5/8チップの正式な読み方は、「はちぶんのごチップ」です。「ごぶんのはち」ではありません。分数の5/8を日本語で読む場合、分母の8を先に読み、その後に分子の5を読むためです。
商品名の由来は、一般的なポテトチップスと比べて、約8分の5のサイズに小さくしたこと。エスビー食品が2019年に公開した「5/8レトルトシリーズ」の発売資料にも、1979年発売の5/8チップについて、この開発背景が紹介されています。
開発のきっかけは、当時の女性社員から出た「ポテトチップスは大きすぎて食べにくい」という意見でした。大きく口を開けなければ食べられない従来のチップスを、もっと手軽に、一口で食べられるようにしたい。その発想から、適切なサイズを研究して生まれたのが5/8チップです。
つまり、名前そのものが商品の設計思想を表していました。単に語感が面白い商品名を付けたのではなく、サイズの特徴を数字で伝えるネーミングだったのです。
なお、「S&B」というアルファベットの形が「5/8」に似ているから名付けられたという説もあります。しかし、エスビー食品の公式発売資料が説明している由来は、従来品に対するサイズの比率です。こちらを正式な説明として理解するのが適切です。
5/8サイズは具体的にどれくらい小さい?5/8を小数に換算すると0.625、つまり62.5%です。数字だけを見ると、従来のポテトチップスよりかなりコンパクトな設計だったことが分かります。
ただし、公式資料が示しているのは従来品に対する5/8というサイズの比率であり、直径や面積、重量のいずれを一律に62.5%にしたという詳細な寸法規格までは公表されていません。
ここで重要なのは、単なる小型化ではなく、食べるときの動作や口の開き方まで考慮した商品だったことです。現在では一口サイズのスナックは珍しくありませんが、1979年当時、この特徴を分数の商品名にまで反映させた点はユニークでした。
【1979年からの歴史】エスビー食品が生んだ成形ポテトチップスの特徴

5/8チップが発売された1979年は、日本のスナック菓子市場で成形ポテトチップスが広がっていた時期です。
当時の5/8チップは、ジャガイモをそのまま薄切りにして揚げる一般的なポテトチップスとは異なり、ジャガイモを加工して一定の形に成形するタイプの商品でした。形がそろった小ぶりのチップスを実現できたことも、商品コンセプトと相性がよかったのです。
食品産業新聞社の2024年の記事によると、エスビー食品は従来の「スナックチップ」と差別化するため、当時のスナック菓子では珍しかった黒を基調とする箱型パッケージも採用しました。
上部に持ち手を組み立てて持ち運ぶタイプのパッケージも、当時を知る人には印象的な特徴です。単に中身を販売するだけでなく、パッケージ自体にも独自性を持たせていました。
エスビー食品が菓子市場に参入した背景現在のエスビー食品といえば、カレー粉、わさび、しょうが、各種スパイスなどを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、同社は1977年に「スナックチップ」を発売し、スナック菓子市場にも参入していました。
公式社史によると、1977年にスナック分野へ参入し、その2年後の1979年に5/8チップを発売しています。つまり、5/8チップは同社の菓子事業における初期の代表的な商品だったのです。
香辛料やカレーを主力とするメーカーが、ポテトスナックという異なるカテゴリーに挑戦したこと自体、当時のエスビー食品の商品開発の幅を示しています。
【味の歴代ラインアップ】あっさりしお味とグリルビーフ味が人気の理由
5/8チップの魅力はサイズだけではありません。味のバリエーションも展開されており、定番の塩味を中心に複数のフレーバーが販売されていました。
懐かしの菓子を紹介する過去の商品資料や回顧記事では、次のような味が紹介されています。
代表的なフレーバー一覧あっさりしお味
5/8チップを代表する定番フレーバーです。シンプルな塩味で、ポテトそのものの風味を楽しめるタイプとして知られています。商品を懐かしむ人の記憶にも残りやすい味です。
グリルビーフ味
塩味とは異なる、肉のうまみをイメージしたフレーバーです。ポテトスナックと相性のよいビーフ系の味付けによって、定番とは違ったおいしさを打ち出していました。
しそ味
しその風味を生かした個性的なバリエーションです。塩味や肉系とは異なる方向性で、味の選択肢を広げていました。
かにマヨネーズ味・マヨネーズサラダ味
マヨネーズのコクやサラダ風の味わいを取り入れた商品も、過去のラインアップとして紹介されています。
欧風カレー味
カレーを主力とするエスビー食品らしいフレーバーです。自社の得意分野であるカレーの風味を、スナック菓子にも生かした商品展開でした。
これらのフレーバーは、過去の回顧記事で確認できる代表例です。すべてが同時期に販売されていたわけではなく、発売順や各商品の販売期間については、公開資料から一律に確定できません。
