2026年のオークスは、5月24日(日曜)、東京競馬場の芝2400mで開催された。第87回優駿牝馬には18頭が出走。天候は曇、芝は良馬場だった。
JRA公式のレース結果で確認できる上位3頭は次の通りだ。
- 1着:ジュウリョクピエロ(5番人気・今村聖奈)2分25秒6
- 2着:ドリームコア(3番人気・C.ルメール)2分25秒6、クビ差
- 3着:ラフターラインズ(2番人気・D.レーン)2分25秒6、さらにクビ差
特筆すべきは、上位3頭がすべて同じ2分25秒6でゴールしたこと。ジュウリョクピエロの推定上がりは33秒1で、2着ドリームコアの34秒3、3着ラフターラインズの33秒3を上回った。
勝ち馬は後方で脚を温存し、最後の直線で馬群を割って抜け出した。追い切りで確認できた瞬発力と、実戦での進路取りが見事にかみ合ったレースだった。
JRAの公式回顧でも、残り400mからジュウリョクピエロが馬群の間を突き抜けた場面が勝負の分岐点として紹介されている。
勝ち時計以上に注目したいレースラップJRA発表のハロンタイムは次の通り。
12.8-11.3-12.7-12.8-12.6-12.2-12.3-12.2-11.9-11.6-11.4-11.8
上がりは4F46秒7、3F34秒8だった。
前半から激しく流れる消耗戦ではなく、直線での加速力が勝敗を分ける展開。長距離を走り切るスタミナだけでなく、最後にもう一段階ギアを上げられる能力が問われた。
この展開を踏まえると、追い切り時計の速さだけではなく、折り合い、手前の替え方、加速時のフォームまで確認する必要があったことが分かる。
【JRA公式動画とJRA-VANを照合】最終追い切りの見どころ

オークス2026の調教映像を確認する際、中心となる資料はJRA公式の調教動画とJRA-VANの調教情報だ。
両者は役割が異なる。
JRA公式の調教動画
2026年5月22日17時に公開された公式動画では、出走馬18頭すべての追い切り映像を確認できる。
主な注目馬の動画開始位置は以下の通り。
- ドリームコア:7分01秒
- ジュウリョクピエロ:9分32秒
- ラフターラインズ:10分47秒
映像を見る際は、単純なスピードだけでなく、次のポイントに注目したい。
1. 走り始めから終盤までリズムが崩れていないか。
2. 騎手が手綱を動かしたときに素早く反応できるか。
3. 直線で前脚と後ろ脚を大きく使えているか。
4. 併せ馬で相手を追いかける際に余計な力を使っていないか。
JRA-VANの調教情報
JRA-VANでは美浦・栗東トレセンの坂路とウッドチップコースの調教データを掲載している。
全体時計だけでなく、終いの時計や調教本数、併せ馬での先着・併入・遅れなどを組み合わせて調整過程を確認できる。
特に今回のような東京芝2400mのレースでは、最終追い切りだけで判断するのは早計だ。
1週前にしっかり負荷をかけ、最終追い切りでは余力を残すパターンもある。最終時計が遅くなったからといって、必ずしも調子が落ちたわけではない。
なお、JRA公式の動画と調教時計は別の情報として扱う必要がある。JRAの調教動画ページでは、調教タイム(自動計測を除く)は競馬ブック提供のデータであることも案内されている。
美浦ウッドと栗東坂路、どちらを重視するべきだったか今回の出走馬には、美浦ウッドで長めから追い切った馬もいれば、栗東坂路で終いを伸ばした馬もいた。
美浦ウッドでは、長い距離を走る際のフォームや持続力、直線での伸びを確認しやすい。一方、栗東坂路では、短い距離での反応や脚の回転、終盤の加速などが注目材料になる。
ただし、調教コースだけで優劣を決めるのは危険だ。
同じ11秒1でも、6Fを追った後に馬なりで記録した時計と、短い距離から強く追われて記録した時計では意味が違う。馬場状態やコース取り、併せた相手のレベルも考慮する必要がある。
今回の上位3頭は、美浦ウッドのドリームコアとラフターラインズ、栗東CWのジュウリョクピエロという異なる調整パターンだった。コースの違いを超えて、実戦で末脚を発揮できたことが興味深い。
