたしました。享年90
故人の遺志により、葬儀は近親者のみで執り行いました。
この発表によって、吉行さんが9月2日未明に肺炎で亡くなったことが正式に明らかになりました。葬儀は本人の遺志に従い、近親者のみで執り行われています。
報道各社の取材によると、亡くなる前は体調を崩して都内の病院に入院しており、9月1日朝から呼吸が苦しくなったと関係者が説明しています。また、以前に転倒して腰骨を痛めたことも報じられました。
ただし、所属事務所が公表した死因は肺炎です。転倒や過去の体調不良を直接の死因と結び付けるものではありません。
日刊スポーツは、吉行さんが亡くなる直前まで俳優業への意欲を持っていたことも報道しました。関係者によれば、仕事の依頼に対して「状態がしっかりしたら、やりたい」という姿勢を示していたといいます。
90歳まで現役で活動を続けた姿からは、女優という仕事に対する深い愛情が伝わってきます。
【最後の出演作】『あなたの息子ひき出します!』が2026年10月に公開
吉行和子さんの晩年を語るうえで欠かせないのが、深川栄洋監督の映画『あなたの息子ひき出します!』です。
同作は、吉行さんが2025年2月に撮影に参加した作品で、俳優として最後に演技をした映画として報じられています。2026年10月2日に劇場公開され、亡くなった後にスクリーンで新たな演技を届けることになりました。
どんな映画なのか?作品のあらすじと見どころ『あなたの息子ひき出します!』は、引きこもり状態にある人々の自立支援をテーマにしたヒューマンドラマです。
主人公は、社会から孤立した人々を支援する活動を続ける小林典子。彼女は長期間引きこもっている男性・三浦雅彦と出会い、少しずつ外の世界との接点を取り戻すために向き合っていきます。
企画・脚本・監督を務めたのは、映画『神様のカルテ』『法廷遊戯』などで知られる深川栄洋監督です。着想から約10年をかけて完成させた自主制作映画としても注目されました。
吉行さんは、三浦和子役で出演。大森南朋さん演じる三浦雅彦の母親という役どころです。
主な出演者
公開日は2026年10月2日。上映時間は114分で、配給はスタンダードフィルムです。
撮影現場で見せた最後まで変わらない俳優魂2025年9月の訃報後、深川監督は吉行さんとの撮影時の思い出を明かしました。
日刊スポーツの取材によると、吉行さんは撮影現場で自分の出番を長時間待ちながらも、役者として真摯に仕事に向き合っていたそうです。撮影のクランクアップ時には、撮り残しがないかを気に掛けていたことも伝えられています。
深川監督は、吉行さんが演じた役名が本人と同じ「和子」であったことにも触れ、最後の演技を振り返りました。
この映画が特別なのは、単に出演作が公開されたからではありません。90歳まで現役で演じ続けた吉行さんの仕事に対する姿勢を、最後の撮影作品を通じて感じ取れる点にあります。
【浜野佐知監督との関係】『金子文子 何が私をこうさせたか』と2026年追悼上映
2026年の吉行和子さんをめぐる映画の話題では、浜野佐知監督との長年の関係も見逃せません。
2人のタッグは1997年の映画『第七官界彷徨―尾崎翠を探して』から始まりました。吉行さんは浜野監督の一般映画への進出初期から出演し、監督の作品づくりを支えてきた存在です。
日刊スポーツの報道によれば、吉行さんは浜野監督の映画に6作品出演。浜野監督が「もっと、とんでもない主演作品を撮りたかった」と語るほど、2人の間には長年にわたる信頼関係がありました。
『金子文子 何が私をこうさせたか』で演じた役柄浜野佐知監督の映画『金子文子 何が私をこうさせたか』は、2026年2月28日に劇場公開された作品です。
主人公は、1920年代に国家権力と対峙した思想家・金子文子。死刑判決を受けてから獄中で亡くなるまでの121日間を中心に、その生涯と思想を描く伝記ドラマです。
主演は菜葉菜さん。小林且弥さんが朴烈を演じ、吉行和子さんは金子文子を追い詰める朝鮮の祖母役で出演しました。
吉行さんが演じた祖母は、主人公の人生に大きな傷を残す重要な人物です。日刊スポーツによれば、吉行さんはこの役について、人間の残酷さを表現できることにやりがいを感じていたと伝えられています。
浜野監督作品への出演としては、これが最後となりました。
吉行和子さんと浜野佐知監督が築いた6作品2026年10月29日、東京の映画館Morc阿佐ヶ谷は、吉行さんを追悼する特集上映を発表しました。
企画の名称は「吉行和子 × 浜野佐知 シスターフッドで紡いだ映画たち」。2人がともに作り上げた6作品を上映する企画です。
