警察庁が2026年4月に公表した「令和7年における組織犯罪の情勢」は、2026年の暴力団ニュースを理解するための基礎資料となる。
最も目を引くのは、暴力団構成員等の総数が21年連続で減少していることだ。
暴力団勢力は2005年以降、縮小が続く2025年末の全国の暴力団構成員等は約1万7,600人。内訳は次のとおりだ。
- 暴力団構成員:約9,400人
- 準構成員等:約8,200人
- 合計:約1万7,600人
ここでいう準構成員等とは、正式な組員ではないものの、暴力団と関係を持ち、資金や活動面で組織の維持・運営に協力するなど、一定の関係がある人々を指す。
したがって、1万7,600人という数字を、そのまま正式な組員数として扱うのは正確ではない。
警察庁の長期推移を見ると、2005年末には約8万6,300人だった勢力が、2025年末には約1万7,600人まで減少している。20年間で約8割の縮小だ。
出典:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」2026年4月公表。
検挙人員7,335人の内訳にも注目もう一つ重要なのが、暴力団構成員等の検挙人員だ。
| 年 | 検挙人員 |
|---|---|
| 2021年 | 11,735人 |
| 2022年 | 9,903人 |
| 2023年 | 9,610人 |
| 2024年 | 8,249人 |
| 2025年 | 7,335人 |
2025年は前年より914人、率にして11.1%減少した。
ただし、7,335人の内訳を確認すると、次のような特徴がある。
- 暴力団構成員:1,474人
- 準構成員等その他の周辺者:5,861人
つまり、検挙人員の約8割は、正式な構成員以外の周辺者だった。
この数字から見えるのは、暴力団の犯罪対策が、組員本人だけを対象とするものではなく、周辺の協力者や資金の流れまで視野に入れなければならないという実態だ。
罪種別では、覚醒剤取締法違反が最も多く、傷害、詐欺、窃盗が続いている。従来型の暴力事件だけでなく、薬物や経済犯罪への対応も欠かせない。
【指定暴力団の勢力図2026】六代目山口組・住吉会・稲川会の現在

2026年の指定暴力団の状況を見ると、全国的な勢力縮小の中でも、主要団体が依然として大きな存在感を持っている。
静岡県警察が公表した2026年5月末時点の資料では、全国の指定暴力団は24団体となっている。
主要3団体の構成員数以下の構成員数は2026年5月末時点の警察資料に基づく概数。検挙関連の数値は2025年中の全国の中止命令発出件数。
※中止命令は、暴力団対策法などに基づいて違法な要求行為等をやめさせるための行政上の命令であり、検挙人員や犯罪発生件数とは異なる。
六代目山口組は依然として最大規模約3,100人
2026年5月末時点の構成員数
六代目山口組は、全国的な勢力範囲を持つ指定暴力団であり、2026年5月末時点でも約3,100人の構成員を抱えている。
ただし、勢力範囲が広いことと、各地域で同じ規模の活動をしていることは別問題だ。組織全体の人数だけでは、実際の活動状況や地域社会への影響までは判断できない。
2026年の焦点は、長年続いた分裂抗争の整理と、組織の活動をどこまで抑え込めるかという点にある。
住吉会の最新動向は?約2,100人
2026年5月末時点の構成員数
住吉会は東京都を中心に広い勢力範囲を持つ主要団体だ。
2025年中に全国の警察が発出した中止命令を団体別に見ると、住吉会に対するものは196件で最多だった。
六代目山口組の153件、稲川会の138件を上回っている。
これは住吉会の犯罪件数を示す数字ではないが、暴力的要求行為などに対する警察の対応状況を知る手掛かりになる。
東京都内に限ると、2025年末時点で住吉会の構成員等は1,410人。都内の暴力団勢力3,020人のうち、最も大きな割合を占めている。
つまり、全国の構成員数と東京都内の構成員等の数字を混同しないことが大切だ。
稲川会の現在の勢力約1,600人
2026年5月末時点の構成員数
稲川会は関東を中心に活動する主要団体で、勢力範囲は1都1道15県とされる。
2025年の中止命令は138件。住吉会や六代目山口組と同様、警察の暴力団対策において継続的な対応対象となっている。
