2026年の北海道では、殺人事件だけでなく、殺人未遂容疑での逮捕や再逮捕、不起訴処分に至った事件も報道されている。
事件ごとに発生日時、被害状況、逮捕の経緯、捜査の進展を整理すると、次のようになる。
1.札幌市厚別区の女性殺害事件(7月11日)2026年7月11日、札幌市厚別区のマンションで、22歳の女性が死亡する事件が発生した。
北海道文化放送などの報道によると、殺人容疑で逮捕されたのは33歳の男。女性の頭部などを金づちで複数回殴り、殺害した疑いが持たれた。
男は事件後、警察署を訪れて自首し、警察官に事件を申告した。女性は看護師で、男とは交際関係にあったと報じられている。
司法解剖では死因が脳挫傷と判明。女性の手や腕には防御創の可能性がある傷も確認された。
警察は交際関係をめぐるトラブルなどを含め、事件の詳しい経緯を調べた。
2.札幌市東区の夫婦間殺人未遂事件(8月2日)8月2日には、札幌市東区の住宅で40代の夫の腹部を包丁で刺したとして、25歳の女性が殺人未遂の疑いで逮捕された。
夫は病院に搬送されたが、意識があり、命に別条はなかった。
その後、2026年10月30日、札幌地方検察庁は女性を不起訴処分にしたと発表した。
検察が公表した処分理由は「諸般の事情を考慮し、不起訴処分とした」というものだった。
ここで重要なのは、逮捕されたという情報だけで事件の最終的な結論を判断できないことだ。この事件は逮捕・送検後に不起訴となっており、起訴されて刑事裁判で有罪・無罪が判断された事件とは異なる。
3.歌志内市の軽トラックによる殺人未遂事件(9月25日発生・11月4日逮捕)今回、特に注目されているのが北海道歌志内市の事件だ。
2026年9月25日午後3時前、歌志内市中村の公園で、バイクに乗って景色を眺めていた53歳の会社員男性が、軽トラックにはねられる事件が起きた。
STV札幌テレビや北海道放送の報道によると、事件の経緯は次のとおり。
- 男性と容疑者に面識はなかった。
- 軽トラックが男性に向かって急発進した疑いがある。
- 車両が男性に衝突した後、運転していた男がバールで殴りかかったとされる。
- 男性は右肩甲骨を骨折するなど、全治約2か月の重傷を負った。
- 駆け付けた警察官に対してもハンマーで殴りかかった疑いがあり、公務執行妨害容疑で先に逮捕されていた。
その後、滝川警察署は11月4日、殺人未遂容疑で54歳の今野康幸容疑者を再逮捕した。
警察の調べに対して容疑者は、わざと衝突したわけではなく、アクセルとブレーキを踏み間違えた可能性があるとして、殺人未遂容疑を否認している。
また、覚醒剤取締法違反などの疑いでも検挙されており、警察は薬物の影響も視野に当時の状況を調べている。
ただし、薬物の影響が今回の暴行や衝突の原因だったと確定したわけではない。
4.札幌市東区の中学生刺傷事件(10月20日)2026年10月20日午後4時20分ごろ、札幌市東区東苗穂11条3丁目付近の路上で、13歳の男子中学生が胸を刺される事件が発生した。
北海道警察は、殺人未遂の疑いで14歳の男子中学生を逮捕した。
報道によると、事件当時は現場に双方の友人を含む複数の少年少女が集まっていた。被害者と逮捕された少年には直接の面識がなかったという。
被害者は胸部に刺し傷を負い、病院に搬送された。命に別条はなかったものの、全治約3週間のけがと報じられている。
警察は防犯カメラの映像や関係者への事情聴取などから、現場を離れていた少年を特定した。
逮捕された少年は、警察の調べに対して殺害する意思があったことを認める趣旨の供述をしたと報じられている。
事件の動機や、現場に集まっていた少年少女の間で何があったのかについては、警察の捜査が続いている。
この事件で注意したいのは、同じ札幌市東区で発生した8月の夫婦間事件とは、当事者も発生状況も異なることだ。地域名だけで複数の事件を混同しないことが大切だ。
【法律上の違い】殺人事件と殺人未遂事件は何が違う?

