自分では何気なく口にした一言でも、相手の自尊心を深く傷つけてしまうことがある。「そんなこともできないの?」「だからあなたはダメなんだ」といった人格を否定する言葉だけでなく、見下す態度、無視、他人との比較、努力を認めない振る舞いも、相手の心に大きな負担を与える。職場の上司と部下、夫婦や恋人、友人、親子など、身近な人間関係ほど、こうした言動は繰り返されやすい。
自尊心を傷つける背景には、相手を支配したい心理だけでなく、本人が自覚していない劣等感、ストレス、コミュニケーションの癖、他人への想像力の不足など、さまざまな要因がある。2026年現在、職場のハラスメント対策やパートナー間の心理的暴力への理解も広がるなか、傷つける側と傷つけられる側の双方が、言動の意味を正しく理解することが求められている。
この記事では、自尊心を傷つける言葉や態度、相手を傷つけてしまう心理、自尊心と自己肯定感の違いを整理する。加えて、人格否定とモラハラの違い、職場や恋愛での具体例、相手の自尊心を守る伝え方、傷つけた後の謝罪、そして自尊心を回復するための実践的な方法まで詳しく解説する。
【1】自尊心を傷つける言動とは?言葉だけでなく態度も心理的ダメージにつながる

自尊心とは、自分自身を価値ある存在として認識し、自分の人格や尊厳を大切にする感覚を指す。心理学では「self-esteem(セルフ・エスティーム)」という概念として研究されており、自分に対する肯定的・否定的な評価と深く関係している。
日本心理学会の「心理学ワールド」でも、自尊心は長年研究されてきた心理学の重要な概念として紹介されている。また、意識的に自分を評価する顕在的自尊心と、本人が必ずしも意識していない潜在的自尊心という側面もある。
自尊心を傷つけるとは、単に相手を不快にさせることではない。相手の能力、人格、存在価値、選択、尊厳を軽視し、自分自身を肯定する感覚を揺るがせるような言動を指す。
自尊心を傷つける代表的な言葉相手を傷つける言葉には、直接的な侮辱だけでなく、冗談やアドバイスに見えるものもある。
代表的な例は次のとおりだ。
- 「そんなこともできないの?」
- 「あなたには無理だと思う」
- 「本当に使えない人だね」
- 「普通はそれくらい分かるでしょ」
- 「誰でもできることなのに」
- 「だからあなたはダメなんだよ」
- 「あの人を見習ったら?」
- 「何をやっても中途半端だね」
- 「あなたの考えには価値がない」
- 「誰もあなたのことなんて気にしていない」
これらに共通するのは、具体的な行動や結果ではなく、相手そのものを評価・否定している点だ。
例えば、仕事でミスをした人に対して「この資料の数字が間違っているので、確認して修正してください」と伝えることは、業務上の指摘である。
一方、「こんなミスをするなんて、本当に能力がないね」と伝えれば、ミスの修正ではなく人格や能力全体への攻撃になる。
問題点を指摘することと、相手の人間性を否定することは別物だ。
自尊心を傷つける態度の特徴言葉を使わなくても、相手の尊厳を損なう態度は存在する。
特に注意したいのが、次のような行動だ。
1. 話を最後まで聞かずに否定する
相手が意見を述べている途中で遮り、「それは違う」「どうせ分かっていない」と決めつける態度。自分の考えを表現する機会を奪われることで、相手は発言すること自体に不安を感じやすくなる。
2. 他人と比較する
「前の担当者はもっと優秀だった」「友達の恋人はもっと気が利く」といった比較は、相手の努力や個性を軽視することにつながる。
3. 意図的に無視する
挨拶を返さない、話しかけても反応しない、必要な連絡を意図的に伝えないといった態度は、相手を人間関係から排除する行動になり得る。
4. 人前で恥をかかせる
本人の失敗や欠点を周囲に言いふらしたり、会議や友人の集まりで笑いものにしたりする行為も、自尊心を傷つける。
5. 努力を認めない
成果を出しても「これくらい当然」と言い続けたり、相手の貢献を自分の手柄にしたりする態度は、相手の達成感や自己評価を損なう。
自尊心を傷つけられた人に起こりやすい心理的影響自尊心を繰り返し傷つけられると、次のような変化が現れる場合がある。
- 自分の判断に自信が持てなくなる
- 他人の顔色を過剰にうかがう
- 失敗を極端に恐れる
- 自分の意見を言えなくなる
- 人間関係に警戒心を持つ
- 必要以上に自分を責める
- 新しいことに挑戦する意欲が低下する
