長澤まさみさんの日本アカデミー賞受賞歴を整理すると、新人俳優賞を含め、9回の受賞・選出実績があります。そのうち、最優秀賞を獲得したのは3回です。
最優秀賞の内訳は、最優秀助演女優賞が2回、最優秀主演女優賞が1回。若手時代に助演で評価を確立し、キャリアを重ねて主演作品でも頂点に立った歩みが特徴です。
所属事務所の東宝芸能が公開している表彰記録と日本アカデミー賞公式サイトを照合すると、特に押さえておきたいのは第28回、第43回、第44回の3つの授賞式です。
なお、第28回の新人俳優賞と混同されることがありますが、新人俳優賞を受賞したのは第27回です。第28回では『世界の中心で、愛をさけぶ』による最優秀助演女優賞を獲得しています。
最優秀賞の受賞回数と内訳3回

最優秀賞
助演2回・主演1回5回
優秀賞
主演4回・助演1回1回
新人俳優賞
『ロボコン』で受賞
この数字からも、長澤さんが一度だけ話題作で評価された俳優ではなく、20年以上にわたって異なる役柄で評価を積み重ねてきたことが分かります。
出典:東宝芸能の公式プロフィール、日本アカデミー賞の受賞結果一覧。
【受賞年一覧】新人俳優賞から2026年のドールハウスまで
ここでは、長澤まさみさんの日本アカデミー賞受賞歴を、授賞式の開催年と作品名で時系列に整理します。
注意したいのは、映画の公開年と授賞式の開催年が異なることです。例えば『キングダム』は2019年公開ですが、最優秀助演女優賞を獲得したのは2020年開催の第43回です。
長澤まさみの日本アカデミー賞受賞作品一覧出典:東宝芸能公式プロフィール、日本アカデミー賞公式の第28回・第35回・第39回・第41回・第43回・第44回・第49回受賞記録。授賞式の年を基準に掲載。
2004年:『ロボコン』で新人俳優賞を獲得
『ロボコン』
2003年公開・第27回日本アカデミー賞
長澤さんが初主演を務めた映画。新人俳優賞を受賞し、映画俳優としての実力を評価された初期の重要作。
長澤さんは2000年、第5回東宝シンデレラオーディションでグランプリを獲得しました。その後、映画『クロスファイア』などに出演し、2003年公開の『ロボコン』で映画初主演を経験します。
この作品で獲得したのが、2004年の第27回日本アカデミー賞新人俳優賞です。翌年の最優秀助演女優賞へとつながる、受賞歴の出発点になりました。
2005年:『世界の中心で、愛をさけぶ』で最優秀助演女優賞
『世界の中心で、愛をさけぶ』
2004年公開・第28回日本アカデミー賞
ヒロイン・廣瀬亜紀役を演じ、最優秀助演女優賞と話題賞の俳優部門を受賞。
長澤さんの名前を全国的に広めた代表作が、行定勲監督の『世界の中心で、愛をさけぶ』です。
演じたのは、主人公・朔太郎が高校時代に愛した少女、廣瀬亜紀。明るく健康的で、周囲から憧れられる存在でありながら、白血病によって人生が大きく変わっていく難しい役柄でした。
日本アカデミー賞公式の受賞者紹介では、役作りのために自ら髪を剃ったことにも触れられています。外見の変化だけでなく、病と向き合う少女の生きる力を表現した演技が高く評価されました。
第28回の授賞式は2005年2月18日。長澤さんはこのとき17歳でした。新人俳優賞を受賞した翌年に、今度は最優秀助演女優賞を獲得したことは、当時のキャリアにおける大きな転換点です。
この作品について特に重要なのは、最優秀助演女優賞だけでなく、話題賞の俳優部門も受賞していることです。映画ファンからの注目という側面でも、強い存在感を示しました。
2007年・2012年:主演女優としても評価を獲得
『涙そうそう』
2006年公開・第30回日本アカデミー賞
優秀主演女優賞を受賞。主演俳優としての評価を得た作品。
『世界の中心で、愛をさけぶ』で助演女優として最優秀賞を受けた長澤さんは、その後、主演作品でも評価されるようになります。
2006年公開の『涙そうそう』では、兄妹の絆を描く物語の中でヒロインを演じ、2007年の第30回日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を受賞しました。
続く2011年公開の『モテキ』では、これまでの清楚なイメージとは異なる女性を演じ、2012年の第35回で再び優秀主演女優賞を獲得しています。
『モテキ』
2011年公開・第35回日本アカデミー賞
主人公を翻弄する魅力的な女性を演じ、従来のイメージを広げた作品。
この2作品は、長澤さんの演技の幅を理解するうえでも重要です。純粋さや繊細さを表現する役から、観客を惹きつける大胆なキャラクターまで、異なる人物像を演じ分けてきました。
