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【現場検証】新宿区百人町の「中国人・韓国人お断り」掲示で何が起きたのか

倉持 玲奈 倉持 玲奈 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
目次
2024年7月、新大久保周辺の飲食店が掲示した内容

問題となったのは、東京都新宿区百人町にある飲食店のバルです。

2024年7月5日、店舗の公式Xアカウントに、入口のガラス面に書かれた掲示の写真が投稿されました。そこには、中国人と韓国人の入店を断る趣旨の文言が記されていました。

この投稿は急速に拡散し、女性自身の2024年7月24日付報道によれば、同日15時時点で約2,400万インプレッションに達していました。

店側は、その後の説明で、中国人と韓国人の入店を拒否する理由として、暴力行為や営業妨害が頻発したことを挙げています。また、店舗に誹謗中傷が寄せられているとも説明していました。

ここで問題になるのは、店舗側が迷惑行為を経験したかどうかだけではありません。

特定の客による迷惑行為を理由に、その国籍を持つすべての人を拒否することが合理的なのかという点です。

仮に特定の韓国人客が暴力行為をしたとしても、その行為をしていない別の韓国人客まで同じ扱いにすることには、別の法的問題が生じます。

新宿区の見解はどうだったのか

女性自身の取材に対し、新宿区総務部総務課は2024年7月24日、店舗の掲示について見解を示しました。

区の回答で重要なのは、次の2点です。

- ヘイトスピーチに該当するかは、具体的な文言などを総合的に判断する必要があり、掲示内容だけでの認定は難しい。
- 一方、特定の国籍の外国人を入店拒否する掲示は、人種差別撤廃条約上の人種差別に当たると考える。

また、区は7月22日と23日に職員を店舗へ派遣していました。

その際、掲示内容を確認できなかったため、今後同様の記載が確認できれば、取り下げを要請する方針を説明しています。

ただし、区には店舗の掲示を強制的に撤去させる権限がないため、最終的な判断は店舗側に委ねられるとの説明でした。

この事例から分かる3つの問題
論点 具体的な内容 判断のポイント
店舗側の事情 暴力行為や営業妨害があったとの説明 個別の行為を具体的に確認する必要がある
国籍による一律拒否 中国人・韓国人を対象にした掲示 個人の行為と国籍全体を区別する必要がある
行政の対応 新宿区が訪問し、撤去要請を検討 啓発・要請と強制的な行政処分は異なる

この問題は、単に店主と外国人客のトラブルという枠には収まりません。

店舗の営業の自由、利用者の人格的利益、国際的な人権保障、行政による人権擁護という複数の問題が重なっています。

なお、この2024年の店舗について、掲示の最終的な撤去状況や、当該店舗の入店拒否を直接違法と判断した裁判結果までが、上記報道で示されているわけではありません。

【判例検証】外国人の入店拒否は違法になる?札幌地裁と浜松の重要判決

韓国人お断り

外国人の入店拒否を考える際、特に参考になるのが、静岡地方裁判所浜松支部の1999年判決と、札幌地方裁判所の2002年判決です。

両判決に共通するのは、店舗や施設の営業上の自由が認められるとしても、外国人であることを理由にした対応が無条件で正当化されるわけではないという考え方です。

1.静岡地裁浜松支部・平成11年10月12日判決

外国人入店拒否に関する重要判例

1999年10月12日、静岡地方裁判所浜松支部は、ブラジル国籍の女性が宝石店で受けた対応について、不法行為の成立を認めました。

事件の概要は次のとおりです。

- 女性が浜松市内の宝石店に入った。
- 店主から出身国を尋ねられ、ブラジル出身であると伝えた。
- 店主は外国人の入店を断る趣旨の掲示を示した。
- 加えて、女性に退店を求め、警察官を呼ぶ対応をした。

