スーパーのチーズ売り場でよく見かける「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」。どちらも牛乳などを原料とする乳製品ですが、実は原料の状態から製造工程、熟成の仕組み、味わい、保存性まで大きな違いがあります。最も重要なのは、ナチュラルチーズが乳を凝固させて作るチーズであるのに対し、プロセスチーズはナチュラルチーズを加熱・溶融し、乳化して再成型した食品だという点です。
2026年3月に公開された農畜産業振興機構のチーズ事情に関する解説でも、この2種類の製造上の違いや特徴が紹介されています。乳酸菌や凝乳酵素の働き、乳化剤を使う理由、モッツァレラとカマンベールの違い、栄養成分の数値まで理解すると、料理や食べ方に合わせたチーズ選びがしやすくなります。
【基本知識】ナチュラルチーズとプロセスチーズの定義は何が違う?

ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いを理解するには、まず日本の食品に関する規定で定められた定義を知る必要があります。
厚生労働省の「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」では、両者は異なる製造方法を持つ食品として区別されています。見た目や価格だけで分けられるものではありません。
ナチュラルチーズの定義と特徴ナチュラルチーズとは、牛乳、羊乳、山羊乳などに含まれるタンパク質を、酵素などの凝固剤によって固め、乳清(ホエイ)の一部を取り除いたもの、またはそれを熟成させたものです。
製造時には乳酸菌や凝乳酵素を利用することがあり、原料乳の種類、使用する微生物、水分量、熟成期間などによって味や食感が変わります。
特徴は、非常に多くの種類が存在することです。
- モッツァレラ:水分が多く、みずみずしい食感。
- カマンベール:白カビによって熟成させた、クリーミーなチーズ。
- ゴーダ:適度な弾力と熟成によるコクが特徴。
- チェダー:濃厚な風味としっかりした食感が魅力。
- パルミジャーノ・レッジャーノ:長期熟成による強いうま味が特徴。
重要なのは、ナチュラルチーズだからといって、必ず長期間熟成されているわけではないことです。モッツァレラやカッテージチーズのように、熟成させずに食べるフレッシュチーズもナチュラルチーズに含まれます。
プロセスチーズの定義と特徴プロセスチーズは、ナチュラルチーズを粉砕し、加熱・溶融して乳化させた後、型に入れて冷却・成型したものです。
複数のナチュラルチーズを組み合わせて製造することもできるため、メーカーが目指す味や食感に合わせて原料を調整できます。
日本で一般的なスライスチーズ、個包装の6Pチーズ、ベビーチーズなどには、プロセスチーズに分類される商品が多くあります。
製造工程で加熱するため、原料となったナチュラルチーズの微生物や酵素の働きが抑えられ、熟成による風味の変化が起こりにくくなります。その結果、比較的安定した品質を保ちやすく、日常的に使いやすい食品になります。
つまり、プロセスチーズはナチュラルチーズとは別の乳原料から作るものではなく、ナチュラルチーズを加工して作るものです。
【製造工程を解説】乳酸菌・凝乳酵素・加熱溶融・乳化剤の役割
両者の違いが最も明確に現れるのが製造工程です。ナチュラルチーズは乳を固めてチーズに仕上げますが、プロセスチーズは完成したナチュラルチーズを再加工します。
ナチュラルチーズは乳酸菌と凝乳酵素で作られる一般的なナチュラルチーズの製造は、次のような流れで進みます。
- 原料乳の殺菌:牛乳などの原料乳を適切な条件で加熱殺菌する。
- 乳酸菌の添加:スターターと呼ばれる乳酸菌を加え、乳糖を乳酸に変えて酸性化させる。
- 凝乳酵素の添加:レンネットなどの凝乳酵素を加え、乳タンパク質を凝固させる。
- カードの切断:固まった乳を細かく切り、ホエイを排出しやすくする。
- 撹拌・加熱:カードの水分量や弾力を調整する。
- 型詰め・圧搾・加塩:水分を調整し、形を整えて塩を加える。
- 熟成:必要に応じて温度や湿度を管理し、熟成させる。
ここで重要なのが乳酸菌と凝乳酵素の役割の違いです。
乳酸菌は乳糖を分解して乳酸を生成し、チーズの酸味や風味、製造環境に影響を与えます。一方、凝乳酵素は乳のタンパク質を凝固させ、液体だった牛乳をカードと呼ばれる固形物に変える働きをします。
