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【2026年最新ガイドライン】JRC蘇生ガイドライン2025で確認する救命の原則

伊部 拓海 伊部 拓海 • 更新: • 公開: • 読了約 8 分
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2026年のAED使用を考えるうえで、押さえておきたいのが日本蘇生協議会(JRC)の最新指針だ。

JRC蘇生ガイドライン2025は、当初の発刊予定から編集作業の都合で延期され、2026年7月13日に書籍版が発刊された。

内容は一次救命処置(BLS)、二次救命処置(ALS)、小児・新生児・妊産婦の蘇生、ファーストエイド、救命処置に関する倫理と法など、全12章で構成されている。

JRCが示す救助者保護の課題

特に注目したいのが、第12章に関連する救命処置の倫理と法だ。

公開されたオンライン補遺では、SNS上で女性への救護活動がわいせつ行為やセクシュアルハラスメントと誤解されることへの懸念が取り上げられている。

また、救護者を明確に保護する法律が存在しないことや、救命行為をためらわせないための法整備の必要性も指摘されている。

ここで重要なのは、法律上の課題があることと、女性へのAED使用を控えるべきことは全く別の問題だという点だ。

日本赤十字社のAED使用方法と共通する原則

日本赤十字社が示しているAEDの基本的な使用方法は、次の3点に集約できる。

- AEDの電源を入れる。
- 電極パッドを適切な位置に素肌へ貼る。
- AEDの音声指示に従って心電図解析と電気ショックを行う。

女性の場合も、この基本原則は変わらない。

ブラジャーを外すこと自体が目的ではなく、正しい位置に電極パッドを装着することが目的だ。

また、AEDの機種によって電源の入れ方やパッドの接続方法が異なるため、実際の現場では本体の音声案内に従う必要がある。

救命をためらわないために覚えておきたい5つの判断基準
判断すること 適切な対応 避けるべき対応
傷病者の性別 男女問わずAEDを使用 女性だから使用しない
ブラジャー ずらして素肌に貼る 下着の上から貼る
服装 必要な範囲だけずらす 全部脱がせることにこだわる
プライバシー タオルや人垣で配慮 目隠しの準備で救命を遅らせる
法的な不安 救命目的で必要な処置を行う 訴訟の噂を理由に救助を放棄する

なお、2026年の研究論文では、2022年に実施された男性544人へのインターネット調査も紹介されている。

女性にAEDを使用することについて、61.4%が「性別は関係なく、必要であればAEDを使う」と回答した一方、29.4%は「できれば女性には使いたくないと感じる」、9.2%は「女性であればAEDは使わない」と回答した。

これは全国の男性全体の意識を代表する統計ではないが、救助者側の心理的な抵抗感が存在することを示す資料だ。

必要なのは、男性に一方的な責任を押し付けることではない。正しい知識を共有し、誰もが安心して救命に参加できる環境を整えることだ。

【プロの結論】女性へのAED使用で本当に優先すべきこと

aed女性助けないほうがいい

救命の現場で判断を誤らないために、最後に3つのポイントを整理したい。

第一に、女性へのAED使用を控える医学的な理由はない。

AEDは男女を問わず、心停止が疑われる人に使用する。女性だからという理由で使用を遅らせることは、救命の機会を失わせる可能性がある。

第二に、プライバシーへの配慮は救命処置と同時に実現できる。

ブラジャーをずらす、衣服を必要な範囲だけ開く、タオルで覆う、周囲の人に目隠しを頼む。こうした対応を知っておくだけでも、救助者の心理的な負担は軽減できる。

第三に、法律上の不安は正しい情報で判断する。

警察庁が把握している訴訟事例はなく、専門家による判例調査でも該当する事例は確認されていない。善意で必要な救命行為を行った場合の法的責任についても、民法や刑法上の保護の考え方が存在する。

ただし、救助者を無条件に免責する法律があるわけではないため、必要な救命行為を適切に行うことが大切だ。

救命に参加する人を守る仕組みと、救助を受ける人の尊厳を守る仕組み。その両方を整えていくことが、今後の課題となる。

【よくある質問】女性へのAED使用に関するFAQ

Q1:男性が女性にAEDを使用すると訴えられることはありますか?

A1:日本ファクトチェックセンターの2025年の調査では、警察庁は該当する訴訟事例を把握していないと回答しています。弁護士による判例検索でも該当する事例は見つかっていません。正当な救命目的の処置であれば、刑事・民事責任を問われる可能性は極めて低いと考えられています。

Q2:女性にAEDを使うとき、ブラジャーは外さなければいけませんか?

A2:必ずしも外す必要はありません。ブラジャーをずらして、電極パッドを右鎖骨の下と左胸の側面の素肌に直接貼ります。ワイヤーや金属部分がパッドに触れないようにしてください。

Q3:女性の胸を露出させずにAEDを使用できますか?

A3:衣服や下着をずらす方法、AEDシート、タオル、衝立、人垣などを活用できます。ただし、衣服の形状によっては必要な部分を露出させたり、切ったりする場合もあります。

Q4:女性にAEDを使うとセクハラになりますか?

A4:救命のために必要な範囲で行うAEDの使用は、通常、性的な目的の行為とは異なります。必要のない身体接触などは避け、救命目的に沿った行動を取ることが大切です。

Q5:女性の救助者が来るまで待ったほうがいいですか?

A5:待つ必要はありません。女性の救助者が協力できるならプライバシー保護などを依頼してもよいですが、最初に居合わせた人が直ちに119番通報、胸骨圧迫、AEDの準備を始めることが重要です。

Q6:AEDの電極パッドを服の上から貼ってもいいですか?

A6:いいえ。電極パッドは素肌に直接貼る必要があります。服をすべて脱がせる必要はありませんが、貼る場所の衣服や下着はずらしてください。

「女性にAEDを使わないほうがいい」という情報は、医学的にも救命の観点からも適切ではない。

警察庁への取材では、女性へのAED使用を理由とした訴訟事例は把握されておらず、弁護士による判例調査でも該当する事例は確認されていない。

一方、全国規模の研究では女性のAEDによる除細動実施率が男性より低いという実態が明らかになっている。

2026年11月には、女性のプライバシーを守りながらAEDを使用する方法について、具体的な衣服の検証を行った学術論文も公開された。

今後はAEDの設置台数を増やすだけでなく、ブラジャーをずらす方法、パッドの正しい位置、目隠し用シートの配備、救助者を保護する法制度などを総合的に整える必要がある。

救命の現場では、女性か男性かで助けるかどうかを判断してはいけない。

必要なのは、性別に関係なく命を救う行動を起こし、その人の尊厳とプライバシーも守ることだ。

正しい知識を持つことが、救助する人の不安を減らし、救助される人の命と尊厳を守ることにつながる。

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伊部 拓海
コンテンツディレクター 伊部 拓海
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映画・ドラマ担当。公開資料と一次報道を照合し、ネタバレの扱いには線引きルールを設けています。

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