店側には過去の犯罪被害などへの警戒感があったとされています。しかし、女性がブラジル人であるという理由で、犯罪者であるかのように扱うことは正当化されませんでした。

裁判所は、外国人であることを理由に、不穏当な方法で女性を店から追い出そうとした行為が人格的名誉を傷つけたと判断しました。

その結果、民法709条・710条に基づく損害賠償が認められ、賠償額は合計150万円となりました。

この判決で注目したいのは、外国人入店拒否という掲示だけでなく、実際に来店した女性への具体的な対応が違法性の判断に関係した点です。

2.札幌地方裁判所・平成14年11月11日判決

一律拒否の違法性を認めた判決

さらに重要なのが、2002年11月11日の札幌地方裁判所判決です。

この事件は、北海道小樽市の公衆浴場で外国人の入浴が一律に拒否された問題でした。

原告は外国出身の男性3人です。その中には、すでに日本国籍を取得していた元米国籍の男性も含まれていました。

施設側は、主にロシア人船員の入浴マナーに関する苦情を理由として、1998年8月18日以降、外国人の利用を一律に拒否する方針を採用していました。

入口には「JAPANESE ONLY」と記された掲示もありました。

加えて、帰化して日本国籍を取得した男性についても、外見上外国人に見えることを理由に入浴を拒否していました。

この点は、単なる国籍の確認ではなく、人種や外見による区別が問題になったことを示しています。

裁判所が重視したのは「個別対応が可能だったか」

施設側は、外国人利用者の一部に迷惑行為があり、他の客が減少することを懸念していたと説明しました。

しかし、裁判所は、マナー違反をする利用者に対して注意し、改善しない場合には退場を求めるなど、個別に対応する方法があったと指摘しました。

つまり、一部の利用者による問題行動を理由に、外国人全体を排除することには合理性がないと判断したのです。

判決の結果は次のとおりです。

- 施設運営会社に対し、原告3人それぞれに100万円、合計300万円の支払いを命じた。
- 小樽市に対する損害賠償請求は棄却した。
- 原告側が求めた謝罪広告の掲載も認めなかった。

札幌地裁判決で誤解されやすい法律上のポイント

この判決は、憲法14条や人種差別撤廃条約が私人間の関係にそのまま直接適用されると判断したものではありません。

裁判所は、憲法や国際人権条約は原則として公権力と個人との関係を規律するものであり、私人同士の関係を直接規律するものではないとしました。

一方、民法1条、90条や不法行為に関する規定を解釈する際には、憲法14条や人種差別撤廃条約の趣旨を判断基準の一つとして考慮できるとしました。

この違いは重要です。

「国際条約に違反したから、民間店舗に自動的に賠償義務が発生する」という単純な構造ではありません。

民法上、人格的利益が侵害され、その行為が社会的に許容される限度を超えているかを具体的に判断することになります。

外国人入店拒否をめぐる重要な出来事の年表
年月日 出来事 法的・社会的な意味
1995年12月20日 日本が人種差別撤廃条約に加入 国際的な人種差別撤廃義務を負う
1999年10月12日 浜松の宝石店入店拒否事件 民法上の不法行為責任を認定
2002年11月11日 札幌地裁・外国人入浴拒否事件 運営会社に合計300万円の賠償命令
2016年6月3日 ヘイトスピーチ解消法施行 不当な差別的言動の解消を推進
2024年7月 新宿区百人町の店舗掲示が拡散 国籍を理由とした入店拒否が社会問題化
2025年9月26日 新宿区のヘイトスピーチ関連情報を更新 人権啓発と公の施設の利用制限基準を案内
2026年3月24日 法務省が2025年の人権侵犯事件の状況を公表 人権相談・救済の最新公的資料
2026年5月26日 衆議院法務委員会で人権問題を審議 ヘイトスピーチ解消法の定義などを政府が説明

【法律解説】「韓国人お断り」はどこまで認められる?3つの法律から検証

店舗が客を選ぶことは、すべて禁止されているわけではありません。

営業の自由や契約自由の原則は、民間事業者にも認められています。しかし、誰を拒否しても自由という意味ではありません。

1.ヘイトスピーチ解消法は何を禁止しているのか

正式名称は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」です。

2016年6月3日に施行されました。

この法律の第2条では、本邦外出身者に対して、その出身国や地域を理由に、差別的意識を助長・誘発する目的で、地域社会から排除することをあおる不当な差別的言動などを対象としています。

具体的には、次のような言動が問題になります。

- 特定の国籍や民族の人々を地域社会から排除するよう呼びかける。
- 特定の出身者に対して生命や身体への危害を告知する。
- 特定の民族や国籍の人々を著しく侮辱する。

