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【1】猫がゴロゴロ言わないのは珍しい?鳴らさない猫の特徴と見分け方

黒田 宗一郎 黒田 宗一郎 • 更新: • 公開: • 読了約 20 分
目次

猫が喉を鳴らす行動は珍しいものではありませんが、すべての猫が同じ頻度、同じ音量でゴロゴロするわけではありません。

もともとほとんど喉を鳴らさない猫も存在します。したがって、ゴロゴロ言わないという一点だけで、愛情不足や病気を疑う必要はありません。

2025年4月に公開された「ねこのきもちWEB MAGAZINE」の獣医師解説でも、ゴロゴロ音をあまり出さない猫について、性格や育ってきた環境が関係すると説明されています。保護猫の場合は警戒心が強く、安心できるまで喉を鳴らさないケースもあるとされています。

ゴロゴロ言わない猫に見られる4つの特徴

ゴロゴロ音が聞こえない猫には、次のようなパターンがあります。

  • もともと静かな猫:飼い始めた頃からほとんど喉を鳴らさず、ほかの行動に問題がない。
  • 警戒心が強い猫:人との接触や抱っこが苦手で、安心できる場所を好む。
  • 音が小さい猫:喉や胸に微細な振動があっても、耳ではゴロゴロ音を確認しにくい。
  • 気分によって鳴らす猫:撫でられても反応しない日がある一方、自分から甘えるときには喉を鳴らす。

特に注目したいのは、以前から鳴らさない猫と、以前は鳴らしていたのに急に鳴らさなくなった猫の違いです。前者は個性の可能性がありますが、後者は生活環境や健康状態の変化を確認する必要があります。

ゴロゴロ言わないことは飼い主を信頼していない証拠?

必ずしもそうではありません。

猫の愛情表現は喉を鳴らすことだけではありません。飼い主の近くで眠る、ゆっくり瞬きをする、しっぽを立てて近づく、体をすり寄せるといった行動も、安心感や親しみを示すことがあります。

反対に、膝の上に乗らない、抱っこを嫌がるという理由だけで信頼関係がないと判断するのも適切ではありません。猫によって快適な距離感は異なります。

ゴロゴロ音の有無よりも、普段どのような態度で飼い主と接しているかを見ることが、猫の気持ちを理解する手がかりになります。

【2】生まれつきゴロゴロ鳴らさない?子猫・成猫・保護猫で違う理由

猫ゴロゴロ言わない

「うちの猫は生まれつきゴロゴロ鳴らさない体質なのでは?」という疑問もよくあります。

実際には、ほとんど喉を鳴らさない猫はいます。ただし、ゴロゴロ音を出さないことが特定の遺伝的体質や病気によるものだと、一律に説明できる科学的根拠はありません。

性格、育った環境、人との接触経験、現在の生活状況など、複数の要因が関係していると考えられます。

子猫がゴロゴロ言わない場合

子猫は生後数日ほどで喉を鳴らす行動を始めるとされ、母猫とのコミュニケーションや授乳時の接触などにも関係しています。

ただし、子猫だからといって、飼い主が撫でるたびにゴロゴロ鳴くわけではありません。新しい家庭に迎えられたばかりの場合、環境に慣れていないことも考えられます。

次のような点を確認してください。

  • 母猫や兄弟猫と離れたばかりではないか
  • 新しい家の音やにおいに警戒していないか
  • 食事や水分を十分に取れているか
  • 遊ぶ、歩く、眠るといった行動が普段どおりか

子猫の場合、ゴロゴロ音よりも食欲や活動性、成長の様子を優先して観察することが大切です。食べない、ぐったりしている、呼吸がおかしいといった症状があれば、早めに動物病院へ相談してください。

成猫になってからゴロゴロ言わなくなった場合

子猫の頃には頻繁に喉を鳴らしていたのに、成猫になってから静かになるケースもあります。

成長に伴って生活習慣や甘え方が変わったり、飼い主との関係が安定して過度に甘える場面が減ったりすることが考えられます。

ただし、年齢を重ねれば必ずゴロゴロ音が減るという医学的な決まりがあるわけではありません。

成猫になっても変わらずゴロゴロする猫もいれば、ほとんど鳴らさない猫もいます。重要なのは、その猫自身の過去の行動と比較することです。

保護猫がゴロゴロ言わないのは警戒心が原因?