ただし、構成員数の減少をそのまま組織の消滅や犯罪活動の停止と結び付けることはできない。警察が把握する人数と、実際の犯罪ネットワークの広がりには違いがあるためだ。
【六代目山口組と神戸山口組】分裂抗争の経緯と2026年の最新状況
2026年のヤクザニュースで特に注目されるのが、六代目山口組と神戸山口組をめぐる特定抗争指定の動向だ。
2015年に始まった山口組の分裂2015年8月、山口組の一部組織が離脱し、神戸山口組を結成した。
これをきっかけに組織間の対立が深まり、各地で抗争事件が発生するようになった。
その後、神戸山口組からも一部組織が離脱し、任侠山口組(後の絆會)や池田組が形成された。
対立関係は複雑化し、警察は市民の安全を確保するため、暴力団対策法に基づく特定抗争指定を進めた。
特定抗争指定の主な経緯- 2015年8月: 山口組が分裂し、神戸山口組が結成される。
- 2017年4月: 神戸山口組の傘下組織の一部が任侠山口組を結成する。
- 2020年1月: 六代目山口組と神戸山口組が特定抗争指定暴力団等に指定される。
- 2020年: 任侠山口組が絆會に名称変更する。
- 2022年12月: 六代目山口組と池田組が特定抗争指定を受ける。
- 2024年6月: 六代目山口組と絆會が特定抗争指定を受ける。
- 2025年4月: 六代目山口組が兵庫県警に抗争終結の宣誓書を提出する。
- 2026年9月: 池田組との指定解除、絆會との指定解除が決定する。
- 2026年10月: 神戸山口組との特定抗争指定が再延長される。
2026年9月17日、兵庫県公安委員会は六代目山口組と神戸山口組に対する特定抗争指定の期限を3カ月延長すると決定した。
その後、10月5日に官報で公示され、期限は2027年1月6日までとなった。
今回で延長は27回目となる。
一方、六代目山口組と池田組の特定抗争指定は9月8日に解除され、絆會との指定も9月21日に解除された。
つまり、2026年11月現在、山口組分裂に伴う特定抗争指定のうち、神戸山口組との指定が残っている。
特定抗争指定とは何か?特定抗争指定暴力団等に指定されると、警戒区域内での活動に厳しい制約が課される。
主な制限は次のとおりだ。
- 警戒区域内での組事務所の使用や新設の制限
- おおむね5人以上での集団行動の禁止
- 対立組織の構成員に対するつきまといなどの禁止
対象は全国一律ではなく、公安委員会が指定する警戒区域に限定される。
六代目山口組と神戸山口組の場合、兵庫県など9府県の計17市町が警戒区域となっている。
2026年の指定延長は、抗争が完全に終結したと判断できないという警察側の評価を反映したものだ。
重要なのは、特定抗争指定の解除が、そのまま組織間の和解や関係改善を意味するわけではないという点だ。
池田組や絆會との指定解除は、一定期間抗争事件が発生していないことなどを踏まえた措置である。神戸山口組については別の判断がなされている。
【トクリュウと暴力団の関係】2026年の組織犯罪はどう変わった?
暴力団の勢力が縮小する一方、警察が新たな脅威として警戒しているのが、匿名・流動型犯罪グループ、通称「トクリュウ」だ。
この動きは、2026年の組織犯罪ニュースを理解するうえで欠かせない。
トクリュウとは何か?トクリュウは、暴力団のような固定された組織構造を持たず、SNSや求人サイトなどを通じて実行犯を募集し、犯罪ごとに人員を入れ替える特徴を持つ犯罪グループだ。
その特徴は大きく3つある。
1. 中核人物が匿名化されている。
2. 実際に犯罪を実行する人員が流動的である。
3. 詐欺、窃盗、強盗、薬物など複数の資金獲得活動に関与する。
警察庁の分析では、犯罪の指示を出す中核部分が匿名性の高い通信手段を使い、実行犯をSNSなどで募集する構造が確認されている。
実行犯が逮捕されても、新たな人物を募集することで犯罪活動が継続される可能性がある。
2025年のトクリュウ関連検挙人員は6,679人警察庁の2026年4月公表資料では、2025年にトクリュウによるものとみられる主な資金獲得犯罪の検挙人員は合計6,679人だった。
内訳は次のとおり。
詐欺が3,075人と最も多く、全体の約46%を占める。
ここで注意したいのは、6,679人がトクリュウの構成員総数ではないということだ。警察がトクリュウによるものとみられる主な資金獲得犯罪について集計した検挙人員であり、グループの実際の規模を表すものではない。
