『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(こち亀)のネットミームとして知られる「全部同じじゃないですか!?」。中川圭一が両津勘吉と本田速人に向かって放ったこの一言は、2017年にTwitter(現X)で「#全部同じじゃないですかクソコラグランプリ」として大きな話題になりました。
元ネタは、秋本治による原作漫画の単行本141巻収録「あこがれライダーの巻」です。週刊少年ジャンプ2004年12号に掲載されたエピソードで、歴代特撮ヒーローのフィギュアを見せられた中川が、その微妙な違いを理解できずに発したセリフがミームの出発点となっています。
2026年現在も、作品の出典や登場人物を知りたい人、当時のコラ画像を探している人にとって、押さえておきたいのは原作の場面と2017年の拡散経緯です。
【元ネタを特定】「全部同じじゃないですか」は141巻の何話?

「全部同じじゃないですか」の出典は、秋本治の漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』です。
具体的には、コミックス141巻の3話目「あこがれライダーの巻」に登場します。
集英社の公式書誌情報でも、141巻の収録作品として「あこがれライダーの巻」が掲載されており、同巻の45ページから始まるエピソードとして目次に記載されています。
原作の掲載情報| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 作品名 | こちら葛飾区亀有公園前派出所 |
| 作者 | 秋本治 |
| 単行本 | 第141巻 |
| 収録タイトル | あこがれライダーの巻 |
| 巻内の順番 | 3話目 |
| 週刊少年ジャンプ | 2004年12号 |
| 掲載データ上の通算話数 | 1348話 |
| 単行本発売日 | 2004年8月4日 |
| 主な登場人物 | 両津勘吉・中川圭一・本田速人 |
掲載データを照合すると、2004年12号は2004年3月8日号に該当します。
単行本は同年8月4日に発売されました。つまり、このセリフが生まれたのは2017年のSNSブームより約13年前です。
どんなストーリーなのか?物語の冒頭では、両津勘吉と本田速人が特撮ヒーロー「御免ライダー」の話題で盛り上がっています。
御免ライダーは作中に登場する架空の特撮ヒーローで、長年シリーズが続いているという設定です。
本田は以前からこのヒーローに親しんでおり、両津もシリーズの熱心なファン。一方、裕福な家庭で育った中川は、その作品をよく知りません。
そこで両津は、中川に御免ライダーの歴代フィギュアを見せることにします。
初代から順番に並べられるフィギュア。しかし、中川にはどれも同じような姿にしか見えません。
両津と本田にとっては、それぞれに明確な違いがあるコレクションです。ところが、その違いを知らない中川にとっては、見た目が似ている人形が並んでいるだけでした。
そして、ついに中川が口にしたのが、あの一言です。
「全部同じじゃないですか!?」
この率直すぎる感想に、両津と本田は反応します。
両津は素人には分からない違いを説明し、本田も熱心に反論。両津の「これだからしろうとはダメだ!もっとよく見ろ!」という趣旨のツッコミも、この場面を象徴する要素になっています。
原作では、細かなシールの位置など、ファンでなければ気づきにくい部分が違いとして描かれています。
つまり、読者自身も中川と同じように「どこが違うの?」と感じる仕掛けになっているのです。
【登場人物を解説】両津・中川・本田の温度差が面白い
このミームの魅力は、セリフだけではありません。
両津勘吉、本田速人、中川圭一という3人のキャラクターの立場と知識の違いが、笑いを生み出しています。
両津勘吉:細部まで語りたがる熱心なマニア両津は自分が好きなジャンルについて、豊富な知識と強いこだわりを持っています。
今回も御免ライダーの歴代フィギュアを並べ、それぞれの違いを説明します。
両津にとっては、同じように見えるフィギュアにも歴史や個性があります。
この場面で面白いのは、両津の説明が本人にとっては非常に真剣なことです。
単なる人形ではなく、シリーズの歴史を象徴するコレクションとして扱っているため、違いが分からない中川の反応に納得できません。
中川圭一:視聴者の気持ちを代弁する人物中川は今回のやり取りにおけるツッコミ役です。
普段は知的で落ち着いた人物ですが、知らないジャンルの専門的な話になると、その知識が通用しません。
両津たちが次々にフィギュアを並べても、違いを理解できない。
そこで飛び出す「全部同じじゃないですか!?」という言葉は、読者の素直な感想そのものです。
中川圭一の名セリフとして定着した理由も、この共感しやすさにあります。
本田速人:マニア側の熱意を補強する存在本田速人も、この場面では両津と同じく御免ライダーに詳しい人物として登場します。
両津だけでなく本田も違いを理解しているため、中川との知識の差がより鮮明になります。
本田の「ちがいますよー!」という反応も、ミームの原作を語る際によく取り上げられる部分です。
両津と本田が同じ側に立ち、中川だけが理解できないという構図が、シンプルながら強い笑いを生み出しています。
【2017年のブーム】クソコラグランプリはどう広まった?
