2026年現在、ラグビーのニュージーランド代表、通称「オールブラックス」の2023年ワールドカップ(W杯)メンバーを振り返ると、注目すべき要点は当初発表された33人の顔ぶれだけではありません。大会直前の負傷によるエモニ・ナラワの離脱、イーサン・ブラックアダーの追加招集、そして主将サム・ケインを中心としたチーム編成の変更も、大会を理解するうえで欠かせない出来事です。
2023年8月7日に発表された登録メンバーは、FW18人、BK15人の計33人。イアン・フォスターHC(ヘッドコーチ)のもと、アーディー・サヴェア、ボーデン・バレット、サム・ホワイトロック、アーロン・スミスら実績豊富な選手と、初めてW杯に挑む若手が融合したチームでした。その後、エモニ・ナラワに代わってイーサン・ブラックアダーが登録され、最終的な顔ぶれにも変化が生じています。
【2023年大会の登録メンバー】オールブラックス33人の発表内容

ニュージーランドラグビー協会(NZ Rugby)の公式発表によると、2023年8月7日、フランス大会に臨むオールブラックスの登録メンバー33人が公表されました。
選考を担当したのは、ヘッドコーチのイアン・フォスター、FW担当のジェイソン・ライアン、そしてジョー・シュミットです。発表はニュージーランドのネーピアで行われ、当時の元代表主将リッチー・マコウがメンバーを紹介しました。
チームの中心を担ったのは、主将サム・ケインをはじめ、アーディー・サヴェア、サム・ホワイトロック、ブロディー・レタリック、ボーデン・バレットらの経験豊富な選手たちです。
当初の33人はFW18人、BK15人最初に発表された登録メンバーは、フォワード18人、バックス15人という配分でした。
フォワードには、スクラムやラインアウト、接点での攻防を支える選手を配置。バックスには、ゲームを組み立てるハーフ団、攻撃の起点となるセンター、決定力を担うウイングやフルバックがそろいました。
特筆すべきは、17人がラグビーワールドカップ初出場だったことです。経験豊富な主力選手を残しながら、次世代の選手にも大舞台を経験させる構成になっていました。
経験値を象徴したサム・ホワイトロックロックのサム・ホワイトロックは、2023年大会が自身4度目のワールドカップでした。2000年代後半から代表の前線を支えてきた選手であり、スクラム、ラインアウト、フィジカル面でチームに大きな安定感をもたらす存在です。
また、アーロン・スミス、ボーデン・バレット、ブロディー・レタリック、コーディー・テイラー、デーン・コールズ、サム・ケインの6人は、3度目のW杯出場となりました。
経験者と初出場組を組み合わせた選考は、優勝を狙う戦力と将来を見据えた世代構成の両方を意識したものだったと読み取れます。
【ポジション別メンバー一覧】FW・BKの全33人を紹介
ここでは、2023年大会の最終的な登録内容をポジション別に整理します。エモニ・ナラワの離脱後、イーサン・ブラックアダーが加わった状態の33人です。
フォワード(FW):19人FWは、スクラムを組むフロントロー、ラインアウトを支えるセカンドロー、運動量と突破力を求められるバックローで構成されています。
フッカー(HO):3人
- デーン・コールズ(Dane Coles)
- サミソニ・タウケイアホ(Samisoni Taukei'aho)
- コーディー・テイラー(Codie Taylor)
フッカーはスクラムの中央で組むとともに、ラインアウトのスローイングも担当します。コールズとテイラーは国際経験が豊富で、タウケイアホも含めて異なる持ち味を持つ3人が選ばれました。
プロップ(PR):6人
- イーサン・デグルート(Ethan de Groot)
- タイレル・ロマックス(Tyrel Lomax)
- ネポ・ラウララ(Nepo Laulala)
- フレッチャー・ニューウェル(Fletcher Newell)
- オファ・トゥウンガファシ(Ofa Tu'ungafasi)
- タイマイティ・ウィリアムズ(Tamaiti Williams)
プロップはスクラムの左右を固めるポジションです。体格とパワーに加え、試合を通じて安定したセットプレーを維持する能力が大切です。
経験のあるネポ・ラウララやオファ・トゥウンガファシに加え、若いタイマイティ・ウィリアムズらが入ったことも、このポジションの特徴です。
ロック(LO):4人
- スコット・バレット(Scott Barrett)
- ブロディー・レタリック(Brodie Retallick)
- トゥポウ・ヴァアイ(Tupou Vaa'i)
- サム・ホワイトロック(Samuel Whitelock)