特に注目したいのは、5/8チップが単なる小型ポテトチップスではなく、味の選択肢によって商品ブランドとしての幅を持っていた点です。定番の塩味で支持を得ながら、ビーフやカレーなどの味で変化を付ける構成は、現在のスナック菓子にも通じる商品戦略です。
【CMの歴史】ドラゴンボールの孫悟空も登場!懐かしのテレビ広告
5/8チップを語るうえで外せないのが、テレビCMです。とりわけドラゴンボールの孫悟空が登場するCMは、当時のアニメ視聴者にとって印象深い広告の一つでした。
ドラゴンボール関連のCM記録には、エスビー食品の5/8チップに孫悟空が登場したことが掲載されています。1980年代末から1989年前後のCMとして紹介される資料があり、1991年のテレビ放送録画にCMが残されている例もあります。
孫悟空の声を担当した野沢雅子さんと5/8チップのCMを関連付けて記録する声優関連資料も存在します。
なぜドラゴンボールとの組み合わせが印象に残ったのか当時の子どもたちにとって、テレビアニメは日常的な娯楽の中心の一つでした。人気作品の放送時間帯に流れるCMは、商品を知るきっかけとして大きな役割を果たします。
特にドラゴンボールは、孫悟空という強い認知度を持つキャラクターを中心に展開していた作品です。アニメの世界観と商品広告が結び付くことで、子どもたちにとって5/8チップが身近な存在になったと考えられます。
ブランド戦略研究所の過去の調査記事でも、5/8チップのCMについて、ドラゴンボールのキャラクターやタレントを起用した複数のバリエーションがあったと紹介されています。
西田敏行さんが出演した発売当初のCM実は5/8チップのCMは、ドラゴンボールだけではありません。
食品産業新聞社が2024年11月に掲載した回顧記事によると、発売当初のCMには俳優の西田敏行さんが起用されました。
当時、成形ポテトチップスが普及し始めていたこともあり、エスビー食品は従来のスナックチップとは異なるコンセプトを伝えるため、西田さんを新しい広告キャラクターに採用。西田さん自身の顔とチップスの小ささを対比させ、一口で食べられる特徴をユーモラスに伝えていました。
その後、ラジオDJに扮したバージョンや、父親役として出演するバージョンも制作されたと同紙は伝えています。
こうした広告の変遷を見ると、5/8チップは長期間にわたって商品特性と時代に合った広告表現を組み合わせていたことが分かります。
【発売から終売まで】5/8チップの歴史と関係者・関連商品の整理
5/8チップの歩みを理解するには、エスビー食品のスナック事業と、テレビCMに登場した人物・作品を合わせて見ると分かりやすくなります。
年代別の主な出来事5/8チップに関係する人物や作品を整理すると、商品の認知度がどのように広がったのかが見えてきます。
| 関連エンティティ | 関係 | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| エスビー食品 | 発売元 | 1979年に5/8チップを発売 |
| 当時の女性社員 | 開発のきっかけ | 一口で食べられるサイズへの着想 |
| 西田敏行さん | CM出演者 | 発売初期の広告に出演 |
| ドラゴンボール | CM関連作品 | 孫悟空が登場する広告が記録されている |
| 野沢雅子さん | 孫悟空の声 | 5/8チップのCMとの関連が資料に記録 |
| 2019年の5/8レトルトシリーズ | 後年の関連商品 | 小容量という考え方を別カテゴリーで展開 |
この関係性で注目したいのは、商品開発と広告展開の両方に特徴があったことです。女性社員の発想から生まれたサイズ設計を、西田敏行さんやドラゴンボールといった異なる広告表現で伝えていました。
【2003年に販売終了した理由】エスビー食品の菓子部門撤退の真相
長年販売されていた5/8チップが姿を消したのは、2003年です。
販売終了の背景として挙げられるのが、エスビー食品による菓子事業からの撤退です。5/8チップ単独のリニューアルや一時的な休売ではなく、メーカー側の事業方針の変更に伴う終売でした。
なぜエスビー食品は菓子事業から撤退したのかエスビー食品は1977年にスナック分野へ参入し、5/8チップをはじめとする複数の商品を展開していました。しかし、2003年に菓子事業から撤退したとする商品回顧資料が複数あります。
撤退の背景については、採算性や菓子市場での競争環境が関係したとする二次資料もあります。ただし、5/8チップの売上高や利益率、撤退時の具体的な経営判断を示す詳細な公式資料は確認できません。
一方、エスビー食品の公式社史を見ると、2000年には新創業の年と位置付けて「SPICE&HERB」を掲げ、2003年には新しいコーポレートシンボルを制定しています。事業の中心をスパイスとハーブに置く企業戦略が明確になっていた時期です。
したがって、5/8チップの終売は、単独商品の人気が突然失われたというより、メーカーが事業領域を見直した結果として捉えるのが妥当です。
2003年の終売は商品そのものの失敗だったのかここは誤解されやすいポイントです。