その後、熟成を行うタイプでは乳酸菌やカビなどの微生物、酵素の働きによってタンパク質や脂肪が分解され、独特の香りやうま味が生まれます。
プロセスチーズは加熱溶融して再び固めるプロセスチーズの製造では、すでに完成しているナチュラルチーズを原料にします。
- 原料の選定:目的の味や食感に合わせてナチュラルチーズを選ぶ。
- 粉砕・配合:原料チーズを細かく砕き、必要に応じて複数種類を混ぜる。
- 加熱・溶融:乳化剤を加えながら加熱し、均一に溶かす。
- 成型:溶融したチーズをスライス状やブロック状などに成型する。
- 冷却:冷やして固め、包装する。
一般社団法人日本乳業協会が紹介する製造工程では、加熱・溶融の温度は75〜120℃とされています。実際の温度や時間は製品の設計や製造条件によって異なります。
乳化剤はなぜ必要なのか?プロセスチーズの製造で欠かせないのが乳化剤です。
ナチュラルチーズを単純に加熱するだけでは、タンパク質や脂肪、水分が分離しやすくなり、均一な状態に仕上げることが難しくなります。
そこで乳化剤を使用し、脂肪と水分などの成分が分離しにくい状態に整えます。これにより、なめらかな口当たりと均一な組織を持つチーズを作りやすくなります。
乳化剤にはリン酸塩などの乳化塩が使用されることがあります。これはチーズを均一に混ぜ合わせるための製造上の役割を担うものです。
乳化剤という言葉だけで食品の品質を判断するのではなく、原材料表示や栄養成分表示を確認することが大切です。
【比較表】味・食感・熟成・保存性はどう違う?
ナチュラルチーズとプロセスチーズは、製造方法が異なるため、完成した商品の特徴にも違いが生まれます。
特に注目したいのは、熟成による風味の変化と、加熱加工による品質の安定性です。
| 比較項目 | ナチュラルチーズ | プロセスチーズ |
|---|---|---|
| 原料 | 牛乳・羊乳・山羊乳など | ナチュラルチーズ |
| 基本製法 | 乳を凝固させて製造 | 粉砕・加熱溶融・乳化・再成型 |
| 乳酸菌 | 製造に使用することがある | 原料由来の微生物の働きは加熱によって抑えられる |
| 熟成 | 熟成するものとしないものがある | 製造後の熟成による変化は基本的に起こりにくい |
| 味 | 種類や熟成度によって多彩 | 比較的均一で安定している |
| 食感 | 柔らかいものから硬いものまで幅広い | なめらかで均一なものが多い |
| 保存性 | 種類によって差が大きい | 比較的保存性に優れる |
| 風味の変化 | 熟成によって変化する商品がある | 比較的変化しにくい |
| 代表例 | モッツァレラ、カマンベール、ゴーダ | スライスチーズ、6Pチーズ、ベビーチーズなど |
| 主な用途 | サラダ、ピザ、チーズ料理、ワインのお供 | トースト、サンドイッチ、お弁当、日常の軽食 |
ナチュラルチーズを理解するうえで、もう一つ知っておきたいのが熟成の有無です。
熟成チーズは、一定の温度や湿度のもとで微生物や酵素の働きを利用して風味を発達させたものです。熟成が進むにつれて、タンパク質が分解され、うま味や香り、口当たりが変化します。
一方、非熟成チーズは製造後に長期間の熟成を行わず、フレッシュな風味を楽しむタイプです。
代表例を比較すると、次のようになります。
- モッツァレラ:非熟成タイプの代表例。水分が多く、ミルクの風味とさっぱりした酸味が特徴。
- カッテージチーズ:水分が多く、軽い口当たりでサラダにも使いやすい。
- カマンベール:白カビによって熟成させるタイプ。熟成が進むと内部が柔らかくなる。
- ゴーダ:熟成によってコクやうま味が増していく。
つまり、ナチュラルチーズは熟成するものとしないものを含む幅広い分類です。「ナチュラルチーズ=熟成チーズ」という理解は正確ではありません。
【栄養成分を数字で検証】カルシウム・タンパク質・脂質を比較
健康や食生活を意識してチーズを選ぶ人にとって、栄養成分も気になるポイントです。
ナチュラルチーズとプロセスチーズのどちらが栄養豊富なのかは、単純には決められません。ナチュラルチーズには多くの種類があり、原料や水分量、熟成度によって栄養成分が異なるためです。
100g当たりの栄養成分比較文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」のデータを基準に、プロセスチーズ、モッツァレラ、カマンベールを比較します。
