映画『ラストエンペラー』のキャストは、ジョン・ローン、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥールを中心に、坂本龍一やマギー・ハンなど国際色豊かな俳優陣で構成されています。なかでも注目したいのが、主人公・溥儀を演じた4人の俳優です。成人期をジョン・ローンが担当し、3歳、8歳、15歳の幼少期から少年期を3人の子役が演じ分けています。
本作はベルナルド・ベルトルッチ監督による1987年製作の歴史大作です。日本では1988年1月23日に初公開されました。2026年現在も映画史に残る作品として知られ、第60回アカデミー賞では9部門を受賞しています。この記事では、主要出演者の役名、溥儀の子役3人、坂本龍一の甘粕正彦役、川島芳子を演じたマギー・ハン、脇を固める俳優まで整理します。
【まず結論】映画『ラストエンペラー』の主要キャストと役名一覧

『ラストエンペラー』の中心人物は、清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀です。幼少期から成人後までの人生を複数の俳優で描き、その周囲に皇后、家庭教師、日本軍関係者、宮廷関係者などが配置されています。
映画.comやThe Criterion Collectionの作品情報に掲載されたキャストをもとに、主要な出演者と役名をまとめました。
- ジョン・ローン:愛新覚羅溥儀(成人期)
- ジョアン・チェン:婉容(溥儀の皇后)
- ピーター・オトゥール:レジナルド・ジョンストン(英国人家庭教師)
- 坂本龍一:甘粕正彦(甘粕大尉)
- マギー・ハン:イースタン・ジュエル(川島芳子)
- リサ・ルー:西太后
- ウー・ジュンメイ:文繡
- イン・ルオチェン:戦犯収容所の所長
- ヴィクター・ウォン:陳宝琛
- デニス・ダン:大李(溥儀の召使)
- リック・ヤング:尋問官
- ケリー・ヒロユキ・タガワ:張謙和
この配役の特徴は、単に有名俳優を集めたのではなく、溥儀の人生の各段階と、彼を取り巻く政治的・個人的な人間関係を俳優陣によって立体化している点です。
【溥儀を演じた4人】ジョン・ローンと3人の子役を詳しく紹介
『ラストエンペラー』のキャストで特に検索されるのが、主人公・溥儀を誰が演じたのかという疑問です。
実は、溥儀役はジョン・ローン1人ではありません。3歳、8歳、15歳、そして成人期という4つの年代を、それぞれ異なる俳優が担当しています。
ジョン・ローン:成人した溥儀ジョン・ローン(John Lone)は、成人した愛新覚羅溥儀を演じています。
香港出身の俳優で、映画では皇帝としての地位を失い、政治的な激動に翻弄されながら生きる溥儀の複雑な内面を表現しました。
皇帝という特別な立場に生まれながら、自分の人生を自由に決められない人物。その矛盾を抱えた成人期の溥儀を演じることが、物語全体の軸になっています。
ジョン・ローンは『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』などにも出演しており、本作で国際的な知名度をさらに高めました。
リチャード・ヴゥ:溥儀の3歳時代リチャード・ヴゥ(Richard Vuu)は、3歳の溥儀を演じています。
映画の冒頭につながる幼少期の溥儀は、わずか3歳で皇帝として迎えられ、紫禁城という特別な環境で育てられます。
幼い子どもが皇帝という絶対的な存在として扱われる一方、外の世界を知らずに成長していく姿は、本作の重要なテーマの一つです。
タイジャ・ツゥウ:溥儀の8歳時代タイジャ・ツゥウ(Tijger Tsou)は、8歳の溥儀を演じています。
皇帝としての待遇を当然のものとして受け入れながら、周囲の大人たちとの関係や自分の置かれた環境に疑問を持ち始める年代です。
3歳時代の無邪気な幼児期から、少年としての自我が芽生える時期への変化を担っています。
ワン・タオ:溥儀の15歳時代ワン・タオ(Wu Tao)は、15歳の溥儀を演じています。
この時期の溥儀は、幼い頃のように宮廷の価値観だけで生きるのではなく、西洋文化や新しい社会の考え方に関心を持つようになります。
英国人家庭教師ジョンストンとの交流も、溥儀の世界観を変える重要な要素です。15歳の溥儀は、皇帝という立場と、一人の青年としての自由への憧れの間で揺れ動きます。
なお、日本語の作品データベースでは「ワン・タオ」、英語圏のキャスト資料では「Wu Tao」と表記されています。表記の違いによって別の俳優と誤認しないよう注意が必要です。