2016年・2018年:『海街diary』『散歩する侵略者』
『海街diary』
2015年公開・第39回日本アカデミー賞
四姉妹の二女・香田佳乃役で優秀助演女優賞を受賞。
是枝裕和監督の『海街diary』では、綾瀬はるかさん、夏帆さん、広瀬すずさんと四姉妹を演じました。長澤さんの役は、酒好きで自由奔放な二女・佳乃です。
2016年の第39回では優秀助演女優賞を受賞。作品全体の中で、個性の異なる四姉妹の関係性を自然に表現した点も見どころです。
『散歩する侵略者』
2017年公開・第41回日本アカデミー賞
主人公・加瀬鳴海役で3度目の優秀主演女優賞を受賞。
続く『散歩する侵略者』では、夫の異変に戸惑いながらも夫婦関係を守ろうとする加瀬鳴海を演じました。
第41回日本アカデミー賞では、3度目となる優秀主演女優賞を受賞しています。日常的な夫婦の感情と、非日常的なSF設定が交錯する作品で、長澤さんの表現力が発揮されました。
この時期の受賞を並べると、主演・助演の双方で評価されていることが分かります。単純に出演時間が長い役だけでなく、作品の中で担う役割に応じて異なる評価を得てきました。
【最優秀賞を解説】キングダムの楊端和とMOTHER マザーの評価
長澤まさみさんの日本アカデミー賞受賞歴で、とりわけ注目されるのが第43回と第44回です。2020年には助演女優賞、2021年には主演女優賞で最優秀賞を獲得し、2年連続で最優秀賞に輝きました。
第43回・2020年:『キングダム』で最優秀助演女優賞2019年4月に公開された実写映画『キングダム』で長澤さんが演じたのは、山の民を率いる王・楊端和(ようたんわ)です。
原作は原泰久さんによる人気漫画。紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、大将軍を目指す信と、中華統一を目指す秦王・嬴政の物語が展開します。
長澤さんの楊端和は、圧倒的なカリスマ性と美しさ、そして戦場での強さを兼ね備えた人物です。単に主人公を助ける脇役ではなく、独自の勢力と信念を持つ重要なキャラクターとして描かれています。
日本アカデミー賞公式の受賞者紹介では、長い手足を生かした二刀流のアクションや、山の民を率いる王としての説得力が評価されています。
2020年3月6日に開催された第43回の授賞式で、長澤さんは最優秀助演女優賞を受賞しました。17歳で初めて同賞を獲得してから、約15年後に再び最優秀助演女優賞を手にしたことになります。
授賞式で長澤さんは、17歳の頃に受賞した当時は賞の意味を十分に理解できていなかったものの、年齢を重ねて仕事の魅力を感じるようになったという趣旨のコメントを残しています。
若手時代の受賞と、経験を重ねた後の再受賞。その間に積み重ねたキャリアを象徴する結果でした。
第44回・2021年:『MOTHER マザー』で最優秀主演女優賞長澤さんが初めて最優秀主演女優賞を獲得したのが、2020年公開の映画『MOTHER マザー』です。
演じたのは、息子を支配し、自分の思いどおりに動かそうとする母親・三隅秋子。社会から孤立し、生活の困窮や人間関係の問題を抱えながら、息子との歪んだ関係を深めていく人物です。
本作は、実際に起きた少年による祖父母殺害事件から着想を得て、大森立嗣監督が映画化した作品です。息子役を演じたのは奥平大兼さん。長澤さんと奥平さんが作り上げた親子関係の描写が、作品の大きな軸になっています。
この役柄は、長澤さん自身の明るく華やかなイメージとは大きく異なります。観客に好感を持たれる人物ではなく、複雑な感情を抱かせる人物を正面から演じたことが、演技の幅を示す結果につながりました。
第44回の授賞式は2021年3月19日に開催。長澤さんは『MOTHER マザー』と『コンフィデンスマンJP プリンセス編』の2作品で優秀主演女優賞に選ばれ、そのうち『MOTHER マザー』で最優秀主演女優賞を受賞しました。
日本アカデミー賞公式の受賞者紹介では、秋子の転落していく姿や、ラストシーンで見せる表情の変化が高く評価されています。
この受賞によって、長澤さんは助演だけでなく主演のカテゴリーでも日本アカデミー賞の最優秀賞を獲得したことになります。
『キングダム』と『MOTHER マザー』の評価は何が違う?| 比較項目 | キングダム | MOTHER マザー |
|---|---|---|
| 授賞式 | 第43回・2020年 | 第44回・2021年 |
| 受賞部門 | 最優秀助演女優賞 | 最優秀主演女優賞 |
| 役名 | 楊端和 | 三隅秋子 |
| 役柄 | 山の民を率いる王 | 息子に執着する母親 |