原作が掲載されたのは2004年ですが、ネット上で大きな注目を集めたのは2017年です。
Twitter上では、漫画のコマを素材にした画像を加工し、さまざまなジャンルのネタに置き換える遊びが広がりました。
2017年4月24日:素材とハッシュタグが投稿される2017年4月24日、「時の遊者」名義のアカウントが、コラージュ用素材とともに「#全部同じじゃないですかクソコラグランプリ」というハッシュタグを投稿しました。
この投稿が、後に広がるクソコラグランプリの重要な起点となります。
ただし、素材を使ったコラ画像そのものがこの日に初めて作られたわけではありません。以前から似た形式の投稿は存在していました。
2017年9月3日ごろ:Twitterで一気に拡散4月の投稿後、しばらく大きな動きはありませんでした。
ところが、同年9月3日ごろからハッシュタグ付きの投稿が拡散し、関連するコラ画像が次々に登場します。
ITmedia系列のねとらぼは、2017年9月10日にこのブームを取り上げています。
記事では、似たものを並べて違いを見せる形式の面白さや、両津・本田・中川の表情と掛け合いが紹介されました。
2017年9月14日:水戸芸術館のコラージュ投稿が話題にブームが広がるなか、水戸芸術館の公式Twitterアカウントも、こち亀のコラージュを使った投稿を行いました。
同館のシンボルタワーのライトアップを紹介するため、色の違いを漫画のやり取りに置き換えたものです。
しかし、著作権上の問題が指摘され、同館は集英社と相談したうえで2017年9月14日に投稿を削除し、謝罪しました。
この出来事はJ-CASTニュースやライブドアニュースでも報じられ、ネット上で漫画のコラージュ利用と著作権をめぐる議論が起きました。
ミーム誕生から拡散までの時系列| 時期 | 出来事 | 意味 |
|---|---|---|
| 2004年3月 | 週刊少年ジャンプ12号に掲載 | 原作の誕生 |
| 2004年8月4日 | 単行本141巻発売 | コミックスに収録 |
| 2017年4月24日 | 素材とハッシュタグが投稿 | SNSでの競作のきっかけ |
| 2017年9月3日ごろ | ハッシュタグが拡散 | ブームが本格化 |
| 2017年9月10日 | ねとらぼが紹介 | メディアでも話題に |
| 2017年9月14日 | 水戸芸術館が投稿を削除・謝罪 | 著作権問題も注目される |
| 2026年 | ミームの元ネタを振り返る時期 | 原作とネット文化の関係を再確認 |
このように、漫画の掲載からSNSでのブームまでには約13年の時間差があります。
【なぜ流行った?】こち亀のネットミームが愛される3つの理由
「全部同じじゃないですか」が単なる漫画の名セリフで終わらず、幅広いジャンルのコラ画像に使われたのには理由があります。
1. 誰でも理解できるシンプルな構図このミームの基本構造は非常に分かりやすいものです。
- 詳しい人が複数のものを並べて違いを説明する。
- 詳しくない人には違いが分からない。
- 最後に「全部同じじゃないですか!?」とツッコミが入る。
この流れだけで成立するため、元ネタを知らない人でも面白さを理解できます。
2. どんなジャンルにも応用できる特に優れているのは、元のフィギュアを別のものに置き換えられる点です。
2017年のねとらぼの記事では、ポケモンの通常色と色違い、フォント、似た飲料などを題材にした投稿が紹介されました。
例えば、次のような状況です。
- 外見が似ている複数のキャラクターを並べる。
- 微妙に違う商品やパッケージを並べる。
- 専門家には区別できるが、一般人には分かりにくいものを並べる。
- 似たデザインのロゴやフォントを比較する。
対象を変えるだけで新しいネタが生まれます。
これは、テンプレート型ミームとして非常に優れた特徴です。
3. 中川の表情がオチとして機能するセリフと同じくらい重要なのが、中川の表情です。
最初は興味を持って説明を聞いていた中川が、似たフィギュアを次々に見せられることで困惑していきます。
そして、最後には思わず本音を漏らしてしまう。
この表情の変化があるため、文字だけでは表現できない面白さが生まれています。
加えて、両津と本田の真剣さが加わることで、知識のある側とない側の温度差が際立つのです。
【元画像とコラ画像】よくある誤解と著作権の注意点
ネットで検索すると、さまざまな「全部同じじゃないですか」の画像が見つかります。
ただし、元画像と加工画像は区別する必要があります。
元画像に登場するのは両津のフィギュアではない最初に整理しておきたいのは、元ネタに登場するフィギュアの正体です。
これは両津勘吉のフィギュアを並べている場面ではありません。
作中の架空の特撮ヒーロー「御免ライダー」の歴代フィギュアを紹介している場面です。
両津勘吉のフィギュアや関連グッズを探している人は、今回のミームの元画像とは別のものとして考える必要があります。
元画像とクソコラの違い| 種類 | 内容 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 原作画像 | 141巻「あこがれライダーの巻」の漫画 | 御免ライダーのフィギュアが登場 |