【全18頭の調教評価一覧】最終追い切り時計とレース結果を比較
ここでは、最終追い切りの時計、レース前に公開された元競馬記者による評価、実際の着順をまとめた。
評価はスポーティングニュース掲載の全頭診断によるS・A・B・C・Dの5段階。JRAの公式評価ではなく、映像や調整過程を踏まえた専門家の事前評価である。
時計は2026年5月20日前後の最終追い切りデータを整理したもの。坂路は主に4F、ウッドは6Fまたは5Fの時計を記載している。
評価はスポーティングニュースの事前診断を基準に整理。時計は各馬の最終追い切りデータ。評価の違いは各媒体の判定基準による。出走馬・着順はJRA公式記録に基づく。
全18頭の評価から見える3つの傾向今回の一覧から、特に注目したい点は3つある。
1. 高評価馬が上位を占めた
S評価のジュウリョクピエロが優勝し、A評価のドリームコアとラフターラインズが2、3着に入った。
上位3頭については、事前の調教評価とレース結果がきれいに一致した形だ。
2. 時計の速さだけでは着順を説明できない
スマートプリエールは栗東坂路で4F51秒8を記録したが、結果は15着だった。
全体時計は非常に優秀でも、2400mで必要となる折り合いや持続力が実戦で発揮できるとは限らない。
3. 評価の低さと馬の能力は同じではない
リアライズルミナスはB評価ながら4着。レイクラシックも6着と健闘した。
調教評価は当日の状態を判断する材料であり、競走能力や距離適性を完全に数値化するものではない。
この点は、追い切り情報を馬券検討に利用する際にも覚えておきたい。
【上位評価馬を結果と照合】ドリームコアとラフターラインズは期待通りだったのか
今回の調教評価で特に目立ったのは、ジュウリョクピエロ、ドリームコア、ラフターラインズの3頭だった。
実際の結果も1~3着。ここでは、それぞれの調整過程とレース内容を掘り下げる。
ジュウリョクピエロ:1週前の動きが勝利につながったジュウリョクピエロは栗東CWを中心に調整された。
1週前の5月13日は、今村聖奈騎手が騎乗してロザーンジュとの併せ馬を実施。6F83秒0-5F66秒7-4F51秒2-3F36秒5-1F11秒1を記録した。
馬なりで追走しながら、相手に2馬身半先着。負荷をかけられた相手を余力十分の手応えで交わした点が評価された。
最終追い切りは5月20日。
- コース:栗東CW
- 6F:84秒5
- 5F:68秒5
- 4F:54秒1
- 3F:38秒8
- 1F:11秒6
- 脚色:馬なり
1週前より時計は遅くなったが、これは単純な状態低下を意味しない。
JRA-VANの調教解説では、最終追い切りで格下馬の内側につけ、最後にあえて抜け出さないように調整した点が紹介されている。併せ馬での遅れを結果だけで判断するのではなく、調整の意図まで考える必要があるケースだった。
一方、スポーティングニュースの元競馬記者による評価では、1週前の動きが最高評価。直線での瞬間的な加速力や、力強いフットワークが高く評価されていた。
異なる媒体の見解を重ねても、1週前の動きが今回の仕上がりを判断する重要な材料だったことが分かる。
そして本番では、後方13番手付近からレースを進め、最後の直線で馬群を割って差し切った。
推定上がり33秒1は出走馬中でも際立つ数字だった。
デビュー時はダートを走り、その後芝へ転向。芝で3連勝してオークス制覇に至ったという経歴も異色だ。
JRAの記録によれば、オークス終了時点で通算6戦4勝。父はオルフェーヴル、管理調教師は寺島良。今村騎手とともに初のGⅠタイトルを獲得した。
ドリームコア:美浦ウッドで抜群の反応を披露ドリームコアの調教で印象的だったのは、最終追い切りの終いの反応だ。
5月13日の1週前追い切りでは、美浦ウッドで6F83秒5-1F11秒1を記録。直線では一杯に追われ、併せた相手に1馬身先着した。
そして5月20日の最終追い切りでは、6F85秒4-5F68秒7-4F53秒0-3F37秒9-1F11秒1。
