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【売春防止法を詳しく解説】第2条の定義と第5条の罰則は?

水沢 陽菜 水沢 陽菜 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
目次

立ちんぼの摘発を理解するには、売春防止法第2条と第5条を分けて考える必要があります。第2条は売春そのものの定義、第5条は売春目的で行う一定の勧誘・客待ち行為に対する処罰を定めています。

売春防止法第2条が定める「売春」の定義

売春防止法第2条では、売春を次のように定義しています。

「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」

要点は、次の3つです。

  • 対償:金銭などの対価を受け取る、または受け取る約束があること。
  • 不特定の相手方:相手が特定の交際相手などに限定されていないこと。
  • 性交:法律上の売春の定義に該当する性行為であること。

したがって、金銭の受け渡しがある性的サービスがすべて、売春防止法第2条の売春に該当するわけではありません。法律上の定義に照らした判断が必要です。

また、第3条では売春をすることと、その相手方になることの双方を禁止しています。ただし、成人間の単純な売春行為そのものについては、同法に直接の刑罰規定が設けられていません。

この点が、売春目的で路上に立つ女性が摘発される一方、成人の買い手には同法上の直接的な処罰規定がないという制度上の特徴につながっています。

第5条の3つの違反類型

第5条は、売春をする目的で行う次の3種類の行為を処罰対象としています。

条文 対象となる行為 具体的な内容
第5条第1号 公然の勧誘 公衆の目に触れる方法で売春相手を勧誘する
第5条第2号 立ちふさがり・つきまとい 道路などで相手の身辺に立ちふさがる、つきまとう
第5条第3号 客待ち・誘引 公衆の目に触れる形で客待ちをする、広告などで誘引する

歌舞伎町の大久保公園周辺で問題となっている路上の客待ちは、主に第5条第3号が適用されています。

一方、通行人に積極的に声をかけたり、相手の進路を妨げたりする場合には、第1号や第2号との関係も問題になります。

立ちんぼの罰則は懲役何か月?2026年現在の法定刑

現行法の罰則


6か月以下

立ちんぼ犯罪

拘禁刑

2万円以下


罰金
売春防止法第5条の法定刑。拘禁刑または罰金。

2025年6月1日から、刑法改正に伴って従来の懲役刑は拘禁刑に変更されました。そのため、古い記事に記載されている「6か月以下の懲役または1万円以下の罰金」という説明は、現行条文と一致しません。

2026年11月現在の第5条は、6か月以下の拘禁刑または2万円以下の罰金です。拘禁刑と罰金は、どちらか一方が定められている選択刑です。

なお、売春の周旋を行う者には第6条、脅迫や暴行などによって売春をさせた者には第7条など、関与の仕方に応じて別の処罰規定もあります。

【摘発の実態と経緯】歌舞伎町・大久保公園で2025年に延べ112人を逮捕

立ちんぼ問題が全国的に知られるようになった場所の一つが、東京都新宿区の歌舞伎町にある大久保公園周辺です。

この地域では、売春目的の客待ちをする女性と、相手を探す男性が集まる状況が問題視され、警視庁による取り締まりが強化されてきました。

2024年から2026年までの主な出来事

特に注目されるのが、2025年の逮捕者数です。共同通信が2026年3月16日に報じた警視庁保安課の発表によると、2025年の逮捕者は延べ112人でした。

時期 出来事・人数 注目点 2024年10〜11月 50人逮捕 集中的な取り締まりを実施 2024年通年 97人逮捕 大久保公園周辺での摘発 2025年通年 延べ112人逮捕 ホスト・コンカフェなどへの支出目的が48人 2026年3月16日 警視庁が2025年実績を公表 平均年齢25歳、最年少16歳 2026年9月17日 法務省検討会が報告書を取りまとめ 買う側への規制も議論

出典:衆議院法務委員会会議録、警視庁保安課の発表を伝えた共同通信、法務省の検討会資料。

2025年の逮捕者112人を詳しく見る

2025年の数字には、見逃せない特徴があります。




112人


2025年の延べ逮捕者数


48人


ホスト・コンカフェなどへの支出目的


25歳


逮捕者の平均年齢


16歳


最年少の逮捕者の年齢


10代の逮捕者

14人



2024年と比べて11人増加

特に48人という数字は、延べ112人の約43%に相当します。動機として最も多かったのが、ホストクラブやコンセプトカフェなどにお金を使う目的だったということです。

ただし、この48人全員がホストへの借金返済を目的としていたという意味ではありません。警視庁の発表で示されたのは、ホストやコンセプトカフェなどへの支出を目的とする人の数です。

また、生活困窮を理由に挙げた女性もいました。10代の逮捕者が14人に達したことも、問題が成人女性だけに限定されないことを示しています。

112人は有罪判決を受けた人数ではない

ここで統計の読み方にも注意が必要です。

112人という数字は、警視庁保安課が発表した2025年の現行犯逮捕者の延べ人数です。有罪判決を受けた人数や、実際に売春をしたことが裁判で確定した人数を意味するものではありません。

