2026年現在、一万円札の肖像として広く流通している渋沢栄一。新しい一万円札は、2024年7月3日に発行が始まり、表面には日本の近代経済を築いた実業家・渋沢栄一、裏面には東京駅の丸の内駅舎が描かれています。約40年ぶりに一万円札の肖像が交代したことに加え、世界初となる紙幣用の3Dホログラムなど、高度な偽造防止技術が採用された点も大きな特徴です。
では、なぜ渋沢栄一が選ばれたのでしょうか。新紙幣はどこを見れば本物と判断できるのか、福沢諭吉の旧一万円札は現在も使えるのか。日本銀行、財務省、国立印刷局の公的資料をもとに、2026年11月時点の発行状況から歴代一万円札との違い、製造技術まで詳しく解説します。
【2026年最新】渋沢栄一の新一万円札はいつ発行された?発行日と現在の状況

渋沢栄一が肖像となった新一万円札の発行開始日は、2024年7月3日(水曜日)です。
日本銀行は2023年12月12日に、新しい一万円券・五千円券・千円券の発行期日を2024年7月3日と正式発表しました。
その後、2024年7月3日午前8時から新紙幣の発行が始まりました。日本銀行総裁の植田和男氏も、発行開始日に合わせて新しい銀行券の特徴を説明しています。
2026年現在も新一万円札は現行紙幣2026年11月時点でも、渋沢栄一の一万円札は有効な日本銀行券です。
日本銀行の現行銀行券一覧では、2024年発行の渋沢栄一の一万円券に加え、2004年発行の福沢諭吉の一万円券も掲載されています。
つまり、新紙幣が登場したからといって、旧紙幣が一斉に使えなくなったわけではありません。新旧の一万円札は、どちらも額面どおりに使用できます。
新紙幣の基本スペック- 発行開始日:2024年7月3日
- 額面:10,000円
- 肖像:渋沢栄一
- 裏面:東京駅(丸の内駅舎)
- 寸法:縦76mm×横160mm
- 様式:F一万円券
- 記番号:黒色
新紙幣の発行開始後、日本銀行から金融機関に順次支払われ、準備が整った金融機関の窓口やATMなどで入手できるようになりました。発行初日に全国のATMですべての新紙幣が一斉に切り替わったわけではありません。
【肖像に選ばれた理由】渋沢栄一はなぜ一万円札の顔になった?
渋沢栄一が一万円札の肖像に選ばれた最大の背景には、日本の近代経済の基盤づくりに大きく貢献した実績があります。
渋沢栄一は1840年に現在の埼玉県深谷市で生まれ、江戸幕府や明治政府に関わった後、実業界に転じました。
日本銀行券F券の特設サイトを公開している国立印刷局によると、渋沢は第一国立銀行、東京商法会議所、東京証券取引所などの設立・経営に携わり、生涯で約500社の企業に関わったとされています。
加えて、教育機関や社会公共事業、研究機関など約600の組織の設立・支援にも尽力しました。
財務省が示す肖像選定の3つの基準渋沢栄一が選ばれた理由を理解するには、財務省が公表している紙幣の肖像選定基準を押さえておく必要があります。
財務省によると、近年の紙幣改刷では、次の観点が重視されています。
1. 精密な写真を入手できること: 偽造防止の観点から、肖像を正確に再現できること。
2. 品格のある肖像であること: 紙幣の肖像彫刻にふさわしい人物であること。
3. 広く知られた人物であること: 国民各層に認知され、その業績が広く認められていること。
また、財務省は渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎について、それぞれ産業の育成、女性活躍、科学の発展という分野で日本の近代化をリードした人物と説明しています。
渋沢の場合、単に多くの会社をつくった実業家というだけではありません。
「論語と算盤」に象徴される道徳と経済の両立という考え方を持ち、企業活動と社会貢献を結び付けようとした人物でもあります。
新一万円札の肖像には、こうした経済活動と公共性の両面にわたる功績が反映されています。
新一万円札の肖像は何歳ごろの渋沢栄一?実は、紙幣に描かれた渋沢栄一の肖像は、実際の写真をそのまま使用したものではありません。
国立印刷局によると、肖像制作では70歳の古希祝いの際に撮影された写真など、複数の写真を参考にしています。
加えて、実業界で活躍する躍動感や若々しさを表現するため、肖像の年代設定は60歳代前半に調整されています。
この点は、写真を忠実に再現するだけではなく、紙幣としての品格や視覚的な印象まで考慮して肖像が制作されていることを示しています。
裏面が東京駅の丸の内駅舎になった理由新一万円札の裏面には、東京駅の丸の内駅舎が描かれています。