以上の4人が溥儀を演じた俳優です。3人の子役と成人役のジョン・ローンによって、幼少期から晩年につながる長い人生が描かれています。
【皇后・家庭教師・側近】ジョアン・チェンとピーター・オトゥールらの役どころ
溥儀の人生を理解するうえで欠かせないのが、皇后や家庭教師、宮廷関係者を演じた俳優たちです。
ジョアン・チェン:皇后・婉容ジョアン・チェン(Joan Chen)が演じるのは、溥儀の皇后・婉容です。
婉容は清朝最後の皇后として知られる実在の人物で、映画では溥儀の妻として、宮廷の変化や時代の政治的な動きに巻き込まれていく姿が描かれます。
ジョアン・チェンは上海出身の俳優です。中国映画界でキャリアを積んだ後、国際的な作品にも出演するようになりました。
本作では、華やかな皇后という表面的な立場と、自由を奪われた女性としての苦悩の両面を担っています。
ピーター・オトゥール:レジナルド・ジョンストンピーター・オトゥール(Peter O'Toole)が演じるのは、レジナルド・ジョンストンです。
ジョンストンは溥儀に英語や西洋文化を教える英国人家庭教師です。皇帝として育てられた溥儀にとって、紫禁城の外にある世界を知るきっかけを与える人物でもあります。
溥儀の人生において、ジョンストンは単なる教育係ではありません。宮廷のしきたりとは異なる価値観を伝える存在であり、溥儀が自分の生き方を考えるうえで重要な役割を果たします。
ピーター・オトゥールは『アラビアのロレンス』で広く知られる名優です。壮大な歴史映画の中で、知性と落ち着きを備えたジョンストンを演じています。
マギー・ハン:イースタン・ジュエル(川島芳子)マギー・ハン(Maggie Han)が演じるのは、イースタン・ジュエルです。
日本では川島芳子の名で知られる人物に対応する役柄で、満州をめぐる政治的な動きや溥儀の周辺に関わる存在として描かれます。
川島芳子は清朝の王族と関係する出自を持ち、近代東アジアの歴史において複雑な立場に置かれた実在の人物です。映画では、彼女をイメージさせるイースタン・ジュエルという名前で登場します。
リサ・ルー:西太后リサ・ルー(Lisa Lu)は、西太后を演じています。
清朝末期の政治に大きな影響を与えた人物であり、幼い溥儀が皇帝になる物語の重要な局面に登場します。
幼い溥儀の即位をめぐる宮廷の権力関係を理解するうえで、西太后の存在は欠かせません。
ウー・ジュンメイ:文繡ウー・ジュンメイ(Wu Jun Mei)は、文繡を演じています。
文繡は溥儀の側室で、婉容とは異なる立場から宮廷生活を経験する女性です。溥儀を取り巻く夫婦関係や宮廷の内情を描くうえで重要な役柄となっています。
婉容と文繡という2人の女性の存在は、皇帝という立場にありながら自由な家庭生活を送れない溥儀の複雑な境遇を浮き彫りにします。
【坂本龍一と日本人出演者】甘粕正彦・吉岡・菱刈隆を演じた俳優
日本の観客にとって見逃せないのが、坂本龍一をはじめとする日本人出演者です。
本作は中国の歴史を中心に描いていますが、日本が満州で果たした役割も物語に組み込まれています。そのため、日本人俳優や音楽家が重要な役柄を担っています。
坂本龍一:甘粕正彦坂本龍一が演じたのは、甘粕正彦です。
甘粕正彦は日本の憲兵大尉として知られ、満州国成立後には満州映画協会の理事長を務めた人物です。映画では甘粕大尉として登場し、満州をめぐる政治的な動きの中で溥儀と関わります。
坂本龍一は音楽家として世界的な評価を得ていましたが、本作では俳優としても出演しています。日本の音楽界を代表する人物が、東アジアの近代史を扱う大作で歴史上の人物を演じたことは、本作の大きな特徴です。
加えて、坂本龍一はデヴィッド・バーン、コン・スーとともに本作の音楽を担当しました。第60回アカデミー賞では3人が共同で作曲賞を受賞しています。
つまり坂本龍一は、単なる出演者ではありません。俳優と音楽家という二つの立場から映画に関わった重要な存在です。
日本人キャストと役名- 坂本龍一:甘粕正彦(甘粕大尉)
- 高松英郎:菱刈隆(劇中クレジットではGeneral Hishikari)
- 立花ハジメ:日本人通訳
- 池田史比古:吉岡
- 生田朗:日本人医師
日本人キャストの中でも、坂本龍一の存在感は際立っています。歴史上の人物を演じるだけでなく、映画全体の音楽にも参加したことで、作品の印象を決定づける役割を担いました。
【ラストエンペラーのキャスト相関図】登場人物と俳優の関係を一覧で整理
出演者が多い本作では、俳優名と役名だけを覚えても人物関係が分かりにくいことがあります。
