「義理の兄弟」とは、具体的に誰を指すのでしょうか。夫や妻の兄弟姉妹なのか、自分の兄弟姉妹の配偶者なのか、あるいは親の再婚によってできた兄弟なのか。普段の会話では同じように呼ばれることがありますが、それぞれの関係には違いがあります。
2026年現在、日本の民法では、配偶者の兄弟姉妹や自分の兄弟姉妹の配偶者は、原則として2親等の姻族に当たります。一方、義兄・義弟・義姉・義妹という呼び方は、日常的な関係を表すもので、公的書類における続柄の記載とは必ずしも一致しません。言葉の意味、年齢による使い分け、法律上の親族関係、書類への正しい記入方法を順番に整理します。
【まず結論】義理の兄弟とは誰を指す?2つの代表的な関係を解説

義理の兄弟とは、血のつながりではなく、結婚などを通じて兄弟姉妹に相当する関係になった人を指す言葉です。一般的には「配偶者の兄弟姉妹」と「自分の兄弟姉妹の配偶者」の2種類を意味します。
例えば、自分が女性で夫に兄がいる場合、その男性は自分にとって義兄です。反対に、自分の兄が結婚した場合、その兄の妻は義姉に当たります。
1.配偶者の兄弟姉妹最初のケースは、夫または妻の実の兄弟姉妹です。結婚によって、自分から見た義理の兄弟姉妹になります。
- 夫の兄:義兄(ぎけい)
- 夫の弟:義弟(ぎてい)
- 夫の姉:義姉(ぎし)
- 夫の妹:義妹(ぎまい)
妻の兄弟姉妹についても同じ考え方です。夫から見た妻の兄は義兄、妻の妹は義妹となります。
つまり、結婚相手の兄弟姉妹は、自分にとって血縁関係がなくても、一般的な意味で義理の兄弟姉妹と呼ばれます。
2.自分の兄弟姉妹の配偶者もう一つは、自分の兄弟姉妹が結婚した相手です。こちらも一般的に義理の兄弟姉妹に含まれます。
- 兄の妻:義姉
- 弟の妻:義妹
- 姉の夫:義兄
- 妹の夫:義弟
例えば、自分の姉が結婚した場合、その夫は自分にとって義兄です。自分の弟が結婚した場合、その妻は義妹となります。
このように、義理の兄弟は配偶者側からつながる場合だけではありません。自分の兄弟姉妹を通じてつながる場合も含むため、誰との関係を説明しているのかが重要です。
3.親の再婚によってできた兄弟姉妹も含まれる?日常会話では、親の再婚相手に連れ子がいる場合、その子を義理の兄弟姉妹と呼ぶこともあります。いわゆる義理のきょうだい、ステップシブリングに当たる関係です。
ただし、このケースは婚姻によって生じる一般的な姻族関係とは異なります。親が再婚しただけで、連れ子同士が自動的に法律上の兄弟姉妹になるわけではありません。
養子縁組をすれば、民法727条に基づいて養親とその血族との間に法律上の親族関係が生じます。日常的な呼び方と法律上の身分関係は分けて考える必要があります。
【呼び方を完全整理】義兄・義弟・義姉・義妹の違いと見分け方
義理の兄弟について特に迷いやすいのが、義兄と義弟、義姉と義妹の使い分けです。
基本的には、男性の年長者を義兄、年少者を義弟、女性の年長者を義姉、年少者を義妹と表します。ただし、誰を基準に年長・年少を判断するかは、配偶者の兄弟姉妹なのか、自分の兄弟姉妹の配偶者なのかによって整理すると分かりやすくなります。
義兄と義弟の違い義兄(ぎけい)は、義理の兄に当たる男性です。代表的な例は、夫や妻の兄、姉の夫です。
義弟(ぎてい)は、義理の弟に当たる男性です。夫や妻の弟、妹の夫などが代表例です。
例えば、自分の妹が結婚した場合、その夫は一般的に義弟と呼ばれます。相手の男性が自分より実年齢で年上であっても、妹の夫という関係から義弟と表現される用法があります。
したがって、義兄・義弟の区別を単純に自分との実年齢差だけで決めるのは適切ではありません。どの兄弟姉妹を通じてつながっているのか、その人がその家族関係の中でどの位置にいるのかを確認しましょう。
義姉と義妹の違い義姉(ぎし)は義理の姉に当たる女性で、夫や妻の姉、兄の妻などを指します。
義妹(ぎまい)は義理の妹に当たる女性で、夫や妻の妹、弟の妻などが代表例です。
こちらも、単に本人の年齢が自分より上か下かという判断だけではなく、兄弟姉妹とのつながり方を踏まえて呼び分けます。
読み方も覚えておきたい4つの言葉- 義兄:ぎけい
- 義弟:ぎてい
- 義姉:ぎし
- 義妹:ぎまい
