2026年の夏は、全国的に見ても平年より明らかに暑い夏でした。気象庁によると、6〜8月の日本の平均気温は、1991〜2020年の30年間の平均値を基準として+1.02℃となっています。
1898年に統計を開始して以来、2026年は5番目に高い記録です。加えて、地域別に見ると北日本と西日本の平均気温は「かなり高い」、東日本は「高い」、沖縄・奄美は「平年並」でした。
特に注目したいのが西日本です。気象庁の異常気象分析検討会によると、西日本の夏の平均気温は1946年以降で3番目の高さとなりました。全国平均の順位だけでは分からないほど、地域によって暑さの程度に違いがあったのです。
なお、2026年の日本の夏の平均気温は、100年あたり1.41℃の割合で上昇する長期的な傾向の中にあります。単年の気温変動だけでなく、日本の夏そのものが長期的に高温化している点も見逃せません。
つまり、2026年は全国平均で歴代最高を更新した年ではないものの、地域的には記録的な高温となり、40℃以上の酷暑も過去最多となった夏でした。
【6月・7月・8月の気温推移】2026年はいつから暑くなった?

2026年の特徴は、6月から8月まで同じように暑かったわけではないことです。月ごとに気温の上昇した地域が異なり、7月に全国的な高温が強まり、8月には西日本を中心に厳しい暑さが続きました。
6月:北日本で高温、東日本と西日本は平年並み6月の地域平均気温の平年差は、北日本が+0.8℃、東日本が+0.2℃、西日本が+0.2℃、沖縄・奄美が-0.1℃でした。
北日本では中旬を中心に暖かい空気に覆われ、気温が高くなりました。一方、東日本や西日本では梅雨前線や低気圧の影響を受けやすく、月全体では平年並みの気温にとどまっています。
台風第6号、第7号、第8号も日本付近を通過し、太平洋側を中心に大雨となった地域がありました。6月の時点では、全国的な猛暑が一様に始まっていたわけではありません。
7月:全国的に気温が上昇、西日本では記録的な暑さ
7月になると状況が一変します。地域平均気温の平年差は、北日本+1.7℃、東日本+1.6℃、西日本+1.9℃、沖縄・奄美+0.2℃となりました。
北日本から西日本まで、広い範囲で平均気温がかなり高くなっています。背景には、偏西風が平年より北側を流れ、暖かい空気に覆われやすくなったことがありました。
特に西日本では、7月中旬の平均気温が平年より2.9℃高くなり、1946年の統計開始以降、7月中旬として最も高い記録を更新しました。下旬にも同様に記録的な高温となっています。
7月下旬には東海、四国、九州北部などで40℃以上を観測する地点が現れ、夏の暑さが一段と厳しくなりました。
8月:西日本の暑さがさらに深刻化
8月は西日本の高温が際立ちました。地域平均気温の平年差は、北日本+1.0℃、東日本+0.5℃、西日本+1.5℃、沖縄・奄美+0.1℃です。
西日本では8月下旬の平均気温が平年より2.5℃高くなり、1946年の統計開始以降、8月下旬として最も高い記録を更新しました。
8月上旬には近畿、四国、九州北部で酷暑日を観測。8月26日には福岡県福岡市博多区で40.4℃を記録するなど、月末近くまで40℃以上の暑さが発生しました。
一方、東日本では8月の平均気温が平年並みに近づいた地域もありました。全国一律に暑さが続いたのではなく、西日本に高温が集中したことが2026年夏の大きな特徴です。
【2025年と2026年の夏を徹底比較】平均気温では2025年が上回る
2026年の暑さを正確に評価するには、前年の2025年との比較が欠かせません。実際、全国平均気温だけを比べると、2025年のほうが2026年より高温でした。
2025年の日本の夏の平均気温は平年差+2.36℃。1898年の統計開始以降で最も高い記録となり、2026年の+1.02℃を大きく上回りました。