法務省も、特定の民族や国籍の人々を合理的な理由なく一律に排除する言動を、ヘイトスピーチの代表例として説明しています。

2.ヘイトスピーチ解消法には罰則があるのか

ここは非常に誤解されやすいところです。

罰則規定なし

ヘイトスピーチ解消法は、差別的言動をなくすための基本理念や国・地方公共団体の責務、相談体制、啓発活動などを定めた法律です。

法務省の制度説明資料でも、同法について、差別禁止規定や罰則の定めはない理念法と整理されています。

そのため、店舗が「韓国人お断り」と掲示したからといって、この法律だけを根拠に直ちに刑事罰が科されるわけではありません。

ただし、罰則がないことと、差別的な行為が法律上問題にならないことは別です。

民法上の不法行為責任や、地域ごとの条例、ほかの法令が関係する可能性があります。

3.人種差別撤廃条約が店舗に与える影響

日本は1995年12月20日に人種差別撤廃条約に加入しました。

特に注目したいのが第5条です。

同条約は、人種差別のない平等な権利の保障に関し、一般公衆が利用する場所やサービスを利用する権利を挙げています。

その対象には、次のような施設が含まれます。

- 交通機関
- ホテル
- 飲食店
- 喫茶店
- 劇場
- 公園

飲食店は、まさにこの条文が対象とする一般公衆向けサービスの一つです。

また、第6条は、人種差別による権利侵害に対する効果的な保護や救済、適正な賠償を求める権利の確保について定めています。

ただし、日本の民間店舗に対して条約の条文が常に直接適用されるという理解は正確ではありません。

札幌地裁判決のように、民法上の不法行為責任を判断する際の解釈基準として、条約の趣旨が重要な意味を持つ場合があります。

4.民法709条・710条による損害賠償

外国人入店拒否で損害賠償が問題になる場合、重要なのが民法709条と710条です。

条文 内容 入店拒否との関係
民法709条 故意または過失による不法行為の損害賠償責任 違法な差別的対応などの責任を判断
民法710条 財産以外の損害についても賠償責任を認める 精神的苦痛に対する慰謝料の根拠
民法90条 公序良俗に反する法律行為の無効 差別的な契約条件などを検討する際の基準
民法1条 基本原則としての信義誠実など 私人間の利益調整に関係する

つまり、入店拒否を受けた人が慰謝料を請求する場合には、単に不快な思いをしたというだけでなく、具体的な行為、侵害された利益、違法性、損害などが問題になります。

札幌地裁や浜松支部の判決は、こうした民法上の判断において参考になる重要な先例です。

「韓国人お断り」の掲示があるから必ず300万円の賠償になるわけではありません。 札幌地裁の300万円は、特定の事件で3人にそれぞれ100万円が認められた結果です。賠償額は個別事情によって異なります。

【徹底比較】個別客の出入り禁止と国籍差別は何が違う?

店舗側にも、ほかの客や従業員の安全を守る責任があります。

暴力行為、脅迫、器物損壊、執拗な迷惑行為などが発生した場合、該当する人物の入店を断る対応が必要になることもあります。

しかし、問題行動を起こした個人を拒否することと、その人物が属する国籍全体を拒否することは、法律上も社会的にも異なる問題です。

個別の迷惑行為に対する入店拒否

例えば、次のようなケースです。

- 店員に暴力を振るった。
- 他の客を脅迫した。
- 店内で器物を破損した。
- 代金を支払わずに繰り返し退店した。
- 注意を受けても営業を妨害する行為を繰り返した。

こうした場合には、具体的な行為を根拠に本人の入店を拒否することが検討できます。

大切なのは、行為を基準に判断することです。

日本人であっても韓国人であっても、同じ迷惑行為をすれば同じ基準で対応することが合理的です。

国籍を理由にした一律拒否

一方、次のような対応は性質が異なります。

- 韓国人は全員入店禁止。
- 中国人はサービスを利用できない。
- 外国人に見える人は日本国籍でも入店禁止。
- 特定の国籍の人は、迷惑行為の有無にかかわらず利用できない。

これらは、本人の行為ではなく、国籍や民族的属性を理由に扱いを変えるものです。

札幌地裁の判決では、日本国籍を取得した男性も外見を理由に入浴を拒否されたことが、実質的な人種差別の判断に関係しました。

つまり、国籍の確認だけでなく、外見や民族的出身を理由とした排除も問題になるのです。

店舗が採用すべき合理的な判断基準
判断基準 個別の出入り禁止 国籍による一律拒否
対象 問題行為をした本人 特定の国籍全体
判断根拠 暴力、脅迫、営業妨害など 国籍・民族的属性
証拠 個別の行為や記録 国籍だけでは行為を証明できない
対応方法 注意、警告、退店要請など 集団全体を排除
法的評価 事情に応じて正当化され得る 不合理な差別として不法行為になり得る