そこで、溥儀を中心に、家族・宮廷関係者・教育者・政治的関係者という観点からキャストのつながりを整理します。
| 登場人物・役名 | 出演者 | 溥儀との関係・役割 |
|---|---|---|
| 溥儀(成人) | ジョン・ローン | 清朝最後の皇帝・物語の主人公 |
| 溥儀(3歳) | リチャード・ヴゥ | 幼少期の溥儀 |
| 溥儀(8歳) | タイジャ・ツゥウ | 少年期の溥儀 |
| 溥儀(15歳) | ワン・タオ | 青年期に向かう溥儀 |
| 婉容 | ジョアン・チェン | 溥儀の皇后 |
| 文繡 | ウー・ジュンメイ | 溥儀の側室 |
| 西太后 | リサ・ルー | 清朝宮廷の重要人物 |
| ジョンストン | ピーター・オトゥール | 溥儀の英国人家庭教師 |
| 陳宝琛 | ヴィクター・ウォン | 溥儀の教育に関わる人物 |
| 大李 | デニス・ダン | 溥儀に仕える召使 |
| イースタン・ジュエル | マギー・ハン | 川島芳子に対応する人物 |
| 甘粕正彦 | 坂本龍一 | 満州をめぐる日本側の政治関係者 |
| 戦犯収容所の所長 | イン・ルオチェン | 収容所での溥儀に関わる人物 |
| 尋問官 | リック・ヤング | 収容所で溥儀を尋問する人物 |
この関係を押さえると、映画の構造が理解しやすくなります。
溥儀の人生は、皇帝としての幼少期、宮廷での青年期、満州国皇帝としての時代、そして戦後の収容生活へと変化します。その各段階で、婉容やジョンストン、甘粕正彦など、異なる立場の人物が関わっていきます。
また、映画の後半に登場する戦犯収容所の所長や尋問官は、皇帝だった溥儀が過去とは異なる立場で生きることになった状況を象徴する人物です。
【1987年製作の歴史大作】ベルトルッチ監督と国際色豊かなキャストの制作背景
『ラストエンペラー』は、イタリア、イギリス、中国などが関わった国際共同製作映画です。監督はイタリアの映画監督ベルナルド・ベルトルッチ。脚本はベルトルッチとマーク・ペプローらが担当しました。
映画の原作となったのは、溥儀の自伝『わが半生』です。清朝最後の皇帝として生まれた溥儀が、皇帝の座を失い、満州国皇帝となり、戦後に収容所での生活を経験するまでを描いています。
国際キャストが集められた理由映画史を扱うTCMの制作解説によると、本作のキャスティングには大きな課題がありました。中国を舞台とする物語でありながら、作品の会話は英語を中心に構成されていたためです。
その結果、アジア系の俳優を中心に、国際的に活動する俳優たちが主要な役を担う編成となりました。ピーター・オトゥールは英国人家庭教師という役柄で、国際的なキャストの中でも重要な位置を占めています。
紫禁城での撮影と大規模な制作本作を語るうえで欠かせないのが、実際の紫禁城で撮影されたことです。TCMの制作記録では、中国での撮影は16週間に及び、約1万9000人のエキストラと約9000着の衣装が使用されたと紹介されています。
紫禁城の壮大な建築物や宮廷の装飾、人物の衣装などは、作品の世界観を形作る重要な要素です。単なる歴史上の人物の伝記ではなく、当時の宮廷社会を視覚的に再現することにも力が注がれています。
1987年製作と1988年日本初公開の違い作品の公開年についても整理しておきましょう。
- 1987年:映画の製作年・海外での公開年
- 1988年1月23日:日本での初公開
- 1988年:第60回アカデミー賞で9部門受賞
- 2023年:日本で4Kリマスター版関連の再上映・映像ソフト展開
- 2024年:日本で4Kリマスター版が劇場公開
なお、上映時間にも違いがあります。一般的な劇場公開版は約163分ですが、オリジナル全長版は218分です。視聴するバージョンによって上映時間が異なるため、作品情報を確認するときは注意してください。
アカデミー賞9部門受賞の意味『ラストエンペラー』は、第60回アカデミー賞で9部門にノミネートされ、ノミネートされたすべての部門で受賞しました。
受賞したのは作品賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞、音響賞です。
坂本龍一がデヴィッド・バーン、コン・スーとともに受賞した作曲賞も、この9部門の一つです。映画の映像美だけでなく、音楽や美術、衣装などの総合的な完成度が高く評価された作品でした。
【ラストエンペラーのキャスト】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:映画『ラストエンペラー』で溥儀を演じた俳優は誰ですか?
