『クスノキ』が特別な意味を持つ理由は、平和へのメッセージを発信するだけでなく、被爆樹木を守るための具体的な社会活動につながっていることだ。
福山雅治は楽曲の発表後、被爆クスノキの保存を支援する募金活動を始め、さらに剪定枝を再利用するプロジェクトへと活動を広げてきた。
2014年に始まった「クスノキ募金」『クスノキ』を聴いた人々から、被爆クスノキの保存を支援したいという声が寄せられたことを受け、福山は2014年に「クスノキ募金」を開設した。
募金の窓口は株式会社アミューズが担当し、集まった資金は長崎市との連携のもと、被爆樹木の保全に役立てられてきた。福山は自身の年末ライブなどでも支援を呼びかけていた。
2018年に設置された「クスノキ基金」募金活動を通じて集まった支援を、山王神社の大クスだけでなく、長崎市内に残るほかの被爆樹木の保護にも活用できるよう、長崎市は2018年に「クスノキ基金」を設置した。
ここで区別しておきたいのは、福山が呼びかけた「クスノキ募金」と、長崎市が運営する「クスノキ基金」は別の名称・仕組みだという点だ。前者の募金が後者の設置につながったという関係にある。
2020年に始動したKUSUNOKIプロジェクト2020年8月17日、福山は「KUSUNOKIプロジェクト」の始動を発表した。
この取り組みの特徴は、被爆クスノキをはじめとする長崎の被爆樹木から出た剪定枝を再利用し、新たな商品に生まれ変わらせることだ。
第一弾として製作されたのは、被爆クスノキの剪定枝を職人が加工した「KUSUNOKIキーホルダー」。木材として廃棄されるはずだった枝に、日常生活で使える新しい役割を与えた。
2020年の公式発表では、このプロジェクトで製作・販売するアイテムの利益を長崎市のクスノキ基金に全額寄付すると説明されている。
2025年の再録版も基金への寄付につながる2025年6月30日に配信された『クスノキ-500年の風に吹かれて-』についても、楽曲配信の利益の一部を長崎クスノキプロジェクトを通じてクスノキ基金へ寄付することが発表された。
つまり、2025年の再録は音楽作品のリニューアルにとどまらない。楽曲を聴くことが、被爆樹木の保全活動を支える仕組みとも結びついている。
歌を聴く、被爆樹木を知る、保全活動を支える。この循環を作ったことが、福山の取り組みの大きな特徴だ。
【2026年最新情報】アルバム『超新星』と福山雅治が語る『クスノキ』の現在地

2026年に入っても、『クスノキ』のメッセージは福山の音楽活動の中で生き続けている。特に注目したいのは、9月に発売された13枚目のオリジナルアルバム『超新星』への収録と、テレビ番組での弾き語り披露だ。
2026年9月9日発売『超新星』に再録版を収録
福山雅治・13th Original Album
5年9か月ぶりとなる13枚目のオリジナルアルバム。全18曲構成の作品で、再録版『クスノキ-500年の風に吹かれて-』を9曲目に収録。
2026年9月9日に発売された『超新星』には、2025年に新録された『クスノキ-500年の風に吹かれて-』が収録されている。
アルバムの9曲目に配置され、2025年の被爆80年企画で生まれた作品が、福山の最新オリジナルアルバムの中でも聴ける形になった。
同アルバムは2021年から2026年にかけて発表された楽曲などを収録した作品で、福山自身が創作活動の現在地を示すものとして紹介している。『クスノキ』が過去の代表曲として扱われるだけでなく、現在の創作の流れに組み込まれている点は見逃せない。
2026年9月9日『徹子の部屋』で弾き語りを披露同じ9月9日、福山はテレビ朝日系『徹子の部屋』に9年ぶりに出演した。
番組では、子どもの頃から親しんできた山王神社の被爆クスノキについて語り、平和への祈りを込めた『クスノキ』を弾き語りで披露した。
福山は、長崎で受けてきた平和教育についても振り返っている。夏休みの宿題として祖父母から戦争体験を聞き、感想文を書くことがあったことや、教室に『はだしのゲン』が置かれていたことなどを紹介した。
こうした記憶は、福山にとって戦争や原爆が遠い歴史上の出来事ではなく、子どもの頃から身近にあった問題だったことを示している。
2026年10月のインタビューでも語られた創作の原点2026年10月9日配信のインタビューでは、福山が改めて『クスノキ-500年の風に吹かれて-』の意味を振り返った。
1990年のデビューから2014年の発表まで、24年をかけて生まれた楽曲であり、自身のルーツとロック精神を結びつけた作品だったという。
また、歌詞に込めた自然の視点についても、2011年からの自然番組での経験が大きかったと説明している。人間だけを中心に考えるのではなく、植物や生き物の側から世界を眺める。その発想が『クスノキ』の誕生につながった。
2026年の段階でも福山がこの曲を創作の重要な作品として語っていることは、被爆80年の記念企画だけで終わらない楽曲の持続性を示している。
2026年時点で押さえたい最新動向| 項目 | 2026年時点の状況 |
|---|---|
