『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、2019年に公開されたトム・ホランド主演のMCU映画で、『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界を舞台に、ピーター・パーカーが新たなヒーローとして成長していく姿を描いた作品だ。ヨーロッパへの修学旅行、謎のヒーロー・ミステリオとの共闘、そしてトニー・スタークが遺した最新技術E.D.I.T.H.を巡る物語が展開する。
しかし、本作の最大の見どころは、味方だと思われていたミステリオの正体にある。異次元から現れたというエレメンタルズは本当に存在するのか。ジェイク・ギレンホール演じるクエンティン・ベックは、なぜピーターに近づいたのか。そして、物語の最後に世界中へ暴露されたスパイダーマンの正体は、次作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にどうつながるのか。2026年11月時点のMCU最新作品との関係も含めて整理する。
【作品概要とあらすじ】エンドゲーム後のピーターに何が起きたのか

本作の原題は『Spider-Man: Far From Home』。監督はジョン・ワッツ、脚本はクリス・マッケナとエリック・ソマーズが担当し、マーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズが製作した。
日本では2019年6月28日に世界最速公開され、アメリカでは同年7月2日に公開された。MCUフェーズ3の最終作品であり、インフィニティ・サーガのエピローグに位置付けられている。
ソニー・ピクチャーズの公開当時の発表によると、日本公開初日から3日間の動員は669,304人、興行収入は1,009,949,700円。公開直後から大きな反響を集めた作品だった。
物語の舞台は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』から約8か月後。サノスによって消滅させられた人々が復活した世界では、いわゆる「ザ・ブリップ」の影響から社会が再び動き始めていた。
監督・脚本・出演者などの作品情報と時系列は、ソニー・ピクチャーズの公式作品紹介でも確認できる。
ヨーロッパ旅行で始まる新たな事件主人公のピーター・パーカー(トム・ホランド)は、学校の友人たちとヨーロッパへの修学旅行に出発する。
ピーターが旅行で実現したいと考えていたのは、MJとの関係を進展させることだった。アイアンマンことトニー・スタークを失った悲しみを抱えながらも、今は普通の高校生として過ごしたい。そんな気持ちが彼の行動に表れている。
ところが、旅行先ではヴェネチアなどヨーロッパ各地に正体不明の巨大な怪物が出現する。水や火、土など自然の力を操るエレメンタルズと呼ばれる存在だ。
そこへ現れるのが、元S.H.I.E.L.D.長官のニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)。フューリーはピーターを事件に巻き込み、異次元から来たと説明する謎のヒーロー、ミステリオを紹介する。
ミステリオの正体はクエンティン・ベック(ジェイク・ギレンホール)。彼は自分の世界でエレメンタルズと戦ってきた英雄だと語り、ピーターと協力して怪物に立ち向かう。
しかし、ピーターには別の問題もあった。トニーの死後、世界は新たなヒーローを必要としている。周囲から寄せられる期待と、自分自身がまだ未熟だという不安の間で、彼は揺れ動いていた。
ピーターがトニーの後継者として期待される理由本作で重要なのは、ピーターが単に新しい敵と戦うだけではない点だ。
トニー・スタークは生前、ピーターの能力を高く評価し、彼を次世代のヒーローとして見守っていた。しかし、ピーター本人はまだその立場を受け入れる準備ができていない。
そんな彼にフューリーが託すのが、トニーの遺産であるE.D.I.T.H.だ。この装置を通じて、ピーターは自分が想像していた以上に大きな権限を持つことになる。
本作のヨーロッパ旅行は、ピーターにとって日常への逃避であると同時に、トニーの後を継ぐ覚悟を試される旅でもあった。
【ネタバレ結末とミステリオの正体】エレメンタルズは実在しなかった
クエンティン・ベックは異次元のヒーローではない物語の最大のどんでん返しは、ミステリオの正体が明かされる場面にある。
ベックは異次元からやってきた英雄ではない。実際には、トニー・スタークの元同僚であり、スターク・インダストリーズに関係していた技術者だった。
彼は自分の技術を正当に評価されなかったことに不満を抱き、トニーの死後に生まれたヒーロー不在の状況を利用しようとする。
ベックの目的は、世界中の人々に自分を救世主として認めさせること。そして、トニー・スタークに代わる新たな象徴的ヒーローの地位を手に入れることだった。
