婚姻届を提出するとき、意外に迷いやすいのが証人を誰にお願いするかという問題です。親や兄弟姉妹に頼むべきなのか、それとも友人や職場の同僚でもよいのか。両家から1人ずつ選ばなければならないのかなど、初めて婚姻届を準備する人にとって疑問は少なくありません。
2026年11月現在、日本の法律では、婚姻届の証人は18歳以上の成人2名が原則です。両親や兄弟姉妹、友人、親族以外の知人も対象になり、外国籍の人に依頼することもできます。ただし、外国籍の証人には本国法上の成年年齢が関係するほか、署名や必要事項の記入にも注意が必要です。証人の法的な役割や責任、依頼を断られた場合の対応まで、順番に整理します。
【結論】婚姻届の証人は誰に頼める?親・兄弟・友人でも問題なし

婚姻届の証人は、結婚する2人以外の成人であれば、基本的に誰に依頼しても構いません。親族である必要も、特別な資格や職業に就いている必要もありません。
法的な根拠は民法第739条第2項です。同項では、婚姻届について、当事者双方と成年の証人2人以上が署名した書面などによって届け出ることを定めています。
法務省の婚姻届に関する手続案内でも、成年の証人2名の署名が必要とされています。つまり、証人選びで優先すべきなのは、親族か友人かという関係性ではなく、法律上の条件を満たしているかどうかです。
親や両親に証人をお願いしてもよい父親や母親は、婚姻届の証人として一般的に選ばれる候補です。新郎側の父親と新婦側の父親に1人ずつお願いする方法もあれば、両家の母親に依頼する方法もあります。
両親に証人をお願いすることについて、法律上の制限はありません。結婚の報告とともに署名をお願いすれば、婚姻という節目を家族で共有する機会にもなります。
ただし、両親のどちらかが結婚に反対している場合などは、無理に署名を求める必要はありません。証人は当事者の意思を確認する立場でもあるため、本人たちの婚姻意思を理解している人を選ぶことが大切です。
兄弟姉妹や祖父母、親戚も証人になれる兄、姉、弟、妹はもちろん、祖父母や叔父、叔母、いとこなどの親族も、年齢などの条件を満たしていれば証人になれます。
例えば、両親に依頼しにくい事情がある場合は、兄と姉にお願いすることも可能です。新郎側の親族2人でも、新婦側の親族2人でも、法律上は問題ありません。
両家から必ず1人ずつ選ぶという決まりはありません。証人の組み合わせは、結婚する2人が相談して決められます。
友人や職場の同僚など親族以外でも大丈夫親族以外の人も証人になれます。学生時代からの友人、幼なじみ、職場の同僚、上司、恩師、長年付き合いのある知人なども候補です。
結婚式の予定がないカップルや、家族と距離がある人にとっては、親しい友人に証人をお願いする方法もあります。婚姻届の証人は、結婚式の立会人や保証人とは異なるため、親族でなければならない理由はありません。
ただし、単に名前を借りるだけではなく、2人が結婚する意思を持っていることを理解している人にお願いするのが適切です。
【法律と年齢】婚姻届の証人は18歳以上で2人必要?民法739条を解説
証人を選ぶ際に必ず確認したいのが、人数と年齢です。2026年現在、日本国籍の人が証人になる場合は、18歳以上であることが基本条件です。
民法739条が定める証人の条件民法第739条第1項は、婚姻は戸籍法の定めるところにより届け出ることで効力が生じると規定しています。第2項では、婚姻の届出について、当事者双方と成年の証人2人以上が署名した書面、または口頭による届出を定めています。
ここで重要なのは、証人が婚姻届の形式を整えるためだけの存在ではないことです。婚姻は本人たちの意思に基づいて成立する身分行為であり、証人はその意思が確かなものであることを確認する役割を担っています。
2022年4月から18歳以上が成年に以前の民法では成年年齢が20歳とされていましたが、2022年4月1日に成年年齢が18歳へ引き下げられました。
この改正により、日本国籍の人は18歳の誕生日を迎えれば成年となり、婚姻届の証人になることができます。20歳未満だからという理由だけで証人になれないわけではありません。
なお、婚姻する本人の婚姻可能年齢も、2022年4月1日から男女ともに18歳に統一されています。証人の成年年齢と婚姻する本人の婚姻年齢は、関連する制度ですが、それぞれ別の条件です。
証人は何人必要?2人の選び方に決まりはある?婚姻届では、証人2名の署名が必要です。民法の条文上は「二人以上」と規定されていますが、通常の婚姻届には証人欄が2名分設けられているため、一般的には2人に依頼すれば足ります。
2人をどのように組み合わせるかについては、特別な制限はありません。例えば、次のような組み合わせが考えられます。
- 新郎の父親と新婦の父親
- 新郎の母親と新婦の母親
- 新郎の兄弟と新婦の姉妹
- 新郎の親友と新婦の親友
- 2人が共通して親しくしている友人2人
- 両親1人と友人1人
大切なのは、2名とも法律上の条件を満たし、それぞれ本人が署名することです。
【候補者別比較】親・兄弟姉妹・友人・外国籍の人は証人になれる?