ロックはスクラムの第2列を担い、ラインアウトでは空中戦の中心となります。
ホワイトロックとレタリックという経験豊富な選手に、スコット・バレットやトゥポウ・ヴァアイが加わった構成です。高さと強さ、運動量を兼ね備えた4人がそろいました。
バックロー(FL・No.8):6人
- イーサン・ブラックアダー(Ethan Blackadder)
- サム・ケイン(Sam Cane/主将)
- シャノン・フリゼル(Shannon Frizell)
- ルーク・ジェイコブソン(Luke Jacobson)
- ダルトン・パパリイ(Dalton Papali'i)
- アーディー・サヴェア(Ardie Savea)
バックローは、ボールへの働きかけ、タックル、ボールキャリーなど、多方面で活躍するポジションです。
特にアーディー・サヴェアは、力強い突破と広い守備範囲を持つ中心選手。サム・ケインは主将としてチームをまとめ、ブラックアダーは大会中の負傷者対応によって加わりました。
バックス(BK):14人バックスは、攻撃を組み立てる選手から、相手ディフェンスを突破する選手まで、異なる役割を持つ選手で構成されています。
スクラムハーフ(SH):3人
- フィンレイ・クリスティー(Finlay Christie)
- カム・ロイガード(Cam Roigard)
- アーロン・スミス(Aaron Smith)
スクラムハーフは、スクラムやラックからボールを取り出し、攻撃のテンポを作るポジションです。
アーロン・スミスは代表屈指の経験を持つ選手で、正確なパスとゲームコントロールが持ち味。若いロイガードやクリスティーも控え、選手層を形成していました。
フライハーフ(SO):3人
- ボーデン・バレット(Beauden Barrett)
- ダミアン・マッケンジー(Damian McKenzie)
- リッチー・モウンガ(Richie Mo'unga)
フライハーフは、キック、パス、ランを使って攻撃の方向を決める司令塔です。
ボーデン・バレットはスピードと判断力、リッチー・モウンガはゲームメイクとキック、ダミアン・マッケンジーは創造性のある攻撃が特徴です。実力者が3人そろったポジションでした。
センター(CTB):4人
- ジョーディー・バレット(Jordie Barrett)
- デイヴィッド・ハヴィリ(David Havili)
- リーコ・イオアネ(Rieko Ioane)
- アントン・リーナートブラウン(Anton Lienert-Brown)
センターは、相手ディフェンスの中央を攻めると同時に、守備でも強いコンタクトが求められるポジションです。
リーコ・イオアネの突破力、ジョーディー・バレットのフィジカルとキック、リーナートブラウンの連係力など、それぞれ異なる特徴を持つ選手が選ばれています。
アウトサイドバックス(WTB・FB):4人
- ケイレブ・クラーク(Caleb Clarke)
- レスター・ファインガアヌク(Leicester Fainga'anuku)
- ウィル・ジョーダン(Will Jordan)
- マーク・テレア(Mark Tele'a)
アウトサイドバックスは、サイドからの突破やトライを狙う役割を担います。
ウィル・ジョーダンは高い決定力を持つ選手で、ケイレブ・クラークはパワフルなランが魅力。マーク・テレアも相手のタックルをかわす能力に優れています。
なお、最初の33人発表時にはエモニ・ナラワもアウトサイドバックスに選ばれていましたが、負傷離脱によって最終登録から外れています。
【登録メンバーの変更点】エモニ・ナラワ離脱とブラックアダー追加招集の経緯
2023年大会のメンバーを調べる際に、特に注意したいのがエモニ・ナラワとイーサン・ブラックアダーの関係です。
当初の33人には、チーフス所属のウイング、エモニ・ナラワが選ばれていました。しかし、フランスでの大会準備中に背中を再び負傷。検査の結果、椎間板の問題が判明し、残りの大会に出場できなくなりました。
この変更を受け、イアン・フォスターHCは2023年9月10日、クルセイダーズ所属のフランカー、イーサン・ブラックアダーを代替選手として招集しました。
なぜウイングの代わりにフランカーだったのか通常、ウイングが負傷離脱した場合、同じアウトサイドバックスの選手を補充する方法が考えられます。しかし、ニュージーランドは今回、異なるポジションの選手を選びました。
背景にあったのが、主将サム・ケイン自身の背中の負傷です。
ケインは9月8日のフランス戦を前に負傷し、開幕戦への出場を見送っていました。フォスターHCはバックローの選手層を厚くする必要があると判断し、フランカーのブラックアダーを追加招集したのです。
