『水戸黄門』を語るうえで、最も大きな誤解が「水戸光圀本人が助さん・格さんを連れて全国を旅した」というイメージです。
実際には、徳川光圀が諸国を漫遊したという歴史的事実は確認されていません。常陸太田市の公式解説でも、光圀は全国行脚をしておらず、テレビドラマで知られる世直しの旅は後世に形成された物語だと説明されています。
ドラマと歴史上の事実を比較| 比較項目 | ドラマの設定 | 歴史上の実像 |
|---|---|---|
| 水戸光圀 | 全国を巡る世直しの旅 | 水戸藩主。全国漫遊はしていない |
| 助さん | 佐々木助三郎 | 佐々宗淳。史料収集を担当した学者 |
| 格さん | 渥美格之進 | 安積澹泊。『大日本史』の編纂に携わった学者 |
| 二人の関係 | 主君を守る旅の仲間 | 水戸藩の修史事業に関わった人物 |
| 旅の目的 | 悪代官や悪徳商人の成敗 | 歴史資料の収集・調査 |
| 印籠 | 水戸家の権威を示す決め道具 | ドラマを象徴する演出 |
常陸太田市の解説によると、光圀が助さん・格さんを連れて全国を巡る人物として描かれるようになった背景には、明治時代の講釈師・玉田玉知による講談があります。
実在した光圀の名君としての評判、佐々宗淳の全国的な史料調査、安積澹泊の学問的功績。こうした史実が講談の中で一つの物語にまとめられ、庶民の味方として悪を懲らしめる水戸黄門像が形成されていきました。
なお、光圀がまったく旅行をしなかったわけではありません。常陸太田市の記録には、隠居前に江ノ島や日光、銚子などを訪れたことや、1695年に江戸から房総方面を経て水戸へ入ったことが記されています。
また、西山荘の近くに諸国を巡る虚無僧や山伏が宿泊した際、光圀が彼らから各地の情報を聞いていたという伝承もあります。こうした情報収集への関心が、後世の漫遊伝説と結びついた可能性があります。
史実を知るとドラマの見方が変わる興味深いのは、実在した二人の人物が、ドラマでは武芸に秀でた家臣として描かれている点です。
佐々宗淳の全国行脚は、歴史書を完成させるための地道な調査活動でした。安積澹泊もまた、集められた史料を整理し、歴史を文章としてまとめる重要な役割を担っていました。
つまり、ドラマの助さん・格さんが体を張って人々を守る存在なら、実在モデルの二人は知識と調査によって歴史を守った存在です。表現方法こそ違いますが、主君の事業を支えるという点では共通しています。
この違いを知っておくと、『水戸黄門』は単なる勧善懲悪の時代劇ではなく、水戸藩の学問と歴史を背景にした物語としても楽しめます。
【2025年新作を振り返る】武田黄門と助さん・格さんの新しい旅

2025年12月28日、BS-TBSで『水戸黄門スペシャル』が放送されました。2019年以来、約7年ぶりとなる新作テレビドラマで、BS-TBS開局25周年企画として制作された作品です。
水戸光圀役は武田鉄矢。助さん役の財木琢磨、格さん役の荒井敦史も続投しました。シリーズ初の4K放送となったことも大きな特徴です。
2025年版の出演者と役柄| 登場人物 | 俳優 |
|---|---|
| 水戸光圀 | 武田鉄矢 |
| 佐々木助三郎 | 財木琢磨 |
| 渥美格之進 | 荒井敦史 |
| 詩乃 | 篠田麻里子 |
| 風車の弥七 | 津田寛治 |
| 柳沢吉保 | 袴田吉彦 |
| 春江 | 剛力彩芽 |
| 前田綱紀 | 榎木孝明 |
| 藤井紋太夫 | 加藤雅也 |
| お信 | 美村里江 |
2025年版では、西山荘で隠居生活を送る水戸光圀が、甥の前田綱紀に会うことを口実に金沢を目指します。
一行は途中で輪島に立ち寄ります。そこでは輪島塗をめぐる利権問題が発生。加えて、金沢では前田綱紀の暗殺計画が浮上し、柳沢吉保の影も見え隠れします。
旅の途中で出会う武家娘・春江を剛力彩芽が演じ、榎木孝明、加藤雅也ら実力派俳優も出演しました。歴史的な土地を舞台にした事件と人間関係を組み合わせた、従来の水戸黄門らしい構成です。
2026年版は岡崎・尾張が舞台2026年10月7日のBS-TBS公式発表では、次回作『水戸黄門スペシャル~岡崎・尾張~』が12月に放送されることが明らかになりました。
助さんは財木琢磨、格さんは荒井敦史が続投。武田鉄矢、篠田麻里子、津田寛治、袴田吉彦も引き続き出演します。
今回の舞台は徳川御三家の筆頭である尾張徳川家ゆかりの地域です。2025年版の輪島・金沢から、2026年版では岡崎・尾張へと舞台が移ります。新たなゲスト出演者や具体的な放送日時は、公式発表の続報が待たれます。
【よくある質問】助さん・格さんに関するFAQ
Q1:助さんと格さんの本名は何ですか?
助さんは佐々木助三郎、格さんは渥美格之進です。どちらも『水戸黄門』に登場する人物名で、実在モデルはそれぞれ佐々宗淳と安積澹泊とされています。
Q2:助さんを演じた初代俳優は誰ですか?
初代助さんは杉良太郎です。1969年のテレビシリーズ開始時から出演し、1971年まで担当しました。初代格さんは横内正で、1978年まで演じています。
Q3:格さんの印籠を出す場面は実話ですか?
印籠を掲げて悪人をひれ伏させる場面は、テレビドラマの演出として定着したものです。実在した安積澹泊が格さんのように各地で悪を成敗していたという歴史的記録があるわけではありません。
Q4:助さんと格さんの実在モデルは一緒に旅をしたのですか?
二人は水戸藩の『大日本史』編纂事業に携わった学者ですが、ドラマのように光圀に同行して全国を巡ったという記録はありません。佐々宗淳は史料収集のため各地を訪れ、安積澹泊は主に彰考館で歴史書の校訂・編纂を担当しました。
Q5:2026年現在の助さん・格さんは誰ですか?
助さんは財木琢磨、格さんは荒井敦史です。2026年12月放送予定の『水戸黄門スペシャル~岡崎・尾張~』でも続投が発表されています。
助さん・格さんは、佐々木助三郎と渥美格之進という『水戸黄門』の象徴的な二人組です。初代の杉良太郎・横内正から、里見浩太朗・伊吹吾郎、原田龍二・合田雅吏、そして財木琢磨・荒井敦史へと、時代ごとに異なる俳優が役柄を引き継いできました。
実在モデルの佐々宗淳と安積澹泊は、剣を振るう武士ではなく、水戸藩の歴史編纂を支えた学者でした。光圀の全国漫遊も史実ではなく、明治期の講談を通じて広まった伝説です。
2025年のスペシャル放送に続き、2026年12月には岡崎・尾張を舞台とした新作も予定されています。財木琢磨と荒井敦史が演じる現代の助格コンビが、長い歴史を持つ作品にどのような新しい魅力を加えるのか、注目が集まります。
歴代俳優の違いを楽しむなら、まずは初代の杉良太郎・横内正、長期出演を支えた里見浩太朗・伊吹吾郎、そして現代の財木琢磨・荒井敦史を見比べるのがおすすめです。さらに実在モデルの生涯を知れば、『水戸黄門』の世界をドラマと歴史の両面から、より深く味わえます。