証人の候補を整理すると、親族と親族以外の人では、基本的な資格条件に違いはありません。外国籍の人については成年年齢の判断に特別な注意が必要です。
東大和市、川越市、相模原市などの自治体が公開する婚姻届の案内でも、親族や友人、外国籍の人が証人になれることが説明されています。
| 証人の候補 | 証人になれるか | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 父親・母親 | 可能 | 18歳以上であること |
| 兄弟姉妹 | 可能 | 18歳以上であること |
| 祖父母・親戚 | 可能 | 18歳以上であること |
| 友人・幼なじみ | 可能 | 当事者以外であること |
| 会社の上司・同僚 | 可能 | 18歳以上であること |
| 外国籍の人 | 可能 | 本国法上の成年年齢を満たすこと |
| 結婚する本人2人 | 不可 | 証人は当事者以外であること |
外国籍の人も婚姻届の証人になれます。ただし、日本国籍の人と同じように一律18歳以上であればよい、という判断ではありません。
外国籍の証人については、原則として、その人の本国法で定められた成年年齢に達しているかを確認します。例えば、本国法上の成年年齢が18歳より高い国の人であれば、18歳になっていても証人としての成年要件を満たさない場合があります。
また、外国籍の証人は、婚姻届の本籍地欄に日本人と同じ本籍を記入するのではなく、国籍を記入する扱いになります。
氏名の表記方法については、自治体によって案内に違いがあるため、アルファベットのブロック体や漢字など、提出先の市区町村が指定する方法を事前に確認してください。
加えて、日本国内に住民登録がない外国籍の人については、パスポートの写しなど追加資料を求められる自治体もあります。相模原市などは外国籍の証人について具体的な確認事項を案内しています。
海外在住の友人に依頼する場合や、日本での住民登録がない人に依頼する場合は、署名をもらう前に提出予定の市区町村へ確認しておくと安心です。
【記入方法】婚姻届の証人の署名・住所・本籍と押印の注意点
証人が決まったら、次は婚姻届の証人欄を正しく記入してもらう必要があります。署名だけではなく、生年月日や住所、本籍などの記載も必要になるため、事前に確認しておきましょう。
証人欄に記入する基本項目一般的な婚姻届の証人欄では、次の事項を記入します。
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 本籍
- 本人による署名
外国籍の証人の場合は、本籍の欄に国籍を記入する扱いです。住所や氏名についても、届書の記載例と提出先自治体の案内を確認してください。
署名は証人本人が自署する証人欄の署名は、原則として証人本人が自分で記入します。本人の了承を得ていても、別の人が代わりに名前を書くことは避けてください。
例えば、仕事が忙しい友人に代わって新郎が署名する、親の名前を子どもが記入するといった方法は適切ではありません。
証人本人に婚姻届を渡し、氏名や住所などの必要事項を確認したうえで記入してもらいましょう。
証人の押印は任意!印鑑がなくても署名できる以前は婚姻届の証人欄にも押印することが一般的でしたが、現在は押印が任意となっています。
法務省の婚姻届に関する手続案内でも、成年の証人2名の署名が必要であり、押印は任意と明記されています。
したがって、証人が印鑑を持っていなくても、本人の署名など必要事項が正しく記載されていれば、押印がないことだけを理由に婚姻届が受理されないわけではありません。
押印する場合は、届書の記載要領に従ってください。
消えるボールペンや鉛筆は使わない証人欄の記入には、黒インクのペンや黒のボールペンを使用するのが基本です。鉛筆や消せるボールペンは避けましょう。
書き間違いがあった場合は、修正液や修正テープを使わず、自治体の記載案内に従って訂正します。証人欄の訂正や追記については、証人本人による対応が必要になる場合もあるため、提出前の確認が欠かせません。
【責任と役割】婚姻届の証人になると何か責任を負う?
