『進撃の巨人』には、本編では描かれなかったリヴァイとエルヴィンの出会い、アニ・レオンハートやミカサの知られざる物語、立体機動装置の開発秘話などを描いた複数のスピンオフ作品が存在する。代表作は『進撃の巨人 悔いなき選択』『進撃の巨人 LOST GIRLS』『進撃の巨人 Before the fall』の3作品だ。
加えて、学園コメディの『進撃!巨人中学校』『進撃!巨人高校 青春!となりのマーレ学園』や、4コマ漫画『寸劇の巨人』、小説版の外伝なども刊行されている。2026年11月6日現在の講談社・公式ポータルの作品情報をもとに、主人公、物語の時系列、完結状況、アニメ化の有無、初心者におすすめの読む順番まで整理した。
【全体像】進撃の巨人スピンオフは大きく分けて3つのジャンル

『進撃の巨人』のスピンオフは、単純に本編の番外編を集めたものではない。物語の空白を埋める前日譚、主要人物の内面を掘り下げる外伝、原作の設定を利用したパロディ作品という、異なる目的を持った作品群で構成されている。
1.本編の過去や人物の背景を掘り下げる作品このジャンルの代表格が『悔いなき選択』『LOST GIRLS』『Before the fall』だ。
『悔いなき選択』ではリヴァイが調査兵団に加わるまでの経緯と、エルヴィンとの出会いが描かれる。『LOST GIRLS』はアニとミカサという2人の少女に焦点を当て、本編で語られなかった心情や別の可能性を描写する。
『Before the fall』はさらに時間を遡り、巨人に対抗する技術が未成熟だった時代の人類を描いた前日譚だ。立体機動装置の発展に興味がある読者にとって、とりわけ重要な作品となる。
2.本編の登場人物を別の世界観で描く作品『進撃!巨人中学校』『進撃!巨人高校 青春!となりのマーレ学園』『寸劇の巨人』が該当する。
巨人と人間が同じ学校に通う設定や、登場人物が小さくデフォルメされた4コマ漫画など、本編の緊張感とは正反対の作風が特徴だ。原作の重い展開から離れて、エレン、ミカサ、リヴァイたちの日常的な掛け合いを楽しめる。
3.小説・実写映像など漫画以外の関連作品講談社の公式書籍情報には、『隔絶都市の女王』『果てに咲く薔薇』などの小説作品も掲載されている。また、実写映画の派生作品としてドラマ『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙』も存在する。
これらは漫画版のスピンオフと制作経緯や物語の位置づけが異なるため、同じカテゴリーとして混同しないことが大切だ。
【作品一覧】進撃の巨人スピンオフの主人公・時系列・完結状況を比較
主要作品を比較すると、それぞれが異なる人物や時代を扱っていることが分かる。特に、物語を補完する作品と、原作の世界観を使ったパロディ作品では、読む目的そのものが異なる。
| 作品名 | 主人公・中心人物 | 物語の位置づけ・特徴 | 完結・映像化状況 |
|---|---|---|---|
| 進撃の巨人 悔いなき選択 | リヴァイ、エルヴィン | 本編以前。2人の出会いとリヴァイの過去 | 漫画全2巻完結。OAD全2話 |
| 進撃の巨人 LOST GIRLS | アニ、ミカサ | 本編の裏側と、ミカサのもう一つの可能性 | 漫画全2巻完結。関連OAD全3話 |
| 進撃の巨人 Before the fall | アンヘル、キュクロ | 本編より約70年前から始まる前日譚 | 漫画全17巻完結。アニメ化なし |
| 進撃!巨人中学校 | エレン、ミカサほか | 人間と巨人が通う学校を舞台にしたコメディ | 漫画全11巻完結。TVアニメ全12話 |
| 進撃!巨人高校 青春!となりのマーレ学園 | エレン、ミカサ、リヴァイほか | マーレ学園を舞台にした学園コメディ | 全1巻。アニメ化なし |
| 寸劇の巨人 | エレン、ミカサ、リヴァイほか | キャラクターをデフォルメした4コマ漫画 | 全2巻完結。アニメ化なし |
| 進撃の巨人 隔絶都市の女王 | リタ、マティアス | 巨人の襲撃で孤立した都市を描く小説外伝 | 上下巻完結 |
| 進撃の巨人 果てに咲く薔薇 | ロザリー、ジャックス | トロスト区の戦いを背景にした小説外伝 | 上下巻刊行 |
