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【基本知識】お腹がぐるぐる鳴る「腹鳴」とは?腸が動く仕組み

倉持 玲奈 倉持 玲奈 • 更新: • 公開: • 読了約 19 分
目次

お腹がぐるぐる鳴る現象は、単に胃が空っぽになったときだけに起こるものではありません。胃、小腸、大腸が活動する過程で発生する自然な音である場合が多く、医学的には腹鳴と呼ばれます。

腸蠕動運動によって音が発生する

消化管には、食べ物や消化液などを先へ送り出すための筋肉があります。この筋肉が収縮と弛緩を繰り返す運動が腸蠕動運動(ちょうぜんどううんどう)です。

胃や腸が動くと、内部にある次のようなものが移動します。

- 食べ物や消化途中の内容物
- 胃液や腸液などの消化液
- 飲み込んだ空気
- 腸内細菌の働きなどによって生じたガス

これらが腸管内で混ざったり移動したりすることで、グーグー、ゴロゴロ、キュルキュルといった音が発生します。

一般的に「胃が鳴る」と表現されますが、実際には小腸や大腸から聞こえる音もあります。

米国国立医学図書館の医学情報でも、腹部の音の多くは正常な消化活動に伴うものと説明されています。

お腹の音は空腹時だけに発生するわけではない

空腹時には胃腸が次の食事に備えて活動し、食後には消化した内容物を先へ送り出すために活動します。

つまり、食べていないときも食べたあとも、お腹が鳴る条件は存在します。

特に、音が鳴ったという事実だけで消化不良や胃腸の病気と判断することはできません。

【原因を徹底比較】空腹・食後・ガス・便秘・下痢で音が違う理由

お腹ぐるぐるなる

お腹がぐるぐる鳴る原因を考えるときは、音が鳴ったタイミングと一緒に現れる症状を確認することが大切です。

1.空腹時にお腹が鳴るのは胃腸の掃除運動が関係する

空腹時にお腹がグーッと鳴るのは、胃や小腸の収縮活動が関係しています。

食事をしていない時間にも、消化管は完全に停止しているわけではありません。

空腹期には、胃や小腸で強い収縮を繰り返しながら、残った消化物や分泌物などを先へ運ぶ運動が起こります。

この活動は空腹期伝播性強収縮運動とも呼ばれ、空腹時に聞こえる音の一因になります。

特に次のような場面で音が目立つことがあります。

- 朝食を食べる前
- 昼食までの時間が長く空いたとき
- 食事を抜いたとき
- 食事量が少なかったとき

空腹時に音が鳴っても、腹痛や便通異常などがなければ、通常は過度に心配する必要はありません。

2.食後にお腹がゴロゴロ鳴るのは消化活動の影響

食事をしたあとにお腹がゴロゴロ鳴る場合、胃や腸が食べ物を消化して運んでいることが考えられます。

食べ物が胃から小腸へ送られると、小腸では消化・吸収を進めるための運動が活発になります。

加えて、食事が胃に入ると大腸の運動が促される「胃結腸反射」も起こります。

この反射によって大腸の内容物が移動し、便意を感じたり、お腹が鳴ったりすることがあります。

食後の腹鳴が目立ちやすい状況は次のとおりです。

- 一度にたくさん食べたとき
- 早食いをしたとき
- 炭酸飲料を飲んだとき
- 脂質の多い食事をしたとき
- ガスがたまりやすい食品を食べたとき

ただし、食後の音が毎回強い腹痛や下痢を伴う場合は、単純な消化活動だけでは説明できない可能性があります。

3.腸内ガスが増えるとゴロゴロ音や腹部膨満が起こる

腸内ガスも、お腹がぐるぐる鳴る代表的な原因です。

腸内のガスは、主に食事中などに飲み込んだ空気と、大腸内の細菌が消化しきれなかった炭水化物などを分解する過程で生じます。

ガスが腸内にたまると、次のような症状が現れることがあります。

- お腹がゴロゴロ鳴る
- おならが増える
- お腹が張る
- 腹部に圧迫感がある
- 食後に不快感が強くなる

特に、豆類、乳製品、一部の果物、糖アルコールを含む食品などは、人によってガスの発生や腹部膨満につながる場合があります。

乳糖を十分に消化できない乳糖不耐症なども、乳製品を摂取したあとの腹部膨満や下痢に関係します。

米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)も、腸内ガスの原因として空気の嚥下や大腸内細菌による炭水化物の分解を挙げています。