保護猫の場合、過去の生活環境や人との接触経験が、現在の行動に影響している可能性があります。

例えば、外で暮らしていた期間が長い猫、人間との接触に慣れていなかった猫、生活環境が何度も変わった猫などは、新しい家庭でも警戒心を示すことがあります。

東京都動物愛護相談センターの2026年公開の飼育解説では、人に慣れていない猫の特徴として、隅に隠れる、逃げる、威嚇する、食べない、トイレを我慢するなどの行動が紹介されています。

また、ストレスのサインとして、体が固まる、過剰に毛づくろいする、瞳孔が開く、呼吸が変化するといった反応も挙げられています。

人に慣れるまでの期間は猫によって異なり、数日で慣れる場合もあれば、数か月から数年かかる場合もあります。

そのため、保護猫に対しては、無理に抱っこしたり撫でたりせず、猫が自分から近づいてくるのを待つことが大切です。安心できる寝床や隠れ場所を用意し、食事やトイレを落ち着いて利用できる環境を整えましょう。

ゴロゴロ音が聞こえないからといって、懐いていないと決めつける必要はありません。

【3】猫が喉を鳴らす仕組みとは?音が小さいだけの可能性も

猫のゴロゴロ音は、一般的に喉頭(こうとう)と呼ばれる喉の部分の働きや、呼吸に伴う振動によって生じると考えられています。

ただし、その発生メカニズムは現在も研究が続いている分野です。

ゴロゴロ音はどこから出ている?

喉頭には声帯や、それを動かす筋肉などがあります。猫がゴロゴロ音を出す際には、この喉頭周辺の組織の振動と呼吸の流れが関係しています。

2023年10月、学術誌「Current Biology」に掲載された研究では、猫8頭の喉頭を用いた実験が行われました。

研究チームは、取り出した喉頭に空気を通す実験を実施し、神経からの指令や筋肉の収縮がない条件でも、ゴロゴロ音に相当する25〜30Hzの振動が生じることを確認しました。

この研究は、猫のゴロゴロ音が筋肉の能動的な収縮だけで説明できるとは限らず、声帯組織の物理的な特性も関係している可能性を示しています。

ただし、猫が生きているときの喉の働きをすべて説明したものではなく、従来の筋肉活動の仮説を完全に否定した研究でもありません。

猫の喉を鳴らす仕組みは、まだ解明の途上にあるのです。

ゴロゴロ音が小さくて聞こえない猫もいる

ゴロゴロ音には個体差があり、はっきりと聞こえる猫もいれば、耳を近づけないとわからないほど小さな音しか出さない猫もいます。

特に静かな環境で猫がリラックスしているときは、音よりも細かな振動として感じられる場合があります。

音が聞こえないときは、猫が自分から近づいてきて落ち着いているタイミングに、喉元や胸のあたりへ手のひらをそっと添えてみてください。小さな振動が伝わることがあります。

ただし、喉を押さえたり、無理に触ったりする必要はありません。嫌がる場合はすぐにやめましょう。

ゴロゴロする猫は必ず幸せなのか?

ここにも誤解があります。

猫のゴロゴロ音は、リラックスしているときや飼い主に甘えているときだけでなく、不安や痛みを感じているときにも聞かれることがあります。

ノースカロライナ州立大学獣医学部が紹介する行動医学の解説でも、猫は安心している場面だけでなく、痛みを感じている状況で喉を鳴らすことがあると説明されています。

つまり、ゴロゴロ音が聞こえるから健康、聞こえないから不健康という判断はできません。

ゴロゴロ音は猫の状態を知るための情報の一つであり、健康状態を判定する検査ではないという点を覚えておきましょう。

【4】猫が急にゴロゴロ言わなくなった!ストレスと体調不良の見分け方

注意したいのは、これまで頻繁にゴロゴロ鳴いていた猫が、突然喉を鳴らさなくなった場合です。

一時的な気分の変化である可能性もありますが、何日も変化が続き、ほかの行動にも異常が現れている場合は、ストレスや病気の可能性を考える必要があります。

2025年の「ねこのきもちWEB MAGAZINE」の獣医師解説でも、一時的にゴロゴロ音が止まる場合と、数日間続いて普段の様子まで変わる場合は区別して考える必要があるとされています。

ストレスが原因でゴロゴロ言わなくなるケース

猫は環境の変化に敏感な動物です。人間にとって小さな変化でも、猫にとっては大きなストレスになることがあります。

例えば、次のような出来事がきっかけになる場合があります。

  • 引っ越しや模様替えをした
  • 新しい猫や犬を迎えた
  • 家族構成や生活リズムが変わった
  • 来客や大きな生活音が増えた
  • 動物病院への通院や入院を経験した
  • 抱っこやスキンシップを強く求められるようになった