日常会話では「お義兄さん」「お義姉さん」「義理の弟さん」など、相手との関係や親しさに応じた表現も使われます。読み方が分からない場合は、無理に漢字表記を使わず、会話では「夫のお兄さん」「姉の旦那さん」のように説明しても問題ありません。
【関係図・比較表】義理の兄弟の範囲と正しい呼び方を一覧で確認
義理の兄弟の関係を理解するには、自分から見たつながりを整理するのが効果的です。次の一覧では、配偶者の兄弟姉妹と、自分の兄弟姉妹の配偶者を分けてまとめています。
| 自分から見た関係 | 一般的な呼び方 | 具体的な続柄の表現 | 法律上の関係 |
|---|---|---|---|
| 夫・妻の兄 | 義兄 | 夫の兄・妻の兄 | 2親等の姻族 |
| 夫・妻の弟 | 義弟 | 夫の弟・妻の弟 | 2親等の姻族 |
| 夫・妻の姉 | 義姉 | 夫の姉・妻の姉 | 2親等の姻族 |
| 夫・妻の妹 | 義妹 | 夫の妹・妻の妹 | 2親等の姻族 |
| 自分の兄の妻 | 義姉 | 兄の妻 | 2親等の姻族 |
| 自分の弟の妻 | 義妹 | 弟の妻 | 2親等の姻族 |
| 自分の姉の夫 | 義兄 | 姉の夫 | 2親等の姻族 |
| 自分の妹の夫 | 義弟 | 妹の夫 | 2親等の姻族 |
この表から分かるように、配偶者の兄弟姉妹と、自分の兄弟姉妹の配偶者は、どちらも一般的な意味で義理の兄弟姉妹に含まれます。法律上も、婚姻による姻族関係として整理できます。
関係図で考えるとさらに分かりやすい例えば、自分が結婚しており、夫に兄と妹がいるケースを考えてみましょう。
- 自分と夫:夫婦
- 夫と夫の兄:実の兄弟
- 自分と夫の兄:義兄
- 夫と夫の妹:実の兄妹
- 自分と夫の妹:義妹
今度は、自分に兄と妹がいる場合です。
- 自分と兄:実の兄弟姉妹
- 自分と兄の妻:義姉
- 自分と妹:実の兄弟姉妹
- 自分と妹の夫:義弟
このように、義理の兄弟の関係は、自分を起点にして配偶者や兄弟姉妹を経由する形で考えると混乱しません。
【法律上は何親等?】義理の兄弟の親族関係と姻族の仕組み
義理の兄弟は、日常的な呼び方だけでなく、法律上の親族関係にも関係します。特に重要なのが「姻族」と「親等」という2つの言葉です。
民法725条で定められた親族の範囲民法725条では、法律上の親族を次の3種類に分類しています。
- 6親等内の血族
- 配偶者
- 3親等内の姻族
血族は血縁関係や法律上の養子縁組によって生じる親族関係です。一方、姻族は婚姻を通じて生じる親族関係を指します。
例えば、夫の兄弟姉妹は夫の血族であり、自分から見れば姻族です。また、自分の兄弟姉妹の配偶者も、自分の血族と婚姻関係を結んだ人であるため、姻族に当たります。
義理の兄弟は原則として2親等の姻族配偶者の兄弟姉妹も、自分の兄弟姉妹の配偶者も、原則として2親等の姻族です。
民法726条では、親等を親族間の世代数によって計算すると定めています。兄弟姉妹は共通の親を経由して関係をたどるため、2親等の血族です。配偶者の兄弟姉妹については、その配偶者側の血族の親等を基準に考えます。
同様に、自分の兄弟姉妹の配偶者も2親等の姻族として扱われます。つまり、どちらのケースも民法725条が定める3親等内の姻族に含まれ、法律上の親族に当たります。
姻族関係は離婚や死亡によってどう変わる?姻族関係は、婚姻によって生じますが、永久に同じ状態で続くわけではありません。
民法728条では、離婚によって姻族関係が終了すると定めています。そのため、離婚した場合、元配偶者の兄弟姉妹との姻族関係も終了します。
一方、夫婦の一方が死亡した場合は、死亡しただけで姻族関係が自動的に終了するわけではありません。生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示した場合に終了します。
この違いは、相続や親族関係の整理を考える際にも知っておきたいポイントです。
義理の兄弟は法定相続人になる?ここで注意したいのが、法律上の親族であることと、法定相続人になることは別だという点です。
民法889条では、被相続人の子などがいない場合の相続順位として、直系尊属、兄弟姉妹を定めています。また、民法890条では配偶者が常に相続人になると定めています。