ところが、40℃以上の観測地点数を比較すると、違う結果が見えてきます。
2025年と2026年の主要データ比較出典:気象庁、日本気象協会の公表資料。猛暑日・酷暑日は観測地点の延べ数であり、異なる地点での観測を含む。
この比較で重要なのは、2026年は2025年より全国平均気温が低かったにもかかわらず、40℃以上の観測地点数では2025年を上回ったことです。
2026年の猛暑日は約7,530地点で、2025年の9,385地点より少なくなりました。一方、酷暑日は2025年の30地点から2026年には36地点へ増加しています。2026年は極端な高温が局地的に発生する傾向が目立ちました。
なお、地域別順位については、全国平均の統計開始が1898年、地域別の夏の気温順位が1946年からであり、統計期間が異なります。この2つの順位を同じ基準で比較しないことも大切です。
2025年の記録的な高温については、気象庁も全国平均と北・東・西日本の地域平均が過去最高だったと発表しています。2026年は全国的な平均気温の記録を更新しなかったものの、酷暑日の多さという別の深刻な特徴がありました。
【2026年の猛暑日・酷暑日の実態】40℃以上は過去最多の36地点
2026年の夏を象徴する出来事が、40℃以上の気温を記録する「酷暑日」の増加です。
気象庁が2026年9月1日に公表した観測資料によると、6月から8月までの間に、気象官署とアメダスを合わせた914地点のうち22地点で40℃以上を観測し、延べ36地点となりました。
この延べ36地点という数字は、2010年以降で最多です。22地点は実際に観測した異なる地点数、36地点は観測された地点数を日ごとに合算したものです。36か所の異なる場所で観測されたという意味ではありません。
2026年に40℃以上を記録した主な日気象庁の観測記録から抜粋
- 7月21日: 愛知県豊田市40.1℃、岐阜県多治見市40.3℃
- 7月22日: 三重県桑名市40.6℃、静岡県浜松市天竜区40.1℃
- 7月23日: 静岡県浜松市天竜区41.1℃、愛知県豊田市40.8℃
- 7月24日: 三重県桑名市40.8℃
- 7月25日: 山梨県甲府市40.0℃、岐阜県美濃市40.8℃
- 8月2日: 高知県四万十市40.8℃、和歌山県田辺市40.6℃
- 8月3日: 福岡県久留米市40.4℃、熊本県熊本市40.3℃
- 8月26日: 福岡県福岡市博多区40.4℃
夏の最高気温は、7月23日に静岡県浜松市天竜区の佐久間で観測された41.1℃でした。
また、7月21日から25日までの5日連続で、国内のどこかで40℃以上が観測されました。気象庁は、この5日連続を含む酷暑日の発生を2026年夏の特徴として挙げています。
西日本では8月にも40℃を超える観測が続き、特に九州北部で厳しい暑さが目立ちました。8月26日の福岡市博多区の40.4℃は、夏の終盤になっても極端な高温が発生したことを示す記録です。
2026年から正式に使われた「酷暑日」という名称
実は「酷暑日」は、2026年に気象庁が正式に決めた名称です。
2026年4月17日、気象庁は最高気温40℃以上の日の名称を「酷暑日」とすると発表しました。気象庁ホームページで実施したアンケートや有識者の意見を踏まえて決定したものです。
これまで広く使われてきた「猛暑日」は最高気温35℃以上の日を指します。2026年からは、40℃以上というさらに厳しい高温を表す言葉として「酷暑日」が気象庁の情報でも使用されるようになりました。
したがって、2026年の記録を見るときは、猛暑日と酷暑日を混同しないことが大切です。
【なぜ2026年の夏は暑かった?】偏西風とチベット高気圧がもたらした高温
2026年夏の異常な高温について、気象庁の異常気象分析検討会は2026年9月1日に分析結果を公表しました。