この比較から分かるのは、店舗が安全を守るためのルールを設けること自体が問題なのではないということです。

問題は、そのルールが実際の行為に基づいているのか、それとも特定の国籍への偏見を一律に適用しているのかという点にあります。

店舗側が取るべき現実的な対策

店舗が迷惑行為に悩んでいるなら、国籍を対象にした禁止掲示ではなく、具体的な行為を禁止するルールを整備する方法があります。

例えば、次のような対応です。

1. 暴力・威嚇・営業妨害を禁止する共通ルールを掲示する。
2. 違反した利用者に具体的な行為を示して注意する。
3. 再発した場合は日時や状況を記録する。
4. 悪質な場合は退店を求める。
5. 暴力や脅迫などの犯罪が疑われる場合は警察に相談する。

これなら、店舗の安全と利用者の公平な扱いを両立しやすくなります。

【2026年最新動向】韓国人お断り問題と日本の差別対策はどう変わった?

2026年11月6日時点で確認できる公的情報からは、外国人差別への対応が、単なる啓発にとどまらず、相談・救済やインターネット上の人権侵害への対応を含めて継続していることが分かります。

2026年3月、法務省が2025年の人権侵犯事件を公表

法務省は2026年3月24日、2025年における人権侵犯事件の状況を公表しました。

発表された主な数字は次のとおりです。




8,207件


2025年の新規救済手続開始件数


8,170件


2025年の処理件数


1,569件


インターネット上の人権侵害情報に関する新規件数


17.3%


学校でのいじめ1,422件の全体に占める割合


出典:法務省「令和7年における人権侵犯事件の状況について(概要)」2026年3月24日公表。

注意したいのは、これらは人権侵犯事件全体の数字であり、韓国人に対する入店拒否や外国人差別だけを集計した数字ではないことです。

この統計から、韓国人お断りの店舗が何件あるか、差別が前年比で何%増えたかを推計することはできません。

ただし、インターネット上の人権侵害情報が1,569件に達していることは、SNSなどでの差別的な言動への対応が引き続き重要な課題であることを示しています。

2026年5月、衆議院法務委員会でもヘイトスピーチを議論

2026年5月26日の衆議院法務委員会では、人権擁護に関する質疑が行われ、ヘイトスピーチ解消法第2条の定義について政府側が説明しています。

この法律が対象とするのは、外国出身者などを地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動です。

また、法律の制定時には表現の自由への配慮などを背景に、罰則を設けない理念法として整備された経緯があります。

したがって、2026年になっても、ヘイトスピーチ解消法そのものを、店舗の国籍別入店拒否に対する直接的な刑事罰の根拠として扱うことはできません。

新宿区の人権対策も継続

新宿区は2025年9月26日更新の公式ページで、特定の国籍や民族の人々を誹謗中傷・排斥するヘイトスピーチを重大な人権侵害として位置付けています。

加えて、2019年10月1日から「新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準」を施行しています。

ここで注意すべきなのは、この基準が区民ホール、地域センター、スポーツセンター、区立公園などの新宿区が設置する公の施設を対象としている点です。

民間の飲食店に対して同じ利用制限をそのまま適用できるわけではありません。

2026年の最新動向を整理すると、差別的言動の解消に向けた政策や相談体制は継続しているものの、民間店舗の国籍別入店拒否を全国一律に処罰する制度が整ったわけではありません。

【被害に遭ったら】法務省の人権相談窓口と具体的な対処方法

外国人であることや韓国人であることを理由に入店を拒否された場合、どこに相談すればよいのでしょうか。

日本には、法務省が設置する人権相談窓口があります。

1.みんなの人権110番


みんなの人権110番

0570-003-110


全国共通の人権相談窓口
- 受付時間:平日8時30分~17時15分
- 相談対象:国籍・民族による差別、虐待、ハラスメントなど
- 相談先:最寄りの法務局・地方法務局など
- 相談方法:電話、窓口、インターネットなど

2025年10月から相談内容に応じた音声案内を導入。その他の人権問題は案内の4番です。

日本語で相談できる人であれば、まずこちらを利用できます。

2.外国語人権相談ダイヤル

日本語での相談が難しい外国人には、外国語人権相談ダイヤルが用意されています。


外国語人権相談ダイヤル

0570-090-911


韓国語での相談にも対応
- 受付時間:平日9時~17時
- 対応言語:英語、中国語、韓国語、フィリピノ語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、インドネシア語、タイ語
- 相談対象:外国人に対する差別などの人権問題
- 通訳サービスを介して管轄の法務局につながる