| 栄養成分 | プロセスチーズ | モッツァレラ | カマンベール |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 313kcal | 269kcal | 291kcal |
| タンパク質 | 22.7g | 18.4g | 19.1g |
| 脂質 | 26.0g | 19.9g | 24.7g |
| カルシウム | 630mg | 330mg | 460mg |
| 食塩相当量 | 2.8g | 0.2g | 2.0g |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。すべて可食部100g当たりの数値。商品や製造方法によって実際の成分は異なります。
この比較で注目したいのは、プロセスチーズが必ずしもナチュラルチーズより栄養価で劣るわけではないという点です。
今回比較した3種類では、プロセスチーズのタンパク質とカルシウムが最も多くなっています。ただし、ナチュラルチーズにはパルメザンやチェダーなど、さらにカルシウムが多い種類もあります。
カルシウムを効率よく摂りたいなら?カルシウムは骨や歯を構成する重要なミネラルです。チーズは乳由来のカルシウムを含み、日常の食事に取り入れやすい食品です。
ただし、カルシウムの量だけを見て選ぶのではなく、食塩相当量や脂質、食べる量も確認しましょう。
例えば、今回の成分表ではプロセスチーズ100g当たりのカルシウムは630mgですが、食塩相当量は2.8gです。一般的な1切れを17〜20g程度と考えれば、100g当たりの数値をそのまま1回の食事量と混同する必要はありません。
タンパク質を補いたいときの選び方チーズには乳由来のタンパク質が含まれています。筋肉や皮膚など、身体を構成する栄養素を補う食品としても活用できます。
タンパク質の量を重視する場合は、チーズの種類だけでなく、1回に食べる量と脂質・カロリーのバランスも考慮することがポイントです。
特にプロセスチーズは個包装の商品が多く、食べる量を把握しやすいメリットがあります。ナチュラルチーズなら、パルメザンやゴーダなどの硬質・半硬質タイプも選択肢になります。
なお、乳酸菌を使って製造されるナチュラルチーズでも、完成した製品に生きた乳酸菌が必ず残っているとは限りません。プロセスチーズも加熱工程を経るため、一般的な発酵食品と同じ感覚で生きた菌の摂取を期待するのは適切ではありません。
【保存方法と溶けやすさ】賞味期限・冷蔵保存・加熱調理の違い
チーズ選びでは、味だけでなく保存のしやすさや料理に使ったときの溶け方も重要です。
プロセスチーズは保存性に優れるプロセスチーズは加熱溶融によって原料由来の微生物や酵素の働きが抑えられるため、ナチュラルチーズと比較して品質が安定しやすい特徴があります。
特に個包装タイプは、必要な分だけ取り出せるため、家庭で使いやすい商品です。
ただし、保存期間は製品によって異なります。未開封であれば、パッケージに記載された保存方法と賞味期限を守ることが基本です。
農林水産省が説明する賞味期限は、未開封の状態で表示された保存方法を守った場合に、おいしく食べられる期限を示しています。開封後は期限表示だけに頼らず、できるだけ早めに食べる必要があります。
ナチュラルチーズの正しい保存方法ナチュラルチーズは種類によって水分量や熟成状態が違うため、保存方法にも注意が必要です。
- 温度管理:商品に表示された保存条件を守り、一般的な冷蔵保存タイプは10℃以下を目安にする。
- 乾燥対策:切り口をラップで包み、密閉容器に入れる。
- 湿気対策:水滴や結露が付いた場合は、状態に応じて表面の水分を取り除く。
- におい移り対策:密閉容器などを利用して、ほかの食品のにおいを吸収しにくくする。
- 開封後:賞味期限にかかわらず、なるべく早く食べる。
冷凍保存は、一般的なチーズでは食感や風味が変わることがあります。ピザ用チーズなど冷凍可能な商品もあるため、必ずパッケージの表示を確認してください。
また、熟成によって表面に白カビが付いているカマンベールなどと、家庭で保存中に意図せず発生したカビは別物です。家庭で保存中に不自然なカビが発生した場合は、見える部分だけを取り除いて食べるのではなく、廃棄するのが安全です。
プロセスチーズは溶けやすい?ナチュラルチーズとの違い料理に使う際、よくある疑問が「どちらのチーズがよく溶けるのか」という点です。