彼の計画には、スターク・インダストリーズに不満を持つ元関係者たちも参加していた。彼らはそれぞれの専門技術を持ち寄り、ミステリオという架空のヒーローを演出していたのである。
ソニー・ピクチャーズの公式作品FAQも、ベックが元スターク・インダストリーズの従業員であり、ホログラム投影技術と武装ドローンを使って脅威を作り出していたことを説明している。
エレメンタルズの正体はホログラムとドローン作中で世界を脅かしていたエレメンタルズは、実際の異次元生命体ではない。
ベックのチームが作り出した映像演出とドローンによる攻撃を組み合わせた、計画的な偽装だった。
登場する怪物は、主に次の4つの自然属性をモチーフにしている。
- 水のエレメンタル:水を自在に操る巨大な怪物として登場する。
- 火のエレメンタル:炎をまとい、周囲を破壊する存在として描かれる。
- 土のエレメンタル:地面や岩石を利用する巨大な脅威。
- 風のエレメンタル:空気や風の力を利用する存在。
これらの怪物は、映像だけで人々を驚かせているわけではない。ドローンによる実際の攻撃や破壊を組み合わせることで、目撃者には本物の巨大生物が暴れているように見える。
つまり、映像上の怪物は偽物でも、現場で起きる被害まで偽物というわけではない。ここがミステリオの計画の恐ろしい部分だ。
ミステリオのホログラムとドローンの仕組みミステリオの演出を支えるのは、ベックが開発したホログラム技術と、それを実行する多数のドローンだ。
ドローンは映像投影や攻撃を担い、複数の機体による演出を組み合わせることで、巨大な怪物やミステリオ本人の姿を現実の風景に重ね合わせる。
そのため、遠くから見ている人には、ミステリオが怪物と直接戦っているように見える。実際にはベック本人が安全な場所から演出を管理している場面もある。
この技術の要点は、単なる映像詐欺ではないことだ。ホログラムで視覚情報を操作し、ドローンで実際の攻撃や破壊を発生させる。視覚的な偽装と現実の危険を組み合わせている。
脚本家クリス・マッケナへの取材でも、映画版のミステリオは原作コミックの特殊効果技術者という背景を引き継ぎながら、ドローンやホログラムを使う現代的な技術者として描かれたことが説明されている。
ベックが開発したB.A.R.F.とは何だったのかミステリオの過去を理解するうえで見逃せないのが、B.A.R.F.という技術だ。
これはベックが開発したホログラムを利用する技術で、正式名称は「Binarily Augmented Retro-Framing」。過去の記憶を立体的に再現することを目的としていた。
トニー・スタークはこの技術を別の用途で利用し、記憶を再現する装置として扱っていた。しかし、ベックは自分の研究成果が正当に評価されず、技術の本来の可能性を十分に理解されなかったと感じていた。
その不満が、トニーへの敵意につながっていく。
興味深いのは、ベックが単純に技術力でトニーを超えようとしたわけではないことだ。彼はトニーが生み出した技術や資産を利用しながら、トニーが持っていた社会的な影響力まで奪おうとしていた。
E.D.I.T.H.とは?トニー・スタークが遺した危険な遺産もう一つの重要な装置が、ピーターに託されたサングラス型システムE.D.I.T.H.だ。
E.D.I.T.H.は「Even Dead, I'm The Hero」の略称。トニーらしい皮肉を込めたネーミングで、彼の死後もヒーローとしての存在感を残す仕組みになっている。
このサングラスには、拡張現実による情報表示やスターク・グローバル・セキュリティのネットワークへのアクセス機能が備わっている。加えて、防衛衛星やドローンを含む強力なシステムを利用できる権限も与えられていた。
問題は、その権限を誰に託すかだった。
ピーターはトニーの後継者として認められることに戸惑い、自分にはまだ早いと感じていた。そのため、信頼できる人物だと考えたベックにE.D.I.T.H.を譲ってしまう。
結果として、ベックは自分の計画を実現するための強力な手段を手に入れた。
この展開は、技術そのものが善悪を決めるのではなく、それを管理する人物の判断や責任が重要だという、本作のテーマを象徴している。
【人物相関とキャスト一覧】トム・ホランドとジェイク・ギレンホールの役割
本作では、ピーターを中心に、トニーの遺産を受け継ぐ人物、彼を利用しようとする人物、そして彼の日常を支える友人たちが配置されている。
特にミステリオ役のジェイク・ギレンホールは、最初は頼れる先輩ヒーローに見えながら、物語が進むにつれて本性が明らかになる重要な存在だ。
主要人物・出演者・日本語吹替声優の対応表| キャラクター | 実写キャスト | 日本語吹替声優 |
|---|---|---|
| ピーター・パーカー/スパイダーマン | トム・ホランド | 榎木淳弥 |
| クエンティン・ベック/ミステリオ | ジェイク・ギレンホール | 高橋広樹 |