暴力団とトクリュウは無関係ではないここが2026年の組織犯罪対策で特に要点だ。
警察庁は、暴力団とトクリュウの関係について、複数の形態を確認している。
- 暴力団がトクリュウを実質的に配下に置くケース
- トクリュウの犯罪収益の一部が暴力団に流れるケース
- 暴力団構成員がトクリュウの首領やメンバーとなるケース
- 暴力団と外国人犯罪組織の間をトクリュウがつなぐケース
つまり、暴力団とトクリュウは完全に別個の存在とは限らない。
ただし、すべてのトクリュウが暴力団の傘下にあるわけではなく、両者の関係は集団や事件ごとに異なる。
警察庁の令和7年組織犯罪情勢では、暴力団の構成員減少を背景に、トクリュウや外国人犯罪組織との連携によって資金獲得活動を維持・拡大しようとする実態も分析されている。
このため、従来の暴力団対策だけではなく、資金の流れ、海外拠点、中核人物、犯罪インフラを横断的に捜査する必要がある。
【暴力団勢力が減少する理由】暴排条例・警察の取締り・社会構造の変化
暴力団構成員等が長期的に減少している背景には、複数の要因がある。
単純に組織の人気がなくなったという話ではない。社会全体で暴力団が活動しにくい仕組みが整備されてきたことが大きい。
1. 暴力団排除条例による資金獲得の制限大きな転換点となったのが、全国の自治体で整備された暴力団排除条例だ。
2011年10月までに全都道府県で条例が施行された。
主な内容は以下のとおり。
- 事業者による暴力団員への利益供与の禁止
- 公共事業や各種契約からの暴力団排除
- 不動産取引における暴力団排除
- 暴力団事務所の開設・運営に対する制限
- 青少年を暴力団から守るための教育や対策
これらの制度によって、企業や一般市民が暴力団と関係を持つことのリスクが高まった。
特に企業にとっては、暴力団関係者との取引がコンプライアンス上の重大問題になる。
その結果、従来のように企業や地域社会との関係を通じて資金を得ることが難しくなった。
2. 暴力団対策法の強化と継続的な取締り1992年に施行された暴力団対策法は、暴力団による不当な要求行為などを規制するための法律だ。
警察は中止命令や再発防止命令などを活用し、暴力的要求行為を抑止している。
2026年6月更新の静岡県警資料でも、こうした命令制度や企業・行政機関との連携が暴力団対策の柱として説明されている。
また、暴力団から離脱した構成員の就労や社会復帰を支援する取り組みも進められている。
警察庁の犯罪白書では、離脱に向けた働き掛けだけでなく、離脱後の就労支援や社会復帰の環境整備も重要な課題として挙げられている。
3. 高齢化と若年層の加入減少暴力団の勢力縮小には、組織の構成員の高齢化や新規加入者の確保の難しさも関係している。
暴力団に所属することで、金融機関の利用、住宅契約、就職、事業活動などにさまざまな制約が生じる。
若年層にとって、組織への加入が経済的・社会的な不利益につながる可能性が高くなっている。
こうした状況は、長期的な組織の維持に影響する。
ただし、構成員の減少が続く一方で、犯罪活動そのものがなくなるわけではない。むしろ、組織の表面化を避け、外部の人員や事業活動を利用する動きへの警戒が必要だ。
【2026年のヤクザニュースを読み解く】今後注目すべき5つのポイント
ここまでの統計と報道を総合すると、2026年の組織犯罪を評価するうえでは、次の5つの視点が重要になる。
1. 暴力団の構成員数がさらに減少するか1万7,600人という数字は過去最少だ。
今後も減少が続くのか、あるいは組織の潜在化によって実態把握が難しくなるのか。2026年以降の統計で確認したいポイントとなる。
2. 六代目山口組と神戸山口組の対立が終結するか2027年1月6日まで指定が延長されたことで、当面は警戒区域における行動制限が続く。
今後の指定更新や解除の判断は、地域住民の安全にも関係する重要なニュースだ。
3. 住吉会・稲川会の勢力変化主要団体の構成員数や中止命令の状況を比較することで、全国的な勢力の変化だけでは見えない団体ごとの動向を把握できる。
4. トクリュウの中核人物の摘発実行犯だけを逮捕しても、資金を集める中核人物が残れば犯罪活動が再開する可能性がある。
警察庁も、匿名性の壁を破り、中核人物の検挙と違法なビジネスモデルの解体を重視している。