| 演技の特徴 | 威厳、カリスマ性、アクション | 心理描写、依存、感情の崩壊 |
2作品に共通しているのは、長澤さんが従来のイメージだけに頼らず、人物の内面と向き合って演技していることです。
一方で、演技の方向性は対照的です。『キングダム』では身体表現と存在感が重要になり、『MOTHER マザー』では人物の心理的な複雑さや不安定さを表現する力が問われました。
この2年連続の最優秀賞は、長澤さんの演技が特定のジャンルに限定されないことを示す、重要なキャリア上の実績です。
【2026年最新結果】ドールハウスで優秀主演女優賞を受賞
2026年の最新受賞結果として押さえておきたいのが、映画『ドールハウス』による第49回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞です。
所属事務所の東宝芸能は、2026年1月19日に長澤さんの同賞受賞を発表しました。対象作品は2025年6月13日公開の『ドールハウス』です。
『ドールハウス』で演じた鈴木佳恵とは?『ドールハウス』は、矢口史靖監督と長澤さんがタッグを組んだホラー映画です。
長澤さんが演じたのは、鈴木佳恵。5歳の長女を事故で亡くし、その悲しみを抱える中で、娘によく似た日本人形を大切にするようになる主婦です。
やがて次女が誕生し、人形を以前ほど構わなくなった頃から、家の中で不可解な現象が起こり始めます。
明るかった佳恵が徐々に笑顔を失い、悲しみや不安、恐怖によって追い詰められていく過程が、作品の大きな見どころです。
日本アカデミー賞公式の受賞者紹介でも、感情が大きく揺れ動く佳恵を、振り切った演技で表現した点が評価されています。
第49回の最優秀主演女優賞は誰が受賞した?ここは誤解しやすいポイントです。
長澤まさみさんが受賞したのは優秀主演女優賞であり、第49回の最優秀主演女優賞ではありません。
2026年3月13日に開催された第49回の授賞式では、最優秀主演女優賞は『TOKYOタクシー』の倍賞千恵子さんが受賞しました。
同部門では、長澤さんの『ドールハウス』のほか、北川景子さんの『ナイトフラワー』、広瀬すずさんの『遠い山なみの光』、松たか子さんの『ファーストキス 1ST KISS』などが優秀賞に選ばれています。
つまり、2026年も長澤さんは主演女優として高い評価を得たものの、最優秀賞は別の俳優が獲得したというのが正確な結果です。
第49回の公式授賞式レポートと東宝芸能の報告でも、この受賞区分が確認できます。
2026年の受賞で注目したいこと『ドールハウス』の受賞で興味深いのは、長澤さんが再び主演女優として新しいジャンルに挑戦している点です。
『MOTHER マザー』では人間関係の歪みや心理的な緊張を中心に描きましたが、『ドールハウス』ではホラーという非日常的な状況の中で、母親の悲しみや恐怖を表現しました。
同じ主演女優賞でも、作品によって求められる表現は異なります。2026年の優秀主演女優賞は、長澤さんの演技の幅が今も広がり続けていることを示す実績です。
【受賞歴から読み解く】長澤まさみが長年評価される理由
長澤さんの受賞歴を作品単位で追うと、単なる人気や知名度だけでは説明できない、キャリア上の特徴が見えてきます。
1. 主演と助演を行き来できる演技力長澤さんは、主演女優賞と助演女優賞の両方で最優秀賞を獲得しています。
助演では『世界の中心で、愛をさけぶ』や『キングダム』のように、物語の中で強烈な印象を残す人物を演じています。一方、主演では『MOTHER マザー』のように、物語の中心人物として観客の視線を引き受ける役柄を担当しました。
主演と助演の双方で受賞していることは、出演作品のジャンルや役の立ち位置が変わっても、作品の中で必要とされる存在感を発揮していることを示しています。
2. 清楚なイメージにとどまらない役柄の選択初期の代表作である『世界の中心で、愛をさけぶ』では、純粋で透明感のある少女を演じました。
その後、『モテキ』では大人の女性の魅力を表現し、『キングダム』では強い意志と威厳を持つ王を演じています。
さらに『MOTHER マザー』では、観客が簡単には共感できない複雑な母親像に挑戦しました。
役柄の幅を広げることは、俳優としてのイメージを固定化させないための重要な選択です。長澤さんの受賞歴には、こうした変化が反映されています。
3. 映画以外の活動も演技の幅につながっている長澤さんは映画だけでなく、テレビドラマや舞台でも活動しています。