| ニック・フューリー | サミュエル・L・ジャクソン | 竹中直人 |
| MJ | ゼンデイヤ | 真壁かずみ |
| ネッド・リーズ | ジェイコブ・バタロン | 吉田ウーロン太 |
| メイおばさん | マリサ・トメイ | 安藤麻吹 |
| ハッピー・ホーガン | ジョン・ファヴロー | 大西健晴 |
| マリア・ヒル | コビー・スマルダーズ | 本田貴子 |
| フラッシュ・トンプソン | トニー・レヴォロリ | 畠中祐 |
| ベティ・ブラント | アンガーリー・ライス | 水瀬いのり |
| ブラッド・デイヴィス | レミー・ハイ | 豊永利行 |
| E.D.I.T.H. | ドーン・ミシェル・キング | 早見沙織 |
| ハリントン先生 | マーティン・スター | 長野伸二 |
| デル先生 | J・B・スムーヴ | 山野井仁 |
| ジェイソン | ジョージ・レンデボーグ・Jr. | 浪川大輔 |
日本語吹替版の主要キャストは、ソニー・ピクチャーズが2019年6月1日に発表した公式資料に記載されている。ピーター役の榎木淳弥、ミステリオ役の高橋広樹、ニック・フューリー役の竹中直人らが続投・参加し、作品の主要人物を演じた。
また、ジェイク・ギレンホールの吹替を数多く担当してきた高橋広樹がミステリオ役を務めたことも注目点だ。ベックの英雄的な表情から冷酷な本性への変化を、日本語版でも楽しめる。
上記の追加キャストを含む配役は、日本語吹替専門のキャストデータベースにも掲載されている。
トム・ホランド演じるピーターの成長トム・ホランド版ピーターの特徴は、世界を救うヒーローでありながら、学校生活や恋愛に悩む普通の少年でもあることだ。
本作では、トニーの死を受け止めきれないまま、周囲から次世代のヒーローとして期待される。ピーターはその期待に応えたい気持ちと、自分らしい生活を送りたい気持ちの間で葛藤する。
彼が最終的に選ぶのは、トニーのコピーになることではない。自分の感覚と判断を信じ、スパイダーマンとして責任を引き受ける道だった。
ジェイク・ギレンホール演じるミステリオの魅力ベックの恐ろしさは、単なる悪役ではなく、人々が信じたいものを理解している点にある。
世界はエンドゲーム後の混乱から立ち直ろうとしていた。トニー・スタークを失い、次のヒーローを求めている人々にとって、ミステリオの登場は希望のように映る。
ベックはその心理を巧みに利用した。自分を英雄に見せるために必要だったのは、圧倒的な力だけではない。人々が信じたくなる物語と、それを裏付ける映像だった。
この意味でミステリオは、スパイダーマンの身体的な能力とは異なる方法で戦う敵だった。彼が操作していたのは、現実だけではなく、人々が現実をどう理解するかという部分だったのである。
【ポストクレジット映像の意味】ノー・ウェイ・ホームにつながる2つの重大発表
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』には、エンドクレジット中に2つの重要な映像が用意されている。どちらもMCUの今後を理解するために見逃せない場面だ。
1つ目:ミステリオがピーターの正体を世界に暴露1つ目の映像では、ニュースサイト「デイリー・ビューグル」の編集長J・ジョナ・ジェイムソンが登場する。
演じるのは、サム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズでも同役を演じたJ・K・シモンズだ。MCU版でも同じ俳優が起用され、シリーズを超えた印象的な演出になっている。
ジェイムソンが公開するのは、ミステリオが残した映像だ。編集された映像によって、ピーターがドローンによる攻撃を命令し、ミステリオを殺害したかのような印象が作り出される。
さらに映像には、ピーター・パーカーこそスパイダーマンであるという情報まで含まれていた。
それまで秘密にしてきた正体が、世界中に知られてしまう。ピーターの平穏な生活は、この瞬間に大きく崩れる。
2つ目:ニック・フューリーの正体は本物ではなかった2つ目の映像では、さらに大きな秘密が明らかになる。
映画の大部分でピーターと行動を共にしていたニック・フューリーとマリア・ヒルは、実はスクラル人だった。
フューリーに変身していたのはタロス、ヒルに変身していたのはソレン。2人は本物のフューリーの依頼を受け、地球で彼らの役割を代行していた。
一方、本物のニック・フューリーは地球を離れ、宇宙空間の施設でスクラル人たちと行動していた。
この場面によって、映画の途中でフューリーの判断や行動に違和感があった理由も説明される。ピーターに接触していた人物は、本物のフューリーではなかったのだ。
ただし、この場面だけで施設の正式な組織名やすべての活動目的が確定したわけではない。後のMCU作品で描かれるスクラル人と宇宙規模の問題に向けた伏線として理解するのが適切だ。