| 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 反撃の狼煙 | ハンジ、サシャほか | 実写映画から派生したオリジナルドラマ | 全3話 |
上記のうち、まず押さえたいのは『悔いなき選択』『LOST GIRLS』『Before the fall』だ。この3作品は、本編の登場人物や世界観を理解するうえで、それぞれ異なる情報を補ってくれる。
【主要3作品を深掘り】悔いなき選択・LOST GIRLS・Before the fallの魅力
『進撃の巨人 悔いなき選択』|リヴァイとエルヴィンの出会いを描く物語中心人物:リヴァイ、エルヴィン・スミス
『悔いなき選択』は、リヴァイが地下街で生きていた時代から、調査兵団に関わるようになるまでを描いた作品だ。
講談社の公式作品紹介によると、地下街では立体機動装置を操る窃盗団が目撃されていた。そのリーダー格がリヴァイだった。調査兵団の若き分隊長エルヴィンは、彼の能力に目をつけ、ある取引を持ちかける。
この出会いは、後に人類最強の兵士と調査兵団団長として行動する2人の関係を理解するための重要なエピソードである。
本編のリヴァイは、冷静で合理的な判断を下す人物として描かれる。しかし、過去の彼は地下街という過酷な環境で生き抜いてきた人間だった。仲間との関係や、自分の生き方を決める選択が、物語の中心に置かれている。
漫画版は駿河ヒカルが作画を担当し、諫山創が原作、砂阿久雁(ニトロプラス)がストーリー原案を担当。単行本は全2巻で完結している。
リヴァイの人物像をより深く理解したい人や、エルヴィンとの信頼関係がどのように築かれたのか知りたい人には、最優先でおすすめできる作品だ。
『進撃の巨人 LOST GIRLS』|アニとミカサ、それぞれの知られざる物語中心人物:アニ・レオンハート、ミカサ・アッカーマン
『LOST GIRLS』は、アニとミカサという2人の少女を主人公にした外伝だ。アニメシリーズの脚本を担当した瀬古浩司が小説を書き下ろし、諫山創が原作を担当している。
もともとはテレビアニメのBlu-ray・DVD初回特典として収録されたビジュアルノベル「アニ外伝」「ミカサ外伝」を出発点とする。後に小説としてまとめられ、さらに漫画版も刊行された。
小説版に収録されている物語は次の3編だ。
- Wall Sina, Goodbye:アニ・レオンハートを中心に、彼女が任務を遂行する前後の出来事や内面を描く。
- Lost in the cruel world:ミカサ・アッカーマンを中心に、エレンと過ごすもう一つの可能性を描いた幻想的な物語。
- Lost Girls:少女たちの物語を補完する書き下ろしエピソード。
漫画版は不二涼介が作画を担当し、全2巻で完結している。
アニの物語では、普段は感情を表に出さない彼女の内面や、任務に向き合う姿が掘り下げられる。ミカサの物語では、エレンとの関係性を別の角度から捉える構成が印象的だ。
注意したいのは、「アニ・レオンハート外伝」「ミカサ外伝」が、それぞれ独立した長編漫画として刊行されているわけではないこと。これらは『LOST GIRLS』に収録された物語の名称として理解するのが正確だ。
『進撃の巨人 Before the fall』|立体機動装置の誕生秘話を描く前日譚中心人物:アンヘル・アールトネン、キュクロ、シャルル・イノセンシオ
『Before the fall』は、エレンたちが活躍する本編よりも約70年前から始まる前日譚だ。講談社の作品紹介でも、本編の時代から約70年前を舞台にする物語として説明されている。
物語の始まりでは、巨人の脅威から人類を守る有効な手段が十分に確立されていない。そこで登場するのが、工房で働く若き職人アンヘルだ。
アンヘルは巨人に対抗するための装置の開発に取り組む。単に戦闘能力の高い兵士を描くのではなく、技術者や開発者がどのように人類の生存戦略を変えていったのかを描いている点が特徴だ。
その後、巨人の吐瀉物の中から発見された赤ん坊がキュクロと名付けられる。巨人の子として忌み嫌われながら成長した彼は、シャルルとの出会いなどを通じて自らの運命に立ち向かう。
本作では、立体機動装置が最初から完成された兵器として存在していたわけではないことが分かる。試作段階の危険性や技術的な問題、装置の配備をめぐる組織間の事情なども物語に組み込まれている。
