何を考えているのかわからない、いつも笑顔で周囲に合わせているのに本当の気持ちを話してくれない。そんな「本音を言わない人」と接していると、相手を信用してよいのか、自分に何か隠しているのではないかと不安になることがあります。
本音を言わない背景には、嫌われたくないという気持ち、他人からの評価への恐れ、衝突を避けたい心理、過去の人間関係で傷ついた経験、自己開示への苦手意識など、さまざまな要因が考えられます。必ずしも相手をだましたいわけではなく、自分の心を守るために言葉を選んでいる人もいます。
2026年11月現在、心理学の研究でも、他者からの否定的評価への不安や回避行動と自己開示の少なさには関連が示されています。大切なのは、発言の少なさだけで相手の人格を決めつけず、言動の一貫性や信頼関係の築き方から本心を理解することです。
【心理を深掘り】本音を言わない人の心理と隠された5つの理由

本音を言わない人には、共通して見られる心理的な傾向があります。ただし、同じように口数が少なくても、その内面は人によって異なります。
相手の気持ちを理解するには、単純に「秘密主義」「裏表がある」と判断するのではなく、なぜ自分の考えを表に出さないのかという背景に目を向ける必要があります。
1. 嫌われたくない、周囲からの評価を気にしている本音を言わない理由として代表的なのが、他人から嫌われたり、否定されたりすることへの恐れです。
自分の意見を伝えた結果、相手の機嫌を損ねるかもしれない。反対意見を口にしたことで人間関係が悪くなるかもしれない。こうした不安が強いと、自分の考えよりも相手が喜びそうな言葉を選ぶようになります。
特に、周囲の反応に敏感な人は、会話の中で相手の表情や声の調子を気にしやすく、否定的な反応を予測すると発言を控えることがあります。
日本健康心理学会の学術誌に掲載された2020年の研究では、大学生308人を対象に、社交不安、他者からの否定的評価への恐れ、回避行動、自己開示の関係が調査されました。社交不安が高いグループでは、趣味や困難な経験についての自己開示が少なく、回避行動も自己開示に関係していました。
この研究は、嫌われることや否定されることへの不安が、気持ちを伝えにくくする背景の一つになり得ることを示しています。ただし、すべての人に当てはまるわけではありません。
2. 人間関係の衝突や面倒な話し合いを避けたい衝突を避ける人は、相手と意見が違っていても、あえて反対しないことがあります。
例えば、友人との食事で行きたい店が違っても「どこでもいいよ」と答える。職場で仕事の進め方に疑問があっても、会議では何も言わない。恋人に不満があっても「大丈夫」と伝える。
本人にとっては、意見を主張することよりも、その場の雰囲気を壊さないことのほうが優先されているのです。
このタイプは、必ずしも自分の意見がないわけではありません。意見を伝えた後に発生する議論や気まずさ、相手との関係修復にかかる精神的な負担を避けている場合があります。
ただし、衝突を避け続けると、表面上は穏やかな関係でも、不満が解消されないまま蓄積する可能性があります。
3. 過去に本音を話して傷ついた経験がある以前、信頼していた人に秘密を漏らされたり、率直な意見を伝えたことで強く否定されたりした経験も、本音を言わなくなるきっかけになります。
こうした経験をした人は、「正直に話しても理解してもらえない」「弱みを見せると利用される」と考え、自分の感情を表に出さないようになることがあります。
一度形成された警戒心は、相手が変わったからといってすぐになくなるものではありません。親しい人に対しても、仕事や日常の話はできるのに、悩みや不安については話せないという状態が続く場合があります。
本人が話さないのは、相手を嫌っているからではなく、過去の経験から慎重になっている可能性もあるのです。
4. 自己開示が苦手で、自分の感情を整理できない自分の気持ちを話すには、まず自分自身が何を感じているのかを理解する必要があります。
ところが、自己開示が苦手な人の中には、怒り、悲しみ、不安、寂しさなどの感情を言葉にすること自体が難しい人もいます。
「何が嫌なの?」と聞かれても、自分でも理由がわからない。「どうしたい?」と質問されても、すぐに答えを出せない。その結果、「別に」「何でもない」「わからない」という返答が増えていきます。
この場合、本人は意図的に隠しているというより、気持ちを言語化する力や習慣が十分に育っていない可能性があります。
本音を言うことと、自分の本音を理解することは別の問題です。話すように求めるだけでは解決しない場合もあります。