ただし、一度の厳しい指摘ですべての人の自尊心が低下するわけではない。受け手の経験、関係性、言動の頻度、周囲の支援などによって影響は異なる。
重要なのは、言った側が「悪気はなかった」と感じていることと、受け取った側が傷ついたことは両立するという点だ。
【2】なぜ人は相手の自尊心を傷つけるのか?無意識に人を傷つける心理と特徴
相手を傷つける人が、必ずしも最初から攻撃する意図を持っているとは限らない。
無意識の言動によって相手を傷つけるケースもあれば、自分の不安や劣等感を隠すために他人を否定するケースもある。
ここでは、代表的な心理的背景を整理する。
1. 劣等感や自信のなさを隠したい自分に自信がない人は、他人の成功や能力を素直に認められないことがある。
例えば、同僚が仕事で評価されたとき、本来なら努力を認めるべき場面で「運がよかっただけ」「大した仕事じゃない」と評価を下げる。
こうした言動には、自分と他人を比較し、自分の立場が脅かされることへの不安が関係している場合がある。
他人の価値を下げることで、一時的に自分の優位性を感じようとする心理だ。
ただし、劣等感がある人すべてが他人を傷つけるわけではない。
2. 相手を支配したい、優位に立ちたい自分の思いどおりに相手を動かしたい人は、否定的な言葉や態度を使って相手の自信を奪う場合がある。
例えば、恋人に対して「自分一人では何もできないでしょ」と繰り返したり、仕事の部下に「私がいなければ何もできない」と言い続けたりするケースだ。
相手が自分の判断を信じられなくなると、支配する側に依存しやすくなる。
このような行動が継続し、交友関係や行動の自由まで制限する場合には、心理的な暴力として捉える必要がある。
3. 感情をコントロールできない怒りや焦りを感じたとき、その感情を適切に処理できず、身近な人にぶつけてしまう人もいる。
特に、仕事のストレスや家庭内の不満を抱えていると、些細な失敗にも過剰に反応する場合がある。
しかし、感情が高ぶっていたことは、暴言や人格否定を正当化する理由にはならない。
怒りを感じることと、相手を傷つける行動を選択することは区別する必要がある。
4. 自分の言動が相手に与える影響を想像できない本人にとっては冗談や率直な意見でも、相手にとっては侮辱になる場合がある。
例えば、容姿や年齢、学歴、収入、仕事の能力などを話題にして笑いを取ろうとする行動だ。
本人は親しみを表現しているつもりでも、相手がその話題に触れられたくないと感じていることに気づいていない。
こうしたケースでは、相手の立場を想像する力と、指摘を受けた後に行動を修正する姿勢が求められる。
5. 自分も同じような環境で育った、働いてきた厳しい言葉を当たり前とする家庭や職場で過ごしてきた人は、同じコミュニケーションを無意識に再現することがある。
「昔はもっと厳しかった」「自分もこうやって育てられた」という考え方が、他人を傷つける言動につながる場合もある。
しかし、過去に自分が受けた扱いが、現在の相手に同じことをしてよい理由にはならない。
自尊心を傷つける人に見られやすい特徴| 特徴 | 具体的な言動 | 背景にある可能性 |
|---|---|---|
| 他人と比較する | 人前で能力や容姿を比べる | 優劣へのこだわり |
| 否定から入る | 相手の意見をすぐ否定する | 自分の考えへの固執 |
| 責任転嫁する | 自分の失敗を他人のせいにする | 自己防衛 |
| 見下す | 立場や能力を理由に威圧する | 優位性への執着 |
| 冗談で攻撃する | 傷つく発言を笑いに変える | 共感や配慮の不足 |
| 謝らない | 相手の反応を軽視する | 責任回避 |
| 相手を孤立させる | 無視や仲間外れを繰り返す | 支配や排除の意識 |
これらは心理的傾向を整理したものであり、性格や精神状態を診断するチェックリストではない。
特に重要なのは、本人の内面を推測することよりも、実際にどのような言動が繰り返されているかを確認することだ。
【3】自尊心と自己肯定感の違いとは?自尊心が低い人に見られる特徴
自尊心と自己肯定感は、日常会話では似た意味で使われることが多い。しかし、心理学や教育分野では、文脈によって異なる意味で説明される場合がある。
自尊心と自己肯定感の違い自尊心は、自分自身に対する全体的な評価や、自分には価値があると感じる感覚に関係する。
自己肯定感は、一般的には自分の存在や特徴を受け入れ、自分を肯定的に捉える感覚を指す。
ただし、両者に明確で普遍的な境界線があるわけではない。self-esteemの日本語訳として、自尊心、自尊感情、自己肯定感などが使われることもある。