しかし、義兄や義弟、義姉や義妹という姻族関係だけを理由に、自分の法定相続人になるわけではありません。例えば、自分の兄の妻は2親等の姻族ですが、その関係だけで自分の法定相続人になることはありません。
相続においては、血族・配偶者・養子縁組の有無などを個別に確認する必要があります。遺言による遺贈などは別の問題です。
【続柄の正しい書き方】日常会話と公的書類では何が違う?
義理の兄弟の呼び方は分かっていても、書類に記入する場面では迷う人が少なくありません。ここでは、日常的な表現と公的書類における続柄の違いを整理します。
日常会話では「義兄」「義妹」で問題ない家族や友人との会話であれば、義兄、義弟、義姉、義妹という呼び方で十分に意味が伝わります。
ただし、相手に自分との関係を正確に伝えたい場合は、「妻の兄」「夫の妹」「兄の妻」「妹の夫」のように具体的に説明すると分かりやすくなります。
書類では誰を基準にした続柄なのか確認する公的書類で特に重要なのは、続柄が誰を基準にした表現なのかという点です。
例えば、住民票の続柄は、原則として世帯主から見た関係を示します。中野区の公式案内でも、住民票の続柄は世帯主から見た続柄であると説明されています。
そのため、本人から見た関係を尋ねる申請書と、住民票に記載される世帯主との関係は、必ずしも同じではありません。
本人との続柄を記入する場合の具体例申請書などで「本人との続柄」と指定されている場合は、次のように書くと関係が明確になります。
- 妻の兄:妻の兄、または義兄
- 夫の妹:夫の妹、または義妹
- 兄の妻:兄の妻、または義姉
- 妹の夫:妹の夫、または義弟
提出先が指定する記入方法や選択肢がある場合は、それに従います。自由記入欄であれば、「義兄」だけで済ませるよりも「妻の兄」と書いたほうが、誰との関係なのかが明確になります。
戸籍には義兄・義弟という独立した続柄欄がある?戸籍法13条では、戸籍に記載する事項として、氏名、生年月日、実父母の氏名と実父母との続柄、養親との続柄、夫婦の別などを定めています。
つまり、戸籍は家族関係を公的に記録する制度ですが、義兄・義弟という呼称をそのまま記載するための独立した欄が設けられているわけではありません。
戸籍上の関係と、日常的な呼び方は区別しましょう。戸籍謄本などを提出する必要がある場合も、提出先が求める書類と証明事項を確認することが大切です。
【親戚との違いとよくある誤解】義理の兄弟を正しく理解するポイント
義理の兄弟については、親戚や親族という言葉と混同されることもあります。ここでは、間違えやすいポイントを整理します。
義理の兄弟と親戚は同じ意味?親戚は、血縁関係や婚姻関係などでつながった人々を広く指す日常的な言葉です。一方、親族は民法725条で範囲が定められた法律上の用語です。
義理の兄弟は、婚姻による姻族関係に該当する場合、法律上も親族に含まれます。つまり、親戚という広い日常語の中に、義理の兄弟が含まれると考えると理解しやすいでしょう。
義理の兄弟は血がつながっていないから親族ではない?これは誤解です。民法上の親族には血族だけでなく、配偶者と3親等内の姻族も含まれます。
そのため、血のつながりがない配偶者の兄弟姉妹や、自分の兄弟姉妹の配偶者であっても、婚姻によって生じた姻族関係があれば法律上の親族に該当します。
義兄弟という言葉には別の意味もある?あります。辞書では「義兄弟」という言葉に、血縁関係や婚姻関係とは別に、兄弟になる約束を交わした人同士という意味も掲載されています。
そのため、文章の前後関係によって意味が変わることがあります。家族関係を説明する場合は「義理の兄弟」と表現し、具体的なつながりを補足すると誤解を避けられます。
義理の兄弟との関係を説明するときの判断基準迷ったときは、次の3点を確認すると整理しやすくなります。
- 誰を通じてつながっているか:配偶者なのか、自分の兄弟姉妹なのかを確認する。
- どの立場の人なのか:兄・弟・姉・妹のどれに当たるかを確認する。
- 何のために呼ぶのか:日常会話なのか、公的書類なのかによって表現を使い分ける。
この3点を意識すれば、義理の兄弟の範囲や続柄を間違えにくくなります。
【義理の兄弟に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:義理の兄弟とは、夫や妻の兄弟だけを指しますか?
