歩行者は、道路を歩くときに必ず右側を通行しなければならないのでしょうか。実は、日本の交通ルールでは、歩道や十分な幅の路側帯があるかどうかによって、歩行者の通行場所が変わります。歩道が整備されている道路では歩道を利用し、歩道も十分な幅の路側帯もない道路では、原則として道路の右側端を歩くことが道路交通法第10条で定められています。
2026年11月現在も、この基本的な通行区分は維持されています。ただし、右側が危険な場合には左側を歩ける例外があり、歩道内に普通自転車通行指定部分が設けられている場合には、歩行者にも配慮すべきルールがあります。自転車の交通ルールや2026年4月から始まった青切符制度との関係も含め、実際の道路で迷わない判断方法を整理します。
【先に結論】歩行者はいつも右側を歩く?道路交通法の基本ルール

歩行者の右側通行について理解するうえで、最初に押さえたいのは、右側通行がすべての道路に共通するルールではないという点です。
道路交通法第10条は、歩道等と車道の区別がある道路と、区別がない道路を分けて規定しています。
歩道がある道路では右側通行にこだわらない歩道と車道が分離されている道路では、歩行者は原則として歩道を通行します。
たとえば、道路の両側に歩道がある場合、歩行者は利用できる歩道を通行します。車道の右端を歩く必要はありません。
歩道が片側だけに設置されている道路でも、道路交通法第10条第2項の基本は歩道等の通行です。
また、歩道の中で歩行者が右側を歩くべきか、左側を歩くべきかについて、道路交通法第10条は全国一律の方向を指定していません。
歩道内では、道路標示や現場の案内に従い、ほかの歩行者と安全にすれ違える位置を選ぶことが基本です。
歩道も十分な幅の路側帯もない道路では右側通行歩道がなく、歩行者が安全に通行できる十分な幅の路側帯も設けられていない道路では、歩行者は道路の右側端に寄って通行しなければなりません。
これは道路交通法第10条第1項に定められた原則です。
車両が左側通行を基本とする日本では、歩行者が道路の右側を歩くことで、向かってくる自動車やバイクを正面から確認しやすくなります。
つまり、歩行者の右側通行は単なる慣習ではなく、車両との接触事故を防ぐための通行区分でもあります。
右側通行と左側通行を簡単に判断する方法判断の順番は次のとおりです。
1. 歩道があるか確認する。
2. 歩道がない場合、歩行者が通行できる十分な幅の路側帯があるか確認する。
3. 歩道等がある場合は、原則としてその部分を通行する。
4. 歩道等と車道の区別がない場合は、道路の右側端を歩く。
5. 右側端が危険な場合などは、左側端を通行する例外が認められる。
この順番を覚えておけば、歩道の有無や道路の構造が変わっても判断しやすくなります。
【法律を詳しく解説】道路交通法第10条の歩行者の通行区分とは?
歩行者の通行場所を直接定めているのが、道路交通法第10条です。
2026年11月現在のe-Gov法令検索に掲載されている現行条文では、歩行者等の通行方法について、主に3つのルールが定められています。
第10条第1項:歩道等と車道の区別がない道路第1項では、歩道または歩行者等の通行に十分な幅員を有する路側帯と車道の区別がない道路について、道路の右側端に寄って通行することを原則としています。
ただし、次の例外があります。
- 道路の右側端を通行することが危険であるとき
- その他やむを得ない事情があるとき
この場合は、道路の左側端に寄って通行できます。
重要なのは、単純に右側と左側のどちらが歩きやすいかで自由に選べるわけではないことです。
右側通行が危険であることや、やむを得ない事情があることが例外の条件になります。
第10条第2項:歩道等と車道の区別がある道路第2項では、歩道等と車道の区別がある道路では、原則として歩道等を通行しなければならないと定めています。
例外として規定されているのは、次の2つです。
- 車道を横断するとき
- 道路工事などによって歩道等を通行できないとき、その他やむを得ないとき
たとえば、歩道の工事で通行止めになっている場合や、障害物によって歩道を利用できない場合などが考えられます。
こうした場合は、安全を確保しながら必要な範囲で別の通行場所を利用することになります。
第10条第3項:普通自転車通行指定部分への配慮第3項では、歩道内に普通自転車通行指定部分が設けられている場合、歩行者はその部分をできるだけ避けて通行するよう努めなければならないと規定しています。
これは歩行者をその場所から全面的に排除する規定ではありません。
あくまでも、自転車の通行が指定された部分をできるだけ避け、歩行者と自転車が安全に通行できるようにするための努力義務です。
この3つの規定を理解すれば、歩行者の右側通行が必要な場面と、歩道を利用すべき場面の違いが明確になります。
【道路別に比較】歩道・路側帯・車道では歩行者はどこを歩く?