| 比較項目 | 自尊心 | 自己肯定感 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 自分の価値や尊厳を認める感覚 | 自分自身を受け入れ肯定する感覚 |
| 主な視点 | 自分をどう評価しているか | 自分の存在をどう受け止めているか |
| 他人との関係 | 他者からの評価によって揺らぐ場合がある | 他人と比較せず自分を認める側面がある |
| 低下した場合 | 自分の価値を低く評価しやすい | 自分の長所や存在を肯定しにくい |
| 回復の方向性 | 自分の尊厳や価値を再認識する | 長所も短所も含めて自分を受け入れる |
東京都教職員研修センターの資料でも、自尊感情と自己肯定感は関連する概念として整理され、それぞれの捉え方が説明されている。
自尊心が低い人に見られる5つの特徴自尊心が低い状態では、次のような傾向が現れることがある。
1. 他人からの評価に敏感
少し注意されただけでも「自分は嫌われた」「能力がないと思われた」と感じやすい。
2. 他人と自分を比較する
友人の成功や同僚の評価を見て、自分には価値がないと考えてしまう。
3. 自分の意見を主張できない
反対意見を伝えることに不安を感じ、相手に合わせ続ける。
4. 失敗を必要以上に責める
仕事や人間関係で小さな失敗をすると、自分の人格そのものを否定してしまう。
5. 褒められても素直に受け取れない
「そんなことない」「たまたまだよ」と、自分の努力や成果を認められない。
ただし、こうした特徴があるからといって、その人の自尊心が必ず低いとは限らない。疲労やストレス、置かれている環境によって一時的に同じ反応が出ることもある。
自尊心が低いと他人に傷つけられやすいのか自尊心が低い人は、他人の評価や批判を自分の価値と結び付けて受け止めやすい場合がある。
しかし、これは「傷つけられる側に問題がある」という意味ではない。
どれほど自尊心が高い人でも、信頼する相手から人格を否定されたり、長期間にわたって侮辱されたりすれば傷つく。
自尊心の高さを理由に、他人への攻撃を正当化することはできない。
【4】人格否定とモラハラの違いは?自尊心を傷つける行為の判断基準
自尊心を傷つける言動を考えるうえで、混同しやすいのが「人格否定」と「モラハラ」だ。
両者は関連しているが、意味は同じではない。
人格否定は相手の人間性そのものを否定する行為人格否定とは、相手の行動や失敗ではなく、その人の存在、能力、人間性、価値などを否定する言動を指す。
例えば、次のような発言が該当する。
- 「あなたは人として最低だ」
- 「何をやってもダメな人間だ」
- 「生きている価値がない」
- 「あなたのような人間は必要ない」
仕事のミスを注意することと、仕事のミスを理由に人間性を否定することには大きな違いがある。
モラハラは継続的な精神的嫌がらせを指すことが多いモラハラは「モラルハラスメント」の略称で、言葉や態度によって相手を精神的に追い詰める行為を指す日常的な表現だ。
代表的な行動には、次のようなものがある。
- 日常的に相手を侮辱する
- 長時間にわたって無視する
- 失敗を繰り返し責める
- 相手の交友関係を制限する
- 行動や服装を細かく管理する
- 相手の判断や能力を否定し続ける
人格否定が一つの言動を指すのに対し、モラハラは複数の言動が継続的に行われる状況を指して使われることが多い。
なお、モラハラという言葉自体が、あらゆる場面に共通する独立した法律上の認定基準になっているわけではない。具体的な行為や関係性によって、適用される制度や法律上の評価は異なる。
職場のパワハラに該当する可能性がある行為厚生労働省によると、職場のパワーハラスメントは、次の3要素をすべて満たす言動と定義されている。
1. 優越的な関係を背景とした言動であること。
2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えていること。
3. 労働者の就業環境が害されること。
この3要素を満たさない適正な業務指示や指導は、パワハラには該当しない。
厚生労働省の指針では、精神的な攻撃の例として、人格を否定する言動、必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前での威圧的な叱責などが挙げられている。
つまり、厳しい指導であればすべてパワハラになるわけではない一方、指導を理由に人格を否定する行為が許されるわけでもない。
