ホーム 芸能ニュース・ゴシップ 「長男だから耐えられた」は本当か?2026年451名調査で介護負担と家族の責任を検証

「長男だから耐えられた」は本当か?2026年451名調査で介護負担と家族の責任を検証

水沢 陽菜 水沢 陽菜 • 更新: • 公開: • 読了約 18 分
目次

2026年6月5日に公表された、株式会社Speeeの介護情報サイト「ケアスル介護」による当事者調査では、介護経験者など451名の回答から、長子の48.8%が日々の介護実務をほぼ一人で担っている実態が示された。これは長男だけを対象とした数字ではなく、長男・長女を含む長子グループの結果だ。長男だから耐えられたという言葉の背景には、性別だけでは説明できない家族内の負担構造がある。

【長男だから耐えられた理由と真相】451名調査が明らかにした介護ワンオペの実態

長男だから耐えられた
長子の48.8%が介護実務をほぼ一人で担当

今回の調査で最も注目すべきなのは、介護実務の負担が続柄によって大きく異なっていた点だ。

ケアスル介護を運営する株式会社Speeeが公表した「親の介護と兄弟の関係性についてのアンケート」は、全国の介護経験者など500名を対象に実施された。有効回答451名を分析し、一人っ子とその配偶者を除いたうえで、長子・中間子・末っ子に分類している。

調査期間は2026年4月8日。男性328名、女性172名を対象としたインターネット調査で、分析対象の451名には長子の配偶者なども含まれている。

日々の介護実務をほぼ100%自分で担っていると回答した割合は、次のとおりだった。

  • 長子:48.8%
  • 中間子:18.0%
  • 末っ子:20.8%

長子の割合は中間子の約2.7倍、末っ子の約2.3倍に達する。

ここでいう介護実務には、通院の付き添い、介護用品の調達、服薬管理などが含まれる。単に親の様子を気にかけるという話ではなく、日常生活を維持するための具体的な仕事が集中しているのだ。

「長男だから」という理由で役割を押しつけられる

さらに注目したいのが、長子が経験する兄弟間のトラブルである。

同調査では、長子の56.6%が兄弟間のトラブルを経験していた。そのなかで最も多かったのは、「長男だから」「長男の嫁だから」という理由で介護を押しつけられるという問題で、33.9%に達している。

長子本人の希望や生活状況ではなく、生まれた順番を根拠に担当者が決められてしまう。これが家族内の役割固定を生み出す大きな要因になっている。

「長男だから耐えられた」という言葉は、責任を引き受けた本人の誇りや愛情を表す場合もある。一方で、周囲から期待された役割を断れず、負担を受け入れ続けた結果として使われる場合もある。

今回の数字から分かるのは、長子がほかのきょうだいより精神的に強いということではない。むしろ、長子という立場に実務が集中しやすい状況が存在するということだ。

調査結果を読み解く際の注意点

48.8%という数字は、全国のすべての長男・長女のうち約半数がワンオペ介護をしているという意味ではない。介護経験者などを対象としたインターネット調査の回答結果であり、長子グループには配偶者も含まれている。

また、調査は続柄と負担状況の関連を示したものであり、長子であることが介護負担を直接引き起こしたと証明するものではない。家族構成、居住距離、仕事、親の健康状態なども影響する。

それでも、長子への負担集中が他の続柄と比較して際立っている点は、家族介護の実態を考えるうえで重要な材料となる。

【長男・長女の介護負担を比較】中間子・末っ子との役割の違いとは

長男と長女はどちらの負担が大きいのか

長男と長女の介護負担を比較するときには、実際の介護実務と、家族が誰を主担当にすべきだと考えているかを区別する必要がある。

ケアスル介護の451名調査では、長男・長女をまとめた長子グループとして集計されている。そのため、男性の長男と女性の長女のどちらが多く実務を担っているのかまでは分からない。

一方、株式会社LIFULLのグループ会社LIFULL seniorが2025年12月16日に公表した介護の担い手に関する意識調査では、子ども側が親の介護の主担当として考える続柄は、長男が30.1%、長女が24.3%だった。