北海道の事件報道を理解するうえで欠かせないのが、殺人罪と殺人未遂罪の違いだ。
両者は、単に被害者が死亡したかどうかだけでなく、犯行の目的や実行行為などを踏まえて判断される。
殺人罪は刑法199条で規定刑法199条では、人を殺した者について、死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑を定めている。
一方、刑法203条では、殺人罪の未遂も処罰対象としている。
つまり、殺害しようとする意思を持って実行に着手したものの、結果として被害者が死亡しなかった場合でも、殺人未遂罪が成立する可能性がある。
殺人と殺人未遂の主な違い殺人罪
- 人を殺害する行為が行われる。
- 被害者が死亡する結果が発生している。
- 殺意などの犯罪成立要件が問題となる。
殺人未遂罪
- 殺害する意思を伴う実行行為に着手している。
- 被害者が死亡する結果には至っていない。
- 殺意や実際の行為、犯行時の状況などが判断材料になる。
例えば、札幌市東区の中学生刺傷事件では、胸部を刺した行為と、少年の供述が報道されている。
歌志内市の事件では、車両による衝突に加え、その後の暴行も捜査対象になっている。
このように、事件の内容によって判断材料は異なる。
殺意はどのように判断される?捜査や裁判では、本人の供述だけでなく、次のような事情が総合的に検討される。
- 使用された凶器や道具
- 攻撃した身体の部位
- 攻撃の回数や強さ
- 犯行前後の言動
- 被害者との関係
- 犯行に至るまでの経緯
負傷者がいるからといって、すべてが殺人未遂になるわけではない。
反対に、被害者が一命を取り留めたからといって、殺人未遂の成立が否定されるわけでもない。
被害結果と殺意の有無は、別々に検討する必要がある。
【北海道の未解決事件】過去の重大事件と現在も続く情報提供
北海道には、2026年の事件とは別に、長年にわたって犯人の特定に至っていない重大事件がある。
北海道警察の公式サイトには、殺人事件に関する情報提供を求めるページが設けられており、複数の事件が掲載されている。
特に注目されるのが、タクシー運転手を狙った強盗殺人事件だ。
1999年・札幌市中央区タクシー運転手強盗殺人事件1999年7月26日午後11時30分ごろ、札幌市中央区北4条西17丁目付近で、タクシー運転手がナイフで刺されて死亡し、売上金の入ったバッグが奪われた。
北海道警察が公表している情報によると、犯人については白いTシャツと黒っぽいズボンを着用した男という目撃情報がある。
身長は165〜170センチ、年齢は20〜40歳代と推定されている。
事件から27年が経過した2026年11月5日にも、テレビ朝日系の報道番組がこの事件を取り上げた。犯人につながる手がかりが得られないまま、事件の風化を防ごうとする関係者の活動が続いている。
2000年・札幌市豊平区タクシー運転手強盗殺人事件2000年10月5日未明、札幌市豊平区豊平1条1丁目付近でタクシー運転手が殺害された。
北海道警察の公開情報によると、被害者は当時59歳の男性で、タクシーの運転席で左胸に小型ナイフが刺さった状態で発見された。
車内からは納金バッグと運転日報がなくなっていた。
この事件も、北海道警察の情報提供対象として掲載されている。
2005年・石狩市新港の会社員強盗殺人事件2005年1月13日午前5時52分ごろ、石狩市新港中央の砂利運搬会社の事務所で、当時56歳の男性従業員が殺害されているのが発見された。
事件の前には、石狩市内のスーパーでショベルローダーを使ってATMを襲う窃盗未遂事件が起きていた。
北海道警察によると、使用されたショベルローダーは、被害者が勤務する会社から盗まれたものだった。
強盗殺人事件として捜査本部が設置され、犯人に関する情報提供が現在も呼びかけられている。
2006年・函館市タクシー運転手強盗殺人・死体遺棄事件2006年12月21日、函館市港町で乗り捨てられたタクシーのトランクから、当時42歳の運転手の遺体が発見された。
被害者には刃物で刺された傷があり、車内から売上金などが奪われていた。
北海道警察は、函館西警察署と函館中央警察署による合同捜査本部を設置し、人物や車両などに関する情報を求めている。
事件当日のタクシーの運行経路や、現場周辺で目撃された車両なども情報提供の対象となっている。
これらの事件は、北海道の未解決事件を考えるうえで重要な事例だ。
道警の情報提供ページには、ほかにも2001年の釧路市光陽町の殺人事件や、2003年の鹿追町の女性殺人事件などが掲載されている。
長期間が経過した事件でも、目撃情報や新たな証拠が捜査の進展につながる可能性は残されている。
【北海道警察の捜査状況】逮捕・再逮捕・不起訴をどう読み解く?