証人をお願いする側も、引き受ける側も気になるのが法的責任です。「証人」という言葉から、結婚生活を保証したり、夫婦間のトラブルに責任を負ったりするのではないかと心配する人もいます。
しかし、婚姻届の証人は、夫婦の将来や結婚生活を保証する保証人ではありません。
証人の役割は婚姻する2人の意思を確認すること婚姻届の証人には、当事者が自分の意思で結婚しようとしていることを確認する役割があります。
武蔵野市の公式FAQでは、証人は届出が当事者の合意によるものであることを確認すべき立場であると説明されています。
つまり、証人は結婚後の生活に対して責任を負うのではなく、婚姻届を提出する時点での当事者の意思に関わる存在です。
結婚後の借金や離婚問題まで責任を負うわけではない証人になったからといって、夫婦の借金を返済する義務が発生したり、結婚生活がうまくいかなかった場合に慰謝料を負担したりするわけではありません。
住宅ローンや生活費、夫婦間の財産分与、離婚に伴う問題などについても、婚姻届の証人になったという理由だけで責任を負うことはありません。
この点は、金銭の保証を引き受ける連帯保証人などとは明確に異なります。
虚偽の届出に関わった場合は注意が必要一方で、証人であれば何をしても責任を問われないというわけではありません。
武蔵野市や福生市の公式FAQでは、当事者の一方からだけ依頼を受け、双方の合意があるものとして署名した結果、虚偽の届出によって戸籍に事実と異なる記載が生じた場合には、損害賠償責任が生じるおそれがあると説明しています。
そのため、証人を引き受ける場合は、2人が本当に婚姻する意思を持っていることを確認する必要があります。内容を理解しないまま名前だけを貸す行為や、本人の意思に反した署名への協力は避けるべきです。
【頼み方と対処法】婚姻届の証人をお願いする方法と断られた場合
証人になれる人の範囲が広いと分かっていても、実際にお願いするとなると、どのように切り出せばよいのか悩むことがあります。
特に親族以外の友人や職場の人に頼む場合は、相手が証人の意味を誤解しないよう、必要な条件や記入方法を簡潔に伝えることが大切です。
親や兄弟姉妹にお願いするとき親や兄弟姉妹に依頼する場合は、結婚の報告と一緒にお願いするのが自然です。
例えば、「結婚が決まったので、婚姻届の証人欄に署名をお願いしたい」と伝えれば、依頼の趣旨が分かりやすくなります。
遠方に住んでいる場合は、婚姻届を郵送して記入してもらう方法もあります。ただし、書き間違いがあった場合の訂正や返送に時間がかかる可能性があるため、提出日から余裕を持って依頼しましょう。
友人にお願いするときの伝え方友人に依頼するときは、単なる形式上の署名ではなく、結婚する2人の大切な節目に立ち会ってもらいたいという気持ちを伝えるとよいでしょう。
依頼するときに伝えておきたいのは、次の3点です。
- 婚姻届の証人として署名してほしいこと
- 18歳以上などの条件を満たしている必要があること
- 氏名・住所・生年月日・本籍などを本人に記入してもらうこと
また、押印は任意であることも伝えておけば、相手が印鑑を用意する必要があるのかと悩まずに済みます。
証人を断られた場合はどうすればよい?証人をお願いしても、相手の事情によって断られることはあります。法律上、証人になることを強制する制度ではないため、断られた場合は無理に依頼を続ける必要はありません。
その場合は、別の親族や友人、知人などにお願いすれば問題ありません。証人は両家から1人ずつ選ぶ必要もないため、候補者を広げて考えることができます。
