『ピアフ』を語るうえで欠かせないのが、劇中で披露されるシャンソンの数々だ。
2026年1月の婦人公論のインタビューでは、大竹が劇中で16曲を一人で歌うことが紹介された。約3時間の舞台で、芝居と歌唱を両立させる構成は、主演俳優に相当な集中力と表現力を求める。
舞台『ピアフ』で注目したい代表曲| 曲名 | 楽曲の意味・作品での見どころ |
|---|---|
| 愛の讃歌 | 愛する人への深い思いを表現する代表曲 |
| バラ色の人生 | ピアフを象徴する世界的な名曲 |
| 水に流して | 過去を振り返らずに生きる決意を表現 |
| ミロール | 戦後の時代背景と人間愛を感じさせる楽曲 |
| 群衆 | 人々の中にある孤独や愛を描く曲 |
| パダン・パダン | 印象的なリズムと感情表現が特徴 |
| 私の神様 | 愛と祈りを感じさせる楽曲 |
特に注目したいのが「愛の讃歌」と「水に流して」だ。
「愛の讃歌」は、マルセル・セルダンを飛行機事故で失った後にピアフが録音したことで知られる楽曲。大竹は2026年のインタビューで、この曲を歌う際には観客に向けるというより、天や神に向かって歌うような感覚があると説明している。
一方、「水に流して」は人生の過去を受け入れ、新たな一歩を踏み出す力を感じさせる曲だ。
2026年1月11日の200回達成記念カーテンコールでも、大竹はこの曲を披露した。作品の節目を飾る選曲としても象徴的だった。
SHINOBU avec PIAFとは何?SHINOBU avec PIAFは、大竹しのぶがエディット・ピアフの楽曲を歌ったアルバムのタイトルだ。
発売元はビクターエンタテインメント。2018年10月10日、ピアフの命日に合わせて発売された。
それまで舞台でしか聴けなかった大竹のピアフ楽曲を、音源として楽しめるようになったことが大きな特徴だ。
収録された11曲は次のとおり。
1. バラ色の人生
2. 私の神様
3. 美しい恋の物語
4. 愛の讃歌
5. 群衆
6. 知らない街
7. パダン・パダン
8. アコーディオン弾き
9. 老兵
10. ミロール
11. 水に流して
ここで混同しやすいのが、舞台とアルバムの違いだ。
- 『ピアフ』:大竹が演技と歌唱でピアフの生涯を表現する舞台作品。
- 『SHINOBU avec PIAF』:ピアフの楽曲を大竹が歌った11曲収録のアルバム。
- 『愛の讃歌』:2017年に発売されたシングル。2016年のNHK紅白歌合戦での歌唱をきっかけに音源化された。
つまり、アルバムは舞台の全編を収録したものではなく、舞台から広がった音楽活動の一つと考えると分かりやすい。
2018年にはCD発売に加え、ソロコンサートを含む「SHINOBU avec PIAF 2018-2019」プロジェクトも展開された。大竹とピアフの音楽的な結びつきが、舞台の外にも広がった時期である。
【大竹しのぶのピアフはなぜ評判?観劇レビューから人気の理由を分析】

『ピアフ』の評判を検証する際には、賞の実績だけでなく、実際に観劇した人がどこに魅力を感じているかが重要になる。
2026年の15周年公演では、舞台専門メディアのエントレが観劇レビューを掲載。作品を初めて観る人の視点から、舞台の構成や大竹の演技について詳しく紹介している。
評価されるポイント1:歌唱と演技が一体になっている最も大きな見どころは、大竹の歌唱と芝居が切り離されていないことだ。
一般的な音楽劇では、歌唱場面が物語の進行を一時的に止めるように感じられる場合もある。
しかし『ピアフ』では、歌が登場人物の感情を表現する重要な手段になっている。
悲しみを言葉で説明する代わりに歌う。愛する人を失った苦しみを声に込める。歌唱そのものが演技の延長になっているのだ。
エントレの2026年レビューでも、大竹の歌を通じてピアフの人生を追体験するような感覚が印象的だったと評価されている。
評価されるポイント2:年齢を重ねることで役の深みが変わる2011年の初演と2026年の公演では、大竹自身の年齢も人生経験も異なる。
同じ脚本、同じ役であっても、演じる俳優の経験が変われば、人物への理解や感情の表現も変化する。
2025年12月のぴあのインタビューでは、大竹自身が、再演を重ねるほど芝居は難しくなると語っている。
過去の公演をそのまま再現するのではなく、毎回新しく作り直す姿勢が、長期にわたる再演を可能にしている。
評価されるポイント3:脇役にも物語を支える力があるピアフの人生は、彼女一人だけでは成立しない。
トワーヌ、マルセル・セルダン、イヴ・モンタン、ルイ・ルプレなど、人生の節目で出会う人物たちが重要な役割を担う。
特に梅沢昌代が演じるトワーヌは、ピアフの人間的な側面を見せるうえで重要な存在だ。
初演から参加している梅沢と彩輝なおが、2026年公演でも大竹と共演したことは、作品の連続性を考えるうえで大きな意味を持つ。
2026年の観劇レビューに見る注意点もちろん、すべての観客にとって分かりやすい作品というわけではない。
