2026年の第105回凱旋門賞は、10月4日にパリロンシャン競馬場で行われた。16頭が出走し、優勝したのはフランシス=アンリ・グラファール調教師が管理するフランスのダリズ。ミカエル・バルザローナ騎手とのコンビで、前年に続く2年連続の勝利を収めた。
JRA公式結果によると、勝ちタイムは2分27秒11。2着はベイシティローラー、3着はダイヤモンドネックレスだった。
2026年の全体結果と日本馬の着順| 着順 | 馬名 | 騎手 | 人気 |
|---|---|---|---|
| 1着 | ダリズ | M.バルザローナ | 1番人気 |
| 2着 | ベイシティローラー | O.マーフィー | 13番人気 |
| 3着 | ダイヤモンドネックレス | C.スミヨン | 7番人気 |
| 4着 | フレンドリーソウル | J.ドイル | 10番人気 |
| 5着 | カルパナ | C.キーン | 3番人気 |
| 11着 | アドマイヤテラ | C.デムーロ | 9番人気 |
| 14着 | メイショウタバル | 武豊 | 2番人気 |
出典:JRA「2026年凱旋門賞レース結果」。全16頭のうち主要着順を抜粋。
日本馬2頭は、ともに上位争いに加われなかった。
アドマイヤテラは11着。 C.デムーロ騎手が騎乗し、先行馬の後ろで位置を確保したものの、直線での瞬発力勝負に対応しきれなかった。
友道康夫調教師は、レース後のコメントでペースが遅く、最後の瞬発力勝負になったことを敗因の一つとして挙げている。
一方、メイショウタバルは14着。 武豊騎手が騎乗し、序盤から自分のリズムでレースを進めたが、最後の直線で反応が鈍くなった。
武豊騎手は馬の状態や雰囲気は良かったと振り返りながら、最後の直線で反応がなかったことや、想定以上にスタミナとパワーを消耗した可能性に言及した。
ダリズは史上9頭目の複数回優勝ダリズの連覇には、歴史的な意味がある。
2025年に続く2度目の優勝によって、同馬は凱旋門賞を複数回制した史上9頭目の競走馬となった。それ以前に8頭が複数回優勝を達成している。
加えて、牡馬による連覇は1977年・1978年のアレッジド以来、約半世紀ぶりの快挙だった。
なお、ダリズの連覇を「史上8頭目」と紹介する情報もあるが、正確には過去の8頭にダリズを加えた9頭目である。
2026年10月9日には、ダリズの現役引退と種牡馬入りも報じられた。したがって、2027年に同馬が3連覇へ挑戦することはない。
【日本馬の歴代成績】最高着順2着を記録した名馬と挑戦の歴史

日本競馬界にとって、凱旋門賞は長年の悲願を象徴するレースだ。
最初に日本馬が挑戦したのは1969年のスピードシンボリ。そこから半世紀以上にわたり、国内のトップホースが欧州の頂点を目指してきた。
2026年のアドマイヤテラとメイショウタバルを含めても、日本馬による優勝は実現していない。
日本馬の最高着順は2着、合計4回歴代の日本馬で最も高い着順は2着。達成した馬は3頭で、合計4回の記録がある。
出典:JRA「JRA所属馬挑戦の歴史」。ディープインパクトは3位入線後に失格。
エルコンドルパサーが切り開いた世界への道1999年のエルコンドルパサーは、日本馬の凱旋門賞挑戦史を語るうえで欠かせない存在だ。
蛯名正義騎手を背に出走し、優勝したモンジューと半馬身差の2着。欧州の一流馬を相手に、最後まで優勝争いを演じた。
この挑戦の意義は、単に日本馬が2着になったことだけではない。
現地の競馬環境に適応し、欧州の強豪と長期間にわたって戦うことによって、日本馬にも世界のトップレベルで勝負できる能力があると示した点にある。