2022年にはテレビドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』で主演を務め、第60回ギャラクシー賞テレビ部門個人賞や第31回橋田賞などを受賞しました。また、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では語りを担当しています。
舞台でもNODA・MAPの『THE BEE』などに出演し、2022年には読売演劇大賞優秀女優賞を受賞しました。
映画、ドラマ、舞台という異なる表現の場を経験してきたことも、役柄への対応力を考えるうえで注目したい点です。
4. 受賞歴を正しく理解するための判断基準長澤まさみさんの受賞歴を調べる際には、次の3点を区別すると情報を整理しやすくなります。
- 最優秀賞か優秀賞か: 最優秀賞は部門の最終的な受賞者。優秀賞はその部門で選ばれた受賞者に贈られる賞です。
- 主演か助演か: 作品の中心となる役柄か、物語を支える役柄かによって部門が分かれます。
- 授賞式年か公開年か: 映画の公開年と受賞した年は同じとは限りません。
また、新人俳優賞や話題賞には、最優秀賞という区分がありません。したがって、新人俳優賞を最優秀新人俳優賞と書くのも正確ではありません。
この違いを理解しておけば、2026年の『ドールハウス』のような優秀賞と、過去の最優秀賞を混同せずに済みます。
【よくある質問】長澤まさみの日本アカデミー賞に関するFAQ
Q1:長澤まさみは日本アカデミー賞で何回最優秀賞を受賞していますか?
A1:最優秀賞は合計3回です。第28回『世界の中心で、愛をさけぶ』と第43回『キングダム』で最優秀助演女優賞、第44回『MOTHER マザー』で最優秀主演女優賞を受賞しています。
Q2:長澤まさみが新人俳優賞を受賞した作品は何ですか?
A2:2003年公開の映画『ロボコン』です。2004年開催の第27回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞しました。
Q3:『世界の中心で、愛をさけぶ』では何賞を受賞しましたか?
A3:第28回日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞と話題賞の俳優部門を受賞しました。ヒロインの廣瀬亜紀役で、長澤さんの代表作の一つです。
Q4:『キングダム』で長澤まさみが演じた役は誰ですか?
A4:山の民を率いる王・楊端和です。第43回日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞を受賞しました。
Q5:長澤まさみは『MOTHER マザー』で主演女優賞を受賞しましたか?
A5:はい。第44回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞しました。息子に執着する母親・三隅秋子を演じた作品です。
Q6:2026年の『ドールハウス』では最優秀主演女優賞を受賞しましたか?
A6:いいえ。第49回日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を受賞しました。最優秀主演女優賞は『TOKYOタクシー』の倍賞千恵子さんです。
Q7:長澤まさみは主演女優賞と助演女優賞の両方を受賞していますか?
A7:はい。最優秀主演女優賞と最優秀助演女優賞の両方を受賞しています。主演・助演の双方で最優秀賞を獲得していることが、長澤さんの受賞歴の大きな特徴です。
長澤まさみさんの日本アカデミー賞受賞歴を振り返ると、2004年の『ロボコン』で新人俳優賞を受賞して以来、20年以上にわたって映画界で評価を積み重ねてきたことが分かります。
特に重要なのは、次の3作品です。
- 『世界の中心で、愛をさけぶ』:第28回・最優秀助演女優賞
- 『キングダム』:第43回・最優秀助演女優賞
- 『MOTHER マザー』:第44回・最優秀主演女優賞
そして2026年には『ドールハウス』で第49回優秀主演女優賞を受賞しました。最優秀賞ではありませんが、主演女優として新たな評価を獲得したことに変わりはありません。
長澤さんの受賞歴を理解するうえで大切なのは、単純な受賞回数だけでなく、どの作品で、どのような役柄を演じ、どの部門で評価されたかを見ることです。
17歳での最優秀助演女優賞から、主演女優としての最優秀賞、そして2026年のホラー映画での優秀主演女優賞へ。作品ごとに異なる顔を見せながら評価を重ねてきた歩みは、長澤まさみという俳優の大きな魅力です。
今後も映画や舞台でどのような役柄に挑み、新しい評価を獲得していくのか。次の出演作と受賞動向にも注目が集まります。