例えば、次のような人に改めて相談できます。
- 親や兄弟姉妹など、別の家族
- 昔から付き合いのある友人
- 夫婦共通の知人
- 職場の上司や同僚
- 恩師や親しい親戚
どうしても候補者が見つからない場合は、提出先の市区町村の戸籍担当窓口に相談する方法もあります。証人欄の要件や外国籍の人に依頼する場合の手続きなどについて案内を受けられます。
なお、証人の署名を本人に無断で記入したり、他人の名前を借りたりすることは避けてください。提出日を優先するあまり、不適切な方法で証人欄を埋めることはできません。
【よくある質問】婚姻届の証人は誰に頼む?人数・年齢・責任に関するFAQ
Q1:婚姻届の証人は両家から1人ずつ選ばなければいけませんか?
A1:その必要はありません。法律上、両家から1人ずつという決まりはなく、条件を満たす人であれば、同じ側の親族2人や友人2人でも問題ありません。
Q2:婚姻届の証人は17歳でもなれますか?
A2:日本国籍の人の場合、17歳では成年年齢に達していないため、証人にはなれません。18歳の誕生日を迎えて成年になれば証人になれます。外国籍の人については、本国法上の成年年齢を確認する必要があります。
Q3:婚姻届の証人は外国人でも大丈夫ですか?
A3:可能です。ただし、本国法上の成年年齢に達している必要があります。また、証人欄の本籍地に相当する欄には国籍を記入するなど、外国籍の人向けの記載方法に従ってください。
Q4:婚姻届の証人は押印しなくても受理されますか?
A4:押印は任意です。証人本人の署名など必要事項が適切に記入されていれば、押印がないことだけで受理されなくなるわけではありません。
Q5:婚姻届の証人になると、夫婦の借金や離婚に責任を負いますか?
A5:証人になったという理由だけで、夫婦の借金や離婚に関する責任を負うことはありません。ただし、虚偽の届出に関与するなど、証人としての役割に反する行為をした場合は、民事上の責任が問題になる可能性があります。
Q6:婚姻届の証人を断られたら、結婚できなくなりますか?
A6:そのようなことはありません。別の18歳以上の人など、条件を満たす候補者に依頼すれば問題ありません。証人は親族や友人に限定されていないため、候補を広げて探せます。
婚姻届の証人は、親や兄弟姉妹だけでなく、友人、職場の同僚、親族以外の知人など、幅広い人にお願いできます。両家から1人ずつ選ぶ必要はなく、結婚する2人が納得できる組み合わせで決められます。
2026年現在、日本国籍の証人は18歳以上であることが条件です。外国籍の人も証人になれますが、本国法上の成年年齢を満たしているか確認してください。
署名は本人が自署し、氏名・生年月日・住所・本籍などの必要事項を正確に記入します。押印は任意です。提出前には、記載漏れや訂正箇所がないかを確認しておくと安心です。
証人は結婚生活の保証人ではなく、婚姻する2人の意思を確認する立場です。だからこそ、形式的に名前を借りるのではなく、2人の結婚を理解し、気持ちよく引き受けてくれる人を選ぶことが大切です。
証人選びに迷ったら、まずは身近な家族や友人に相談してみましょう。法律上の条件を押さえ、相手への配慮を忘れずに準備すれば、婚姻届の提出をスムーズに進められます。
主な公的根拠: 法務省「婚姻届」、e-Gov法令検索「民法第739条」、法務省「民法(成年年齢関係)改正Q&A」、川越市・東大和市・武蔵野市・相模原市などの自治体公式案内を参照しています。