| 元ネタの切り抜き | セリフやコマを抜き出した素材 | 原作の構図が残っている |
| クソコラ画像 | フィギュアや説明対象を別のものに変更 | 元の構図を利用した改変 |
| 派生ミーム | 別作品や商品などを題材にした画像 | 独自の題材に置き換えられている |
原作を読みたい場合は、集英社の公式書誌で紹介されている141巻を確認するのが確実です。
クソコラなら自由に使えるのか?2017年の水戸芸術館の事例は、漫画のコラージュと著作権の関係を考えるうえで参考になります。
個人のSNS投稿と、公共施設や企業の公式アカウントによる情報発信では、利用の目的や状況が異なります。
水戸芸術館は集英社に相談したうえで投稿を削除しました。
この一件だけで、すべてのパロディ画像が違法になるとも、反対に自由に使用できるとも判断できません。
特に企業や団体が宣伝目的で漫画の画像を利用する場合は、権利関係を慎重に確認する必要があります。
【プロの結論】「全部同じじゃないですか」が長く愛される本当の理由
このミームの面白さは、単純に似たものを並べて笑わせることだけではありません。
本質にあるのは、好きな人にとっては大きな違いでも、興味のない人には同じに見えるという価値観のズレです。
両津と本田は御免ライダーの歴史や細かな違いを知っています。だからこそ、フィギュアの一つひとつに意味があります。
一方、中川はその知識を持っていません。
中川の発言は決して間違いではなく、彼の立場から見れば非常に自然な感想です。
この構造は、特撮やフィギュアに限らず、ゲーム、アニメ、音楽、ファッション、乗り物、家電など、さまざまな趣味の世界に当てはまります。
例えば、長年同じ趣味を続けている人なら、色や形、年代による微妙な違いに価値を見いだすことがあります。しかし、初めて見る人にとっては、どれも似たようなものに感じられる可能性があります。
だからこそ、このセリフは特定の作品やジャンルを知らない人にも伝わります。
2026年に元ネタを振り返っても、2017年のブームが広がった理由は明快です。
原作の時点で、誰が見ても分かる構図と表情、そして使い回しやすいセリフが完成していました。ネットユーザーは、その完成された笑いの構造に新しい題材を当てはめていったのです。
単なる一発ネタではなく、原作の完成度がネット文化の中で再発見された好例といえます。
【こち亀の「全部同じじゃないですか」に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:全部同じじゃないですかの元ネタは何巻何話ですか?
141巻収録の「あこがれライダーの巻」です。週刊少年ジャンプ2004年12号掲載で、巻内では3話目に当たります。
Q2:全部同じじゃないですかと言ったのは誰ですか?
中川圭一です。両津勘吉と本田速人が見せた御免ライダーの歴代フィギュアを見て、違いが分からずに発したセリフです。
Q3:全部同じじゃないですかクソコラグランプリはいつ流行りましたか?
2017年秋ごろです。4月24日に関連素材とハッシュタグが投稿され、9月初旬からTwitterで広く拡散しました。
Q4:元画像に登場するフィギュアは何ですか?
作中に登場する架空の特撮ヒーロー「御免ライダー」の歴代フィギュアです。両津勘吉本人のフィギュアではありません。
Q5:全部同じじゃないですかのセリフにはどんな意味がありますか?
詳しい人には明確な違いがあるものでも、知識のない人には区別がつかないという意味です。趣味や専門分野における知識の差を、コミカルに表現しています。
Q6:本田速人も元ネタの場面に登場しますか?
登場します。両津とともに御免ライダーに詳しい人物として、中川にフィギュアの違いを説明する側に立っています。
「全部同じじゃないですか!?」の元ネタは、秋本治の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』141巻「あこがれライダーの巻」です。
2004年の週刊少年ジャンプ掲載から約13年後の2017年、Twitterでクソコラグランプリとして広まり、さまざまなジャンルに応用されました。
このミームを楽しむために押さえておきたい要点は3つです。
- 原作の出典: こち亀141巻「あこがれライダーの巻」。
- セリフを言った人物: 中川圭一。
- 流行した時期: 2017年9月ごろ。
両津と本田のマニアックな熱意、中川の率直な反応、そして誰にでも理解できるシンプルな構図。この3つが組み合わさったからこそ、長く語り継がれるネットミームになりました。
原作を知らずにコラ画像だけ楽しんでいた人も、141巻を読めば、あの表情とセリフが生まれた背景をより深く楽しめるはずです。
主な参照資料
- 集英社『こちら葛飾区亀有公園前派出所 141』公式書誌・収録目次。
- ねとらぼ「よく見ても分からない! こち亀『全部同じじゃないですかクソコラグランプリ』が全部同じじゃないですか」(2017年9月10日)。
- ジャンプ掲載データ「ジャジャン研」2004年12号の掲載情報。
- J-CASTニュース「『こち亀コラ、あかんのか...』 『芸術館』の削除・謝罪うけ議論勃発」(2017年9月15日)。
- タネタン「全部同じじゃないですかの元ネタ」。