5/8チップは、1979年から2003年まで販売された商品として知られています。約24年間にわたって市場に存在していたことを考えると、単純に短命商品だったとはいえません。
また、販売終了と商品への評価は別問題です。メーカーがあるカテゴリーから撤退すれば、そのカテゴリーに属する商品が一斉に姿を消すことがあります。個々の商品が消費者から支持されていたかどうかだけでは、販売継続の可否は決まりません。
5/8チップの場合も、商品の独自性と長年の販売実績があった一方、事業撤退という大きな判断によって市場から姿を消したと整理できます。
【2026年現在の販売状況】復刻の可能性と5/8ブランドのその後
2026年11月現在、5/8チップは通常のポテトスナックとして販売されていません。
エスビー食品の現行商品情報にも、5/8チップの通常販売商品は掲載されておらず、スナック菓子の現行事業を行っていないことは2023年の企業紹介記事でも確認できます。
そのため、スーパーやコンビニで現在の定番商品として購入することはできません。インターネット上で見かける商品画像や古いパッケージは、過去の商品資料やコレクションである可能性があります。
2019年に「5/8」の名前が復活していた?実は、5/8という名前が完全に過去のものになったわけではありません。
エスビー食品は2019年2月12日、「5/8レトルトシリーズ」を発売しました。欧風カレー、インドカレー、キーマカレー、野菜カレー、ハヤシなどを展開した商品です。
このシリーズのコンセプトは「半分ちょっとがちょうどいい」。お茶わん軽く一杯分のごはんに適した小容量のレトルト食品として開発されました。
発売資料では、5/8チップの名前にも触れ、1979年に開発された商品のサイズ思想を紹介しています。
ただし、これはポテトチップスの復刻ではありません。5/8というサイズの考え方を、レトルト食品に応用した別商品です。名称の再活用と元商品の再発売を混同しないことが大切です。
5/8チップが復刻する可能性はある?復刻の可能性を考えるうえでは、次の3つの観点が重要です。
1.ブランドの認知度と懐かしさ
5/8チップは、1970年代末から2000年代初頭まで販売され、テレビCMにも西田敏行さんやドラゴンボールの孫悟空が登場しました。商品そのものだけでなく、当時のテレビ文化と結び付いたブランド資産があります。
また、昭和・平成の懐かしいお菓子を振り返るメディアでも、5/8チップは繰り返し取り上げられています。こうした露出は、復刻商品を企画する際の認知度という面ではプラス材料です。
2.製造・販売体制の再構築
一方で、現在のエスビー食品はスパイスやハーブを中心とした事業を展開しています。スナック菓子を再発売する場合、原料調達、製造設備、品質管理、包装、流通、販売先の確保などを改めて整える必要があります。
かつて販売していた商品だからといって、当時と同じ条件で製造できるとは限りません。特に成形ポテトチップスという独自の製法を採用していたことは、復刻を考える際の検討事項になります。
3.現在の消費者ニーズとの相性
小さく食べやすいという特徴は、現在の個食・少量消費の考え方とも相性があります。2019年の5/8レトルトシリーズも、小容量を求める消費者ニーズを意識した商品でした。
ただし、レトルト食品で小容量商品を発売した実績が、そのままスナック菓子の復刻計画を意味するわけではありません。
2026年11月現在、5/8チップの再発売について具体的な発売日や商品仕様を伴う公式発表は確認できません。したがって、復刻は期待できる話題ではあるものの、実現が決まった計画として扱うことはできません。
【プロの結論】5/8チップが今も語り継がれる理由
5/8チップの歴史を振り返ると、長く記憶に残る商品には、味だけではない独自性があることが分かります。
第一の特徴は、消費者の小さな不満を商品開発に結び付けたことです。大きなポテトチップスは食べにくいという女性社員の意見をきっかけに、従来のサイズを見直しました。これは、食べる人の立場から商品を設計するという、現在の商品開発にも通じる考え方です。
第二の特徴は、数字を使った商品名の分かりやすさです。「5/8」という名前は、一度聞けば記憶に残りやすく、商品サイズの特徴も伝えています。商品名そのものが広告として機能していたといえます。
第三の特徴は、広告と商品体験が結び付いていたことです。西田敏行さんによるユーモラスなCMや、孫悟空が登場するドラゴンボール関連CMは、商品を当時のテレビ文化の中に位置付けました。
そして、2003年の終売は、商品への愛着があってもメーカーの事業判断によって市場から姿を消すことがあるという、食品ブランドの難しさを示しています。
復刻を考えるなら、単に昔と同じパッケージを再現するだけでは十分ではありません。5/8というサイズの特徴、あっさりしお味のような定番フレーバー、持ち運びやすいパッケージといった、ブランドの核をどう現代の商品設計に落とし込むかが重要です。
【八分の五チップスに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:5/8チップは何と読みますか?