ナカヤマフェスタの2着とオルフェーヴルの連続2着2010年にはナカヤマフェスタが2着に入った。
蛯名正義騎手とのコンビでワークフォースに迫り、アタマ差という僅差で優勝を逃した。
2012年にはオルフェーヴルが2着。クリストフ・スミヨン騎手とのコンビでソレミアと競り合い、クビ差で敗れた。
そして2013年、再び凱旋門賞に挑戦したオルフェーヴルは、トレヴに次ぐ2着となった。
2年連続で同じ馬が2着に入ったことは、日本競馬の実力を証明する一方、あと一歩届かない難しさも浮き彫りにした。
ディープインパクトの凱旋門賞失格はなぜ起きた?2006年のディープインパクトは、凱旋門賞で3位入線を果たした。しかし、レース後の検査で禁止薬物が検出され、失格となった。
問題となったのは、イプラトロピウムという気管支拡張薬だ。
フランスの競馬統括機関France Galopの歴史資料によると、ディープインパクトは気管支炎の初期症状に対する治療として、この薬剤を吸入投与されていた。調教師側は、薬剤の影響が残る期間についての認識が不十分だったことを説明している。
その結果、競走後の尿検査で禁止物質が確認され、3着の記録は取り消された。
この出来事は、競走能力とは別に、海外遠征では現地の薬物規制や獣医療に関する管理も極めて重要であることを示している。
【パリロンシャン競馬場】芝2400mのコース特徴と日本馬が苦戦する理由
凱旋門賞の舞台となるパリロンシャン競馬場は、フランス・パリ西部に位置する競馬場だ。
凱旋門賞では、芝2400メートルの右回り外回りコースを使用する。
JRAのコース解説によると、スタート地点から最初の約400メートルは平坦だが、その後は向正面の上り坂、3コーナー以降の下り坂、フォルスストレートと呼ばれる偽りの直線を経て、最後の直線へ向かう構造になっている。
日本の2400mコースとは異なる高低差パリロンシャン競馬場の特徴は、単純な距離だけでは判断できない高低差にある。
- スタート直後:約400メートルは平坦
- 向正面:最大斜度2.4%の上り坂
- 3コーナー以降:下り坂に転じる
- 中盤:600メートルで約10メートル下る区間
- フォルスストレート:約250メートル
- 最後の直線:約533メートル
最後の直線は平坦だが、そこへ至るまでに上り下りを繰り返す。日本の競馬場とは異なるリズムで走る必要がある。
フォルスストレートが勝負を左右するフォルスストレートは、直訳すると「偽りの直線」。
一見すると最後の直線に入ったように感じられる区間だが、実際にはまだ本当のゴール前の直線が残っている。
この区間で早く仕掛けすぎると、最後の直線で脚が残らなくなる可能性がある。逆に仕掛けを遅らせすぎれば、前を走る馬との差を詰めきれない。
つまり、凱旋門賞では単純な末脚の速さだけでなく、仕掛けるタイミングとスタミナ配分が勝敗を分ける。
芝の状態と欧州特有の馬場への適応日本の競馬場では、比較的速い時計が出る芝の状態を得意とする馬が多い。一方、欧州競馬では、開催時期や天候によって芝が重くなり、走行時に必要なパワーが変わることがある。
ただし、凱旋門賞は必ず重馬場になるわけではない。
2026年のJRA公式発表では、当日の馬場状態は「稍重」だった。武豊騎手は、自身が経験した凱旋門賞の中では走りやすい芝だったとの見解を示している。
日本馬にとっては、馬場状態を問わず、現地の芝とコース形態に合わせた準備が欠かせない。
【出走条件と歴代優勝馬】世界最高峰のG1を制する資格とは?
