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【2026年上期決算】楽天モバイルの赤字縮小と収益改善はどこまで進んだ?

黒田 宗一郎 黒田 宗一郎 • 更新: • 公開: • 読了約 13 分
目次

2026年の三木谷経営を評価するうえで、最も注目されるのが楽天モバイルの収益改善だ。

楽天モバイルは2019年に携帯キャリア事業へ参入した。既存の大手通信会社と競争するため、基地局整備、通信ネットワーク構築、顧客獲得に多額の投資を続けてきた。一方、利用者を増やすだけでは設備投資や運営コストを吸収できず、長期間にわたってグループの収益を圧迫してきた。

2026年8月10日に発表された第2四半期決算では、回線数の増加と営業損失の縮小が確認された。ただし、赤字解消と黒字化は別の段階にある。

2026年上期の楽天グループ決算を数字で確認

2026年1月から6月までの中間連結決算では、売上収益が前年同期比12.9%増の1兆3,090億5,200万円となった。IFRS営業利益も504億4,000万円の黒字に転換している。

一方、親会社の所有者に帰属する中間損失は109億4,100万円だった。営業利益の黒字化と、親会社株主に帰属する最終利益の黒字化は同じではない。

特に混同しやすいのが、8月発表で強調された「6年ぶりの黒字化」という表現だ。これは第2四半期単独の親会社帰属利益が77億円の黒字になったことを指す。1~6月の累計では、まだ親会社帰属損失が残っている。


2026年上期・第2四半期の主要業績



上期売上収益(1~6月)

1兆3,090億円

楽天三木谷

前年同期比 +12.9%


上期IFRS営業利益

504.4億円


前年同期の赤字から黒字転換


上期親会社帰属損益

▲109.4億円


前年同期から赤字幅縮小


第2四半期単独の親会社帰属利益

77億円


6年ぶりの四半期黒字

出典:楽天グループ2026年度第2四半期決算短信・決算ハイライト。上期累計と4~6月の四半期単独実績は対象期間が異なる。

また、上期のNon-GAAP営業利益は783億3,400万円、EBITDAは2,240億5,700万円だった。IFRS営業利益とは計算方法が異なるため、投資家が決算を読む際には指標の違いにも注意したい。

楽天モバイルの赤字はどこまで縮小した?

楽天モバイル単体に近い事業指標を見ると、改善の方向性はより明確になる。

2026年度第2四半期の楽天モバイルの売上収益は1,013億円で、前年同期比11.9%増。Non-GAAP営業損失は323億円となり、前年同期から67億円改善した。EBITDAは59億円のプラスを確保している。

ただし、EBITDAがプラスになったことは、営業損失が解消したことを意味しない。減価償却費などを加算する前後で指標の性質が異なるためだ。


楽天モバイルの2026年度第2四半期実績


売上収益
1,013億円


前年同期比売上成長率
+11.9%


Non-GAAP営業損失
▲323億円


営業損失の前年同期比改善額
67億円


EBITDA
59億円


2026年6月末の全契約回線数
1,075万回線


正味ARPU
2,516円

出典:楽天グループ2026年8月10日公表の決算ハイライト。

全契約回線数は2026年6月末に1,075万回線となり、前年同期から178万回線増加した。この数字にはMNOだけでなく、MVNE、MVNO、BCPなどの回線も含まれる。

注目すべきは、顧客獲得の量だけでなく、顧客の質を改善する動きだ。楽天グループは短期解約を目的とした流入を抑え、継続利用する顧客を中心とした純増構造を目指している。正味ARPUも前年同期から42円上昇して2,516円となった。

ARPUとは、1契約当たりの平均収益を示す指標だ。回線数が増えても、低価格利用者ばかりでは十分な収益につながらない。オプションサービスなどを含めて顧客一人当たりの収益を高めることが、黒字化に向けた重要な条件になる。