5. 自分を守るために弱みや情報を明かしたくない自分の弱点やプライベートな情報を他人に知られることに抵抗がある人もいます。
仕事での失敗、家庭の事情、経済的な悩み、恋愛に関する不安など、本人にとって知られたくない情報はさまざまです。
特に、自立心が強い人や他人に頼ることが苦手な人は、悩みを抱えていても自分で解決しようとする傾向があります。
2024年に学術誌『Personal Relationships』に掲載された研究では、親密な関係における愛着回避と自己開示の関係が検討されました。609人の参加者を含む分析では、愛着回避が高いほど個人的な出来事を共有する可能性が低くなる関連が示されています。また、そうした人も、前向きな出来事や自分の能力を伝える内容など、脆弱さを見せずに済む話題は選択的に共有していました。
つまり、本音を言わない人がすべての情報を隠しているとは限りません。何を、誰に、どこまで話すかを慎重に選んでいることもあります。
【見分け方を解説】本音を言わない人に共通する7つの特徴
本音を言わない人には、日常の会話や人間関係において、いくつかの特徴が見られます。ただし、一つの行動だけで本音を隠していると断定することはできません。複数の行動が繰り返されるかどうかを確認しましょう。
1. 相手によって意見や態度が変わる本音を言わない人は、話す相手によって意見を変えることがあります。
上司の前では賛成していた企画について、同僚には反対意見を話す。友人Aには恋人を褒める一方、友人Bには不満を漏らすといった行動です。
ただし、相手に合わせて言葉遣いや説明を変えること自体は自然なコミュニケーションです。問題になるのは、重要な判断や約束について、相手ごとに説明が食い違う場合です。
2. 質問に対して曖昧な返事をする「どう思う?」と聞いても「いいんじゃない?」「どっちでもいいよ」と返すことが多い人もいます。
自分の意見を明確にすると責任が生じるため、あえて曖昧な言葉を使っている可能性があります。
特に、重要な決断を迫られたときに曖昧な返事を繰り返す場合は、本人が判断を避けているのか、情報が足りずに決められないのかを区別することが大切です。
3. 自分のプライベートについて話さない休日の過ごし方、家族との関係、恋愛事情、将来の希望など、自分に関する話題を避ける傾向があります。
相手の話はよく聞くのに、自分の話になると話題を変えたり、質問に短く答えたりするのが特徴です。
ただし、プライバシーを大切にすることは悪いことではありません。親しくなったからといって、すべてを話す義務があるわけでもありません。
4. その場では賛成するのに、後から不満を口にする会議や話し合いでは賛成していたのに、終了後に「あの案はよくないと思っていた」と話すケースです。
その場で反対意見を伝えることへの抵抗感や、周囲の空気を乱したくない気持ちが影響している可能性があります。
この行動が続くと、周囲は本人の本当の意見を把握できず、意思決定にも支障が出てしまいます。
5. 褒め言葉や同意が多く、自分の主張が少ない「すごいね」「さすがだね」「確かにそうだね」と相手を肯定する言葉が多い一方、自分から意見を述べることが少ないタイプです。
周囲との関係を良好に保つために、肯定的な反応を優先している場合があります。
もちろん、純粋に相手を尊重している人もいるため、褒め言葉が多いという理由だけで裏表があると判断するのは適切ではありません。
6. 悩みや不満を抱えていても相談しない困っている様子があるのに「大丈夫」「自分で何とかする」と話し、周囲の助けを受けようとしない人もいます。
他人に迷惑をかけたくない、弱い人間だと思われたくない、相談しても解決しないと考えていることなどが背景にある可能性があります。
本人が助けを必要としているのに、それを言葉にできない状態では、周囲との間に認識のずれが生まれやすくなります。
7. 言葉と行動に一貫性がない信頼関係を判断するうえで、特に注目したいのが言葉と行動の違いです。
「いつでも協力する」と言っているのに実際には何もしない。「問題ない」と説明していたのに、後から重要な問題が明らかになる。このような食い違いが繰り返される場合は注意が必要です。
ただし、単発の失敗や予定変更と、意図的な隠し事は分けて考えなければなりません。説明する姿勢があるか、間違いを認めるか、改善しようとするかも判断材料になります。
【比較表】本音と建前の違いとは?心理・行動・人間関係への影響
本音を言わない人を理解するには、「本音」と「建前」の違いを知ることも欠かせません。