『ノー・ウェイ・ホーム』への直接的なつながり次作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、まさにこの暴露の直後から物語が始まる。
ピーターの正体が世間に知られたことで、彼自身だけでなく、MJやネッド、メイおばさんなど周囲の人々まで大きな影響を受けることになる。
ピーターは秘密を取り戻そうとしてドクター・ストレンジに助けを求める。しかし、その行動がマルチバースに関わる重大な問題を引き起こしてしまう。
ソニー・ピクチャーズの公式作品紹介でも、『ノー・ウェイ・ホーム』は前作の最後にピーターの正体が暴露された出来事を受けて展開する作品として説明されている。
したがって、2作品は独立したストーリーというより、ピーターの人生を大きく変える連続した物語として見るのがおすすめだ。
【2026年最新MCU時系列】ファー・フロム・ホームからブランド・ニュー・デイまで
2026年現在、トム・ホランド版スパイダーマンの物語は『ファー・フロム・ホーム』からさらに進展している。ここで重要なのは、映画の公開年と作中の出来事が起きた年を混同しないことだ。
エンドゲーム後から2028年頃までの時系列各作品の位置関係を整理すると、次のようになる。
- 2019年公開『アベンジャーズ/エンドゲーム』:作中では2023年の出来事を中心に描き、サノスによって消滅した人々が復活する。
- 2019年公開『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』:エンドゲームから約8か月後。作中では2024年頃の夏が舞台となる。
- 2021年公開『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』:ファー・フロム・ホームのラストから直接続き、2024年の出来事が描かれる。
- 2026年公開『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』:ノー・ウェイ・ホームから4年後が舞台。作中ではおおむね2028年頃に位置する。
特に『ブランド・ニュー・デイ』では、ドクター・ストレンジの魔法によって世界中の人々がピーター・パーカーの存在を忘れた後の生活が描かれる。
ピーターはスパイダーマンとして犯罪と戦い続ける一方、MJやネッドとの関係を取り戻せないまま、孤独と向き合っている。
ソニーの公式作品FAQでも、同作が『ノー・ウェイ・ホーム』から4年後の物語であることが明記されている。
2026年のMCU作品と何が違うのか2026年には、スパイダーマン関連作品だけでなく、MCU全体でも重要な作品が公開・配信されている。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は2026年7月31日に劇場公開されたトム・ホランド主演の第4作。ピーターの孤独やヒーローとしての新たな能力、ニューヨークでの新たな脅威が物語の中心となる。
また、『VisionQuest』は2026年10月にDisney+で配信が始まったマーベル・テレビジョンのシリーズだ。ヴィジョンの再起動後の物語を描き、ウルトロンなど過去のMCU作品に関係する人物が登場する。
この作品には、E.D.I.T.H.もAIの一人として登場する。『ファー・フロム・ホーム』でトニーの遺産として紹介されたシステムが、2026年のMCU作品でも再び物語に関わっている点は注目に値する。
そして、『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』は2026年12月18日に全米劇場公開予定。2026年11月6日時点では、まだ公開前の作品だ。公開日と作中の時系列は別の情報であり、作中の具体的な年代については公開情報だけで断定できない。
これらの作品を並べると、2019年の『ファー・フロム・ホーム』がトニーの死後の継承問題を描いたのに対し、2026年の作品群では、記憶、孤独、AI、マルチバースといったテーマがさらに広がっていることが分かる。
【スパイダーマン歴代シリーズの公開順】初めて見る人におすすめの鑑賞方法
スパイダーマン映画は、複数の俳優が異なる世界観でピーター・パーカーを演じてきたため、どの順番で見ればよいか迷いやすいシリーズでもある。
2026年時点で、実写映画の主要作品を公開順に並べると以下のとおりだ。
実写スパイダーマン映画の公開順- 『スパイダーマン』(2002年)/トビー・マグワイア
- 『スパイダーマン2』(2004年)/トビー・マグワイア
- 『スパイダーマン3』(2007年)/トビー・マグワイア
- 『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)/アンドリュー・ガーフィールド
- 『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)/アンドリュー・ガーフィールド