その内容から見えてくるのは、単純に太平洋高気圧が強かったという説明だけでは足りないことです。上空の偏西風の蛇行、チベット高気圧の張り出し、下降気流、地球温暖化が複合的に影響していました。
1. 偏西風が平年より北側に蛇行した偏西風は、上空を西から東へ流れる強い風です。日本付近の気温や天候にも大きく関係しています。
2026年夏は、偏西風が日本付近で大きく蛇行し、平年より北側を流れやすい状態になりました。その結果、日本列島が暖かい空気に覆われやすくなり、特に北日本と西日本で高温が目立ちました。
偏西風の位置が変わると、高気圧の張り出す位置や低気圧の通過経路も変化します。2026年はこの大気の流れが、夏の高温をもたらす重要な背景となりました。
2. チベット高気圧と背の高い高気圧が重なった西日本の高温に大きく関係したのが、上空のチベット高気圧です。
気象庁の分析によると、偏西風が北側へ蛇行した影響で、チベット高気圧が西日本付近に張り出しました。これに伴い、上空から地上付近まで背の高い高気圧に覆われる状態が発生しました。
高気圧に覆われると、下降気流が発生しやすくなります。空気が上空から下降すると、周囲の気圧が高くなるにつれて圧縮され、温度が上昇します。これが断熱昇温です。
加えて、晴天による強い日射と太平洋高気圧の縁辺を回る暖かい空気の流入も重なりました。
この複数の作用が組み合わさったことで、7月下旬から8月初めにかけて西日本を中心に厳しい高温となりました。
3. 地球温暖化が高温をさらに押し上げたもう一つ見逃せないのが地球温暖化の影響です。
気象庁が紹介したイベント・アトリビューション解析では、2026年7月中旬から8月上旬にかけての西日本の高温について、地球温暖化がなかったと仮定すると、ほぼ発生し得ない現象だったことが示されました。
これは、偏西風や高気圧といった自然の大気循環だけで説明するのではなく、温暖化によって気温の土台そのものが上がっていることも考慮する必要があるという意味です。
自然の気象変動が暑さを発生させるタイミングをつくり、地球温暖化がその高温をさらに強める。この2つの要素を合わせて考えることが、2026年夏を理解するうえで重要です。
【エルニーニョ現象も関係した?】2026年の異常気象を読み解く
2026年の夏をめぐっては、エルニーニョ現象も注目されました。
気象庁の分析では、2026年春からエルニーニョ現象が発生しているとみられています。7月の太平洋赤道域東部の監視海域では、海面水温が基準値より+2.5℃高くなりました。
この値は1997年と並び、7月として過去最大級の顕著なエルニーニョ現象に相当します。
エルニーニョが日本の夏に与えた影響エルニーニョ現象は、太平洋の赤道付近の海面水温が平年より高くなる現象です。熱帯域の雲や雨の発生場所が変わり、大気の循環にも影響を与えます。
2026年について気象庁は、夏の台風発生数が多かった背景の一つとして、偏東風波動の活動が活発だったことを挙げています。そして、その活動に今年の顕著なエルニーニョ現象が関係した可能性を指摘しました。
ただし、ここで注意したいのは、エルニーニョ現象だけを2026年の猛暑の直接原因と考えないことです。
気象庁の分析では、2026年の大気の流れには過去のエルニーニョ発生時とは異なる特徴もありました。西日本の高温について直接的に重視されたのは、偏西風の北への蛇行、チベット高気圧を含む背の高い高気圧、下降気流、地球温暖化の影響です。
一方、台風の発生や豪雨などについては、エルニーニョに伴う熱帯域の大気活動も関係していました。つまり、2026年の異常気象は、複数の気象現象が連動して発生したものです。
地域によって暑さと雨の降り方が違った理由
2026年夏は、気温だけでなく降水量にも大きな地域差がありました。
西日本では梅雨明け以降、雨の少ない状態が続きました。特に九州北部地方の8月の降水量は、1946年の統計開始以降で最も少ない記録となっています。