実際の道路では、歩道、路側帯、車道の境界が分かりにくい場所もあります。
特に注意したいのが、歩道と路側帯の違いです。
歩道と路側帯の違い歩道は、縁石や柵などの構造物によって車道と区別された歩行者用の通路です。
一方、路側帯は、歩道が設けられていない道路や、歩道が設けられていない側の道路端に、道路標示によって区画された帯状の部分です。
道路交通法第2条第1項第3号の4にも、路側帯の定義が規定されています。
つまり、歩道は主に構造物によって分離され、路側帯は道路標示によって区画されるという違いがあります。
なお、道路端に白線があるからといって、必ずしもその外側が歩行者用の十分な路側帯とは限りません。道路標示や実際の幅員を確認することが必要です。
歩行者の通行場所を道路状況別に比較| 道路の状況 | 歩行者の通行場所 | 左右の判断 | 根拠・注意点 |
|---|---|---|---|
| 歩道がある道路 | 歩道 | 一律の左右指定なし | 道路交通法第10条第2項 |
| 十分な幅の路側帯がある道路 | 路側帯 | 路側帯を利用 | 第10条の歩道等の通行区分 |
| 歩道も十分な路側帯もない道路 | 車道の右側端 | 右側が原則 | 第10条第1項 |
| 右側端が危険な道路 | 車道の左側端 | 左側通行が可能 | 第10条第1項ただし書 |
| 歩道に自転車通行指定部分がある道路 | 歩道の指定部分以外をできるだけ利用 | 指定部分を避ける | 第10条第3項 |
歩道を歩くときに、右側を歩くべきか左側を歩くべきか迷う人も少なくありません。
道路交通法第10条には、通常の歩道内で歩行者が一律に右側または左側を通行するという規定はありません。
ただし、だからといって歩道を自由に横切ったり、周囲を確認せずに歩いたりしてよいわけではありません。
次の点を意識すると安全です。
- ほかの歩行者とすれ違うときは、互いに進路を譲る。
- 歩道内の自転車通行指定部分をできるだけ避ける。
- 急な方向転換や立ち止まりを避ける。
- 混雑している場所では周囲の流れに合わせる。
- 標識や道路標示による指定がある場合は従う。
歩道では、右側通行という一つのルールにこだわるよりも、歩行者同士の接触を避ける行動が大切です。
【左側通行は違反?】歩行者右側通行の例外と認められる条件
歩行者は右側通行が原則と聞くと、左側を歩いた時点で交通違反になると思う可能性があります。
しかし、道路交通法第10条第1項には、明確な例外が設けられています。
右側が危険な場合は左側を通行できる法律では、右側端を通行することが危険なとき、その他やむを得ないときは、道路の左側端に寄って通行できるとされています。
たとえば、次のような状況が考えられます。
- 右側に深い側溝や危険な段差がある。
- 右側に崩れやすい路肩や不安定な地面がある。
- 工事や障害物によって右側を安全に通行できない。
- 右側を通ることによって、かえって車両との接触リスクが高まる。
ただし、これらは状況を判断するための具体例です。単に左側のほうが便利だからという理由だけで、例外が成立するわけではありません。
歩道が工事中の場合はどうする?歩道が工事中で通行できない場合は、道路交通法第10条第2項第2号の例外に関係します。
この場合は、工事用の仮設通路や誘導表示が設けられていれば、それに従って通行します。
歩道が使えないからといって、周囲を確認せずに車道へ出ることは危険です。
特に交通量の多い道路では、工事現場の誘導員や警察官の指示に従い、安全な経路を確保してください。
左側を歩くときに注意したいこと左側通行が認められる状況でも、安全上の注意点は変わりません。
車両の接近を確認し、道路の端に寄って歩き、必要以上に車道側へ広がらないことが大切です。
夜間や雨天では、ドライバーから歩行者が見えにくくなるため、明るい服装や反射材の利用も有効です。
【自転車との関係】普通自転車通行指定部分で歩行者が守るべきこと
歩道内で特に注意したいのが、普通自転車通行指定部分です。
これは歩道の一部に設けられた、自転車が通行するための指定部分です。
通常の歩道とは異なり、歩行者と自転車の通行位置を分けるために設置されています。
普通自転車通行指定部分とは?普通自転車通行指定部分は、道路標識や道路標示によって指定された歩道内の区域です。
道路交通法第63条の4第2項では、一定の条件で歩道を通行できる普通自転車について、指定部分がある場合はそこを通行することが定められています。