1週前より全体時計を落としながら、最後の1Fは同じ11秒1を維持した。
特に評価できるのは、最終追い切りが馬なりだったことだ。
強く追わずに同じ終いの時計を出せた点は、余力と反応の良さを示す材料になる。
日刊スポーツの追い切り報道でも、併せた相手に予定以上の先着を果たしたことや、手応えの良さが伝えられていた。
本番では好位4番手付近を追走。直線では早めに抜け出す形で勝利を狙ったが、最後にジュウリョクピエロの末脚に屈した。
それでも2分25秒6で2着。調教の良さを実戦でもしっかり発揮した一頭だった。
ラフターラインズ:フローラSからの好調を維持フローラSを勝って臨んだラフターラインズは、美浦ウッドで調整された。
1週前の5月15日は、7F97秒4-6F81秒1-1F11秒3。武藤騎手を背に僚馬を追走し、1馬身先着している。
最終追い切りは5月20日。D.レーン騎手が騎乗し、フジレイメイとの併せ馬を行った。
- 6F:81秒8
- 5F:66秒2
- 4F:51秒7
- 3F:37秒8
- 1F:11秒4
馬なりで追走し、最後は半馬身先着。
JRA-VANの調教解説でも、帰厩時期は遅めだったものの、牧場での乗り込みと直近2週の追い切り内容から、仕上がりは良好と判断されていた。
注目すべきは、最終追い切りで強く追われずに好時計を記録した点だ。無理に負荷をかけず、レースに向けて状態を整えたことがうかがえる。
レースでは後方寄りの位置から直線で脚を伸ばし、3着を確保。
フローラS勝ち馬としての東京適性を示す内容だった。
3頭の比較から分かったこと今回の上位3頭は、同じように速い時計を出していたわけではない。
ジュウリョクピエロは1週前の鋭い加速、ドリームコアは最終追い切りでの余力ある反応、ラフターラインズは2週連続の安定した走りが強みだった。
つまり、追い切りの評価は単一の時計ではなく、馬ごとの調整パターンを見極めることが重要だった。
【東京芝2400mの距離適性】追い切りで見抜くべきだった本当のポイント
オークスの予想で難しいのは、桜花賞やフローラSで好走した馬が、そのまま2400mでも力を発揮するとは限らないことだ。
東京芝2400mでは、道中で折り合いを保ち、直線まで体力を温存する能力が問われる。
距離延長で重要になる折り合いスターアニスは桜花賞馬として1番人気に支持された。
最終追い切りは栗東坂路で4F56秒0-1F12秒0。時計だけを見ると派手さはないが、2週続けてしなやかな脚さばきを見せており、調教自体は良好だった。
ただし、2400mへの距離延長は大きな課題だった。
実際のレースでは好位から進めたものの、12着に終わっている。
この結果は、短距離・マイルで見せてきたスピード能力と、長距離で求められる持続力や折り合いが別の能力であることを示している。
一方、ジュウリョクピエロは後方で脚を温存できた。最後に瞬発力を発揮する競馬ができたことが勝因の一つになった。
追い切り時計を見るときの判断基準調教時計を評価するときは、以下の順番で確認したい。
- 全体時計: どれだけの距離をどの程度の負荷で走ったか。
- 終い1F: 最後まで脚を使えているか。
- ラップの変化: 加速しているのか、最後に失速しているのか。
- 併せ馬の内容: 相手に先着したかだけでなく、余力があったか。
- 1週前との比較: 負荷をかけた後に最終追い切りで余裕が生まれているか。
今回のドリームコアは、1週前と最終追い切りでともに1F11秒1を記録。最終追い切りで馬なりだったことが好材料となった。
ジュウリョクピエロも1週前に強い動きを見せ、最終追い切りでは意図的に余力を残していた。
こうした調整過程を把握すれば、単純に最速時計の馬を選ぶよりも、実戦につながる評価ができる。
よくある誤解:最終追い切りが遅い馬は不調なのかこれは必ずしも正しくない。
1週前に強い負荷をかけた馬は、最終追い切りで疲労を残さないよう軽めに調整することがある。