- 『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)/トム・ホランド
- 『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)/トム・ホランド
- 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)/トム・ホランド
- 『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(2026年)/トム・ホランド
なお、トム・ホランド版ピーターの初登場は2016年公開の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』。『ホームカミング』より前にMCUへ登場している。
アニメーション作品では、マイルス・モラレスを主人公とする『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)と『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023年)もある。こちらはトム・ホランド版とは異なる物語を中心に展開する。
この公開順は、Disney+が紹介する実写スパイダーマン映画の公開順とも一致している。
初見ならどの順番で見るべきか初めてトム・ホランド版を見るなら、次の順番が最も理解しやすい。
- 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』:ピーターのMCU初登場。
- 『スパイダーマン:ホームカミング』:ピーターとトニーの師弟関係を理解する。
- 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』:サノスとの戦いに参加するピーターを知る。
- 『アベンジャーズ/エンドゲーム』:トニーの死と世界の変化を理解する。
- 『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』:トニーの遺産とピーターの成長を確認する。
- 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』:正体暴露後の物語を追う。
- 『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』:その後のピーターの新たな人生を見る。
特に『エンドゲーム』を飛ばして『ファー・フロム・ホーム』を見ると、ピーターがなぜトニーの死を引きずっているのか、E.D.I.T.H.がなぜ重要なのかが理解しにくくなる。
一方、すでにMCUの主要作品を見ている人なら、『ホームカミング』からトム・ホランド版の3部作を連続して鑑賞する方法もおすすめだ。
【プロの結論】ファー・フロム・ホームが2026年も見直す価値のある理由
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、アクションや映像演出だけで評価するには惜しい作品だ。
物語の核心にあるのは、トニー・スタークを失った世界が、次のヒーローを求める心理である。
ベックはその需要を利用し、ホログラムとドローンで理想のヒーロー像を作り上げた。彼の計画が成功しかけたのは、技術が高度だったからだけではない。人々が英雄を信じたいと思っていたからだ。
その一方、ピーターはトニーの後継者になることを急がず、自分の判断で責任を引き受けることを学ぶ。彼が最後にミステリオの演出を見破る展開は、派手な戦闘以上に重要な成長の瞬間となっている。
2026年の『ブランド・ニュー・デイ』まで見た読者なら、ピーターがどれほど多くのものを失い、それでもスパイダーマンであり続けているかを、より深く理解できるはずだ。
鑑賞する人の目的別に整理すると、次のようになる。
- MCUの物語を理解したい人:『エンドゲーム』を見た後に鑑賞するのがおすすめ。
- ミステリオの正体や伏線を楽しみたい人:結末を知らずに本編を見てから、もう一度ホログラムの演出を確認すると面白い。
- 2026年の最新作につなげたい人:『ノー・ウェイ・ホーム』を続けて鑑賞し、その後『ブランド・ニュー・デイ』へ進むとピーターの変化を追いやすい。
- 単独のアクション映画を楽しみたい人:本作だけでも楽しめるが、トニーの死やE.D.I.T.H.の背景を知っておくと物語の理解が深まる。
ミステリオが作り上げた偽りの英雄像と、ピーターが自分の力で選び取ったヒーローとしての生き方。その対比こそ、本作がシリーズの中で果たしている最も重要な役割だ。
【スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:スパイダーマン:ファー・フロム・ホームはエンドゲームの何年後の物語?