つまり、単純にウイングの人数を補うのではなく、大会期間中のバックローの負傷リスクに備える選択でした。
変更前と変更後の関係を整理| 人物・項目 | ポジション・役割 | 2023年大会での経緯 |
|---|---|---|
| イアン・フォスター | ヘッドコーチ | 選手選考と大会中の登録変更を担当 |
| サム・ケイン | フランカー・主将 | 背中の負傷でフランスとの開幕戦を欠場 |
| アーディー・サヴェア | ナンバー8 | ケイン不在の開幕戦で主将を務めた |
| エモニ・ナラワ | ウイング | 背中の負傷で9月10日に大会離脱が決定 |
| イーサン・ブラックアダー | フランカー | ナラワの代替選手として9月10日に追加招集 |
| サム・ホワイトロック | ロック | 自身4度目のワールドカップに出場 |
この変更で重要なのは、ブラックアダーが単純に34人目として追加されたわけではない点です。ナラワと入れ替わる形で登録され、最終的な大会登録人数は33人のままでした。
また、当初はFW18人・BK15人だった配分も、変更後はFW19人・BK14人となりました。ポジションの異なる選手を入れ替えたことが、最終的な登録構成にも表れています。
【ラグビーW杯2023フランス大会の試合結果】ニュージーランドは決勝で惜敗
2023年9月8日に開幕したフランス大会で、ニュージーランドはプールAに入りました。同組には開催国フランス、イタリア、ウルグアイ、ナミビアがいました。
大会序盤は開催国フランスに敗れる波乱がありましたが、その後は攻撃力を発揮。準々決勝、準決勝を勝ち抜き、最終的に決勝まで進出しました。
プールAの試合結果- 2023年9月8日:フランス 27-13 ニュージーランド(敗戦)
- 2023年9月15日:ニュージーランド 71-3 ナミビア(勝利)
- 2023年9月29日:ニュージーランド 96-17 イタリア(勝利)
- 2023年10月5日:ニュージーランド 73-0 ウルグアイ(勝利)
開幕戦のフランス戦では、ニュージーランドが13対27で敗れました。これはオールブラックスにとって、ラグビーワールドカップのプール戦で初めて喫した敗戦としても歴史的な出来事でした。
しかし、その後の3試合では攻撃力が復活。特にイタリア戦では96得点を記録し、強力な攻撃陣の存在感を示しました。
決勝トーナメントの試合結果- 準々決勝・10月14日:ニュージーランド 28-24 アイルランド
- 準決勝・10月20日:ニュージーランド 44-6 アルゼンチン
- 決勝・10月28日:ニュージーランド 11-12 南アフリカ
準々決勝のアイルランド戦は、優勝候補同士による激しい攻防となりました。ニュージーランドは28対24で競り勝ち、準決勝ではアルゼンチンを44対6で下して決勝進出を決めています。
南アフリカとの決勝は1点差の敗戦2023年10月28日、パリのスタッド・ド・フランスで行われた決勝の相手は南アフリカ代表、スプリングボクスでした。
試合は南アフリカが12対11で勝利。ニュージーランドはわずか1点差で敗れ、4度目のワールドカップ優勝を逃しました。
試合を大きく左右した出来事の一つが、主将サム・ケインの退場です。ケインは相手選手へのハイタックルによってレッドカードを受け、ニュージーランドは長時間にわたり14人で戦うことになりました。
それでもチームは最後まで反撃を続け、ボーデン・バレットが後半にトライを記録。試合終盤には逆転の可能性も残されましたが、最後まで南アフリカの守備を崩し切ることはできませんでした。
この結果、ニュージーランドは準優勝。南アフリカは通算4度目の優勝を達成しました。
【オールブラックスの歴代W杯成績】2023年メンバーが担った歴史的な役割
ニュージーランド代表は、ラグビーワールドカップの歴史において最も成功したチームの一つです。2023年大会以前には、1987年、2011年、2015年の3度優勝しています。
歴代ワールドカップの主な成績- 1987年:初代優勝。決勝でフランスを29対9で破る。
- 1991年:3位。
- 1995年:準優勝。南アフリカに決勝で敗れる。
- 1999年:4位。
- 2003年:3位。
- 2007年:準々決勝敗退。
- 2011年:優勝。開催国としてフランスを8対7で破る。
- 2015年:優勝。決勝でオーストラリアを34対17で下す。
- 2019年:3位。準決勝でイングランドに敗れ、3位決定戦でウェールズに勝利。
- 2023年:準優勝。南アフリカとの決勝に11対12で敗れる。
1987年の初代大会で優勝したニュージーランドは、2011年に自国開催で再び頂点に立ちました。さらに2015年には連覇を達成し、ワールドカップ史上初めて大会連覇を実現したチームとなっています。