本音とは、自分が本当に感じていることや考えていることです。一方、建前とは、社会的な立場や相手との関係、場の状況を考慮して表現する意見や態度を指します。
建前は必ずしも嘘ではありません。相手への配慮や社会生活を円滑に進めるために必要なコミュニケーションでもあります。
問題になるのは、建前と本音の違いによって、重要な意思決定や相手との信頼関係に悪影響が生じる場合です。
| 比較項目 | 本音を伝える人 | 本音を隠す人・建前を優先する人 |
|---|---|---|
| 意見の伝え方 | 賛成・反対を自分の言葉で説明する | 相手の意見に合わせる傾向がある |
| 人間関係 | 意見の違いを話し合う | 衝突を避けて関係を維持しようとする |
| 自己開示 | 自分の経験や感情を適度に共有する | プライベートや弱みを明かすことに慎重 |
| 意思決定 | 希望や条件を具体的に伝える | 相手に判断を委ねることがある |
| 不満への対応 | 不満の理由を言葉にして相談する | 我慢したり、後から不満を漏らしたりする |
| 信頼関係 | 相互理解を深めやすい | 相手が考えを把握できず、誤解が生じることがある |
ここで押さえておきたいのは、本音を言わないことと、嘘をつくことは同じではないという点です。
例えば、職場で同僚の服装について気になる点があっても、わざわざ口にしないことがあります。これは相手を傷つけないための配慮であり、必ずしも不誠実な行為ではありません。
また、家庭の事情や過去の恋愛経験を話さないことも、本人のプライバシーを守る選択です。
一方、業務上必要な情報を意図的に隠す、相手に不利益が生じる事実を偽って伝える、約束を守る意思がないのに同意するなどの行為は、単なる建前とは区別する必要があります。
つまり、評価すべきなのは本音をどれだけ話すかではなく、相手に必要な情報を誠実に伝えているかどうかです。
【関係性別に分析】本音を言わない男性・女性の心理と恋愛での実態
本音を言わない人の心理は、職場、友人関係、恋愛など、相手との関係によっても変わります。
特に恋愛では、相手に嫌われることへの不安や、自分の弱さを見せることへの抵抗が、気持ちを伝えにくくする場合があります。
本音を言わない男性の心理本音を言わない男性には、自分の悩みを他人に見せたくない、弱いと思われたくない、自分で解決したいという心理が関係している場合があります。
例えば、恋人との関係に不満があっても、話し合いを避けて黙り込んでしまう男性がいます。仕事で悩みを抱えていても、パートナーに心配をかけたくないという理由で何も話さないこともあります。
また、相手の反応を気にしているため、好きという気持ちや将来についての希望をはっきり伝えられないケースもあります。
ただし、男性だから感情表現が苦手というわけではありません。性別による固定的な判断よりも、本人の性格、育った環境、これまでの人間関係を考えることが大切です。
本音を言わない女性の心理本音を言わない女性の場合も、嫌われたくない、相手を傷つけたくない、関係を壊したくないという気持ちが背景にあることがあります。
例えば、恋人の言動に不満があっても「大丈夫」と答える。友人からの誘いを断りたいのに、相手を気遣って曖昧な返事をする。職場で納得できない指示があっても、その場では反論しないといった行動です。
周囲への気遣いが強い人ほど、自分の希望を後回しにしてしまう場合があります。
しかし、これも女性に特有の心理ではありません。男性にも女性にも見られる行動であり、個人差が大きいものです。
恋愛で本音を言わない人は相手を好きではないのか恋愛で本音を話さないからといって、相手への愛情がないとは限りません。
好きだからこそ嫌われるのが怖い。関係を壊したくないから不満を言えない。自分の気持ちを伝えて、相手に重いと思われたくない。こうした心理から、気持ちを隠してしまうことがあります。
一方で、相手との関係に深く踏み込むことを避けている場合もあります。親密さが増すほど自分の弱みや感情を見せることに抵抗を感じ、距離を保とうとする人もいるのです。
2024年の愛着回避と自己開示に関する研究は、親しい関係であっても、個人的な経験を共有するかどうかは相手との関係や心理的な距離によって異なることを示しています。
そのため、恋人が本音を話さない場合は、愛情の有無だけで判断せず、普段の行動、約束への向き合い方、将来について話し合う姿勢などを総合的に確認しましょう。
本音を話さない恋人との関係で確認したいこと恋人の本心を知りたいときは、問い詰めるよりも、安心して話せる環境を作ることが先決です。
「どうして何も話してくれないの?」と責めると、相手はさらに警戒する可能性があります。