今後の黒字化を左右する3つの課題

楽天モバイルの収益改善を継続させるには、次の3点が重要になる。

1.通信品質と基地局整備の両立

通信品質を改善するには基地局整備やネットワーク投資が欠かせない。しかし、投資を増やせば短期的な費用負担も大きくなる。楽天グループは2026年度のネットワーク関連設備投資計画を2,000億円としており、収益改善と通信品質向上を同時に進める必要がある。

2.顧客の継続利用とARPUの向上

新規契約数だけを追うのではなく、長期利用する顧客を増やし、オプションなどの付加価値サービスを育てることが求められる。楽天経済圏との連携も、この点で重要な役割を果たす。

3.設備投資を回収できる事業規模の確立

通信事業はネットワークを構築する初期投資が大きい。一定の顧客規模を確保し、利用者一人当たりの収益が設備・運営コストを上回る構造を作れるかが、最終的な勝負になる。

2026年11月4日時点では、グループの最新の連結決算は8月10日に発表された第2四半期決算だ。第3四半期決算は11月13日に発表予定となっている。したがって、同日以降の実績を2026年上期の確定数字として扱うことはできない。

【楽天銀行を中心に再編】2026年10月にフィンテック事業が新体制へ

2026年の楽天経営でもう一つ大きな転換点となったのが、楽天銀行を中心とするフィンテック事業の再編だ。

楽天グループと楽天銀行は2026年5月20日に再編の最終合意を発表。計画通り、同年10月1日に再編が発効し、楽天カードと楽天証券ホールディングスが楽天銀行の連結子会社となった。

これは単なる社名変更や業務提携ではない。銀行、カード、証券という金融事業のグループ構造を組み替え、楽天銀行を軸に意思決定や顧客サービスの連携を強化する大規模な再編である。

再編前後で何が変わったのか



再編前の構造

楽天グループ




楽天銀行



楽天カード



楽天証券HD


各金融事業がグループ傘下で連携





2026年10月1日発効
再編後の構造

楽天グループ






楽天銀行
株式交付の親会社




楽天カード
連結子会社



楽天証券HD
連結子会社



再編後も楽天グループ全体の親会社としての立場がなくなるわけではない。楽天銀行が株式交付の親会社となり、楽天カードと楽天証券ホールディングスを傘下に置く構造へ変更されたということだ。

なぜ楽天銀行を中心にしたのか

再編の背景には、金融サービスの競争激化がある。銀行は預金を獲得し、カードは決済を取り込み、証券は資産運用の顧客を獲得する。それぞれが強い顧客基盤を持っているものの、個別に運営するだけでは相互送客やデータ活用に限界が生じる。

楽天グループが公表した再編の目的には、主に次の項目が含まれている。

  • マーケティングの統合:銀行・カード・証券の顧客基盤を活用し、相互送客を促進する。
  • データ連携とAI活用:金融サービス間の情報活用を強化し、顧客体験を向上させる。
  • 資金調達コストの最適化:銀行の預金基盤を生かし、金融事業全体の資金効率を改善する。
  • 意思決定の迅速化:金融事業を横断した経営判断を進めやすくする。

楽天銀行を軸に据える理由の一つは、安定した預金基盤だ。銀行の預金は金融事業を支える資金調達基盤となるため、カードや証券との連携を深めることで、グループ内の金融取引を効率化できる可能性がある。

楽天銀行・カード・証券の顧客基盤はどれほど大きい?