小説版をもとにした漫画版は士貴智志が作画を担当し、全17巻で完結。人類が巨人に対抗する技術を獲得していく過程を知りたい人には、特に読み応えのあるシリーズだ。
【読む順番】時系列順と初心者向けのおすすめ順は違う
スピンオフを読む際に迷いやすいのが、本編との時間的な前後関係だ。発売順、物語の時系列順、初心者向けのおすすめ順は必ずしも一致しない。
物語の時系列に沿って読む場合作中の時間軸を重視するなら、おおむね次の順番が目安になる。
- Before the fall:本編より約70年前から始まる人類の技術発展の物語。
- 悔いなき選択:リヴァイとエルヴィンの出会いを描く本編以前の物語。
- 進撃の巨人本編:エレンたちを中心に展開するメインストーリー。
- LOST GIRLS:本編の出来事を補完するアニの物語と、ミカサの幻想的な物語。
ただし、『LOST GIRLS』は単純な時系列の続きではない。アニの物語は本編の任務と密接に関係する一方、ミカサの物語は別の可能性を描く幻想的な構成となっている。そのため、厳密に年代順に並べられる作品ではない。
初心者におすすめの読む順番初めて『進撃の巨人』の世界に触れる人には、本編を先に読んでからスピンオフへ進む方法をおすすめしたい。
おすすめは「本編 → 悔いなき選択 → LOST GIRLS → Before the fall → ギャグ作品」の順番だ。
この順番なら、登場人物の基本的な背景や本編の重要な展開を理解した状態で外伝を楽しめる。特に『悔いなき選択』は、本編でのリヴァイとエルヴィンの関係を知ってから読むと、過去の出来事が持つ意味がより鮮明になる。
一方、巨人との戦いを支える技術や人類の歴史に興味がある場合は、『Before the fall』を先に読んでもよい。本編とは異なる時代を舞台にしているため、独立した前日譚として楽しめる。
【アニメ化情報】悔いなき選択とLOST GIRLSはOADで視聴できる
スピンオフ作品のすべてがアニメ化されているわけではない。映像作品を探す場合は、テレビシリーズとOADを区別しておきたい。
『悔いなき選択』はOAD全2話『悔いなき選択』は、原作漫画のストーリーが前編・後編の2話構成でアニメ化されている。
講談社の公式ポータルでは、原作コミックス第15巻・第16巻の限定版に付属するオリジナルアニメDVDとして案内されている。リヴァイとエルヴィンの出会いを映像で確認できるため、漫画を読んだ後の視聴にも適している。
『LOST GIRLS』はアニ編・ミカサ編がOAD化『LOST GIRLS』もアニメ化されている。具体的には、アニを中心とする「Wall Sina, Goodbye」が前後編、ミカサを中心とする「Lost in the cruel world」が1話として映像化された。
漫画や小説を読む時間がない場合でも、OADを視聴すれば主要な外伝エピソードを映像で楽しめる。ただし、小説版に収録された3編すべてが同じ形でアニメ化されているわけではない。
OAD Archiveには全8話を収録2022年4月27日には、全8話を収録したBlu-ray『進撃の巨人 OAD Archive』が発売された。
収録内容は次のとおりだ。
- 「悔いなき選択」前編・後編
- 「Wall Sina, Goodbye」前編・後編
- 「Lost in the cruel world」
- 「イルゼの手帳 ―ある調査兵団員の手記―」
- 「突然の来訪者 ―苛まれる青春の呪い―」
- 「困難」
このうち、上記の最初の5話が今回取り上げた2つのスピンオフ作品に関係するエピソードだ。残る3話は、本編の人物や世界観を補完するOAD作品である。
『進撃!巨人中学校』はテレビアニメ全12話『進撃!巨人中学校』は、2015年にProduction I.G制作でテレビアニメ化された。全12話で、人間と巨人が同じ学校に通うという設定の学園コメディだ。
一方、『Before the fall』『寸劇の巨人』『進撃!巨人高校』については、2026年11月6日時点で公式アニメ作品としての映像化情報は掲載されていない。
なお、実写ドラマ『反撃の狼煙』は全3話の実写映画派生作品であり、漫画スピンオフのアニメ化とは別の展開である。
【完結状況と2026年最新情報】今から読んでも最後まで楽しめる?