恋愛や夫婦関係では心理的暴力にも注意恋人や配偶者の間でも、人格否定や無視、威圧的な態度が繰り返される場合には注意が必要だ。
政府広報オンラインでは、配偶者や交際相手からの暴力について、身体的な攻撃だけでなく、怒鳴る、長時間無視する、人格を否定する、行動を制限するといった心理的攻撃も取り上げている。
大切なのは、相手が謝ったかどうかだけで判断しないことだ。
同じ行為が何度も繰り返されていないか、恐怖によって自分の行動を制限されていないか、自分の意思を自由に表現できる関係なのかを確認したい。
【5】職場や恋愛で起こりやすい傷つける言動と相手の自尊心を守る伝え方
自尊心を傷つける言動は、特別な人間関係だけで起こるものではない。
むしろ、日常的に接する相手との間で、無意識のうちに繰り返されることがある。
職場で自尊心を傷つける言動職場では、立場や役職、経験年数などの違いが、相手への接し方に影響する。
例えば、上司が部下に対して「こんな仕事もできないのか」と言ったり、同僚の前で何度も失敗を責めたりするケースだ。
また、部下の成果を認めない、意見を聞かない、必要な情報を与えないといった態度も、働く人の自信を損なう可能性がある。
一方、適切な指導では、問題点と改善方法を具体的に伝えることが大切だ。
避けたい伝え方
「何回言ったら分かるの?本当に仕事ができないね」
望ましい伝え方
「今回の資料では、この部分に誤りがありました。次回は提出前に数字を確認する手順を追加しましょう」
後者は、相手の人格を否定せず、改善すべき行動に焦点を当てている。
なお、2026年10月1日からは、改正法に基づくカスタマーハラスメント対策などが事業主の義務となった。職場におけるハラスメントへの対応は、個人のコミュニケーションだけでなく、組織としての防止体制も問われる段階に入っている。
恋愛や夫婦関係で自尊心を傷つける言動恋愛関係では、親密さを理由に相手への配慮が薄れてしまうことがある。
例えば、次のような言動だ。
- 元恋人と現在の恋人を比較する
- 容姿や体型について繰り返し批判する
- 相手の仕事や収入を見下す
- 友人や家族との付き合いを否定する
- 話し合いの途中で無視する
- 相手の感情を「考えすぎ」と片付ける
- 自分の価値観を一方的に押し付ける
特に注意したいのが、愛情表現を装った支配だ。
「あなたのために言っている」「自分が一番あなたを理解している」という言葉でも、相手の意思を無視して行動を制限していれば、健全な関係とはいえない。
相手の自尊心を守る伝え方5つのポイント相手に改善してほしいことがある場合、伝える内容だけでなく伝え方も重要になる。
1. 人格ではなく具体的な行動を指摘する
「あなたは無責任」ではなく、「約束した時間に連絡がなかったことが心配だった」と伝える。
2. 相手の意見を最後まで聞く
自分と違う意見でも、途中で遮らずに最後まで聞くことで、相手は尊重されていると感じやすくなる。
3. 他人と比較しない
改善を求めるときは、別の人を引き合いに出すのではなく、本人の行動や状況を基準にする。
4. 感情と事実を分ける
「あなたはいつもひどい」ではなく、「昨日の発言を聞いて悲しくなった」と、自分の感情を具体的に伝える。
5. 相手の努力や良い部分も認める
問題点だけでなく、できていることや努力している部分も適切に評価する。
相手を尊重する伝え方は、単に優しい言葉を使うことではない。必要なことを率直に伝えながら、相手の尊厳を守る姿勢が大切だ。
【6】自尊心を傷つけた後の謝罪と関係修復、自尊心を回復する方法
どれほど気を付けていても、意図せず相手を傷つけてしまうことはある。
そのときに重要なのは、言い訳をすることではなく、自分の言動によって相手が受けた影響を理解し、具体的に行動を変えることだ。
自尊心を傷つけた相手への正しい謝罪方法謝罪では、次の4つを意識したい。
1. 何が悪かったのかを具体的に認める
「嫌な思いをさせたならごめん」では、何に対して謝っているのかが曖昧になる。
「みんなの前で能力を否定するような発言をしたことは間違っていた」と具体的に伝える。
2. 相手の気持ちを受け止める
「そんなつもりではなかった」と自分の意図を説明する前に、相手が傷ついた事実を受け止める。
3. 言い訳や責任転嫁をしない
「でも、あなたにも原因がある」「冗談だったから」といった言葉を続けると、謝罪の意味が薄れてしまう。
4. 再発防止の行動を示す