通話料がかかります。年末年始・祝日は休みです。

韓国人の旅行者や日本在住の韓国人が入店拒否を受けた場合でも、韓国語で相談できる点は重要です。

3.相談するときに準備しておきたい証拠

相談や法的手続きを検討する場合は、状況を具体的に説明できるようにしておくと役立ちます。

残しておくもの 記録する内容
掲示の写真 国籍別の入店拒否を示す看板や張り紙
日時・場所 店舗名、住所、来店日時
店側の説明 入店を断られた理由、店員の発言
購入記録 予約記録、レシート、注文履歴
目撃者 同行者や現場にいた人の証言
SNSの記録 店舗の投稿や説明、公開日時

証拠を保存する際には、元の写真や投稿を加工せずに残すことが大切です。

また、SNSで店舗や従業員の個人情報を拡散したり、直接対決を仕掛けたりすることは避けましょう。

人権侵害の相談と、個人への誹謗中傷は別の問題です。

被害の内容や損害が大きい場合には、弁護士に相談し、民法709条・710条に基づく損害賠償請求が可能か検討する方法もあります。

【韓国人お断り】に関するよくある質問(FAQ)

Q1.日本の飲食店が「韓国人お断り」と掲示することは違法ですか?

一律にすべてのケースで刑事犯罪になるわけではありません。ただし、国籍や民族的属性を理由に一般客の利用を拒否する行為は、人種差別撤廃条約や過去の判例に照らして問題になり得ます。民法上の不法行為が成立すれば、損害賠償責任を負う可能性があります。

Q2.外国人の入店拒否で300万円の賠償を受けられますか?

札幌地方裁判所の2002年判決では、原告3人にそれぞれ100万円、合計300万円の損害賠償が認められました。ただし、これは特定の事件における判断です。同じ金額が別の事件でも認められるわけではありません。

Q3.迷惑行為をした韓国人客だけを出入り禁止にできますか?

具体的な暴力行為や営業妨害などがあれば、本人の行為を理由に入店を拒否することは検討できます。ただし、国籍を理由に同じ国の人全員を拒否することとは区別しなければなりません。

Q4.ヘイトスピーチ解消法に罰則はありますか?

ありません。同法は2016年に施行された理念法で、差別的言動をなくすための国や自治体の責務、啓発活動などを定めています。ただし、民法上の損害賠償責任などが別途問題になることはあります。

Q5.日本国籍を取得した韓国出身者も差別の対象になりますか?

国籍だけでなく、民族的出身や外見を理由とする差別も問題になります。札幌地裁の2002年判決では、日本国籍を取得した男性が外見を理由に入浴を拒否されたことも判断の重要な要素になりました。

Q6.外国人お断りの張り紙を見つけたら、どこに相談できますか?

法務省の「みんなの人権110番」(0570-003-110)や「外国語人権相談ダイヤル」(0570-090-911)に相談できます。後者は韓国語を含む10言語に対応しています。

「韓国人お断り」という掲示は、店舗が営業方針を決める自由だけでは説明できない、人権上の問題を含んでいます。

2024年の新宿区百人町の事例では、店側が迷惑行為や営業妨害を理由に挙げた一方、新宿区は人種差別撤廃条約上の人種差別に当たるとの見解を示しました。

また、1999年の浜松支部判決や2002年の札幌地裁判決では、外国人であることを理由にした不合理な扱いについて、民法上の損害賠償責任が認められています。

2026年現在、ヘイトスピーチ解消法には罰則がありませんが、それは国籍差別が無条件に許されるという意味ではありません。

最後に、店舗側と利用者側の双方が理解しておきたい判断基準を整理します。

- 店舗側: 暴力や営業妨害など、具体的な迷惑行為を基準に対応する。
- 利用者側: 国籍を理由にした拒否や差別的な掲示について、日時・場所・写真などの証拠を残す。
- 行政側: 人権相談、啓発、適切な救済措置を通じて差別の解消を進める。
- 法的判断: 営業の自由だけでなく、人格的利益や公共性、拒否の理由と態様を総合的に考慮する。

特定の個人による迷惑行為を、その人と同じ国籍を持つすべての人に結び付けてはいけません。

個人の問題は個人の行為として判断する。国籍や民族を理由に集団全体を排除しない。

この原則こそが、店舗の安全と誰もが安心して利用できる社会を両立させるための重要な判断基準です。

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倉持 玲奈

テクノロジー分野を担当。一次情報(公式発表・公式サイト)と発表日を必ず確認し、推測は推測と明記する編集方針に従っています。

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