2026年6月末時点の楽天グループの金融サービスは、すでに大規模な顧客基盤を持っている。

- 楽天銀行: 口座数1,846万口座、預金残高13.3兆円。
- 楽天カード: 第2四半期のショッピング取扱高7.1兆円。
- 楽天証券: 総合口座数1,439万口座、NISA口座数792万口座。7月にはNISA口座数800万口座を達成。

これらの数字は、再編が単なる組織上の変更ではなく、すでに大きな利用者基盤を持つ金融サービスを一体的に運営する試みであることを示している。

一方、再編には会計上の影響もある。2026年10月1日の発表では、楽天カードが保有していた楽天ペイメント株式などの譲渡益に関連して、楽天グループの2026年12月期第3四半期連結決算で約230億円の法人所得税費用を計上する見込みが示された。これは金融事業の通常の営業損失とは区別して考えるべき会計上の影響だ。

【楽天三木谷に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:三木谷浩史は2026年現在も楽天グループの社長ですか?
A1:はい。2026年4月1日現在の公式役員情報では、代表取締役会長兼社長・最高執行役員を務めています。楽天モバイルの代表取締役会長も兼任しています。

Q2:三木谷浩史の出身大学はハーバード大学ですか?
A2:学部は一橋大学です。1988年に一橋大学を卒業し、1993年にハーバード大学経営大学院でMBAを取得しています。

Q3:三木谷浩史は日本興業銀行出身ですか?
A3:はい。1988年4月に日本興業銀行へ入行しています。同銀行は現在のみずほ銀行につながる金融機関です。

Q4:楽天モバイルは2026年に黒字化しましたか?
A4:2026年度第2四半期時点では、Non-GAAP営業損失が323億円残っています。ただし、前年同期比で67億円改善し、EBITDAは59億円のプラスとなりました。収益改善は進んでいますが、営業黒字化を達成したわけではありません。

Q5:楽天グループの2026年上期決算は黒字ですか?
A5:上期のIFRS営業利益は504億4,000万円の黒字です。ただし、親会社の所有者に帰属する中間損失は109億4,100万円でした。第2四半期単独では親会社帰属利益77億円の黒字を達成しています。

Q6:楽天銀行と楽天カード、楽天証券はどうなりましたか?
A6:2026年10月1日付でフィンテック事業再編が発効し、楽天カードと楽天証券ホールディングスが楽天銀行の連結子会社になりました。銀行を中心に金融サービス間の連携を強化する体制です。

Q7:三木谷浩史は新経済連盟でも活動していますか?
A7:はい。三木谷氏は一般社団法人新経済連盟の代表理事を務めています。企業経営だけでなく、デジタル産業や経済政策に関する活動にも関わっています。

2026年11月現在、三木谷浩史氏は楽天グループの代表取締役会長兼社長・最高執行役員として経営の中心に立っている。一橋大学から日本興業銀行、ハーバード大学経営大学院を経て楽天を創業した経歴は、同氏の事業構想力と経営者としての歩みを理解するうえで重要だ。

2026年の楽天グループには、明確な前進と残された課題が同時に存在する。

前進を示すのは、第2四半期単独での6年ぶりの親会社帰属利益黒字化、楽天モバイルの営業損失縮小、金融事業の再編完了だ。一方、上期累計では親会社帰属損失が残り、楽天モバイルも営業赤字から脱却していない。

今後、三木谷氏の経営を評価する際には、次の3つの視点が欠かせない。

  • 通信事業:楽天モバイルが営業黒字化を実現し、設備投資を回収できるか。
  • 金融事業:楽天銀行を中心とした再編によって、顧客基盤と利益率をどこまで伸ばせるか。
  • グループ全体:楽天経済圏の相乗効果を、継続的な利益とキャッシュフローに変えられるか。

特に注目したいのは、2026年11月13日予定の第3四半期決算だ。上期に見られた収益改善が継続しているか、10月に発効したフィンテック再編の影響がどう表れるかが焦点になる。

楽天市場を生み出した創業者が、次の成長段階として通信と金融の融合に挑んでいる。三木谷浩史氏の経営者としての真価は、これまでの事業拡大の実績だけでなく、大型投資を持続可能な利益へ転換できるかによって、今後さらに評価されることになる。

記事基準日:2026年11月4日。決算数値は楽天グループの2026年度第2四半期公表資料を基準としています。

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コンテンツディレクター 黒田 宗一郎
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