この結果は、実際の介護時間を比較したものではない。しかし、親の介護を長男や長女が担うべきだという意識が、子ども側に存在することを示している。

同じ調査で、親側が自分の介護を担ってほしい相手として最も多く挙げたのは配偶者の59.8%だった。親側と子ども側では、介護の担い手に対する考え方にも違いがある。

続柄別に見る介護実務と家族内の負担

ケアスル介護の調査結果を整理すると、長子・中間子・末っ子では、それぞれ異なる負担の形が浮かび上がる。

続柄・関係者 介護実務の特徴 調査で明らかになった問題
長男・長女(長子) 実務のほぼ100%を担当する割合48.8% 続柄を理由とする介護の押しつけ33.9%
中間子 自分が中心となり他のきょうだいが手伝う割合42.6% 兄弟間トラブル経験率77.0%
末っ子 他のきょうだいが中心となり、自分は補助する割合23.6% 末っ子・独身・同居などを理由とする押しつけ20.8%
親の配偶者 子ども側とは異なる介護の担い手への希望 LIFULL調査で59.8%が配偶者を希望

この比較から分かるのは、介護の負担が必ずしも長子だけに存在するわけではないということだ。

中間子は日々の実務を主導しながら、ほかのきょうだいとの調整も求められる。末っ子は補助的な役割を担う傾向がある一方、独身や同居を理由に負担を求められることもある。

つまり、家族介護の問題は、単純に誰が一番大変かを決めるだけでは解決しない。実務、費用、意思決定、精神的な負担を別々に見ていく必要がある。

【長子の責任感と家族の期待】なぜ家族内で役割が固定されるのか

生まれた順番が介護の担当者を決めてしまう

長男が親の面倒を見るという考え方には、家族を守る立場としての期待や、親の近くで暮らしている子どもが対応するという生活上の事情など、複数の要素が重なっている。

ただし、長男であることと、介護を実際に担えることは別問題だ。

仕事で遠方に住んでいる、子育て中である、自分自身の健康上の事情があるなど、家族によって生活条件は異なる。こうした条件を無視して、長男だからという理由だけで実務を割り当てれば、負担の偏りは解消されない。

また、一度長子が通院や行政手続きなどを引き受けると、その後も同じ人が担当することが当然視されやすい。ほかのきょうだいが手伝う機会を失い、最初の担当者がそのまま中心的な介護者になる構造も考えられる。

親と子どもの間にも介護意識のギャップがある

LIFULL seniorの2025年12月の調査では、親側が長男を介護の主担当として希望する割合は15.4%だったのに対し、子ども側では30.1%だった。

子ども側の割合は親側の約2倍である。

親は子どもに負担をかけたくないと考えていても、子ども側は自分たちが面倒を見るものだと受け止めている可能性がある。

この認識の違いは、介護が始まる前には表面化しにくい。親が元気なうちは、誰が通院に付き添うのか、費用をどこから出すのか、施設への入居を誰が判断するのかといった話題を避けてしまうからだ。

長男の責任感は家族を支える一方で、自分を追い込むこともある

長男として親を支えたいという気持ちそのものを否定する必要はない。親への感謝や家族への愛情から、自分ができることを積極的に引き受ける人もいる。

問題は、本人が選んだ責任と、周囲から一方的に課された責任が区別されなくなることだ。

例えば、兄弟が複数いるのに通院も買い物も緊急連絡も一人に集中している場合、その人の責任感だけで解決しようとすると、介護が長期化するほど生活への影響が大きくなる。

責任感がある人ほど、自分の疲労を後回しにしやすい。だからこそ、本人が限界を迎える前に、家族全員で役割を見直す仕組みが必要になる。

【介護費用は誰が負担する?】きょうだい間の金銭格差とトラブル

長子は実務だけでなく費用も負担しやすい

ケアスル介護の451名調査では、介護費用の分担についても続柄による違いが確認された。

全体では、介護費用を親の資産だけで100%賄えている家庭が55.2%だった。しかし、続柄別に見ると長子は64.0%、中間子は32.8%、末っ子は54.2%となっている。

