活断層の位置を把握したら、次に確認したいのが、自宅や職場、通勤・通学経路の災害リスクです。
熊本県の地震対策では、活断層図だけでなく、地震動予測地図、地盤情報、自治体のハザードマップを組み合わせることが大切です。
国土地理院の熊本活断層図で確認できること国土地理院は、空中写真や詳細な地形データを使って活断層図を作成しています。
2026年7月28日の地震を受けた情報提供では、次の図面が公開されています。
- 阿蘇
- 熊本改訂版
- 八代改訂版
- 日奈久
地理院地図では、活断層と関連する地形を確認でき、位置情報付きの画像データも提供されています。
また、土地の成り立ちを示す地形分類データも公開されています。地盤の性質を知るための資料として、活断層図と併用する価値があります。
3種類の地図を使い分ける| 確認する資料 | 分かること | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 国土地理院の活断層図 | 活断層や関連する地形の位置 | 断層との位置関係を確認 |
| J-SHIS地震ハザードステーション | 地震による揺れの可能性 | 地域の地震リスクを比較 |
| 市町村のハザードマップ | 避難場所や地域ごとの災害リスク | 避難計画を作る |
特にJ-SHISは、活断層の位置だけでは把握できない地震動のリスクを考える際に役立ちます。
例えば、活断層から距離がある地域でも、地盤条件によって強い揺れが生じる可能性があります。反対に、断層に近いという理由だけで、建物ごとの被害を一律に判断することもできません。
熊本県民が確認したい防災チェックポイント実際に地図を開いたら、次の項目を確認してください。
- 自宅や職場の周辺に活断層が推定されているか。
- 地盤が軟弱な地域や液状化の可能性がある場所ではないか。
- 土砂災害警戒区域や急傾斜地に該当しないか。
- 最寄りの指定緊急避難場所まで安全に移動できるか。
- 家具の転倒防止や住宅の耐震性能に問題がないか。
- 海岸や八代海周辺では津波避難経路を確認しているか。
地震は昼間だけに起きるわけではありません。夜間や停電時でも避難できるよう、複数の経路を想定しておくと安心です。
日奈久断層帯の津波リスクにも注意2026年10月26日の熊本県知事定例記者会見では、日奈久断層帯で発生する地震に伴う津波対策についても言及されました。
熊本県の木村知事は、日奈久断層帯の規模に対して、どの程度の津波が発生するかはまだ十分に分かっていないと説明しています。
国による調査研究を進めるとともに、科学的な解明を待つだけでなく、市町村と連携した総合防災訓練や避難訓練も進める考えを示しました。
また、住宅の耐震化推進などについても、今後の予算編成の中で具体化する意向を示しています。
県が掲げた防災の方向性を端的に表す言葉が、次の一節です。
「正しく恐れて正しく備える」
八代海沿岸などでは、地震による揺れだけでなく、津波の可能性も考慮した避難計画が必要です。津波の具体的な規模が明らかになる前から、沿岸部の住民は高台や避難施設の位置を確認しておきたいところです。
【プロの結論】2026年の熊本活断層問題から見える本当のリスク

2026年の熊本地震によって、熊本県の活断層問題は新しい段階に入りました。
今回の地震で明らかになったのは、2016年に活動した布田川断層帯だけを見ていても、熊本県全体の地震リスクは把握できないということです。
日奈久断層帯では高野-白旗区間と日奈久区間の北東部に震源断層が及び、宇土区間でも地表地震断層が確認されました。加えて、南側の八代海区間についても長期的な評価が必要です。
専門的な視点から、今後の情報を見極める際には、次の3点が重要です。
第一に、発生確率と実際の活動状況を分けて考えること。
30年以内の発生確率は長期的な評価指標です。地震が発生した後は、どの区間がどの程度活動したかを改めて検証する必要があります。
第二に、断層の一部が活動したことと、断層帯全体が活動したことを混同しないこと。
2026年の地震では日奈久断層帯の一部が活動したと評価されています。しかし、八代海区間を含む全区間が同時に破壊したという意味ではありません。
第三に、調査結果を地域の防災に反映させること。
研究成果が公表されても、住宅の耐震化や避難経路の確保につながらなければ、地域の安全性は十分に高まりません。活断層の研究と住民の防災行動を結び付けることが、今後の課題です。
【熊本活断層】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:熊本県で特に注意したい活断層はどこですか?
A1:代表的なのは布田川断層帯と日奈久断層帯です。特に2026年7月のM7.1地震では、日奈久断層帯の高野-白旗区間と日奈久区間の北東部が主な震源断層に対応すると評価されています。
Q2:日奈久断層帯の30年以内の地震発生確率は何%ですか?
A2:2026年1月1日を算定基準日とする評価では、日奈久区間がほぼ0~6%、八代海区間がほぼ0~16%です。高野-白旗区間は過去の活動間隔が不明なため、確率は算定されていません。これらは7月の地震発生前の評価であり、地震後の改訂値ではありません。
Q3:熊本地震で活断層は最大何mずれましたか?
A3:2026年7月の地震では、地震調査研究推進本部が氷川町付近で最大約2mの右横ずれ変位を確認しています。産総研の現地調査でも、氷川町宮原の道路で約184cmの右横ずれが記録されました。
2026年11月4日時点の熊本活断層をめぐる最大の注目点は、7月28日のM7.1地震によって日奈久断層帯の活動実態が改めて明らかになり、10月22日には文部科学省が産総研を代表機関とする追加調査を採択したことです。
今回の調査では、活動した断層の実態解明だけでなく、日奈久断層帯の地震発生確率の精度向上や、住民への防災情報の提供方法も研究対象になります。今後の調査結果によって、これまでの長期評価が見直される可能性があります。
住民が今すぐ取り組めるのは、国土地理院の活断層図、J-SHIS、自治体のハザードマップを照らし合わせ、自宅周辺の地盤や避難場所を確認することです。
熊本県の地震リスクを正しく理解するためには、過去の2016年熊本地震、2026年のM7.1地震、そして今後の追加調査を一連の情報として捉える必要があります。研究の進展を待つだけでなく、日頃から住宅の耐震化や避難準備を進めることが、次の地震から命と暮らしを守る現実的な備えになります。