エントレの2026年1月13日のレビューでは、次々と場面が切り替わり、登場人物も多いため、初見では時代背景や人物関係に戸惑うことがあると指摘された。
また、ピアフの人生には、貧困、依存症、戦争、恋人との死別など、重いテーマが含まれる。
美しい衣裳や華やかな歌だけを期待すると、作品の生々しい人間描写に驚く可能性がある。
ただし、同レビューは、そうした厳しい人生の描写があるからこそ、歌が単なる音楽ではなく、人生そのものを伝える表現になっていると評価している。
15年間支持されてきた理由を4つに整理| 支持される要因 | 内容 |
|---|---|
| 主演の表現力 | 大竹しのぶの歌唱と演技の融合 |
| 演出の継続性 | 栗山民也が初演から一貫して担当 |
| キャストの蓄積 | 梅沢昌代、彩輝なおらの継続出演 |
| 普遍的なテーマ | 愛、喪失、孤独、人生への執着 |
この4つが相互に作用することで、単に有名な歌を聴く舞台ではなく、人物の人生を体験する作品になっている。
どんな人におすすめできる?特におすすめできる人
- エディット・ピアフの人生や音楽に興味がある人
- 大竹しのぶの演技と歌唱を劇場で体験したい人
- 伝記劇や実在人物を題材にした舞台が好きな人
- 恋愛や人間の弱さを描く重厚な作品が好きな人
- 「愛の讃歌」「バラ色の人生」などのシャンソンに親しみがある人
好みが分かれる可能性がある人
- 明るく軽快なミュージカルを期待している人
- 複雑な人物関係や時代の移り変わりが苦手な人
- 病気や依存症、死別などの重い描写を避けたい人
作品を選ぶ際は、単純な音楽ショーなのか、人生を描く演劇なのかを理解しておくと、観劇後の満足度にもつながる。
【大竹しのぶのピアフに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:大竹しのぶの舞台『ピアフ』は何年に初演されましたか?
A1:2011年10月13日、東京・シアタークリエで初演されました。演出は栗山民也、作はパム・ジェムスです。2026年には6度目の上演となり、上演15周年と通算200回を達成しました。
Q2:大竹しのぶは『ピアフ』でどのような賞を受賞しましたか?
A2:初演翌年の2012年に、読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞しました。また、栗山民也も同年に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞しています。
Q3:2026年の『ピアフ』はいつ、どこで上演されましたか?
A3:東京公演は1月10日から31日までシアタークリエ、愛知公演は2月6日から8日まで御園座、大阪公演は2月21日から23日まで森ノ宮ピロティホールで開催されました。2026年11月現在、これらの公演日程は終了しています。
Q4:舞台『ピアフ』では何曲歌われますか?
A4:2026年のインタビューでは、大竹しのぶが劇中で16曲を歌うと紹介されています。「愛の讃歌」「バラ色の人生」「水に流して」「ミロール」などが代表的な楽曲です。
Q5:SHINOBU avec PIAFは舞台『ピアフ』のサウンドトラックですか?
A5:舞台の全編を収録したサウンドトラックではありません。2018年10月10日に発売された、大竹しのぶによるピアフ楽曲11曲を収録したアルバムです。
Q6:大竹しのぶの『ピアフ』は何回再演されていますか?
A6:2011年の初演を含めて、2026年までに6度上演されています。2026年1月11日の昼公演で通算200回を達成しました。
大竹しのぶと舞台『ピアフ』の関係は、2011年の初演から2026年の15周年記念公演まで、一貫して進化を続けてきた。
今回の歩みから見えてくる要点は3つある。
第一に、大竹しのぶにとってピアフは代表的な当たり役であること。
2012年の読売演劇大賞最優秀女優賞受賞は、その演技が高く評価された証拠だ。歌唱だけでなく、ピアフの47年間の人生を身体全体で表現する力が作品の核になっている。
第二に、200回達成は一人の俳優だけでは実現できない成果であること。
栗山民也の演出、梅沢昌代や彩輝なおらの継続出演、世代の異なる俳優たちとの共演、そして観客の支持が積み重なった結果だ。
第三に、ピアフの歌は時代を越えて人間の感情に届くこと。
「愛の讃歌」や「水に流して」は、単なる懐かしいシャンソンではない。愛すること、失うこと、それでも生きることを歌った楽曲だ。
2026年1月11日の上演200回達成は、15年間の歩みを象徴する出来事となった。
大竹しのぶがピアフを演じ続ける理由は、過去の成功を繰り返すためではない。演じるたびに新しいピアフに出会い、作品を更新し続けるためだろう。
『ピアフ』は、シャンソンの名曲を楽しむ舞台であると同時に、一人の女性が愛し、傷つき、それでも歌い続けた人生を見つめる演劇作品である。
15周年と200回という節目を迎えた今、大竹しのぶの代表作として、この舞台が日本の演劇史に残してきた足跡は小さくない。今後の再演や新たな展開にも注目したい。