A1:『アベンジャーズ/エンドゲーム』から約8か月後の物語。MCUの作中時系列では2024年頃に位置する。
Q2:ミステリオの正体は本当に別の地球から来たヒーロー?
A2:違う。クエンティン・ベックは元スターク・インダストリーズの関係者であり、ホログラムとドローンを使って異次元の怪物や自分自身の英雄的な姿を演出していた。
Q3:エレメンタルズは本当に存在する?
A3:本作で登場するエレメンタルズは、ミステリオのチームが作った偽の脅威。映像投影とドローンによる実際の攻撃を組み合わせていた。
Q4:E.D.I.T.H.の意味は?
A4:「Even Dead, I'm The Hero」の略。トニー・スタークが残した拡張現実・セキュリティシステムで、強力な防衛ネットワークやドローンへのアクセス権限を持つ。
Q5:ミステリオは最後に死亡した?
A5:作中ではロンドンでの最終決戦後、ベックは致命傷を負い、死亡したことが示されている。ただし、彼が残した映像によってピーターはスパイダーマンの正体を暴露される。
Q6:ポストクレジット映像は何個ある?
A6:2つある。1つ目はミステリオによるピーターの正体暴露、2つ目はニック・フューリーとマリア・ヒルがスクラル人に入れ替わっていたという真相だ。
Q7:ノー・ウェイ・ホームはファー・フロム・ホームの続編?
A7:そのとおり。前作の最後でピーターの正体が暴露された直後から物語が始まるため、連続して見るとストーリーを理解しやすい。
Q8:2026年の最新作ブランド・ニュー・デイとはどうつながる?
A8:『ノー・ウェイ・ホーム』から4年後を舞台にしたトム・ホランド版の第4作。ピーターは世界中の人々から自分の存在を忘れられた状態で、スパイダーマンとして新しい生活を送っている。
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、エンドゲーム後の世界でトニー・スタークの遺産を受け継ぐことになったピーター・パーカーの成長を描く作品だ。
ミステリオの正体は異次元の英雄ではなく、スターク・インダストリーズの元関係者クエンティン・ベック。エレメンタルズも本物の怪物ではなく、ホログラムと武装ドローンを組み合わせた演出だった。
トニーが残したE.D.I.T.H.を巡る問題は、ピーターに技術を扱う責任と、自分自身の判断を信じることの大切さを教える。そして、ポストクレジット映像で明かされる正体暴露が、『ノー・ウェイ・ホーム』へとつながっていく。
2026年には『ブランド・ニュー・デイ』が公開され、さらに『VisionQuest』ではE.D.I.T.H.が再びMCUに登場している。過去作の伏線を振り返る意味でも、本作は現在のMCUを理解するうえで見逃せない一作だ。
単なるヨーロッパ旅行の物語ではなく、トニーの死を受け止めた少年が、自分自身の意志でヒーローになるまでの物語。それが『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の本質である。