さらに重要なのは、親の資金だけで賄えていない家庭に限定した結果だ。

  • 長子:78.2%
  • 中間子:68.3%
  • 末っ子:21.2%

この数字は、自分一人で全額を負担する、または自分が多めに負担すると回答した割合である。

つまり、親の資金だけで介護費用を賄えない場合、長子は金銭的な負担も引き受けやすい。日々の世話と経済的な支援が同じ人に集中する可能性がある。

中間子は親の資金不足と兄弟間の摩擦に直面しやすい

今回の調査では、中間子のトラブル経験率が77.0%と最も高かった。

特に目立ったのは、仕事や遠方居住などの事情で介護を手伝えないにもかかわらず、きょうだいから理解されず責められるという問題だ。

また、中間子では親の資産だけで介護費用を賄えている割合が32.8%にとどまっていた。費用負担が生じた家庭では、68.3%が自分で全額または多めに負担している。

中間子は、実務の中心を担いながら、金銭面の調整やきょうだいとの関係にも気を配らなければならないケースがある。

介護費用を公平に分けるために必要なこと

介護費用をきょうだいで分担するとき、必ずしも全員が同じ金額を出すことが公平とは限らない。

それぞれの収入、生活費、居住距離、仕事の状況、介護に使える時間は異なる。金銭負担を均等にしても、一人が毎日の介護実務を担っているなら、実質的な負担は均等にならない。

まず確認したいのは、親自身の年金、預貯金、保険、介護保険サービスの利用状況である。親の資金で対応できる部分と、家族が追加で負担する部分を明確に分けることが出発点になる。

そのうえで、次の項目を共有しておきたい。

  • 介護サービスや施設利用に必要な費用
  • 医療費、通院費、介護用品などの実費
  • 親の預貯金や年金から支出する金額
  • きょうだいが負担する金額と支払い方法
  • 費用の記録と領収書の管理担当者

介護費用を誰かが立て替え続ける状況を避けるためにも、支出を記録し、きょうだい全員が確認できるようにしておくことが大切だ。

長男だけに法的な介護義務があるわけではない

ここで誤解しやすいのが法律上の扶養義務である。

民法第877条では、直系血族および兄弟姉妹が互いに扶養する義務を負うと定められている。親と子どもの関係だけでなく、兄弟姉妹間の扶養についても規定されている。

一方、法律に長男だけが親の介護を担うという規定はない。民法第878条・第879条では、扶養義務者が複数いる場合の順位や扶養の程度・方法について、協議がまとまらない場合には家庭裁判所が事情を考慮して定める仕組みが設けられている。

したがって、「長男だから法律上、自分だけが親の介護をしなければならない」という理解は正確ではない。扶養の法的な問題と、日々の介護を誰が実際に担うかという問題は分けて考える必要がある。

【親の介護をワンオペにしない方法】きょうだいの役割分担と相談先

介護実務を細分化して担当者を決める

親の介護を公平に分担するために、最初から全員が同じ作業をする必要はない。大切なのは、誰が何を担当するのかを具体的に決めることだ。

例えば、次のような役割分担が考えられる。

  • 連絡担当:病院、ケアマネジャー、介護施設との連絡や情報共有を担当する。
  • 通院担当:診察の付き添い、薬の受け取り、医療情報の確認を行う。
  • 生活支援担当:買い物、食事、掃除、日用品の補充などを担当する。
  • 事務担当:介護保険の申請、行政手続き、契約書類などを管理する。
  • 費用担当:親の資産や介護費用の記録、支払い状況を共有する。
  • 緊急時担当:急病や事故が起きた場合の連絡先と対応方法を決める。

遠方に住むきょうだいであっても、書類の確認、施設の情報収集、費用管理、オンラインでの家族会議などを担当できる。

近くに住んでいる人だけに負担を集中させず、それぞれが実行可能な役割を持つことが重要だ。

第三者を交えた話し合いで家族の対立を防ぐ

きょうだいだけで話し合うと、過去の家族関係や感情的な対立が影響し、冷静に役割を決められない場合がある。

その場合は、ケアマネジャーなどの専門職を交えて話し合う方法がある。

厚生労働省によると、地域包括支援センターは高齢者や家族の介護に関する総合相談窓口であり、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが相談に対応している。