同じことを繰り返さないために、具体的に何を変えるのかを伝える。
心理学の謝罪研究では、謝罪を単なる言葉ではなく、感情の表明、相手の経験の承認、具体的な行動という複数の要素から成る過程として捉えた研究もある。
実際に使える謝罪の言葉例えば、職場の同僚や恋人に対して、自分の発言が相手の自尊心を傷つけてしまった場合は、次のように伝えられる。
この前は、あなたの能力を否定するような言い方をしてしまって、本当にごめんなさい。
自分では軽い気持ちで言ったつもりでしたが、あなたの努力や気持ちを考えない発言だったと思います。
傷つけてしまったことを反省しています。これからは、問題点を伝えるときも、あなた自身を否定するような言い方をしないように気を付けます。
すぐに許してほしいとは思っていません。必要な時間を取ってもらえたらと思います。
謝罪を受け入れるかどうかは相手が決めることだ。
謝罪したからといって、すぐに関係が元どおりになるとは限らない。信頼を回復するには、その後の行動を積み重ねる必要がある。
自尊心を傷つけられたときの対処法反対に、自分が傷つけられた場合は、相手の言動をすべて自分の責任として受け止めないことが大切だ。
次の方法を試してみたい。
1. 相手の言葉と自分の価値を切り離す
他人から否定されたからといって、その評価が自分の価値を決定するわけではない。
「相手はそう言った」という事実と、「自分には価値がない」という解釈は別のものだ。
2. 傷ついたことを言葉にする
相手と安全に話せる関係であれば、「その言い方は傷ついた」「人格を否定するような発言はやめてほしい」と具体的に伝える。
3. 無理に相手に合わせない
相手に嫌われたくないという理由で、すべての要求を受け入れる必要はない。
不快な言動を受けたときは、距離を取ることも選択肢になる。
4. 記録を残す
職場や継続的な人間関係で問題が起きている場合は、日時、発言内容、状況、周囲にいた人などを記録しておく。
繰り返されるハラスメントについて相談する際にも役立つ。
5. 信頼できる人や専門機関に相談する
一人で抱え込最初に、友人、家族、職場の相談窓口、専門家などに状況を話す。
継続的な精神的苦痛がある場合には、医療機関や心理専門職に相談することも検討したい。
自尊心を回復するための5つの習慣自尊心は、他人からの評価だけで決まるものではない。日々の考え方や行動を見直すことで、自分自身を肯定的に捉える感覚を育てていける。
- 小さな成功を認める: 仕事や生活でできたことを記録し、自分の努力を振り返る。
- 他人との比較を減らす: 他人の成果ではなく、過去の自分と比べて成長を確認する。
- 自分を責めすぎない: 失敗を人格の問題にせず、改善できる行動として考える。
- 自分の意思を大切にする: 無理な要求には断る練習をする。
- 安心できる人間関係を築く: 自分の意見や感情を尊重してくれる人との時間を増やす。
特に重要なのは、誰かに認めてもらうことだけを自分の価値の基準にしないことだ。
自分の長所だけでなく、苦手なことや失敗も含めて、自分を一人の人間として受け入れる姿勢が回復の土台になる。
相談を検討したいケースと公的な窓口自尊心を傷つける言動が繰り返され、生活や仕事に支障が出ている場合には、第三者の力を借りることも大切だ。
| 相談したい状況 | 主な相談先 | 相談できる内容 |
|---|---|---|
| 職場でのパワハラや嫌がらせ | 総合労働相談コーナー | いじめ、嫌がらせ、パワハラなど |
| 職場で精神的な負担を抱えている | こころの耳 | 働く人のメンタルヘルスに関する相談情報 |
| 配偶者や交際相手からの心理的暴力 | DV相談ナビ「#8008」 | 配偶者暴力相談支援センターへの案内 |
| 人権侵害や嫌がらせ | みんなの人権110番 | ハラスメントや人権問題に関する相談 |
厚生労働省の総合労働相談コーナーは、いじめや嫌がらせ、パワハラなど幅広い労働問題を対象としており、無料で相談できる。
また、配偶者や交際相手からの暴力については、DV相談ナビ「#8008」で地域の相談機関につながることができる。
相手からの暴言や威圧によって身の危険を感じる場合は、無理に話し合いで解決しようとせず、安全な場所への移動や専門機関への相談を優先したい。
【自尊心を傷つけること】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:自尊心を傷つける言葉にはどのようなものがありますか?