A1:いいえ。夫や妻の兄弟姉妹だけでなく、自分の兄弟姉妹の配偶者も一般的に義理の兄弟姉妹に含まれます。例えば、妻の兄は義兄、兄の妻は義姉です。
Q2:義理の兄弟は何親等に当たりますか?
A2:婚姻による一般的な義理の兄弟は、原則として2親等の姻族です。配偶者の兄弟姉妹も、自分の兄弟姉妹の配偶者も、民法上の親族に含まれます。
Q3:義兄と義弟は自分より年上か年下かで決まりますか?
A3:必ずしも自分との実年齢差だけでは決まりません。配偶者の兄弟姉妹や、自分の兄弟姉妹の配偶者という関係を確認する必要があります。例えば、妹の夫は一般的に義弟と呼ばれます。
Q4:兄の妻は義姉ですか、義妹ですか?
A4:兄の妻は一般的に義姉です。弟の妻は義妹と呼ばれます。
Q5:公的書類には義兄と書けばよいですか?
A5:書類の記入要領によります。「本人との続柄」であれば「義兄」と書ける場合もありますが、「妻の兄」のように具体的な関係を記載すると誤解を防げます。住民票の続柄は世帯主を基準にするため、本人との続柄とは区別してください。
Q6:義理の兄弟は法律上の親族ですか?
A6:婚姻による義理の兄弟は、原則として2親等の姻族に当たるため、民法725条の親族に含まれます。ただし、親の再婚による連れ子同士などは、養子縁組の有無によって法律上の関係が異なります。
義理の兄弟とは、一般的に配偶者の兄弟姉妹、または自分の兄弟姉妹の配偶者を指す言葉です。義兄・義弟・義姉・義妹という4つの呼び方を使い分けることで、家族内の関係を簡潔に説明できます。
法律上は、婚姻による一般的な義理の兄弟は2親等の姻族に当たり、民法725条の親族の範囲に含まれます。ただし、親の再婚によってできた兄弟姉妹など、日常的には同じ呼び方でも法律上の関係が異なるケースがあります。
【プロの結論】最も大切なのは、呼び方と法律上の続柄を混同しないことです。日常会話では義兄や義妹という表現で十分ですが、役所への申請や各種手続きでは、誰を基準にした続柄なのかを確認し、「妻の兄」「兄の妻」など具体的に表現することが確実です。
義理の兄弟という言葉の範囲、親等、続柄の違いを理解しておけば、家族関係を説明する場面でも、公的書類を記入する場面でも迷いにくくなります。
主な法令・公的資料による根拠
- 民法725条・726条・727条・728条(親族の範囲、親等、養子縁組、姻族関係の終了)
- 民法889条・890条(法定相続人)
- 戸籍法13条(戸籍の記載事項)
- 小学館『デジタル大辞泉』『精選版 日本国語大辞典』
- 中野区公式FAQ(住民票の続柄)
- 独立行政法人福祉医療機構の成年後見関連資料(血族・姻族の解説)