ニチガクの現在を調べるうえで、特に重要なのが2026年に入ってからの法的な動きだ。
2025年1月の破産開始決定だけでなく、その後の破産手続廃止と法人登記の閉鎖まで確認すると、事件の進展がより明確になる。
2026年1月27日、破産手続廃止が決定2026年2月12日付の官報公告に掲載された内容によると、日本学力振興会について、東京地方裁判所は2026年1月27日付で破産手続廃止を決定した。
公告に記載された理由は、次の通りだ。
破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足する。
これは、破産会社の財産だけでは破産手続を進めるための費用を賄えないという判断である。
破産手続開始後にこのような理由で手続が終了することは、一般に「異時廃止」と呼ばれる。
重要なのは、破産開始決定と破産手続廃止決定は別の出来事だという点だ。
- 2025年1月17日:破産開始決定。
- その後:破産管財人による財産・債権関係の調査。
- 2026年1月27日:破産財団の不足を理由に破産手続廃止決定。
裁判所の破産手続案内でも、配当できる財産がない場合には、配当を行わずに破産手続を終了する仕組みが説明されている。
今回の決定は、元生徒や講師などの一般債権者にとって、返金や未払い金の回収が極めて厳しい状況にあることを示す重要な情報だ。
2026年3月6日、日本学力振興会の法人登記が閉鎖加えて、経済産業省の法人情報サービス「Gビズインフォ」では、株式会社日本学力振興会について、次の情報が掲載されている。
- 法人番号:5011101024873
- 本店所在地:東京都新宿区西新宿7丁目16番6号
- 登記記録の閉鎖等の事由:清算の結了等
- 登記記録の閉鎖等年月日:2026年3月6日
これは、法人登記上も同社の記録が閉鎖されたことを示している。
2026年現在、ニチガクは再開しているのか?2026年11月時点で確認できる公的情報からは、日本学力振興会が運営していたニチガクの営業再開や、同社による新たな予備校運営を確認できない。
また、学研による支援も2025年3月末までを中心とした緊急措置であり、ニチガクの事業を引き継いだものではない。
現在の状況を整理すると、次のようになる。
| 確認項目 | 2026年11月時点の状況 |
|---|---|
| ニチガクの営業 | 再開を確認できる公表情報なし |
| 日本学力振興会 | 法人登記記録が閉鎖 |
| 破産手続 | 2026年1月27日に廃止決定 |
| 授業料返金 | 返金実施を確認できる公表情報なし |
| 講師給与 | 未払い問題の解消を示す公表情報なし |
| 学研の救済支援 | 2025年3月末までの支援策を発表 |
ここで注意したいのは、法人登記の閉鎖と、個々の債権者への支払い状況は別の問題だということだ。
法人登記が閉鎖されたからといって、すべての債権者に返金されたことを意味するわけではない。
反対に、破産手続が廃止されたことだけで、個々の債権について別の解決が一切なかったと断定することもできない。
少なくとも、2026年時点で一般の生徒や保護者に向けた新たな返金実績の公表は確認できない。
【よくある質問】予備校ニチガクの破産に関するFAQ

Q1:ニチガクが破産したのはいつですか?
A1:運営会社の日本学力振興会は2025年1月4日までに事業を停止し、1月10日に東京地方裁判所へ自己破産を申請しました。破産開始決定は1月17日です。
Q2:ニチガクの負債総額はいくらですか?
A2:東京商工リサーチの調査によると、負債総額は1億7,152万円です。債権者は349人で、そのうち約300人が生徒や従業員、講師でした。
Q3:ニチガクに支払った授業料は返金されますか?
A3:2026年11月時点で、元生徒への返金実施を確認できる公表資料はありません。2026年1月27日には、破産財団が手続費用に不足することを理由に破産手続が廃止されています。
Q4:学研がニチガクを買収したというのは本当ですか?
A4:買収や事業承継を確認できる発表はありません。学研の家庭教師や学研プライムゼミが、生徒への無償指導・映像授業の提供や講師の仕事紹介などを実施したものです。
Q5:ニチガクの破産理由は少子化だけですか?
A5:少子化と競争激化による生徒数の減少に加え、コロナ禍による収益悪化、医学部受験部門への設備投資、関係会社との不適切な会計処理、代表者交代などが重なっていました。
【プロの結論】ニチガク破産から見える教育事業者の経営リスク
ニチガクの破産から読み取れる本質的な問題は、40年以上の業歴や受験指導の実績があっても、企業の資金繰りや会計管理が健全であるとは限らないということだ。
今回の破綻には、少なくとも3つの重要な教訓がある。
1.教育実績と経営の健全性は別々に評価する予備校を選ぶ際、多くの家庭が重視するのは合格実績、講師の質、授業内容、自習室の使いやすさだ。
しかし、長期間の授業料を前払いする場合は、運営会社の経営基盤も確認する必要がある。
合格実績が優れていても、資金繰りが悪化していれば、契約期間中にサービスが停止するリスクは残る。
2.高額な前払い契約には慎重になる今回のニチガクでは、1年間の授業料を一括で支払った高校生や、医学部受験対策に数百万円を支払った浪人生の事例が報じられた。
長期契約には割引などのメリットがある一方、事業者が倒産すると未利用分の回収が難しくなる可能性がある。
特に確認したいのは次の項目だ。
- 授業料の返金条件と中途解約の規定
- 支払い先と実際のサービス提供会社の関係
- 関係会社を介した契約や決済の有無
- 一括払いと分割払いの費用・リスクの違い
- 授業停止や閉校時の対応方針
ニチガクでは、2024年4月と10月に代表者が交代し、同年末には給与未払いなどの問題が表面化していた。
もちろん、代表者交代だけで倒産を予測できるわけではない。
しかし、代表者の頻繁な交代に加え、講師への給与遅延、説明不足、支払い条件の急な変更などが重なる場合は、契約や支払いを慎重に見直す必要がある。
教育機関には、単に授業を提供するだけでなく、受験生が安心して学習を続けられる環境を維持する責任がある。
ニチガクの事例は、予備校選びにおいて、教育内容と同じくらい運営体制や経営の透明性が大切であることを示している。
大学受験予備校ニチガクを運営していた日本学力振興会は、2025年1月4日に事業を停止し、同月17日に破産開始決定を受けた。
負債総額は1億7,152万円、債権者は349人。在籍していた約130人の生徒に加え、従業員や講師にも大きな影響が及んだ。
破産の背景には、少子化や競争激化による生徒数の減少、コロナ禍による売上減少、医学部受験部門への投資負担、関係会社との不適切な会計処理、経営体制の変化があった。
また、学研グループは生徒と講師への救済支援を実施したものの、授業料の返金問題とは別の取り組みだった。
2026年の最も重要な更新は、1月27日の破産手続廃止決定と、3月6日の法人登記閉鎖である。
ニチガクの破産は、予備校の教育実績だけでは判断できない経営リスクと、受験生が前払い契約によって負う経済的リスクを浮き彫りにした。今後の予備校選びでは、合格実績だけでなく、授業料の支払い方法、返金規定、運営会社の経営状況まで確認することが欠かせない。