スピンオフをまとめて読みたい人にとって気になるのが、連載・刊行が終了しているかどうかだ。
主要な漫画作品はすでに完結している。『悔いなき選択』は全2巻、『LOST GIRLS』は全2巻、『Before the fall』は全17巻。『進撃!巨人中学校』も全11巻で完結している。
『進撃!巨人高校 青春!となりのマーレ学園』は2018年8月9日に発売された全1巻の作品で、独立した長期連載ではない。『寸劇の巨人』も全2巻で完結済みだ。
2026年11月時点での公式展開2026年11月6日現在、『進撃の巨人』公式ポータルでは、スピンオフ漫画や小説の既刊情報が引き続き案内されている。
一方、2026年10月から11月にかけて掲載された公式ニュースでは、劇場版の再上映やSCREENX・4DX関連企画、コラボレーションなどが確認できる。新たな長編スピンオフ漫画・小説の刊行告知は、公式の書籍情報には掲載されていない。
したがって、2026年のスピンオフを楽しむうえでは、新作の発売を待つよりも、既刊の外伝を読むことが中心となる。
小説版の外伝も見逃せない漫画以外の作品にも目を向けるなら、次の2作品も候補に入る。
『進撃の巨人 隔絶都市の女王』は、ウォール・マリアが突破された後、外部との物流を遮断された都市クィンタ区を舞台にする小説外伝だ。駐屯兵団に入団したリタと、幼なじみのマティアスを中心に、秩序を失った都市の混乱を描いている。上下巻で完結している。
『進撃の巨人 果てに咲く薔薇』は、アメリカで制作された小説をもとに、紅玉いづきが日本語版の改稿・再編を担当した作品だ。ウォール・シーナで育ったロザリーが、トロスト区の駐屯兵団に入団し、兵士ジャックスらと関わりながら巨人との戦いに身を投じる。
どちらも本編とは異なる人物を中心に据えているため、主要3作品を読んだ後の追加作品として適している。
読者の好みに合わせたおすすめ作品- リヴァイが好き:『悔いなき選択』。過去とエルヴィンとの出会いを知りたい人向け。
- アニが好き:『LOST GIRLS』。本編では描かれにくい彼女の内面を楽しめる。
- ミカサとエレンの関係が好き:『LOST GIRLS』。もう一つの可能性を描いた物語が中心。
- 世界観を深く知りたい:『Before the fall』。人類の技術発展と立体機動装置に注目したい人向け。
- 気軽に楽しみたい:『進撃!巨人中学校』『寸劇の巨人』。本編のシリアスな展開から離れたい人向け。
【よくある質問】進撃の巨人スピンオフに関するFAQ
Q1:進撃の巨人のスピンオフで一番おすすめの作品は?
A1:本編の人物関係を深く知りたいなら『悔いなき選択』がおすすめ。リヴァイとエルヴィンの出会いを描いており、リヴァイの過去を知ることができる。女性キャラクターの内面に興味があるなら『LOST GIRLS』、世界観や立体機動装置の歴史を知りたいなら『Before the fall』が適している。
Q2:アニ外伝とミカサ外伝は別々の漫画?
A2:独立した長編漫画ではない。もともとはアニメのBlu-ray・DVD初回特典に収録されたビジュアルノベルで、その後、瀬古浩司によって小説化された『LOST GIRLS』に収録されている。漫画版も『進撃の巨人 LOST GIRLS』として全2巻で刊行されている。
Q3:『Before the fall』はアニメ化されている?
A3:2026年11月6日時点で、公式アニメ作品としての映像化情報は確認できない。小説版と漫画版があり、漫画版は全17巻で完結している。立体機動装置の誕生秘話を知りたい場合は漫画版から読むとよい。
Q4:進撃の巨人スピンオフは本編を読まずに楽しめる?
A4:『進撃!巨人中学校』『寸劇の巨人』などのコメディ作品は、本編の細かな知識がなくても楽しみやすい。一方、『悔いなき選択』や『LOST GIRLS』は、本編の人物関係や設定を理解してから読むと、物語の背景をより深く味わえる。
Q5:進撃の巨人スピンオフはすべて完結している?
A5:この記事で紹介した主要な漫画シリーズは完結済み。『悔いなき選択』は全2巻、『LOST GIRLS』は全2巻、『Before the fall』は全17巻、『進撃!巨人中学校』は全11巻、『寸劇の巨人』は全2巻となっている。小説や実写ドラマは、それぞれの刊行・制作形態に応じて楽しめる。
【プロの結論】進撃の巨人スピンオフは本編の理解を深める順番で選ぶ
『進撃の巨人』のスピンオフを選ぶ際に大切なのは、単純な人気や巻数だけで判断しないことだ。それぞれの作品が本編のどの部分を補完しているのかを理解すれば、自分に合った一冊を見つけやすくなる。
リヴァイとエルヴィンの関係を知りたいなら『悔いなき選択』、アニとミカサの知られざる物語に触れたいなら『LOST GIRLS』、巨人との戦いを支える技術の歴史を知りたいなら『Before the fall』が最適だ。
また、本編とは異なる世界観でキャラクターを楽しみたいなら、『進撃!巨人中学校』や『寸劇の巨人』も見逃せない。小説外伝まで含めれば、リヴァイたちとは異なる人物の視点から、壁の中の社会や人間関係を楽しむこともできる。
2026年現在、主要なスピンオフは既刊で物語を最後まで追える状態にある。本編を読み終えた人も、これから作品世界に触れる人も、興味のある人物やテーマから外伝を選んでみてほしい。スピンオフを読むことで、本編で描かれた選択や人物の行動に、これまでとは違った意味が見えてくるはずだ。