事件報道では「逮捕」「再逮捕」「送検」「起訴」「不起訴」といった言葉が頻繁に使われる。
しかし、それぞれの意味は異なる。
逮捕と再逮捕は同じではない逮捕は、犯罪の疑いがある人物について、法律上の要件に基づいて身柄を拘束する手続きだ。
再逮捕は、先に逮捕された事件とは別の被疑事実について、改めて逮捕することを指す。
歌志内市の事件では、公務執行妨害容疑で先に逮捕された後、殺人未遂容疑で再逮捕された。
この経緯は、捜査が進むにつれて事件の全体像や適用される容疑が明らかになっていくことを示している。
不起訴処分は無罪判決ではない札幌市東区の8月の事件では、逮捕・送検後に不起訴処分となった。
不起訴は、検察が刑事裁判を求める公訴を提起しないという処分だ。
したがって、裁判で無罪が確定したという意味ではない。
不起訴には、嫌疑不十分、起訴猶予、その他の事情による処分などがある。今回の事件では、札幌地検が「諸般の事情を考慮」と説明しているが、それ以上の具体的理由は公表されていない。
北海道警察の公式情報を確認する方法北海道警察の公式サイトでは、主に次の情報が公開されている。
- 犯罪統計:認知件数、検挙件数、検挙人員
- 事件・事故情報:逮捕などの発表
- 情報提供のお願い:未解決事件や公開捜査に関する情報
- 北斗の安全:前年の道内の事件・事故の概要
未解決事件については、目撃情報や現場周辺の状況など、警察が具体的に求めている情報を確認できる。
情報提供ページでは、匿名での情報提供も可能とされ、提供者の秘密を厳守する旨が案内されている。
【北海道の殺人事件】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年に北海道で発生した最新の殺人事件は?
2026年11月5日時点で直近に報じられた事件の一つは、歌志内市の殺人未遂事件だ。9月25日に発生した事件について、11月4日に54歳の男が殺人未遂容疑で再逮捕された。なお、これは殺人既遂ではなく殺人未遂事件である。
Q2:札幌市東区ではどのような殺人未遂事件が起きた?
2026年には、8月2日の夫婦間の刺傷事件と、10月20日の中学生刺傷事件が報道されている。前者は10月30日に不起訴処分となり、後者では14歳の少年が殺人未遂容疑で逮捕された。それぞれ別の事件である。
Q3:北海道警察が公表する凶悪犯の件数は殺人事件の件数?
違う。凶悪犯には殺人だけでなく、強盗、放火、不同意性交等も含まれる。殺人事件の実数を知りたい場合は、罪種別の認知件数や検挙件数を確認する必要がある。
2026年11月5日現在、北海道では札幌市厚別区の殺人事件、札幌市東区の複数の殺人未遂事件、歌志内市の殺人未遂事件などが報道されている。
特に歌志内市の事件では、9月の発生から11月4日の再逮捕までに捜査が進展し、薬物の影響を含む詳しい状況の解明が進められている。
一方、北海道警察の犯罪統計では、2026年1〜9月の凶悪犯認知件数が前年同期より増加している。ただし、これは殺人だけを集計した数字ではない。
過去には札幌市内のタクシー運転手強盗殺人事件や、石狩市の会社員強盗殺人事件など、現在も情報提供が求められている重大事件も存在する。
【プロの結論】
北海道の殺人事件を理解するときに重要なのは、次の3つの視点だ。
1. 事件の種類を区別すること: 殺人、殺人未遂、傷害事件を混同しない。
2. 捜査の段階を確認すること: 逮捕、再逮捕、起訴、不起訴はそれぞれ異なる手続きである。
3. 統計の対象を見極めること: 凶悪犯全体の数字を殺人事件の発生件数として扱わない。
事件の発生状況だけでなく、北海道警察の公表資料や検察の処分、信頼できる報道の続報を確認することが、北海道の治安動向を正しく把握するための判断基準になる。
2026年の残りの期間についても、年末の犯罪統計の更新と、現在捜査が続いている事件の進展が注目される。