実は、ナチュラルチーズとプロセスチーズのどちらが必ず溶けやすいという決まりはありません。
ナチュラルチーズの中でもモッツァレラは、加熱すると伸びやすく、ピザやグラタンに適しています。熟成度や水分量、脂肪分によっても溶け方は変わります。
一方、プロセスチーズは製造工程で一度加熱溶融されているため、加熱後に再び同じような糸引きや伸びを得られるとは限りません。
ただし、プロセスチーズにも加熱調理を想定して設計された商品があります。明治の食育情報でも、原料チーズの熟成度や製造時の加熱条件を調整することで、とろけやすいスライスチーズが作られる仕組みが説明されています。
したがって、ピザ用やトースト用の商品を選ぶときは、ナチュラルチーズかプロセスチーズかという分類だけでなく、パッケージの用途表示も確認すると失敗しにくくなります。
【料理別の選び方】モッツァレラ・カマンベール・プロセスチーズを使い分ける
チーズは種類によって風味や食感が異なるため、料理に合わせて使い分けると仕上がりが大きく変わります。
モッツァレラチーズはサラダやピザにおすすめモッツァレラは熟成させないフレッシュタイプのナチュラルチーズです。
水分が多く、ミルクの風味とさっぱりした酸味が特徴です。加熱すると伸びやすいため、さまざまな料理に利用できます。
おすすめの使い方は次のとおりです。
- カプレーゼなどのトマトサラダ
- マルゲリータピザ
- グラタンやラザニア
- 焼き野菜とチーズの組み合わせ
特にトマト、バジル、オリーブオイルとの相性がよく、素材の味を生かした料理に向いています。
カマンベールチーズはおつまみや濃厚な料理におすすめカマンベールは表面に白カビを付けて熟成させるナチュラルチーズです。
熟成が進むにつれて内部が柔らかくなり、クリーミーな食感と独特の香りが生まれます。
おすすめの食べ方は次のとおりです。
- そのままカットしてワインのおつまみにする。
- オーブンで温めて、とろける食感を楽しむ。
- パンやクラッカーにのせる。
- キノコやベーコンと合わせて焼く。
モッツァレラが比較的あっさりした味わいなのに対し、カマンベールは熟成によるコクや香りを楽しめるチーズです。
プロセスチーズは毎日の料理やお弁当に便利プロセスチーズの魅力は、扱いやすさと安定した味わいです。
個包装の商品なら必要な分だけ使えるため、朝食やお弁当などにも取り入れやすくなっています。
具体的には、次のような料理に適しています。
- チーズトースト
- ハムチーズサンドイッチ
- おにぎりの具材やアレンジ料理
- ハンバーグのトッピング
- 卵焼きやオムレツ
クセが比較的少ない商品も多く、チーズの強い香りが苦手な人にも選びやすいでしょう。
料理に合わせたおすすめチーズ一覧- ピザ:モッツァレラ、ピザ用シュレッドチーズ
- トースト:とろけるタイプのプロセスチーズ
- サラダ:モッツァレラ、カッテージチーズ
- グラタン:モッツァレラ、ゴーダ、チェダー
- おつまみ:カマンベール、ゴーダ、ブルーチーズ
- サンドイッチ:プロセスチーズ、チェダー
- パスタ:パルミジャーノ・レッジャーノ、ゴーダ
- お菓子:クリームチーズ、マスカルポーネ
店頭でナチュラルチーズとプロセスチーズを見分けたい場合は、商品の見た目よりも食品表示を確認するのが確実です。
日本の食品表示では、チーズの種類別名称などを確認することで、どのような分類の商品なのか判断できます。
- 「ナチュラルチーズ」と表示されている商品:乳を凝固させて製造したチーズ。
- 「プロセスチーズ」と表示されている商品:ナチュラルチーズを加熱溶融・乳化して再成型したもの。
- 「乳等を主要原料とする食品」と表示されている商品:チーズとは別の食品分類である可能性があるため、原材料を確認する。
例えば、ピザ用のシュレッドチーズにはナチュラルチーズが使われている商品が多い一方、スライスチーズにはプロセスチーズが多くあります。ただし、形状だけでは分類できません。
見た目が似ていても製法が異なることがあるため、購入時にはパッケージの種類別名称や原材料表示を確認する習慣を付けるとよいでしょう。
【よくある誤解を検証】ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いに関するよくある質問(FAQ)
Q1:ナチュラルチーズとプロセスチーズはどちらが体にいいですか?