4.便秘でもお腹がぐるぐる鳴ることがある

便秘というと、お腹の動きが止まっているイメージを持つ可能性があります。

しかし、便秘があっても腸の運動が完全に停止しているとは限りません。

便が腸内に長くとどまることで、ガスや腸内容物の移動に変化が生じ、お腹の張りやゴロゴロ音につながることがあります。

便秘と腹鳴が同時に起きている場合は、次の点を確認してみましょう。

- 排便回数が以前より減っていないか
- 便が硬くなっていないか
- 排便時に強くいきんでいないか
- お腹の張りが続いていないか
- 排便後に不快感が軽くなるか

便秘が長く続いたり、急に排便習慣が変わったりした場合は、医療機関で原因を調べることが大切です。

5.下痢になるとお腹がゴロゴロ鳴りやすい

下痢のときにお腹が激しく鳴るのは、腸内の水分を多く含んだ内容物が移動することや、腸の運動が活発になることなどが関係しています。

例えば、感染性胃腸炎や食事による消化器症状などでは、腹鳴とともに次のような症状が現れることがあります。

- 水っぽい便
- 腹痛や腹部の差し込むような痛み
- 吐き気
- 発熱
- お腹の張り

ただし、お腹が鳴ったから必ず下痢になるわけではありません。

腸が正常に動いていても音は発生します。音だけを根拠に下痢の発生や病気を予測することはできません。

原因別に見る腹鳴の特徴と確認ポイント

ここまでの内容を整理すると、次のようになります。

状況 主な仕組み・原因 確認したいポイント 空腹時 胃や小腸の空腹期の収縮運動 食事をすると落ち着くか 食後 消化管運動・胃結腸反射 食べた量や食品との関係 ガスが多い 空気の嚥下・腸内細菌によるガス産生 おならや腹部膨満の有無 便秘 便やガスの貯留、腸内容物の移動 排便回数や便の硬さ 下痢 腸内の水分を含む内容物の移動や腸運動の変化 腹痛・発熱・血便の有無 繰り返す腹鳴 過敏性腸症候群などの機能性消化管疾患の可能性 腹痛と便通異常が続いているか

重要なのは、腹鳴の音だけで原因を決めつけないことです。空腹時や食後に限って起きるのか、便通の変化や痛みを伴うのかによって、考えるべき原因は異なります。

【病気の可能性】お腹が鳴るのは病気のサイン?IBSとの関係も解説

お腹がぐるぐる鳴ること自体は珍しい現象ではありません。しかし、腹鳴が頻繁に起こり、腹痛や便秘、下痢などを繰り返す場合は、消化器系の病気が関係している可能性があります。

過敏性腸症候群(IBS)は腹鳴と便通異常が関係する

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や腹部の不快感に加えて、下痢や便秘などの便通異常を繰り返す機能性消化管疾患です。

検査で明確な器質的異常が見つからない場合でも、腸の運動や知覚、脳と腸の相互作用などが関係して症状が現れます。

代表的な症状は次のとおりです。

- お腹が頻繁にゴロゴロ鳴る
- 突然、便意を感じる
- 下痢と便秘を繰り返す
- 腹痛が排便によって軽くなる
- 緊張やストレスで腹部症状が強くなる
- お腹にガスがたまりやすい

IBSには主に便秘型、下痢型、混合型、分類不能型があります。

日本消化器病学会の「過敏性腸症候群診療ガイドライン2020」でも、疫学、病態、診断、治療などが整理されています。

また、ローマIV基準では、最近3か月間に平均して週1日以上の腹痛があり、排便との関連、排便頻度の変化、便の形状の変化のうち2項目以上を伴うことなどが診断基準に含まれます。症状の開始時期についても、少なくとも6か月前からであることが条件です。