一方、東日本太平洋側では台風第15号や令和8年8月千葉豪雨などの影響で降水量がかなり多くなりました。千葉県では日降水量の観測記録も更新されています。
沖縄・奄美でも台風第13号、第18号、第20号などの影響を受け、夏の降水量は多くなりました。
このように、同じ日本の夏でも、西日本では高温と少雨、東日本太平洋側では大雨、沖縄・奄美では台風による雨が目立ちました。気温だけを見て全国の天候を一括りにできないことが、2026年の特徴です。
【プロの結論】2026年の暑さは平均気温だけでは判断できない
2026年の夏を分析すると、重要なのは全国平均気温の順位だけで暑さを評価しないことです。
実際、2025年は全国平均気温が歴代最高でしたが、2026年は40℃以上の観測地点数で前年を上回りました。平均気温が低い年でも、局地的には前年以上に厳しい高温が発生する可能性があることを示しています。
夏の暑さを比較するときは、次の3つの指標を組み合わせて見ると、実態を把握しやすくなります。
- 平均気温の平年差: 夏全体がどれほど暖かかったかを判断する。
- 猛暑日・酷暑日の延べ地点数: 35℃以上や40℃以上の極端な暑さがどれほど発生したかを見る。
- 地域別・月別の気温推移: 自分が住む地域で、いつ高温が集中したのかを確認する。
加えて、実際の生活では最高気温だけでなく、最低気温や熱帯夜の日数、湿度、暑さ指数(WBGT)にも目を向ける必要があります。日中に40℃を超えなくても、夜間に気温が下がらなければ体への負担は大きくなります。
2026年のデータが示したのは、夏の暑さが単純な全国平均の競争ではなく、地域差と極端な高温の発生頻度を含めて評価すべき気象現象になっているということです。
【今年の夏は暑いか】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の夏は2025年より暑かったですか?
A1:全国平均気温では2025年のほうが暑く、2025年は平年差+2.36℃で歴代1位、2026年は+1.02℃で歴代5位でした。ただし、40℃以上の酷暑日の観測は2026年が延べ36地点で、2025年の延べ30地点を上回っています。
Q2:2026年に40℃以上を記録した場所は何地点ですか?
A2:気象庁によると、914地点中22地点で40℃以上を観測し、延べ36地点となりました。最高気温は7月23日に静岡県浜松市天竜区の佐久間で観測された41.1℃です。
Q3:2026年の猛暑の最大の原因は何ですか?
A3:偏西風が平年より北側に蛇行し、チベット高気圧を含む背の高い高気圧に覆われたことが大きな要因です。下降気流による断熱昇温や強い日射に加え、地球温暖化による大気全体の高温化も影響しました。エルニーニョ現象も台風発生などに関係しましたが、猛暑を単独で説明するものではありません。
2026年の夏は、全国平均気温が平年差+1.02℃で歴代5位となり、西日本では1946年以降3番目の高温を記録しました。2025年ほど全国的な平均気温は高くなかったものの、40℃以上の酷暑日は延べ36地点となり、2010年以降で最多でした。
その背景には、偏西風の北偏と蛇行、チベット高気圧の張り出し、下降気流による断熱昇温、地球温暖化の影響がありました。エルニーニョ現象も台風活動などに関係し、複雑な気象条件が重なった夏だったといえます。
「今年の夏は暑いか」という疑問への最終的な答えは、2026年は全国的に高温で、特に西日本では記録的な暑さとなり、局地的には40℃を超える危険な高温が繰り返された夏だったということです。
今後の夏の暑さを見極める際も、全国平均だけでなく、住んでいる地域の気温予測、猛暑日・酷暑日の発生状況、熱帯夜の継続、気象庁の季節予報を合わせて確認することが大切です。2026年の観測結果は、これからの暑さへの備えを考えるうえでも重要な資料となります。