ストレスを感じている猫は、ゴロゴロ音が減るだけでなく、隠れる時間が長くなったり、飼い主との接触を避けたりすることがあります。

また、過剰な毛づくろい、食欲の低下、トイレの失敗、攻撃的な態度なども見られる場合があります。

こうした変化があれば、まずは猫が安心できる静かな場所を確保し、生活環境を見直してください。無理に遊ばせたり、抱っこしたりする必要はありません。

ただし、ストレスに見える症状が病気によって生じている可能性もあるため、症状が強い場合や長引く場合は獣医師に相談しましょう。

体調不良や病気のサインが隠れている場合

猫は体調が悪くても、初期段階では明確な異常を見せないことがあります。

ゴロゴロ音が減ったことに加えて、次のような変化がないか確認してください。

  • 食欲:食べる量が減った、好物にも反応しなくなった。
  • 元気:遊ばなくなった、動く時間が減った、寝てばかりいる。
  • 行動:急に隠れる、甘えなくなる、触られるのを嫌がる。
  • 姿勢:背中を丸めてうずくまる、動きがぎこちない。
  • 毛づくろい:毛並みが乱れる、過剰に同じ場所を舐める。
  • 排泄:尿の量や回数が変わる、トイレに何度も行く。
  • 呼吸:呼吸が速い、苦しそうにする、口を開けて呼吸する。

こうした症状は、消化器系の問題、泌尿器系の病気、口腔内の痛み、呼吸器の異常など、さまざまな健康問題と関連する可能性があります。

ただし、ゴロゴロ音がなくなっただけで特定の病気を推測することはできません。症状の組み合わせや経過を確認することが必要です。

米国のVCA動物病院が公開する猫の病気のサインに関する解説でも、食欲や飲水量、活動量、隠れる頻度、排尿行動など、普段と違う小さな変化を見逃さないよう呼びかけています。

【5】猫がゴロゴロ鳴らないとき動物病院に行くべき?受診の目安を比較

動物病院を受診するかどうかは、ゴロゴロ音だけではなく、普段と比べてどの程度変化しているかで判断します。

次の表に、飼い主が確認したい状態と対応の目安をまとめました。

猫の状態 考えられる背景 対応の目安 以前から鳴らさない 性格や生活環境による個体差 食欲・元気が正常なら日常的に観察 音が小さく聞こえにくい 音量や振動の個体差 無理に音を出させず、普段の様子を確認 一時的に鳴らさなくなった 気分や環境の変化 ほかの症状がないか観察 急に鳴らなくなり、隠れる・食欲が落ちた ストレスや体調不良の可能性 早めに動物病院へ相談 嘔吐や元気消失、痛がる様子がある 病気や痛みの可能性 当日中を目安に獣医師へ相談 口呼吸、呼吸困難、尿が出ない、ぐったりしている 緊急性の高い異常の可能性 すぐに動物病院へ連絡し緊急受診
食欲がない場合は何時間まで様子を見ていい?

特に注意したいのが食欲の低下です。

猫は食事を取らない状態が続くと、栄養状態の悪化や肝リピドーシス(脂肪肝)などにつながる可能性があります。

VCA動物病院は、猫が24時間まったく食べていない場合は速やかな獣医療が必要と案内しています。

ただし、24時間という時間は、すべての猫に当てはめて待ってよい基準ではありません。子猫、高齢猫、持病のある猫、急激に食欲が落ちた猫では、より早い段階で相談することが適切です。

水も飲まない、何度も吐く、動かない、排尿できないといった症状が重なっている場合は、時間を待たずに動物病院へ連絡してください。

すぐに受診したい危険な症状

次の症状は、ゴロゴロ音の変化とは別に、緊急性を考える必要があります。

  • 口を開けて呼吸している
  • 呼吸が明らかに苦しそう
  • 立ち上がれないほどぐったりしている
  • 何度もトイレに行くのに尿が出ない
  • 反応が極端に鈍い、意識がおかしい

特に尿が出ない状態は、尿路閉塞などの重大な問題が考えられます。オス猫では尿道閉塞が緊急事態になることもあるため、すぐに受診してください。

アリーズ猫医療センターの食欲不振に関する獣医療解説でも、呼吸困難や排尿できない状態、反応の著しい低下などは、緊急の連絡・受診が必要な症状として紹介されています。

動物病院では何を伝えればいい?