つまり、お腹が鳴るだけではIBSとは診断されません。腹痛や便通異常の経過を含めて判断する必要があります。

感染性胃腸炎や食事による消化器症状

突然お腹がゴロゴロ鳴り始め、その後に下痢や吐き気、発熱が現れた場合は、感染性胃腸炎や食中毒なども考えられます。

特に、次のような症状がある場合は注意が必要です。

- 急に始まった水様便
- 強い腹痛
- 繰り返す嘔吐
- 発熱
- 血便

感染性胃腸炎などでは脱水を起こす可能性もあります。水分を十分に摂れない、尿量が明らかに減る、強い倦怠感がある場合は早めに医療機関へ相談してください。

腸閉塞では腹鳴以外の症状にも注意が必要

腹鳴に関連して見逃してはいけない病気の一つが、腸閉塞(イレウス)です。

腸閉塞は、腸の内容物が正常に通過できなくなる状態です。過去の腹部手術による癒着、ヘルニア、腫瘍などが原因になることがあります。

特徴的な症状には次のものがあります。

- 強い腹痛や腹部のけいれん
- 吐き気や嘔吐
- お腹が大きく張る
- 便やガスが出なくなる

腸閉塞では腸内の音が変化したり、異常に大きな音が聞こえたりする場合もあります。

済生会の医療情報でも、腹痛、吐き気・嘔吐、腹部膨満と排ガス・排便の停止は、腸閉塞を疑う重要な症状として紹介されています。

こうした症状が重なった場合は、単なる腹鳴と考えて様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。

お腹の音が大きいだけで重大な病気とは限らない

ここで押さえておきたいのが、腹鳴の大きさと病気の重症度は必ずしも一致しないという点です。

大きな音がしていても正常な消化活動の場合があります。一方、腸閉塞などでは、音の変化だけではなく、痛みや嘔吐、排ガスの停止といった症状が重要になります。

大腸の病気についても、腹鳴だけで判断することはできません。

血便、急激な便通変化、原因不明の体重減少などがある場合には、消化器内科で検査を受けることが大切です。

【実践対策】お腹がぐるぐる鳴るときの対処法7選

お腹の音が気になるときは、まず食事や生活習慣を見直してみましょう。

ただし、正常な腸の動きを完全に止めることはできません。目標は、不要なガスや腹部膨満を減らし、不快な症状を軽くすることです。

1.食事を抜かず、規則正しく食べる

空腹時の腹鳴が気になる場合は、食事の間隔が極端に空かないようにすることが一つの方法です。

朝食を抜いたり、昼食の時間が大幅に遅れたりすると、空腹時の胃腸運動による音が気になる場合があります。

無理な食事制限をせず、朝・昼・夕の食事をできるだけ規則正しく摂りましょう。

2.早食いを避けて、よく噛む

食べる速度が速いと、食事と一緒に空気を飲み込みやすくなります。

飲み込んだ空気が消化管に移動すると、げっぷやおなら、腹部膨満の原因になることがあります。

一口ずつ落ち着いて食べることを意識してください。

3.炭酸飲料やガムを控えてみる

炭酸飲料は消化管内のガスに関係し、ガムを噛む習慣も空気を飲み込む機会を増やすことがあります。

お腹の張りや音が気になる人は、次のものを一度見直してみましょう。

- 炭酸飲料
- ガム
- 飴
- ストローを使った飲み方
- 早飲みする習慣

NIDDKも、ガス症状を軽減する方法として、炭酸飲料やガムを控えること、ゆっくり食べることなどを紹介しています。

4.自分に合わない食品を把握する

腸内ガスの発生には、食べ物の種類が関係する場合があります。

例えば、次の食品は人によって腹部膨満やガスの原因になることがあります。

- 牛乳やアイスクリームなどの乳製品
- 豆類
- 玉ねぎ
- キャベツやブロッコリー
- りんごや洋梨
- 糖アルコールを含む食品

ただし、これらが全員に悪影響を与えるわけではありません。

食べたものと腹鳴が起こった時間、便の状態を記録すると、自分に合わない食品を見つけやすくなります。

IBSなどでは低FODMAP食が検討されることもありますが、自己判断で多くの食品を長期間制限するのではなく、医師や管理栄養士に相談することが望ましいでしょう。

5.水分と食物繊維を適切に摂る

便秘が原因でお腹の張りや腹鳴が気になる場合は、水分と食物繊維の摂取を見直しましょう。

食物繊維を含む食品には、野菜、果物、豆類、全粒穀物などがあります。

ただし、食物繊維を急に増やすとガスや膨満感が強くなる場合もあります。少しずつ増やし、自分の体調に合わせて調整してください。

水分摂取についても、年齢や活動量、持病などに合わせた適切な量を意識しましょう。

6.適度な運動と排便習慣を整える

運動不足や排便の我慢は、便秘を悪化させる要因になる場合があります。

日常生活では次のような習慣がおすすめです。

- 食後に軽く歩く
- 長時間座り続けない
- 朝食後など決まった時間にトイレに行く
- 便意を我慢しない
- 睡眠時間を確保する

激しい運動をする必要はありません。まずは無理のない範囲で体を動かすことから始めましょう。

7.ストレスや緊張をため込まない

IBSなどでは、脳と腸の相互作用が症状に関係しています。

仕事や学校で緊張したときに急にお腹が鳴ったり、便意を感じたりする人もいます。

このような場合は、生活リズムを整え、十分な睡眠を確保し、休息を取ることも対策になります。

腹鳴だけでなく腹痛や便通異常が繰り返される場合は、生活習慣の改善だけで済ませず、消化器内科で相談することも検討してください。

【受診目安】お腹がぐるぐる鳴るときは何科に行くべき?