そのため、歩行者側にも配慮が大切です。
道路交通法第10条第3項では、歩行者は指定部分をできるだけ避けて通行するよう努めなければならないとしています。
自転車にも歩行者を優先する義務がある自転車は道路交通法上、軽車両に分類される車両です。
歩道を通行できるのは、道路標識等による指定がある場合や、運転者の年齢・身体の状態、道路や交通の状況などによって例外的に認められる場合です。
歩道を通行する普通自転車には、次のルールがあります。
- 指定部分がある場合は、その部分を通行する。
- 指定部分がない場合は、歩道の中央から車道寄りの部分を通行する。
- 歩道では徐行する。
- 歩行者の通行を妨げることになる場合は一時停止する。
歩行者が指定部分をできるだけ避ける努力義務を負う一方で、自転車側にも歩行者の安全を守る義務があります。
歩道は自転車のための通路ではなく、歩行者の安全を確保する場所であることを忘れてはいけません。
2026年4月から始まった自転車の青切符制度との関係2026年の交通ルールで押さえておきたいのが、自転車の交通反則通告制度、いわゆる青切符制度です。
警察庁によると、2026年4月1日から16歳以上の自転車運転者を対象に、一定の交通違反について青切符による処理が導入されました。
ただし、この制度は自転車の運転者に関するもので、歩行者の右側通行義務を新しく定めたものではありません。
歩行者と自転車の通行位置を理解するうえでは、従来からある道路交通法第10条、第63条の4の規定が引き続き重要です。
自転車の交通ルールが厳格に運用されるようになった2026年は、歩行者側も通行区分を正しく理解することが、事故防止につながります。
【なぜ右側を歩く?】歩行者右側通行の安全性と正しい歩き方
そもそも、なぜ歩行者は道路の右側を歩くのでしょうか。
その大きな理由は、車両と歩行者が互いの動きを確認しやすくするためです。
歩行者が右側を歩く理由は対向車を確認しやすいから日本では自動車が左側通行を基本としています。
そのため、歩道等がない道路で歩行者が右側を歩くと、向かってくる車両と対面する形になります。
車両が後ろから近づいてくる左側通行とは異なり、歩行者自身が前方から接近する車両を視認しやすくなるのが特徴です。
警察庁の歩行者向け交通安全資料でも、「人は右、車は左」の対面通行が基本として示されています。
ただし、対向車が見えるからといって事故を完全に防げるわけではありません。
カーブや坂道、見通しの悪い場所では、車両の発見が遅れる可能性があります。
右側通行で事故を防ぐための歩き方歩道のない道路を歩く場合は、次のポイントを意識してください。
1. 道路の右端に寄る
道路の中央付近を歩かず、右側端に寄って通行します。ただし、側溝や段差などに注意し、無理に端へ寄りすぎないことも大切です。
2. 前方の車両を確認する
自動車やバイクが近づいていないか、定期的に確認します。見通しが悪い場所では、特に慎重な行動が必要です。
3. 夜間は自分の存在を知らせる
暗い色の服装だけではドライバーから見えにくくなる場合があります。反射材やライトを利用すると、歩行者の発見につながります。
4. スマートフォンを見ながら歩かない
画面に集中すると、車両の接近や道路状況の変化に気づきにくくなります。歩行中は周囲の状況を確認できる状態を保ちましょう。
5. グループで歩くときも道路に広がらない
複数人で歩く場合は、車道にはみ出さないように注意します。特に幅の狭い道路では、周囲の交通状況を優先してください。
歩行者右側通行のよくある誤解歩行者の通行ルールには、日常生活の中で誤解されやすい点があります。
- 誤解1:歩道でも必ず右側を歩かなければならない。 歩道内の歩行者の左右を全国一律に指定する規定は、道路交通法第10条にはない。
- 誤解2:左側を歩いたら必ず違反になる。 右側端が危険な場合など、法律上の例外がある。
- 誤解3:白線があれば必ず路側帯として歩ける。 白線の種類や区画の状態、通行に十分な幅があるかを確認する必要がある。
- 誤解4:自転車通行指定部分は歩行者が絶対に立ち入れない。 歩行者にはできるだけ避ける努力義務があるが、全面的な通行禁止とは異なる。
- 誤解5:自転車の青切符制度によって歩行者の右側通行ルールも変更された。 青切符は自転車運転者に対する制度であり、歩行者の通行区分とは別の問題である。
こうした誤解を解消することが、道路上での不要なトラブルを避ける第一歩です。