上映期間は2026年11月20日(金)から11月26日(木)まで。連日13時からの上映が予定されています。
上映作品は次の6作品です。
1. 『第七官界彷徨―尾崎翠を探して』(1998年)
2. 『百合祭』(2001年)
3. 『こほろぎ嬢』(2006年)
4. 『百合子、ダスヴィダーニヤ』(2011年)
5. 『雪子さんの足音』(2019年)
6. 『金子文子 何が私をこうさせたか』(2025年製作)
上映後にはトークショーも予定されており、詳細は劇場から順次発表されると案内されています。
この企画で注目したいのは、吉行さんが年齢を理由に役柄を限定されることを望んでいなかった点です。
2017年には浜野監督に「とんでもない、ばあさん役がやりたいわ」とメールを送ったことが報じられています。単なる優しい老婦人ではなく、欲望や複雑な感情を抱えた女性を演じたいという意志がうかがえます。
『百合祭』や『雪子さんの足音』などに見られる、従来の高齢女性のイメージを超えた役柄は、吉行さんの俳優としての個性を象徴しています。
吉行和子さんの魅力は、映画だけでなくテレビドラマ、舞台、声優、エッセイなど幅広い分野で才能を発揮したことにあります。
若い頃は舞台女優として評価され、その後は映画で人間の複雑な感情を表現。さらにテレビドラマでは、家庭や学校を舞台にした作品で幅広い世代に親しまれました。
吉行和子さんの主な出演歴・受賞歴※受賞歴・出演歴は新潮社の著者プロフィール、映画関連資料、報道各社の訃報記事などに基づいています。
映画『愛の亡霊』で見せた圧倒的な存在感吉行さんの映画女優としての代表作の一つが、大島渚監督の『愛の亡霊』です。
1978年公開の本作は、人間の欲望や嫉妬、愛情が複雑に絡み合う作品です。吉行さんは主演を務め、1979年の第2回日本アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされました。
それまでの清楚で親しみやすいイメージとは異なる、濃密な人間ドラマに挑んだことは、女優としての幅を広げる大きな転機になりました。
『3年B組金八先生』『ナースのお仕事』で幅広い世代に浸透テレビドラマでは、TBSの『3年B組金八先生』シリーズに池内先生役で出演しました。
また、『ふぞろいの林檎たち』やフジテレビ系『ナースのお仕事』シリーズなどにも出演。映画とは異なる親しみやすい演技で、多くの視聴者に知られる存在になりました。
加えて、山田洋次監督の『東京家族』や『家族はつらいよ』シリーズでは、家庭の中にある喜びや葛藤を自然体で表現しています。
2014年には『東京家族』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。2021年には日本アカデミー賞会長功労賞も受賞しました。
このように、吉行さんは特定のジャンルにとどまらず、社会派映画からホームドラマまで幅広く活躍した俳優でした。
【家族の歩み】母・吉行あぐりと兄・吉行淳之介に囲まれた生涯
吉行和子さんの人生を理解するうえで、吉行家という文化的な家庭環境も重要です。
父は作家・吉行エイスケさん、母は美容師として活躍した吉行あぐりさん。兄は芥川賞作家の吉行淳之介さん、妹は詩人・作家の吉行理恵さんです。
文学や芸術に関わる家族の中で育った吉行さん自身も、女優だけでなくエッセイストとして高い評価を受けました。
母・吉行あぐりはNHK朝ドラ『あぐり』のモデル母の吉行あぐりさんは、日本の美容業界の草分け的存在として知られる美容師です。
1997年に放送されたNHK連続テレビ小説『あぐり』は、母の人生をモデルにした作品でした。あぐりさんは107歳まで生き、長年にわたり美容師として活動した人物です。
吉行和子さんは2019年刊行の著書『そしていま、一人になった』でも、母や兄、妹との思い出を振り返っています。
婦人公論のインタビューでは、母とは同じマンションの別々の部屋で暮らし、母が90歳を過ぎてから一緒に旅行するなど、親子としての時間を深めていったことを語っています。
兄・吉行淳之介は芥川賞作家兄の吉行淳之介さんは、日本文学を代表する作家の一人です。1954年に『驟雨』で芥川賞を受賞しました。
和子さんとは11歳ほど年齢が離れており、幼少期には年上の兄として接していました。
吉行家には、父エイスケさん、兄の淳之介さん、妹の理恵さんという文筆家がいました。その中で和子さんは、言葉ではなく演技を通して自分の表現を確立していった人物です。
結婚歴と独身を選んだ人生吉行さんは結婚歴があり、28歳のときに結婚しています。しかし、結婚生活は約4年で終わり、その後は独身を貫きました。