A1:正式な読み方は「はちぶんのごチップ」です。5/8という分数を日本語で読む場合、分母の8を先に読みます。
Q2:5/8チップはいつ発売されましたか?
A2:1979年(昭和54年)です。エスビー食品の公式社史にも発売年が記録されています。
Q3:5/8チップの名前の由来は何ですか?
A3:従来のポテトチップスに比べて5/8サイズに小型化したことが由来です。当時の女性社員から出た、一口で食べられるポテトチップスが欲しいという意見が開発のきっかけでした。
Q4:5/8チップにはどんな味がありましたか?
A4:あっさりしお味やグリルビーフ味のほか、しそ味、かにマヨネーズ味、マヨネーズサラダ味、欧風カレー味などが過去の商品資料で紹介されています。
Q5:ドラゴンボールのCMには孫悟空が出演していましたか?
A5:はい。5/8チップには孫悟空が登場するドラゴンボール関連CMがあり、孫悟空の声を担当する野沢雅子さんとの関連も記録されています。
Q6:5/8チップはなぜ販売終了したのですか?
A6:2003年のエスビー食品による菓子事業からの撤退に伴って販売終了となりました。個別商品の売上や利益率など、終売を決めた詳細な経営判断は公表資料から確認できません。
Q7:2026年現在、5/8チップは購入できますか?
A7:通常商品としての販売は終了しています。古いパッケージや未開封品が中古市場などに出る可能性はありますが、現在のメーカー公式商品として販売されているものではありません。
Q8:5/8チップが復刻する予定はありますか?
A8:2026年11月現在、具体的な復刻発売の公式発表は確認できません。2019年には5/8レトルトシリーズが発売されましたが、ポテトチップスそのものの復刻ではありません。
八分の五チップスこと5/8チップは、1979年にエスビー食品が発売した一口サイズの成形ポテトチップスです。女性社員の発想から生まれた5/8というサイズ、あっさりしお味やグリルビーフ味などのフレーバー展開、そして西田敏行さんやドラゴンボールの孫悟空を起用したCMによって、長く親しまれました。
2003年にはエスビー食品の菓子事業撤退に伴って終売。2026年現在、通常販売は行われていません。2019年には同じ5/8の名称を使ったレトルトシリーズが登場しましたが、元のポテトチップスとは別の商品です。
復刻についても具体的な発表はなく、現段階では期待の域を出ていません。
それでも5/8チップが今なお懐かしいお菓子として語られるのは、単に昔の商品だからではありません。食べる人の不便を解消するという発想、数字を使ったユニークなネーミング、そして時代を彩ったテレビCMが一体となっていたからです。
一口サイズというシンプルな工夫で独自のブランドを築いた5/8チップ。その歴史は、日本のスナック菓子の多様化を振り返るうえでも興味深い存在です。
主な参考資料
- エスビー食品「社史・沿革」
- エスビー食品「5/8レトルトシリーズ」2019年発売プレスリリース
- 食品産業新聞社「日本の食卓に寄り添った名優・西田敏行さん、1979年発売『5/8チップ』のCMなどに出演」(2024年11月2日)
- 週刊女性PRIME「もう一度食べたい懐かしお菓子」
- @DIME「創業100周年を迎えたエスビー食品のスパイス展示館」関連記事
- ブランド戦略研究所「懐かしの商品ブランドに関するイメージ調査」