A1:人格否定、能力の過小評価、他人との比較、存在価値を否定する発言などが代表例です。「何をやってもダメ」「あなたには価値がない」「普通はできるでしょ」など、相手の行動ではなく人間性そのものを否定する言葉には注意が必要です。
Q2:自尊心を傷つける人にはどのような特徴がありますか?
A2:他人と比較する、相手を見下す、否定から入る、責任転嫁する、感情をコントロールできないなどの傾向が見られる場合があります。ただし、特定の特徴だけで相手の性格や心理状態を断定することはできません。
Q3:自尊心と自己肯定感は同じ意味ですか?
A3:似た意味で使われることがありますが、説明の仕方には違いがあります。自尊心は自分の価値や尊厳に対する感覚、自己肯定感は自分の存在や特徴を受け入れ肯定する感覚として説明されることがあります。心理学上、両者が完全に別の概念として統一されているわけではありません。
Q4:人格否定とモラハラの違いは何ですか?
A4:人格否定は、相手の人間性や存在価値を否定する言動を指します。モラハラは、精神的な嫌がらせや威圧、無視、侮辱などを継続的に行う状況を指して使われることが多い言葉です。人格否定がモラハラの一部になる場合もあります。
Q5:悪気なく相手の自尊心を傷つけてしまった場合はどうすればよいですか?
A5:最初に、自分の発言や態度によって相手が傷ついたことを受け止めましょう。具体的に何が悪かったのかを認め、言い訳をせずに謝罪し、今後の行動を変えることが大切です。
Q6:自尊心を傷つけられたときは、相手に言い返すべきですか?
A6:必ずしも言い返す必要はありません。安全に話せる関係であれば、傷ついたことややめてほしい言動を具体的に伝える方法があります。威圧や支配がある場合は、無理に対抗せず、距離を取って第三者に相談することを優先してください。
Q7:傷ついた自尊心を回復するにはどうすればよいですか?
A7:自分の価値を相手の評価だけで判断しないことが大切です。小さな成功を認める、自分の意思を尊重する、他人との比較を減らす、安心できる人間関係を築くといった習慣が役立ちます。精神的な負担が長引く場合は専門家への相談も検討しましょう。
自尊心を傷つける言動は、直接的な暴言や人格否定だけではない。他人との比較、無視、努力の軽視、威圧的な態度など、日常の何気ない行動にも相手の尊厳を損なう要素が潜んでいる。
傷つける側には、劣等感や支配欲、ストレス、無意識の思い込みなど、さまざまな心理的背景がある。しかし、どのような理由があっても、相手を傷つける行為が正当化されるわけではない。
また、自尊心を守るためには、相手を傷つけない伝え方を身につけるだけでなく、傷つけられたときに自分の気持ちを認め、必要な距離を取ることも大切だ。
特に覚えておきたい判断基準は、相手の行動を改善するための指摘なのか、それとも相手の人格や存在価値を否定する言動なのかという点である。
間違いを指摘することと、人間としての価値を否定することは違う。相手を尊重しながら必要な意見を伝え、自分自身の尊厳も守る。その積み重ねが、職場でも恋愛でも、安心して本音を話せる人間関係につながっていく。
相手を変えることだけに執着せず、自分がどのような言葉を使い、どのような人間関係を選ぶのかを見直すこと。それが、自尊心を傷つけない関係づくりと、自分らしく生きるための第一歩になる。