それよりも、「私はこう感じたけれど、あなたはどう思った?」「今すぐ答えなくてもいいから、考えを聞かせてほしい」といった伝え方が適しています。
また、相手の話を聞くことと、自分が我慢し続けることは別です。重要な問題について話し合いに応じない状態が続くなら、自分の希望や関係に求める条件も率直に伝える必要があります。
【具体的な対処法】本音を言わない人との上手な付き合い方6選
本音を言わない人との関係を良好に保つためには、無理に気持ちを聞き出そうとしないことが基本です。
本人が安心して話せる関係を作りながら、必要な情報や意見を少しずつ共有できるように工夫していきましょう。
1. まずは相手の話を否定せずに聞く最初に意識したいのは、相手の発言を途中で遮らず、最後まで聞くことです。
本音を言わない人は、自分の意見を話したときに否定されたり、責められたりすることを警戒している場合があります。
せっかく話してくれた内容に対して、すぐに反論したり、正論を押し付けたりすると、次から話してくれなくなる可能性があります。
まずは「そう感じていたんだね」「そういう考え方もあるね」と受け止め、その後で必要な質問をすることが大切です。
2. 答えやすい具体的な質問をする「本当はどう思っているの?」という質問は、相手にとって負担になることがあります。
特に、自分の感情を整理するのが苦手な人にとって、漠然とした質問は答えにくいものです。
例えば、次のように質問を具体化すると、相手も答えやすくなります。
- 「この予定は土曜日と日曜日なら、どちらが都合いい?」
- 「今回の進め方で、気になるところはある?」
- 「この案で進めるとしたら、何か不安な点はある?」
- 「今は話を聞いてほしい?それとも一緒に解決策を考えたい?」
選択肢を用意することで、何もないところから自分の意見を作る負担を減らせます。
3. 自分から適度に本音を話す相手に本音を話してもらいたいなら、まず自分が適度に自己開示することも有効です。
例えば、「私はこういう場面で緊張することがある」「実はこの仕事の進め方について少し悩んでいる」といったように、身近な話題から自分の考えを伝えます。
相手にだけ話すことを求めるのではなく、お互いが少しずつ自分の考えを共有できる関係を目指しましょう。
内閣官房内閣人事局が2024年に公表した『国家公務員のためのマネジメントテキスト』でも、職場の心理的安全性を高める方法として、管理職自身の自己開示と部下への傾聴が取り上げられています。一方的に自分の話をするのではなく、相手の話も丁寧に聞くことが重視されています。
4. 無理に答えを求めず、考える時間を与える質問をした直後に答えが返ってこなくても、焦る必要はありません。
自分の気持ちを整理するまでに時間が必要な人もいます。その場で答えを求め続けると、本人はさらにプレッシャーを感じてしまいます。
「今すぐ決めなくても大丈夫」「また話せそうなときに聞かせて」と伝えることで、心理的な負担を軽減できます。
5. 言葉だけでなく、日頃の行動を観察する本音を言わない人の気持ちを理解するには、発言だけでなく行動も確認しましょう。
例えば、困っているときに助けてくれるか、約束を守ってくれるか、必要な場面で協力してくれるかといった点です。
言葉数が少なくても、行動で誠意を示す人はいます。反対に、口では親切なことを言っていても、実際の行動が伴わない人もいます。
表情や視線などから本心を決めつけるのではなく、一定期間の行動の一貫性を確認が必要です。
6. 相手の性格を変えようとしない本音を言わない人に対して、「もっと自分の意見を言ってほしい」「何でも話してほしい」と求め続けるのは逆効果になる場合があります。
人にはそれぞれ、他人に話したい情報の範囲や、心地よい距離感があります。
相手のプライバシーや性格を尊重しながら、自分にとって必要なコミュニケーションの条件を伝えることが大切です。
ただし、相手を尊重することは、すべてを我慢することではありません。重要な約束や共同で決めるべき問題については、曖昧なままにせず、必要な説明を求めても構いません。
【職場での対応】本音を言わない同僚・上司・部下との接し方
職場で本音を言わない人がいると、業務の進捗や意思決定に影響が出ることがあります。
特に、会議では反対意見が出ないのに、後から不満が表面化するケースや、部下が問題を抱えているのに相談してくれないケースは、組織としても見過ごせません。
本音を言わない同僚には、意見を求める機会を作る同僚が自分の意見を言わない場合、会議の場で突然意見を求めるよりも、事前に考える時間を設ける方法があります。