【プロの結論】歩行者右側通行で迷わないための判断基準
歩行者の右側通行を理解するうえで、最も大切なのは「歩行者は常に右側」という単純な覚え方をしないことです。
道路交通法第10条は、道路の構造に応じて通行場所を分けています。
まず歩道があるかを確認し、次に十分な幅の路側帯があるかを確認する。それらがない道路では右側端を通行し、右側が危険な場合などに限って左側端を利用するという順序で考えれば、基本的な判断を間違えにくくなります。
特に注意したいのは、次の3点です。
第一に、歩道と路側帯を混同しないこと。
道路端の白線や縁石だけで判断せず、歩行者が通行できる区域なのかを確認してください。
第二に、左側通行の例外を正しく理解すること。
右側が危険な場合や、ほかにやむを得ない事情がある場合は左側を通行できます。ただし、自由に左右を選択できるという意味ではありません。
第三に、自転車との通行区分を理解すること。
普通自転車通行指定部分がある歩道では、歩行者はできるだけ指定部分を避け、自転車側も歩行者を優先して通行する必要があります。
歩行者の右側通行は、交通事故を防ぐための基本的なルールです。しかし、本当に重要なのは、道路の構造を正しく見極め、状況に応じた安全な通行場所を選ぶことです。
2026年も、歩行者と自転車、そして自動車が互いの通行区分を理解し、無理のない安全な移動を心がけることが大切です。
【歩行者右側通行】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:歩行者は必ず道路の右側を歩かなければいけませんか?
A1:いいえ。歩道や歩行者の通行に十分な幅の路側帯がある道路では、原則としてそちらを通行します。歩道等と車道の区別がない道路では右側端を通行するのが原則です。
Q2:歩道がない道路で左側を歩いても違反になりませんか?
A2:道路交通法第10条第1項では、右側端を通行することが危険な場合や、その他やむを得ない場合には左側端を通行できるとしています。状況に応じた判断が必要です。
Q3:歩道では右側通行と左側通行のどちらが正しいですか?
A3:道路交通法第10条は、通常の歩道内における歩行者の左右を全国一律に指定していません。道路標示や案内に従い、ほかの歩行者と安全にすれ違える位置を通行してください。
Q4:路側帯がある場合も道路の右側を歩く必要がありますか?
A4:歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯がある場合は、原則として路側帯を通行します。車道の右側端を歩くという原則とは区別して考える必要があります。
Q5:普通自転車通行指定部分を歩いてもよいですか?
A5:歩行者は、その部分をできるだけ避けて通行するよう努める義務があります。完全な通行禁止とは異なりますが、自転車との接触を避けるため、できるだけ指定部分以外を利用しましょう。
Q6:2026年の自転車青切符制度で歩行者の右側通行ルールも変わりましたか?
A6:歩行者の右側通行に関する基本ルールが青切符制度によって変更されたわけではありません。2026年4月1日から始まった制度は、16歳以上の自転車運転者による一定の交通違反を対象とするものです。
歩行者は、いつでも右側を歩けばよいというわけではありません。
道路交通法第10条に基づく基本ルールは、次のように整理できます。
- 歩道がある場合は、原則として歩道を通行する。
- 十分な幅の路側帯がある場合は、路側帯を通行する。
- 歩道等と車道の区別がない道路では、右側端を通行する。
- 右側端が危険な場合などは、左側端を通行できる。
- 普通自転車通行指定部分がある歩道では、その部分をできるだけ避ける。
2026年11月現在も、歩行者の通行区分を理解するうえで道路交通法第10条は基本となる規定です。
日常的に利用する道路でも、歩道の有無や路側帯の幅、工事による通行規制などによって安全な通行場所は変わります。
「人は右」という標語だけで判断するのではなく、道路の構造と法律上の例外を正しく理解すること。それが歩行者自身の安全を守り、周囲の交通とのトラブルを防ぐための確かな判断基準です。
主な公的根拠・参考資料
- e-Gov法令検索「道路交通法」第10条、第63条の4
- 警察庁「歩行者などに対する注意」
- 警察庁「歩行者の安全に関する交通安全資料」
- 警察庁「自転車の新しい制度」(2026年4月施行)
- 政府広報オンライン「2026年4月から自転車の交通違反に青切符を導入」