A1:どちらか一方が必ず健康によいとはいえません。どちらもタンパク質やカルシウムを含みます。商品によって脂質や食塩相当量が異なるため、栄養成分表示を比較して選ぶことが大切です。
Q2:プロセスチーズには乳酸菌が入っていないのですか?
A2:原料となるナチュラルチーズの製造では乳酸菌が使われることがあります。ただし、プロセスチーズは加熱溶融工程を経るため、原料に含まれていた乳酸菌の働きは基本的に抑えられます。生きた乳酸菌を摂取する目的で選ぶ食品とは区別しましょう。
Q3:ナチュラルチーズは必ず熟成されていますか?
A3:いいえ。モッツァレラやカッテージチーズのように、熟成させないフレッシュタイプもナチュラルチーズに分類されます。
Q4:プロセスチーズはナチュラルチーズより保存期間が長いですか?
A4:一般的にはプロセスチーズのほうが品質が安定しやすく、保存性に優れています。ただし、賞味期限は製品ごとに異なるため、パッケージに記載された保存条件を守ってください。
Q5:ピザにはナチュラルチーズとプロセスチーズのどちらが向いていますか?
A5:伸びや糸引きを重視するならモッツァレラなどのナチュラルチーズがおすすめです。手軽さや均一な仕上がりを求めるなら、とろけるタイプのプロセスチーズも便利です。
Q6:乳化剤が入っているプロセスチーズは避けたほうがいいですか?
A6:乳化剤は、加熱したチーズの脂肪や水分などを均一に混ぜ合わせるために使われます。使用されているという理由だけで食品の良し悪しを判断するのではなく、原材料や栄養成分、食べる量を含めて考えるとよいでしょう。
Q7:ナチュラルチーズとプロセスチーズは見た目だけで区別できますか?
A7:確実な判別はできません。スライス状やブロック状など、見た目は共通する商品もあります。パッケージに記載された種類別名称を確認するのが最も確実です。
ナチュラルチーズとプロセスチーズの最大の違いは、原料と製造工程にあります。
ナチュラルチーズは乳を乳酸菌や凝乳酵素などの働きによって凝固させて作る食品です。熟成の有無や原料、製造方法によって、さっぱりしたものから濃厚なものまで多彩な味わいが生まれます。
一方、プロセスチーズはナチュラルチーズを粉砕し、乳化剤を加えて加熱溶融した後に再成型したものです。品質や風味が安定しやすく、保存や調理のしやすさに優れています。
選び方に迷ったときは、次の基準を参考にしてください。
- チーズ本来の風味や熟成による変化を楽しみたい人:ナチュラルチーズ。
- ミルクの風味やさっぱりした食感を楽しみたい人:モッツァレラなどのフレッシュチーズ。
- 濃厚な香りやクリーミーな食感が好きな人:カマンベールなどの熟成チーズ。
- 保存のしやすさや手軽さを重視する人:プロセスチーズ。
- 料理での使いやすさを重視する人:用途に合わせたスライスチーズやピザ用チーズ。
また、栄養面ではプロセスチーズが必ず劣るわけではなく、カルシウムやタンパク質の含有量は商品や種類によって変わります。健康を意識するなら、分類だけで判断せず、食塩相当量や脂質、1回に食べる量も確認しましょう。
2026年現在も、チーズ選びで大切なのは「ナチュラルかプロセスか」という二択だけではありません。製法、熟成、栄養、保存性、料理との相性を知ることで、毎日の食卓に合ったチーズをより上手に選べます。
主な事実確認資料
- 厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」
- 農林水産省「牛乳乳製品統計調査」
- 農畜産業振興機構「わが国のチーズ事情」(2026年3月5日更新)
- 日本乳業協会「チーズはどのように製造されていますか?」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 農林水産省「チーズのプロがナビゲート!国産チーズを学ぼう」