逮捕は刑事手続きの一段階であり、その後には検察による起訴・不起訴の判断や、起訴された場合の裁判があります。逮捕者数だけを見て、全員が犯罪事実を認めた、あるいは有罪になったと考えるのは正確ではありません。

【2026年最新】大久保公園の立ちんぼは消えた?取り締まり後の現状

2026年の歌舞伎町では、大久保公園周辺の客待ちをめぐる状況にも変化が見られます。

2026年8月の集英社オンラインの現地取材や、同年9月23日のFRIDAYデジタルの報道では、かつて女性が目立っていた大久保公園前の光景が変わり、周辺のラブホテル街などに人の流れが分散している様子が伝えられました。

取り締まり強化で客待ちの場所が分散

2026年の報道では、大久保公園前に長時間とどまる女性が減り、周辺のホテル街などを移動する形で相手を探すケースが取り上げられています。

集英社オンラインは、女性の一部が周辺のラブホテル街へ移動し、歩きながら相手を探す形に変化していると報じました。

FRIDAYデジタルも2026年9月23日、警察の取り締まりや動画撮影などを避けるため、客待ちをする女性と男性の一部がホテル街へ移ったと報道しています。

こうした報道から読み取れるのは、大久保公園前で見かける人数が減ったことと、売春目的の客待ちそのものがなくなったことは同じではないという点です。

ただし、これらは報道機関による現地取材であり、新宿全域の客待ち人数を示す警察の公式統計ではありません。場所や時間帯による違いも考慮する必要があります。

警視庁保安課による取り締まりはなぜ続いているのか

警視庁による取り締まりの背景には、売春防止法違反だけでなく、周辺の治安や地域環境の問題もあります。

2024年10月には、警視庁が東京都や新宿区などと連携して大久保公園周辺をパトロールしました。客待ちをする女性への注意喚起とともに、見物目的で集まる人とのトラブルなども課題として取り上げられています。

2025年5月の衆議院法務委員会では、警察庁側が2024年10月から11月末までの2か月間に、売春防止法第5条第3号違反で50人を逮捕したと説明しました。

つまり、取り締まりは一度限りの対応ではなく、街の環境改善と客待ち行為の摘発を組み合わせた対策として継続してきたものです。

【社会的背景】ホスト依存・生活困窮が立ちんぼ問題につながる理由

立ちんぼ問題を法律違反という側面だけで捉えると、なぜ若い女性が路上で客待ちをする状況に至ったのかが見えにくくなります。

2025年の警視庁の発表では、ホストクラブやコンセプトカフェなどへの支出を目的とした人が48人で最多でした。生活困窮を理由に挙げた人もいます。

この背景には、金銭問題だけでなく、人間関係や居場所の問題など、複数の事情が重なっている可能性があります。

ホストクラブへの支出と金銭的な依存

ホストクラブでの高額な支出や売掛金をめぐる問題は、立ちんぼ問題と切り離せない社会的課題として取り上げられてきました。

ホストへの支出を続けるために収入を必要とする状況や、借金を抱えたことで生活が不安定になる状況が、路上での客待ちにつながるケースも指摘されています。

ただし、ホストクラブに通う女性がすべて売春をしているわけではありません。また、2025年の48人という数字も、ホストなどへの支出目的を示すものであり、全員の借金額や依存状態を証明するものではありません。

生活困窮と居場所の喪失

経済的な問題に加えて、住居が安定しない、家族や周囲に相談できない、仕事を継続できないといった事情が重なると、生活を立て直すことが難しくなります。

歌舞伎町周辺に集まる若者の問題については、公益社団法人日本駆け込み寺などの支援団体も取り組んでいます。

2026年4月のサイゾーオンラインの取材では、同団体の清水葵代表理事が、若者の家庭内暴力、人間関係、金銭トラブルなどへの支援について語っています。居場所を求めて集まる若者の背景には、孤独や社会とのつながりの弱さもあると指摘しています。

もっとも、トー横に集まる若者全員が立ちんぼに関わっているわけではありません。両者を一括りにすることは避けるべきです。

摘発だけでは解決しない支援の課題

女性の生活再建を考えるうえで重要なのが、2024年4月1日に施行された「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」です。

この法律は、性的被害、家庭環境、地域社会との関係など、さまざまな事情によって困難を抱える女性を対象に、本人の意思を尊重した包括的な支援を進めることを目的としています。

具体的には、次のような支援が想定されています。

  • 女性相談支援センターなどでの相談対応
  • 緊急時の安全確保や一時保護
  • 心理的・医療的な支援
  • 住居の確保や就労支援
  • 民間支援団体や行政機関との連携

厚生労働省も、女性一人ひとりの状況に応じた切れ目のない支援を掲げています。

犯罪に該当する行為への法的対応と、困難を抱える人への生活支援は、対立するものではありません。摘発後に住居や仕事、相談先につながらなければ、同じ状況に戻ってしまう可能性があります。

【2026年の法改正】立ちんぼの買い手も逮捕されるようになる?