| 楽曲 | 2025年再録版が配信中 |
| アルバム | 『超新星』9曲目に収録 |
| テレビ出演 | 『徹子の部屋』で弾き語り |
| 制作背景 | 2026年10月のインタビューで24年の創作過程を再証言 |
| 被爆クスノキ | 山王神社に現存。天然記念物として保護 |
| 保全活動 | クスノキ基金・長崎クスノキプロジェクトが継続 |
2026年の『クスノキ』を理解するうえで重要なのは、2025年の被爆80年企画が一過性のキャンペーンで終わっていないことだ。アルバムへの収録やテレビでの弾き語りによって、楽曲は現在も福山の表現活動の一部として位置づけられている。
【プロの結論】『クスノキ』を理解するために知っておきたい3つのこと『クスノキ』を深く理解するには、次の3点を押さえておきたい。
第一に、原曲と再録版を区別すること。 2014年の『クスノキ』はアルバム『HUMAN』の1曲目に収録されたオリジナル作品。2025年の『クスノキ-500年の風に吹かれて-』は、新たなボーカル録音と合唱隊・オーケストラによる編曲を加えた作品だ。さらに映画用の別アレンジも存在する。
第二に、樹齢や被爆後の状態を正確に理解すること。 樹齢は500〜600年と伝えられる推定値であり、正確な生年が確定しているわけではない。また、現在も生き続けているが、幹内部の空洞などの課題を抱え、保全管理が続けられている。
第三に、歌のメッセージと実際の保全活動を切り離さないこと。 『クスノキ』は平和を願う音楽作品であると同時に、被爆樹木の存在を知ってもらい、その保護を支える活動の入り口にもなっている。
この3点を踏まえると、作品の価値は単なる感動や懐かしさだけでは測れない。歴史を記憶すること、命を守ること、次の世代に伝えることを一つにつないだ点に、福山雅治『クスノキ』の独自性がある。
【福山雅治のクスノキ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:福山雅治の『クスノキ』は実話をもとにした曲ですか?
A1:はい。長崎市の山王神社に現存する被爆クスノキを題材にした楽曲です。1945年8月9日の原爆投下で被害を受け、一時は枯れ木同然になりながらも再生した実際の樹木がモデルになっています。
Q2:『クスノキ』は何のアルバムに収録されていますか?
A2:2014年4月2日発売の11枚目のオリジナルアルバム『HUMAN』の1曲目に収録されています。2025年の再録版『クスノキ-500年の風に吹かれて-』は、2026年9月9日発売のアルバム『超新星』にも収録されています。
Q3:『クスノキ』の歌詞にはどのような意味がありますか?
A3:被爆クスノキの視点から、命の尊さ、生命力、平和への願いを表現しています。人間ではなく樹木を語り手にすることで、特定の立場を超えた普遍的なメッセージを描いています。
Q4:被爆クスノキは2026年現在も見られますか?
A4:はい。長崎市坂本2丁目の山王神社境内に現存しています。長崎市指定天然記念物で、現地で見学できます。参拝者は神社の静かな環境を大切にし、樹木や境内を傷つけないように見学してください。
Q5:2025年の『クスノキ-500年の風に吹かれて-』は何が違いますか?
A5:原曲を新たにボーカルレコーディングし、合唱隊やオーケストラを加えて編曲した作品です。NHK『みんなのうた』で放送され、画家junaidaによる絵画をもとにしたアニメーションも制作されました。
Q6:平和祈念式典では何人の子どもが歌いましたか?
A6:2025年8月9日の被爆80年の式典では、城山小学校の70人と山里小学校の30人、合わせて約100人の児童が初めて合同で合唱しました。
Q7:クスノキ基金とクスノキ募金は同じものですか?
A7:別の仕組みです。福山雅治が2014年に始めたのが「クスノキ募金」で、長崎市が2018年に設置したのが「クスノキ基金」です。募金活動が基金設置のきっかけになりました。
福山雅治の『クスノキ』は、長崎・山王神社に立つ被爆クスノキの歴史を通して、生命の尊さと平和への願いを伝える楽曲だ。
2014年のアルバム『HUMAN』で発表されてから、募金活動、KUSUNOKIプロジェクト、NHK『みんなのうた』、junaidaとのアニメーション、2025年の児童合唱や5000人の大合唱へと、その活動は広がってきた。
そして2026年には、再録版がアルバム『超新星』に収録され、『徹子の部屋』でも弾き語りで披露された。発表から12年を経ても、楽曲が新たな聴き手へ届き続けている。
樹齢500年以上の大クスが伝えているのは、原爆を受けたという過去だけではない。傷を負いながらも生き続け、長崎の街と人々を見守ってきた現在でもある。
音楽は、木そのものの寿命を延ばすことはできない。しかし、その存在を知る人を増やし、保全活動を支え、歴史を次世代へ伝えることはできる。
『クスノキ』が2026年にも歌い継がれている理由は、まさにそこにある。一本の木が生き続けてきた時間を、一つの歌が未来へつないでいるのだ。