凱旋門賞は1920年に創設された歴史ある国際G1競走だ。
芝2400メートルの世界最高峰のレースの一つとして知られ、欧州を中心に各国のトップホースが集結する。
JRAの2026年レース概要によると、2026年の基本的な出走条件は以下のとおり。
2026年の主な出走条件| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 格付け | G1 |
| 開催場所 | パリロンシャン競馬場 |
| 距離 | 芝2400m |
| 年齢 | 3歳以上 |
| 性別 | 牡馬・牝馬 |
| せん馬 | 2026年は出走不可 |
| 3歳馬の負担重量 | 56.5kg |
| 4歳以上の負担重量 | 59.5kg |
| 牝馬の減量 | 1.5kg |
| 最大出走頭数 | 24頭 |
なお、せん馬については、繁殖馬としての価値を競うという競走の性格から出走が制限されてきた。しかし、JRAの案内では2027年からせん馬にも出走資格が開放される予定となっている。
凱旋門賞の歴代優勝馬凱旋門賞の歴史には、世界競馬を代表する名馬が数多く登場している。
| 年 | 優勝馬 | 主な実績 |
|---|---|---|
| 1955・1956年 | リボー | 2年連続優勝 |
| 1965年 | シーバード | 歴史的名馬 |
| 1971年 | ミルリーフ | 欧州を代表する名馬 |
| 1977・1978年 | アレッジド | 2年連続優勝 |
| 2009年 | シーザスターズ | 英国の名馬 |
| 2013・2014年 | トレヴ | 2年連続優勝 |
| 2017・2018年 | エネイブル | 2年連続優勝 |
| 2021年 | トルカータータッソ | ドイツ調教馬 |
| 2022年 | アルピニスタ | 牝馬の優勝 |
| 2023年 | エースインパクト | 無敗で優勝 |
| 2024年 | ブルーストッキング | 牝馬の優勝 |
| 2025・2026年 | ダリズ | 2年連続優勝 |
特に注目したいのは、エネイブルやトレヴのように複数回優勝を達成した馬たちだ。
凱旋門賞で一度勝つだけでも極めて難しい。それを複数年にわたって制することは、競走能力だけでなく、長期的な健康状態や環境への適応力も求められる。
2026年のダリズは、その難関を突破した歴史的な存在となった。
【凱旋門賞の馬券と払戻金】2026年の配当はいくらだった?
凱旋門賞は日本国内でもJRAによる海外競馬発売の対象となる。
2026年10月4日のレースでは、ダリズが1番人気、メイショウタバルが2番人気、アドマイヤテラが9番人気だった。
JRAが公表した2026年の払戻金は以下のとおり。
2026年の主な馬券払戻金| 馬券の種類 | 的中組み合わせ | 払戻金(100円) |
|---|---|---|
| 単勝 | 1番 | 310円 |
| 複勝 | 1番 | 140円 |
| 複勝 | 7番 | 1,120円 |
| 複勝 | 16番 | 400円 |
| 馬連 | 1-7 | 6,930円 |
| ワイド | 1-7 | 2,560円 |
| ワイド | 1-16 | 1,060円 |
| ワイド | 7-16 | 6,850円 |
| 馬単 | 1→7 | 9,940円 |
| 3連複 | 1-7-16 | 19,670円 |
| 3連単 | 1→7→16 | 90,570円 |
2026年の3連単は、ダリズ、ベイシティローラー、ダイヤモンドネックレスの順で決着し、払戻金は9万570円となった。
特筆すべきは、2着に13番人気のベイシティローラーが入ったことだ。
1番人気のダリズが勝利した一方、2着に人気薄の馬が入ったことで、馬連は6,930円、3連複は19,670円、3連単は9万570円という配当になった。
凱旋門賞の馬券を検討する際は、日本国内の実績や単勝人気だけで判断しないことが大切だ。欧州の競走実績、現地の馬場適性、コース経験、前哨戦の内容も評価材料になる。
【プロの結論】日本馬が凱旋門賞で初優勝するために必要な条件
日本馬は長年にわたって凱旋門賞に挑戦してきたが、2026年終了時点でも優勝には届いていない。
しかし、エルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴルの2着は、日本馬が世界の頂点に手が届く位置まで進んだことを示している。