例えば、議題を事前に共有したり、個別に意見を聞いたりすることで、発言への心理的な負担を減らせます。
また、意見が違っていても人格を否定しないことを、日頃のコミュニケーションで示すことが重要です。
本音を言わない上司には、事実と選択肢を整理して伝える上司が考えを明確に伝えない場合は、相手の意図を推測し続けるのではなく、具体的な確認を行いましょう。
「どの方法がよいでしょうか」と尋ねるだけでなく、「A案は納期を優先でき、B案はコストを抑えられます。今回はどちらを優先しますか」と選択肢を提示すると、判断を得やすくなります。
口頭での指示が曖昧な場合は、メールや議事録で決定事項を確認し、認識の違いが起きないようにすることも有効です。
本音を言わない部下には、心理的安全性を整える部下が本音を話さない場合、本人の性格だけに原因を求めるのは適切ではありません。
上司の反応や職場の雰囲気によって、部下が発言を控えている可能性もあります。
内閣官房内閣人事局の2024年版マネジメントテキストでは、心理的安全性が低い職場では、ミスや問題の報告が遅れたり、表面上は従順でも必要な意見が出てこなかったりする問題が示されています。
同資料では、上司が話を最後まで聞くこと、部下に率先して話しかけること、自分の考えや失敗経験も共有することなどが、信頼関係を築く工夫として紹介されています。
部下の発言を増やしたいなら、発言を求めるだけでなく、発言しても不利益を受けない環境を整えることが先決です。
仕事上の信頼性は、発言量ではなく責任ある行動で判断する本音を言わない同僚や部下を、すぐに信用できない人と判断する必要はありません。
確認したいのは、仕事の期限を守るか、問題が発生したときに報告するか、決定した内容に責任を持つかという点です。
個人的な感情を話さなくても、業務上必要な情報を正確に共有できる人なら、十分に信頼できるパートナーになり得ます。
反対に、重要な情報を隠したり、説明を何度も変えたり、問題が起きるたびに責任を他人に押し付けたりする場合は、業務上のルールや確認体制を見直す必要があります。
【プロの結論】本音を言わない人は信用できない?見極めるべき3つの判断基準
本音を言わない人について、最も気になる疑問の一つが「信用しても大丈夫なのか」という点です。
この疑問に対する答えは、本音を話さないという理由だけで、信用できないと判断することはできないというものです。
人には話したくないことがあり、他人にすべてを明かさなくても誠実な関係を築くことはできます。
一方で、相手の態度によって自分が不利益を受けている場合には、単に性格の問題として片付けるべきではありません。
判断基準1:言葉と行動が一致しているか最も重要なのは、普段の言葉と行動に一貫性があるかどうかです。
約束したことを実行する、できないことは事前に伝える、間違いがあれば認めて謝る。こうした行動が見られる人は、口数が少なくても信頼関係を築きやすいでしょう。
判断基準2:必要な情報を誠実に共有しているかプライベートな話をしないことと、相手が知る必要のある情報を隠すことは別です。
例えば、共同で進めている仕事に問題が生じた場合や、恋人との将来に関わる重要な問題がある場合には、必要な説明をする姿勢が大切です。
説明を避け続けたり、質問するたびに話をすり替えたりする行動が繰り返される場合は、距離の取り方を考える必要があります。
判断基準3:意見が違ったときに話し合えるか本当に信頼できる関係は、いつも意見が一致する関係ではありません。
考え方が違っても、相手の意見を聞き、必要な調整ができることが大切です。
本音を言わない人であっても、時間をかけて話し合えるなら、関係を改善できる可能性があります。
反対に、重要な話し合いを常に拒否する、都合が悪くなると連絡を絶つ、説明を求めても責任を回避するといった行動が続く場合は、信頼関係を維持できるか慎重に考える必要があります。
本音を引き出すことより、自分が安心できる関係かを考える相手の本心を知りたいという気持ちは自然なものです。しかし、他人の心を完全に理解することはできません。
本音を話してもらうことだけを目標にすると、相手の言動を必要以上に疑ったり、自分ばかりが気を遣ったりすることにもつながります。
大切なのは、相手の考えを尊重しながら、自分の意見も伝えられる関係になっているかどうかです。
本音を言わない人との関係で疲れてしまったときは、相手を理解する努力と同じくらい、自分の気持ちや境界線を守ることも大切にしてください。
【よくある質問】本音を言わない人に関するFAQ
Q1:本音を言わない人は何を考えているのでしょうか?