介護が必要になったとき、何から始めればよいか分からない場合は、親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターに相談できる。

ケアマネジャーは、本人の心身の状態や家族の状況を踏まえ、介護サービスの利用計画や関係事業者との調整を行う専門職だ。家族の事情を伝えることで、介護する側の仕事や生活への影響も含めて相談しやすくなる。

仕事と介護を両立するための制度も利用する

長男や長女が働きながら介護を担っている場合、会社の介護休業制度や介護休暇も確認したい。

厚生労働省の介護休業制度特設サイトでは、介護休業、介護休暇、短時間勤務などの措置、残業免除など、仕事と介護を両立するための制度が紹介されている。

2025年4月からは育児・介護休業法の改正による介護離職防止のための措置も施行された。

介護休業は、家族がすべての介護を自分で行うためだけの制度ではない。介護サービスの手配や家族間の調整など、仕事と介護を両立する体制を整えるためにも活用できる。

長男だから仕事を辞める、長女だから自分の生活を犠牲にするといった選択を当然のものにせず、利用できる制度を調べることが必要だ。

2026年10月の最新調査でも家族の話し合い不足が浮き彫りに

2026年10月30日に一般社団法人終活協議会が公表した1,014名の調査でも、家族介護の準備不足が明らかになった。

親の介護が自分や家族の課題になる可能性を感じている人は85.0%に達した一方、家族で十分に話し合えていない人は56.2%だった。

また、突然親の介護が始まった場合に最も不安なこととして、40.6%が介護費用・金銭面、35.3%が仕事や生活との両立を挙げている。

事前に確認しておくべきことでは、本人が望む介護の受け方が58.7%で最多だった。

この結果は、介護の問題が単なるきょうだい間の分担だけでは解決しないことを示している。親本人の希望、家族の経済状況、仕事との両立を含めた準備が求められる。

【長男だから耐えられた】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:長男だから親の介護をしなければならないのでしょうか?

A1:長男だけに親の介護を義務づける法律はない。民法877条は直系血族や兄弟姉妹の扶養義務を定めている。実際の介護については、親の希望、きょうだいそれぞれの生活状況や経済状況を踏まえて役割を話し合うことが大切だ。

Q2:2026年のケアスル介護451名調査で、長子の48.8%という数字は何を意味しますか?

A2:長男・長女を含む長子グループのうち、日々の介護実務のほぼ100%を自分で担っていると回答した割合だ。長男だけの数字ではなく、長子の配偶者なども分析対象に含まれている。

Q3:親の介護をきょうだいが手伝わない場合、どうすればよいですか?

A3:最初に、通院、買い物、手続き、費用管理などの仕事を具体的に分け、担当者と期限を決める。遠方のきょうだいにはオンラインでの情報共有や費用管理などを依頼する方法もある。家族間の話し合いが難しい場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどの第三者に相談したい。

「長男だから耐えられた」という言葉の裏側には、親を大切に思う気持ちと、家族の期待に応えようとする責任感がある。しかし、2026年のケアスル介護451名調査が示した48.8%という数字は、長子に日々の介護実務が集中している現実を浮き彫りにした。

加えて、親の資金だけでは介護費用を賄えない家庭では、長子の78.2%が自分で全額または多めに負担している。中間子にも77.0%という高い兄弟間トラブル経験率があり、末っ子にも独身や同居などを理由とした役割の押しつけが見られた。

重要なのは、長男・長女・中間子・末っ子という続柄だけで、介護の担当者を決めないことだ。

親の意思を確認し、実務と費用を見える形にして、家族それぞれの生活条件に応じた分担を決める。必要であれば介護サービスや施設、地域包括支援センターなどの専門的な支援も利用する。

親を支えることと、自分の人生を守ることは両立できる。長男だから耐えるのではなく、家族全員と専門職が支える介護へ。その転換こそが、これからの親の介護で求められる考え方だ。

主な参照資料・調査発表

同じカテゴリの記事

水沢 陽菜

美容・健康カテゴリを担当。引用元の研究・公的機関の資料を確認したうえで、誰にでも読める形に整えます。

おすすめの関連記事