受診するときは、単に「ゴロゴロ言わなくなった」と伝えるだけでなく、変化が始まった時期や生活状況を具体的に説明すると診察に役立ちます。

特に次の情報を整理しておきましょう。

  • 最後にゴロゴロ音を確認した時期
  • 以前はどのような状況で喉を鳴らしていたか
  • 食事量と飲水量の変化
  • 排尿・排便の回数や状態
  • 嘔吐や下痢の有無
  • 隠れる、歩き方が変わるなどの行動変化
  • 引っ越しや新しいペットなど、環境の変化

可能であれば、普段の様子や異常が現れたときの動画も撮影しておくとよいでしょう。

アニコム損保の「みんなのどうぶつ病気大百科」でも、症状に気づいた時期、生活環境の変化、食欲、元気、飲水量、便や尿の状態などを記録して獣医師に伝えることが推奨されています。

猫の状態を正確に伝えることは、原因を調べるための大切な手がかりになります。

【猫がゴロゴロ言わないこと】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:猫が生まれつきゴロゴロ言わないことはありますか?
A1:あります。性格や育ってきた環境などによって、ほとんど喉を鳴らさない猫もいます。生まれつきの異常と決めつける必要はありません。食欲や元気、排泄が普段どおりであれば、個性の可能性があります。

Q2:保護猫がゴロゴロ言わないのは懐いていないからですか?
A2:必ずしもそうではありません。過去の生活環境や人との接触経験によって、警戒心が強くなっている場合があります。無理に触れ合おうとせず、猫が安心できる環境を整えてください。

Q3:猫のゴロゴロ音が小さいのは病気のサインですか?
A3:音の大きさには個体差があります。小さな振動だけを感じる猫もいるため、音が小さいことだけで病気とは判断できません。ただし、急に音が変わり、食欲や元気にも異常があれば受診を検討してください。

Q4:猫が急にゴロゴロ言わなくなったら危険ですか?
A4:一時的な気分の変化である場合もあります。しかし、数日間続く、隠れて出てこない、食欲が落ちる、動きが鈍くなるといった変化があれば、ストレスや体調不良の可能性を考えて動物病院に相談しましょう。

Q5:ゴロゴロ言わない子猫は健康に問題がありますか?
A5:ゴロゴロ音がないことだけでは健康状態を判断できません。食欲、体重の増え方、排泄、活動性を確認してください。子猫は体調が変化しやすいため、食べない、ぐったりしているなどの異常があれば早めに受診しましょう。

Q6:猫がゴロゴロ言わなくても飼い主を好きでいてくれますか?
A6:もちろんです。猫の愛情表現はさまざまです。飼い主のそばで眠る、体をすり寄せる、しっぽを立てて近づくなど、別の行動で安心感や親しみを表すことがあります。

猫がゴロゴロ言わない理由には、性格や育った環境、警戒心、音の小ささなど、さまざまな要因があります。

生まれつき喉を鳴らす頻度が少ない猫もおり、保護猫や人見知りの猫が安心できるまでゴロゴロしないこともあります。そのため、鳴らさないことだけを理由に病気や愛情不足を疑う必要はありません。

一方、これまで頻繁に鳴いていた猫が突然静かになった場合は、注意深く観察する必要があります。ストレスだけでなく、痛みや体調不良が関係している可能性もあるためです。

今回の内容から、飼い主が覚えておきたい判断基準は次の3つです。

  1. 以前から鳴らさない猫:食欲、元気、排泄が正常なら、まずは個性として受け止める。
  2. 急に鳴らなくなった猫:環境の変化やストレスの有無を確認し、ほかの行動変化も記録する。
  3. 体調不良を伴う猫:食欲低下、元気消失、嘔吐、排尿異常、呼吸の変化があれば早めに受診する。

猫との暮らしで大切なのは、ほかの猫と同じ行動を求めないことです。ゴロゴロ音が聞こえなくても、そばで安心して眠っていたり、自分から近づいてきたりするなら、それもその猫なりのコミュニケーションです。

反対に、いつもと違う様子を感じたときは、小さな変化を見過ごさないでください。

猫の健康を見極めるうえで最も重要なのは、ゴロゴロ音の有無ではなく、その猫自身の「いつも」を知り、変化に気づくことです。

愛猫の性格を尊重しながら、日々の食事、行動、排泄、睡眠を観察することが、健康を守る第一歩になります。

主な参考資料・取材情報

- ねこのきもちWEB MAGAZINE「最近、愛猫のゴロゴロ音が減った気がする…体調不良のサイン?」(2026年4月19日)
- ねこのきもちWEB MAGAZINE「猫が突然ゴロゴロいわなくなった!考えられる理由を獣医師が解説」(2025年)
- 東京都動物愛護相談センター「人慣れしていない猫を飼い始めたら」
- Current Biology「Domestic cat larynges can produce purring frequencies without neural input」(2023年)
- ノースカロライナ州立大学獣医学部「Why Do Cats Purr?」
- VCA Animal Hospitals「Recognizing signs of illness in your cat」
- アニコム損保「動物病院に行こう(3)受診時に役立つポイント」

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コンテンツディレクター 黒田 宗一郎
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グルメ・レシピ担当。材料と手順は必ず再現検証し、出典を明記します。

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