2026年の立ちんぼ問題を考えるうえで、見逃せないのが売春防止法の見直しです。

これまでの制度では、売春をする側の客待ちや勧誘行為には刑罰が設けられている一方、成人の買い手による単純な買春行為や勧誘行為には、同法上の直接的な罰則がありませんでした。

この不均衡に対する疑問が国会でも取り上げられ、2026年には法務省が有識者検討会を設置しました。

2026年3月に法務省の検討会がスタート

法務省は2026年3月24日、「売買春に係る規制の在り方検討会」の初会合を開催しました。

焦点となったのは、売る側だけでなく、買う側の勧誘行為などにも罰則を設けるべきかという問題です。

背景には、大久保公園周辺の客待ち問題や、ホストクラブなどで金銭的な困難を抱えた女性が売春に追い込まれるケースが社会問題化していることがあります。

2026年9月17日の報告書で示された方向性

同検討会は2026年9月17日に報告書を取りまとめました。

報告書では、現行制度の不均衡を是正する観点から、買う側による勧誘行為などにも新たな規制を設ける必要性が示されました。

具体的には、路上での勧誘だけでなく、インターネットを使った誘引についても処罰対象とする方向性が取り上げられています。

一方、売る側の第5条違反については、処罰を維持すべきという意見が大勢でした。そのうえで、摘発された女性を福祉や生活支援につなげる体制の整備も課題とされています。

また、現行法の罰金上限である2万円について、引き上げを検討すべきという意見も出ました。

2026年11月現在、改正法はどうなっている?

2026年11月5日時点では、法改正に向けた具体的な検討が進められている段階です。

法務大臣は2026年秋の記者会見で、売春防止法の一部改正法案を検討中の法案として挙げ、必要な法整備に向けた作業を進める考えを示しています。

そのため、検討会の報告書がまとまったことと、新しい罰則がすでに施行されたことは区別しなければなりません。

現行法では、成人の買い手が単純に買春したこと自体を売春防止法で直接処罰する規定はありません。また、今後の改正案についても、買う側のどの行為をどのような要件で処罰するかは、法案の内容と成立・施行を待つ必要があります。

なお、相手が未成年の場合などは、児童買春・児童ポルノ禁止法をはじめとする別の法律が適用される場合があります。

【立ちんぼ犯罪に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:立ちんぼは立っているだけで逮捕されますか?
A1:単に立っているだけで直ちに逮捕されるわけではありません。売春目的があり、公衆の目に触れる形で客待ちをするなど、売春防止法第5条第3号の要件を満たすかどうかが判断されます。証拠関係を総合的に検討する必要があります。

Q2:立ちんぼで逮捕された場合の罰則は何ですか?
A2:売春防止法第5条違反の法定刑は、6か月以下の拘禁刑または2万円以下の罰金です。2025年6月1日から、従来の懲役刑は拘禁刑に変更されています。

Q3:買春した男性も逮捕されるのでしょうか?
A3:2026年11月現在、成人間の単純な買春行為については、売春防止法に直接の罰則規定がありません。ただし、未成年者が関係する場合や、脅迫・暴行・周旋など別の犯罪が成立する場合は異なります。買う側への勧誘行為などを規制する法改正も検討されています。

【プロの結論】立ちんぼ犯罪を正しく理解するための3つの判断基準

立ちんぼ問題を理解するうえで、押さえておきたい要点は3つあります。

1つ目は、立っていることと違法な客待ちは別だということです。売春防止法第5条第3号では、売春目的と公衆の目に触れる形での客待ち・誘引という要件が問題になります。場所や服装、立ち姿だけで犯罪成立を断定することはできません。

2つ目は、2025年の延べ112人という逮捕者数の背景を見ることです。ホストクラブやコンセプトカフェなどへの支出目的が48人を占め、生活困窮を理由に挙げた女性もいました。数字の背後には、若年層の金銭問題や生活上の困難があります。

3つ目は、2026年の法改正議論を正しく追うことです。買う側への規制や罰金額の見直しが検討されていますが、検討会の報告書と成立した法律は別物です。現在の法制度と今後の変更を混同しないことが大切です。

大久保公園周辺で客待ちをする女性の姿が目立たなくなったとしても、それだけで問題が解決したとは限りません。取り締まりによって場所が分散する一方、生活困窮や金銭的依存、孤立といった背景が残れば、別の場所や形態で問題が続く可能性があります。

2026年11月現在、立ちんぼ問題は単なる繁華街の風紀問題から、売春防止法の公平性、買い手側の責任、困難を抱える女性への支援という複数の課題を含む社会問題へと広がっています。今後は法改正の具体的な内容だけでなく、摘発後の生活再建をどこまで実現できるかも問われています。

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水沢 陽菜

美容・健康カテゴリを担当。引用元の研究・公的機関の資料を確認したうえで、誰にでも読める形に整えます。

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