A1:嫌われたくない、衝突を避けたい、自分の弱みを見せたくないなど、さまざまな心理が考えられます。自分の気持ちをうまく言葉にできない人もいるため、必ずしも相手に何かを隠そうとしているわけではありません。
Q2:本音を言わない人は信用できないのでしょうか?
A2:本音を言わないという理由だけで信用できないとは判断できません。約束を守るか、必要な情報を正確に伝えるか、問題が起きたときに誠実に対応するかなど、日頃の行動から判断することが大切です。
Q3:本音を言わない人の特徴は何ですか?
A3:相手に合わせる、曖昧な返事をする、自分のプライベートを話さない、意見の対立を避ける、悩みを相談しないなどの特徴が見られる場合があります。ただし、一つの特徴だけで決めつけることはできません。
Q4:本音を言わない人の本心を見抜く方法はありますか?
A4:表情や視線だけで本心を見抜く確実な方法はありません。相手の発言と行動に一貫性があるか、重要な場面で誠実に対応するか、具体的な質問にどのように答えるかを継続的に確認しましょう。
Q5:本音を言わない恋人とはどう付き合えばよいですか?
A5:無理に気持ちを聞き出そうとせず、自分から適度に気持ちを伝え、安心して話せる関係を作ることが大切です。ただし、将来や大切な約束について話し合えない状態が続く場合は、自分の希望も率直に伝えましょう。
Q6:本音を言わない人に本音を話してもらうにはどうすればよいですか?
A6:相手の話を否定せず、答えやすい具体的な質問をする方法がおすすめです。すぐに答えを求めず、考える時間を与えることも効果的です。相手が話したくない内容まで無理に聞き出す必要はありません。
Q7:本音を言わない人は性格が悪いのでしょうか?
A7:本音を話さないことと、性格の良し悪しは別の問題です。慎重な性格や自己開示が苦手な人、他人への配慮が強い人もいます。相手の人格ではなく、周囲にどのような影響を与えているか、誠実な行動ができているかを見極めましょう。
本音を言わない人の心理には、嫌われたくないという不安、衝突を避けたい気持ち、過去の人間関係で傷ついた経験、自己開示への苦手意識など、さまざまな要因が関係しています。
相手に合わせる、曖昧な返事をする、プライベートを話さないといった特徴があっても、それだけで不誠実な人だと判断することはできません。
本音と建前は、必ずしも対立するものではありません。人間関係を円滑にするために建前を使うこともあれば、自分の心を守るために本音を控えることもあります。
相手の本心を理解したいなら、無理に聞き出すのではなく、否定しない対話、適度な自己開示、具体的な質問を通して安心できる関係を作ることが大切です。
一方で、相手の気持ちを尊重することと、自分が我慢し続けることは違います。重要な約束や必要な情報を共有してくれない場合には、言葉と行動の一貫性を確認し、自分にとって健全な距離感を考える必要があります。
本当に見るべきなのは、相手がどれだけ本音を話すかではなく、話さない部分があっても誠実に向き合える人かどうかです。相手の性格を無理に変えようとせず、お互いの気持ちと境界線を尊重できる関係を目指しましょう。
編集上の参考資料(記事の根拠)
- 日本健康心理学会『社交不安,他者からの評価に対する恐れ,回避行動と自己開示との関係性』(2020年)。大学生308人を対象とした研究。
- Wiley『Attachment avoidance predicts limited and selective sharing of personal events in close relationships』(2024年)。609人を含む分析で、愛着回避と自己開示の関連を検討。
- 内閣官房内閣人事局『国家公務員のためのマネジメントテキスト』(2024年4月版)。心理的安全性、傾聴、自己開示に関する公的な実務資料。
- 『Current Opinion in Psychology』掲載論文『The role of disclosure in relationships』(2020年)。自己開示と関係性の形成・維持についての研究レビュー。