2019年大会では3連覇を狙いましたが、準決勝でイングランドに敗れて3位。2023年は再び決勝まで進出したものの、南アフリカに1点差で敗れました。
2023年メンバーの特徴は経験と若手の融合2023年の登録メンバーには、サム・ホワイトロックのように4大会を経験した選手がいる一方、初めてワールドカップの舞台に立つ17人もいました。
これは、単にベテラン中心で勝利を狙う編成ではありません。大会での勝利を目指しながら、国際大会の経験を次の世代へ引き継ぐという意味も持っていました。
アーディー・サヴェアやボーデン・バレットのような攻撃の中心選手に加え、若手のカム・ロイガードやタイマイティ・ウィリアムズらが選ばれた点も見逃せません。
また、ナラワの負傷離脱を受けてブラックアダーを補充した判断からは、ワールドカップの長期日程において、特定ポジションの人数だけでなく、チーム全体の負傷リスクをどう管理するかが重要だったことも分かります。
2023年大会を評価する際の判断基準2023年のオールブラックスを評価するなら、決勝で優勝を逃したという結果だけで判断するのは十分ではありません。
大会序盤のフランス戦で敗れた後、ナミビア、イタリア、ウルグアイに勝利し、アイルランドとの接戦を制して準決勝に進出。さらにアルゼンチンを破り、最終戦まで優勝争いを続けました。
一方で、決勝では主将の退場によって数的不利を強いられました。こうした試合状況も含めて振り返ることで、チームの強みと課題をより立体的に理解できます。
【ラグビーニュージーランド代表メンバー2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ニュージーランド代表の2023年W杯メンバーは何人ですか?
A1:当初発表された登録メンバーは33人です。内訳はFW18人、BK15人でした。その後、エモニ・ナラワが離脱し、イーサン・ブラックアダーが代替選手として登録されたため、最終的な人数も33人です。
Q2:2023年のオールブラックスの主将は誰ですか?
A2:主将はサム・ケインです。ただし、フランスとの開幕戦は背中の負傷によって欠場し、アーディー・サヴェアがゲームキャプテンを務めました。
Q3:エモニ・ナラワの代わりに招集された選手は誰ですか?
A3:イーサン・ブラックアダーです。2023年9月10日に発表された変更で、負傷離脱したウイングのナラワに代わり、フランカーのブラックアダーが登録されました。
Q4:2023年のニュージーランド代表は優勝しましたか?
A4:優勝はしていません。決勝で南アフリカに11対12で敗れ、準優勝となりました。南アフリカはこの大会で4度目の優勝を達成しています。
Q5:オールブラックスは過去に何回ワールドカップで優勝していますか?
A5:2023年大会終了時点で3回です。1987年、2011年、2015年に優勝しています。2023年は決勝進出を果たしましたが、南アフリカに敗れました。
ラグビーニュージーランド代表の2023年W杯メンバーは、サム・ケインを主将に据えた33人でスタートしました。アーディー・サヴェア、ボーデン・バレット、サム・ホワイトロック、アーロン・スミスら経験豊富な選手と、17人のW杯初出場選手が組み合わさったチームでした。
大会中には、背中を負傷したエモニ・ナラワが離脱し、イーサン・ブラックアダーが追加招集されるという変更が発生しました。ウイングからフランカーへの入れ替えは、サム・ケインの負傷も考慮したバックローの選手層確保という意味を持っていました。
その後のチームは、フランス大会で準々決勝、準決勝を勝ち抜いて決勝へ進出。しかし、南アフリカとの決勝では11対12という僅差で敗れ、4度目の優勝には届きませんでした。
2026年に2023年大会を振り返る際には、最初に発表された33人と、負傷交代後の最終登録メンバーを区別することが大切です。特にナラワとブラックアダーの変更を押さえておけば、当時のオールブラックスの選手構成と大会の流れを正確に理解できます。
3度の世界王者としての伝統を持ちながら、新しい世代への移行も進めていた2023年のオールブラックス。その33人は、ニュージーランド代表の歴史において、優勝には届かなかったものの、決勝まで戦い抜いた重要なチームとして記録されています。
主な参照資料: New Zealand Rugby公式の2023年登録メンバー発表、World Rugbyの登録変更発表、All Blacks公式の負傷者・追加招集情報、BBC Sportの大会結果、World Rugbyの歴代大会記録。