では、初優勝のために何が必要なのか。
1. 欧州の芝とコースに対応できる適性日本国内で強い馬が、そのまま欧州でも同じように走れるとは限らない。
特に重要なのは、2400メートルを走り切るスタミナだけでなく、起伏のあるコースでスピードを維持できるパワーだ。
2. 現地での調整と前哨戦の選択現地入りしてからの調整や前哨戦の選択も大きな要素となる。
フォワ賞やニエル賞など、フランスの競走を経由することで、実際の芝や競馬場の雰囲気を経験できる。
一方、前哨戦を使えば必ず好走するわけではない。輸送による負担や本番までの間隔を含め、馬ごとに適切なローテーションを考える必要がある。
3. 2400メートルを戦い抜くレース運び凱旋門賞では、序盤から最後まで一定のペースで走り続ける能力だけでなく、途中で脚を温存し、勝負どころで力を発揮する判断が求められる。
2026年のアドマイヤテラについても、陣営はスローペースから瞬発力勝負になったことを振り返っている。
メイショウタバルについては、武豊騎手が最後の直線での反応やスタミナの消耗に触れていた。
この2頭の結果からも、単純な国内実績だけでは凱旋門賞での適性を判断できないことが分かる。
4. 日本馬の初優勝は実現するのか日本馬の初優勝の可能性は、決して閉ざされていない。
ただし、国内G1の勝ち数や知名度だけで期待を膨らませるのではなく、欧州の芝への適性、現地での調整、コース経験、レース展開への対応力を総合的に評価する必要がある。
日本競馬の競走能力は世界水準に達している。それでも凱旋門賞で勝ち切るには、現地の競馬環境に適応するための準備が不可欠だ。
【凱旋門賞競馬に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年の凱旋門賞で優勝した馬は誰ですか?
A1:フランスのダリズです。M.バルザローナ騎手とのコンビで2025年に続く連覇を達成しました。凱旋門賞の複数回優勝は史上9頭目の記録です。
Q2:凱旋門賞における日本馬の最高着順は何着ですか?
A2:2着です。1999年のエルコンドルパサー、2010年のナカヤマフェスタ、2012年と2013年のオルフェーヴルが記録しています。日本馬の優勝は2026年終了時点でもありません。
Q3:2026年のアドマイヤテラとメイショウタバルは何着でしたか?
A3:アドマイヤテラが11着、メイショウタバルが14着でした。アドマイヤテラにはC.デムーロ騎手、メイショウタバルには武豊騎手が騎乗しました。
Q4:ディープインパクトは凱旋門賞で何着だったのですか?
A4:2006年に3位で入線しましたが、禁止薬物イプラトロピウムが検出されたため失格となりました。公式記録上は3着ではありません。
Q5:凱旋門賞はどこの競馬場で開催されますか?
A5:フランスのパリロンシャン競馬場です。芝2400メートルの右回りコースで行われます。2026年の開催日は10月4日でした。
Q6:凱旋門賞は日本でも馬券を購入できますか?
A6:はい。JRAが海外競馬発売の対象として取り扱う場合、日本国内からインターネット投票などで購入できます。2026年は単勝、複勝、馬連、ワイド、馬単、3連複、3連単などの払戻金が発表されています。
2026年の凱旋門賞は、ダリズが史上9頭目の複数回優勝を達成する歴史的なレースとなった。
日本から参戦したアドマイヤテラは11着、メイショウタバルは14着。日本競馬界が長年目標としてきた初優勝は、今回も実現しなかった。
一方、過去にはエルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴルが計4回の2着を記録している。日本馬が世界のトップレベルと互角に渡り合ってきた歴史は、今後の挑戦につながる重要な財産だ。
凱旋門賞を理解するうえで押さえておきたいのは、国内G1の実績だけでは勝敗を予測できないという点である。パリロンシャン競馬場の起伏、欧州の芝、ペース配分、現地調整など、複数の条件が結果を左右する。
2027年以降は、せん馬への出走資格開放という制度変更も予定されている。世界の競走馬が集まる凱旋門賞がどのように変化していくのか、そして日本馬が悲願の初制覇を達成する日は訪れるのか。次の挑戦にも注目したい。