A1:成人した溥儀はジョン・ローンが演じています。幼少期から少年期はリチャード・ヴゥ、タイジャ・ツゥウ、ワン・タオの3人が担当し、合計4人の俳優が溥儀を演じています。
Q2:ラストエンペラーで溥儀の3歳、8歳、15歳を演じた子役は誰ですか?
A2:3歳はリチャード・ヴゥ、8歳はタイジャ・ツゥウ、15歳はワン・タオです。成人期を演じるジョン・ローンと合わせて4人の配役となっています。
Q3:坂本龍一はラストエンペラーで何の役を演じていますか?
A3:坂本龍一は甘粕正彦(甘粕大尉)を演じています。また、デヴィッド・バーン、コン・スーとともに映画音楽を担当し、第60回アカデミー賞の作曲賞を共同受賞しました。
Q4:ジョアン・チェンが演じた役名は何ですか?
A4:溥儀の皇后である婉容を演じています。清朝最後の皇后として知られる実在の人物がモデルです。
Q5:ピーター・オトゥールの役名は何ですか?
A5:英国人家庭教師のレジナルド・ジョンストンです。溥儀に英語や西洋文化を教え、紫禁城の外の世界を伝える重要な人物です。
Q6:マギー・ハンは何の役で出演していますか?
A6:イースタン・ジュエル役です。日本で川島芳子として知られる人物に対応する役柄です。
Q7:ラストエンペラーの日本公開は1987年ですか?
A7:映画の製作年は1987年ですが、日本での初公開日は1988年1月23日です。海外での公開年と日本での公開年を区別すると正確です。
Q8:ラストエンペラーはアカデミー賞を何部門受賞しましたか?
A8:1988年開催の第60回アカデミー賞で9部門を受賞しました。作品賞、監督賞、作曲賞など、ノミネートされた9部門すべてで受賞しています。
『ラストエンペラー』の主要キャストは、ジョン・ローン、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥールを中心に、坂本龍一、マギー・ハン、リサ・ルーなど実力派俳優が集結した国際色豊かな顔ぶれです。
特に覚えておきたいのは、溥儀を4人の俳優が演じていることです。成人期はジョン・ローン、3歳はリチャード・ヴゥ、8歳はタイジャ・ツゥウ、15歳はワン・タオが担当しています。
また、ジョアン・チェン演じる婉容、ピーター・オトゥール演じるジョンストン、坂本龍一演じる甘粕正彦、マギー・ハン演じるイースタン・ジュエルなど、周囲の人物を理解すると溥儀の人生をより立体的に捉えられます。
1987年製作、日本では1988年公開という時代背景を持つ本作は、歴史、政治、人間ドラマ、音楽が一体となった大作です。出演者と役名を押さえてから鑑賞すれば、人物同士の関係や物語の転換点にも気づきやすくなります。
主な事実確認資料: 映画.com、The Criterion Collection、Turner Classic Movies(TCM)、米国映画芸術科学アカデミー、第60回アカデミー賞公式記録、WOWOW作品情報。