お腹の音が鳴るだけなら、通常は緊急性が高いとは限りません。

しかし、ほかの症状が重なっている場合には、消化器系の病気が隠れている可能性があります。

すぐに医療機関を受診したい症状

次の症状がある場合は、早急な対応が必要です。

- 我慢できないほど強い腹痛
- 腹部が著しく膨らみ、嘔吐を繰り返す
- 腹痛や膨満とともに便やガスが出なくなる
- 血便や黒いタール状の便が出る
- 強い脱水症状や意識の変化がある

特に、強い腹痛、嘔吐、腹部膨満、排ガス停止が重なっている場合は腸閉塞などの可能性があるため、救急外来を含めた速やかな受診が必要です。症状が激しい場合は救急車を利用してください。

早めに消化器内科で相談したい症状

緊急性が高くなくても、次のような症状が続く場合は受診をおすすめします。

- 下痢や便秘を繰り返している
- 腹鳴と腹痛が頻繁に起こる
- お腹の張りが長期間続いている
- 夜間にも下痢や腹痛で目が覚める
- 原因不明の体重減少がある
- 排便習慣が急に変わった
- 食事をすると毎回強い不快感が出る

日本消化器病学会のIBS診療に関する情報でも、血便、発熱、予期しない体重減少などは警告症状として扱われています。

また、便通異常症診療ガイドライン2023では、急激な排便習慣の変化、血便、6か月以内の予期しない3kg以上の体重減少、発熱などが慢性便秘症の警告症状・徴候として挙げられています。

受診するなら何科?

基本的には消化器内科が適しています。

腹鳴だけでなく、便秘、下痢、腹痛、腹部膨満などの症状をまとめて相談できます。

受診時には、次の情報を整理しておくと診察に役立ちます。

- いつからお腹が鳴るようになったか
- 空腹時と食後のどちらに多いか
- どのくらいの頻度で鳴るか
- 腹痛や下痢、便秘があるか
- 食べたものによって症状が変わるか
- 体重の変化や発熱があるか

必要に応じて、血液検査、便検査、腹部画像検査、大腸内視鏡検査などが検討されます。すべての人に同じ検査が必要なわけではなく、症状や診察結果によって判断されます。

【よくある質問】お腹がぐるぐる鳴ることに関するFAQ

Q1:お腹がぐるぐる鳴るのは空腹のサインですか?

A1:空腹が原因の一つである可能性はあります。空腹時には胃や小腸の収縮運動が起こり、ガスや消化液などが移動して音が発生します。ただし、食後や通常の消化活動中にも鳴るため、必ずしも空腹とは限りません。

Q2:お腹がゴロゴロ鳴ると下痢になりますか?

A2:必ずしも下痢になるわけではありません。正常な腸蠕動運動でも音は発生します。ただし、感染性胃腸炎やIBSなどでは、腹鳴と下痢が同時に現れることがあります。腹痛、発熱、血便などを伴う場合は受診を検討してください。

Q3:お腹がぐるぐる鳴るのをすぐに止める方法はありますか?

A3:正常な腸の動きを完全に止める方法はありません。空腹が原因なら適切に食事を摂る、ガスが原因なら早食いや炭酸飲料を控えるなど、原因に合わせた対策が有効です。腹痛や便通異常が続く場合は、音を止めようとするより原因を調べることが大切です。

【プロの結論】お腹の音は大きさよりも一緒に現れる症状で判断する

お腹がぐるぐる鳴る現象は、胃や腸が活動していることを示す自然な反応である場合が多く、空腹時にも食後にも起こります。腸蠕動運動によってガスや消化液、食べ物などが移動することが、音の基本的な仕組みです。

一方、腸内ガスの増加、便秘、下痢、過敏性腸症候群などが関係して、腹鳴が頻繁になったり、不快感を伴ったりすることもあります。

判断するときに大切なのは、音の大きさだけに注目しないことです。空腹時だけに鳴るのか、食後に繰り返すのか、腹痛や便通異常を伴うのかを確認すると、原因を考える手がかりになります。

特に、血便、原因不明の体重減少、発熱、強い腹痛、嘔吐、排ガスの停止などがある場合は、単なる腹鳴として放置してはいけません。

日常的な腹鳴であれば、食事の速度や内容、水分摂取、運動、排便習慣を見直すことから始められます。症状が長引いたり、生活に支障が出たりする場合は、消化器内科で相談しましょう。

お腹の音そのものを怖がる必要はありません。音だけではなく、体が発しているほかのサインにも目を向けることが、適切な健康管理につながります。

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テクノロジー分野を担当。一次情報(公式発表・公式サイト)と発表日を必ず確認し、推測は推測と明記する編集方針に従っています。

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