婦人公論などのインタビューでは、本人が結婚生活を振り返り、自分には一人で生きる生活が合っていたという趣旨の話をしています。
また、母や兄妹との関係についても、一般的な家庭団らんとは異なる、それぞれが自分の生活や仕事を大切にする家族だったと振り返っています。
こうした経験は、吉行さんが演じてきた多様な女性像にも通じる部分があります。結婚や家族という一つの価値観だけにとらわれず、自分自身の生き方を大切にした人生でした。
【プロの結論】吉行和子さんが2026年も語り継がれる理由
吉行和子さんの功績を振り返ると、単に出演作品が多いというだけでは説明できない魅力が見えてきます。
特に注目したいのは、年齢を重ねても役柄の可能性を狭めなかったことです。
一般的に、長く活動する女優は年齢とともに演じる役柄が限定されることがあります。しかし吉行さんは、穏やかな母親だけでなく、欲望を抱える女性、社会の中で葛藤する人物、時には残酷さを持つ人物まで演じてきました。
浜野佐知監督との作品群は、その姿勢を象徴するものです。
また、『金子文子 何が私をこうさせたか』と『あなたの息子ひき出します!』が2026年に公開されたことで、異なる監督の作品を通じて晩年の演技を続けて鑑賞できる状況が生まれました。
吉行さんの出演作をこれから初めて見る人には、次の順番がおすすめです。
- 女優としての原点を知りたい人:『アンネの日記』に始まる舞台女優としての歩みを調べる。
- 映画女優としての実力を知りたい人:『愛の亡霊』『折り梅』『東京家族』を見る。
- 独自の女性像を知りたい人:『百合祭』『雪子さんの足音』を見る。
- 晩年の演技を見たい人:『金子文子 何が私をこうさせたか』『あなたの息子ひき出します!』を見る。
特に、浜野佐知監督との作品群を年代順にたどると、吉行さんがどのように役柄の幅を広げていったのかが分かります。
2026年11月の追悼上映は、作品を通じてその変化を確かめる機会になるでしょう。
【吉行和子さんの現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:吉行和子さんは現在もご存命ですか?
A1:いいえ。2025年9月2日未明、肺炎のため90歳で亡くなりました。所属事務所のテアトル・ド・ポッシュが9月8日に正式発表しています。
Q2:吉行和子さんの最後の出演作は何ですか?
A2:最後に撮影参加した映画として知られるのは、深川栄洋監督の『あなたの息子ひき出します!』です。2025年2月に撮影され、2026年10月2日に公開されました。一方、浜野佐知監督作品への最後の出演は『金子文子 何が私をこうさせたか』です。
Q3:吉行和子さんの死因は何ですか?
A3:所属事務所の発表によると、死因は肺炎です。2025年9月2日未明に亡くなり、享年90でした。
Q4:2026年の吉行和子さんの追悼上映はいつ開催されますか?
A4:東京のMorc阿佐ヶ谷で、2026年11月20日から11月26日まで開催予定です。浜野佐知監督との関係から生まれた全6作品が上映されます。
Q5:吉行和子さんの母と兄は誰ですか?
A5:母は美容師でNHK朝ドラ『あぐり』のモデルとなった吉行あぐりさん、兄は芥川賞作家の吉行淳之介さんです。妹は詩人・作家の吉行理恵さんです。
Q6:吉行和子さんの代表作は何ですか?
A6:映画では『愛の亡霊』『折り梅』『東京家族』『百合祭』など、テレビドラマでは『3年B組金八先生』『ふぞろいの林檎たち』『ナースのお仕事』などが代表作として挙げられます。
吉行和子さんは2025年9月2日、90歳で肺炎のため逝去しました。しかし、2026年になっても、その存在は映画界で大切に受け継がれています。
最後に撮影参加した『あなたの息子ひき出します!』は2026年10月2日に公開。浜野佐知監督との最後の作品となった『金子文子 何が私をこうさせたか』も同年2月に公開されました。
加えて、11月20日から26日にはMorc阿佐ヶ谷で6作品の特集上映が予定されています。
母・吉行あぐりさんや兄・吉行淳之介さんといった著名な家族に囲まれながら、吉行さんは自分自身の表現を追求し、女優として独自の道を歩みました。
90歳まで現役を貫き、最後まで新しい役に挑戦し続けたこと。それこそが、吉行和子さんの人生と俳優としての最大の功績です。これからも出演作品を見返すことで、その演技と生き方に触れることができます。
主な確認資料:テアトル・ド・ポッシュの訃報発表、日刊スポーツ、TBS NEWS DIG、新潮社、集英社、映画.com、Morc阿佐ヶ谷の上映告知。