逆に、最終追い切りで好時計を出していても、馬が力んでいたり、併せ馬で必要以上に追われていたりする場合は注意が必要だ。
時計の速さだけでなく、馬の状態と調整意図を合わせて考えることが、追い切り情報を活用するうえでの基本になる。
【プロの結論】オークス2026の追い切り評価はどこまで正しかったのか
今回のオークスは、事前評価の上位馬が実際の上位着順を占めた点で、追い切り情報の有効性を示す結果になった。
特にジュウリョクピエロは、1週前の動きが高く評価され、最終追い切りでは余力を残した調整。結果として5番人気からGⅠを制した。
ただし、媒体によって評価基準には違いがある。
興味深いのは、うましるの全頭診断ではジュウリョクピエロがB評価だった一方、スポーティングニュースの元競馬記者による診断ではS評価だったことだ。
同じ馬を見ても、どの動きを重視するかで評価が変わる。時計だけでなく、馬体の使い方や加速の質、調整過程の読み取り方が評価に影響するためだ。
馬券検討に追い切りを取り入れるなら、次の3つを意識したい。
1. 1週前に負荷をかけた馬の最終追い切りは、時計が遅くても内容を確認する。
2. 距離延長の場合は、スピードよりも折り合いと持続力を重視する。
3. 評価の高い馬でも、展開や位置取りによって着順が変わることを理解する。
オークス2026は、調教内容と実戦結果が結びついた部分もあれば、距離適性や展開によって明暗が分かれた部分もあった。
【オークス2026の追い切り】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:オークス2026で最も追い切り評価が高かった馬は?
A1:スポーティングニュースの元競馬記者による全頭診断では、ジュウリョクピエロがS評価だった。特に1週前の栗東CWで6F83秒0-1F11秒1を記録した動きが高く評価され、実際に5番人気で優勝した。
Q2:ジュウリョクピエロの最終追い切り時計は?
A2:2026年5月20日の栗東CWで、6F84秒5-5F68秒5-4F54秒1-3F38秒8-1F11秒6を記録した。馬なりでの調整で、1週前の好時計から負荷を調整した内容だった。
Q3:オークス2026の調教動画はどこで見られる?
A3:JRA公式サイトの2026年オークス特設ページとJRA公式YouTubeチャンネルで確認できる。公式動画は全18頭を収録しており、ジュウリョクピエロは9分32秒付近から登場する。
Q4:ドリームコアとラフターラインズの追い切り評価は?
A4:ドリームコアはスポーティングニュースでA評価、うましるではS評価。ラフターラインズもA評価とB評価に分かれた。実戦ではそれぞれ2着、3着に入り、両馬とも調教での好内容を結果につなげた。
Q5:オークス2026の勝ち時計と上位3頭の着順は?
A5:勝ち時計は2分25秒6。1着ジュウリョクピエロ、2着ドリームコア、3着ラフターラインズで、3頭すべてが同じタイムで入線した。
Q6:最終追い切りの時計が速ければ好走する?
A6:必ずしもそうではない。スマートプリエールは栗東坂路で4F51秒8を記録したが15着だった。距離適性、折り合い、レース展開なども合わせて判断する必要がある。
2026年のオークスは、ジュウリョクピエロが今村聖奈騎手とのコンビで5番人気から優勝した。
追い切り面では、1週前の栗東CWで見せた鋭い加速が印象的だった。最終追い切りでは無理に時計を詰めず、馬なりで状態を整えていた点も見逃せない。
ドリームコアは美浦ウッドで終い11秒1を記録して2着。ラフターラインズも2週連続で好時計を出し、3着に入った。
一方、スターアニスやスマートプリエールのように、追い切りで好内容を見せながら本番で結果を残せなかった馬もいる。
今回の結果から得られる最大の教訓は、追い切り時計の速さだけでなく、1週前から最終追い切りまでの変化と、東京芝2400mへの適性を一緒に評価することだ。
オークス2026は、調教情報を読み解くうえで、時計・映像・調整意図・実戦内容の4つを照合する大切さを示した一戦となった。