2026年4月2日の国家公安委員会委員長代理会見では、匿名・流動型犯罪グループの情報を集約・分析する体制や、全国的な取締りを進める方針が説明された。
5. 暴力団と一般企業・海外犯罪組織の関係暴力団対策は、組織の構成員数だけを追っていても十分ではない。
企業活動を装った資金獲得、特殊詐欺、海外の犯罪組織との連携など、犯罪収益がどのように移動しているかが重要になる。
警察庁がトクリュウと暴力団、外国人犯罪組織の関係を分析しているのも、こうした背景がある。
ニュースを見極めるための判断基準ヤクザニュースを読む際には、次の違いを押さえておきたい。
| 確認する項目 | 注意すべきポイント |
|---|---|
| 構成員数 | 構成員と準構成員等を区別する |
| 検挙人員 | 犯罪件数や有罪判決数と混同しない |
| 抗争指定 | 指定の延長と抗争事件の発生を区別する |
| 団体の勢力 | 全国の人数と都道府県単位の人数を混同しない |
| トクリュウ | 暴力団との関係がある集団と、独立した集団を区別する |
特にSNSでは、組織の解散、幹部の交代、抗争終結などの情報が、確定した事実のように拡散されることがある。
公安委員会や警察庁の公表資料、複数の報道機関による確認を基準にすることで、誤った情報に振り回されにくくなる。
【ヤクザニュース最新2026】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、日本の暴力団構成員は何人ですか?
2025年末時点で、暴力団構成員等は約1万7,600人です。内訳は正式な構成員が約9,400人、準構成員等が約8,200人となっています。警察庁の統計では過去最少です。
Q2:暴力団の検挙人員7,335人は、全員が正式な組員ですか?
いいえ。正式な構成員は1,474人で、残りの5,861人は準構成員等その他の周辺者です。両者を合わせた数字が7,335人です。
Q3:六代目山口組と神戸山口組の抗争指定は解除されましたか?
2026年11月現在、解除されていません。2026年10月5日に指定期限の3カ月延長が公示され、2027年1月6日まで継続しています。
Q4:住吉会と稲川会の現在の構成員数は?
2026年5月末時点の警察資料では、住吉会が約2,100人、稲川会が約1,600人です。いずれも正式な構成員数であり、準構成員等を含む全国の暴力団勢力総数とは異なります。
Q5:トクリュウは暴力団と同じ組織ですか?
同じではありません。トクリュウは匿名性と流動性を特徴とする犯罪グループです。ただし、警察庁は一部のグループについて、暴力団との資金面・人的な関係や、犯罪活動における連携を確認しています。
Q6:日本の指定暴力団は2026年現在何団体ですか?
静岡県警察が公表した2026年5月末時点の資料では、全国で24団体です。
2026年のヤクザニュースを読み解くうえで、最も重要なのは、暴力団の人数が減少していることと、組織犯罪の脅威がなくなっていることを同一視しないことだ。
警察庁の令和7年組織犯罪情勢によれば、暴力団構成員等は1万7,600人、検挙人員は7,335人となり、いずれも過去最少を更新した。
六代目山口組と神戸山口組の対立については、2026年9月に池田組・絆會との特定抗争指定が解除された一方、神戸山口組との指定は2027年1月6日まで延長された。
加えて、トクリュウと暴力団、外国人犯罪組織の間で確認されている人的・資金的なつながりは、従来の組織犯罪対策に新たな課題を突き付けている。
今後の焦点は、単なる構成員数の減少ではなく、犯罪収益の流れを断ち、中核人物を摘発し、組織犯罪が一般社会に入り込む余地をどこまで減らせるかという点にある。
ヤクザニュース最新情報を追う際は、警察庁の統計、公安委員会の指定情報、実際の事件報道を照らし合わせることが、日本の組織犯罪の現状を正確に理解するための近道となる。
主な参考資料:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」(2026年4月)、警察庁「令和7年版警察白書」、静岡県警察「暴力団対策」(2026年6月更新)、東京都の暴力団排除ウェブサイト、神戸新聞NEXT(2026年9月)、国家公安委員会委員長代理記者会見(2026年4月2日)。