この建物は、建築家・辰野金吾が設計し、1914年に竣工した歴史的建造物です。
財務省によると、丸の内駅舎は「赤レンガ駅舎」として親しまれ、2003年には国の重要文化財に指定されました。
新しい紙幣の裏面には、新しい時代に引き継ぐべき日本の歴史や伝統、文化を表す図柄を採用する考え方があります。
東京駅は明治・大正期を代表する建築物の一つであり、日本の近代化を象徴する存在です。近代産業の発展に貢献した渋沢栄一との組み合わせにも、歴史的な一貫性があります。
【歴代一万円札を比較】聖徳太子・福沢諭吉から渋沢栄一へ
渋沢栄一の一万円札を理解するには、過去の一万円札との比較も欠かせません。
戦後の一万円札では、聖徳太子から福沢諭吉へ、そして渋沢栄一へと肖像が変わってきました。
歴代一万円札の肖像と発行時期出典:日本銀行「一万円券」、国立印刷局「お札の基本情報」「お札に関するよくあるご質問」。
福沢諭吉から渋沢栄一への交代は何年ぶり?福沢諭吉が一万円札の肖像に採用されたのは1984年11月1日です。
2004年11月1日にはE券へ改刷されましたが、肖像は引き続き福沢諭吉でした。
そのため、肖像人物そのものが交代したのは、1984年から2024年までの約40年ぶりです。
今回の変更は単なるデザイン刷新ではなく、一万円札が象徴する人物像の変化としても注目できます。
福沢諭吉が教育や思想の分野を代表する人物だったのに対し、渋沢栄一は産業・企業・金融の発展を象徴する人物です。
一万円札の肖像交代には、日本の近代化を支えた多様な功績を紙幣に反映する意味もあります。
日本銀行券F券とは?渋沢栄一の一万円札は、正式には「日本銀行券F券」と呼ばれます。
国立印刷局では、発行順を表すために紙幣をA券からF券までの記号で区別しています。
2024年7月3日発行の紙幣は、戦後6番目の発行に当たるためF券と呼ばれています。
F券には、次の3種類があります。
- F一万円券:渋沢栄一
- F五千円券:津田梅子
- F千円券:北里柴三郎
いずれも2024年7月3日に発行が始まりました。
【本物の見分け方】3Dホログラム・透かし・触感をチェック
渋沢栄一の新一万円札で特に注目されているのが、偽造防止技術です。
日本銀行と国立印刷局は、従来の紙幣よりも偽造を難しくするため、複数の技術を組み合わせています。
なかでも特徴的なのが、紙幣への搭載として世界初となった3Dホログラムです。
3Dホログラムの仕組みは?傾けると肖像が回転する新一万円札には、ストライプ型の3Dホログラムが採用されています。
この技術の特徴は、紙幣を傾けることで肖像が立体的に見え、回転するように変化することです。
また、肖像以外の図柄も見る角度によって変化します。
従来のホログラムは光沢や色の変化を利用するものが中心でしたが、新紙幣では立体的な肖像の動きまで表現できるようになりました。
この3Dホログラムは、紙幣に搭載された技術として世界初です。
新一万円札の偽造防止技術一覧| 技術 | 特徴 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 3Dホログラム | 肖像が立体的に見えて回転する | 紙幣を左右に傾ける |
| 高精細すき入れ | 肖像と背景の精密な模様 | 明るい光に透かす |
| すき入れバー | 一万円札には縦棒が3本 | 光に透かす |
| 深凹版印刷 | インキが盛り上がっている | 指で触れる |
| 潜像模様 | 表面に10000、裏面にNIPPON | 紙幣を傾ける |
| パールインキ | 両端にピンク色の光沢 | 紙幣を傾ける |
| マイクロ文字 | 微小なNIPPONGINKOの文字 | ルーペで確認 |
| 特殊発光インキ | 印章や模様の一部が発光 | 紫外線を当てる |
自宅でも比較的簡単に確認できるのが、透かしです。
新一万円札には、従来からある渋沢栄一の肖像の透かしに加え、背景部分に高精細なひし形模様のすき入れが施されています。
加えて、券種ごとに本数が異なる「すき入れバーパターン」も特徴です。
- 一万円札:縦棒3本
- 五千円札:縦棒2本
- 千円札:縦棒1本
紙幣を明るい光にかざし、肖像と背景の模様を確認することで、偽造防止技術の特徴を確認できます。
触って確認できる深凹版印刷新一万円札では、額面数字や識別マークに深凹版印刷が使用されています。
これは、インキを高く盛り上げて印刷する技術です。
表面の額面数字や識別マークに触れると、ざらざらとした感触があります。
また、視覚に頼らず紙幣を区別できるよう、識別マークは11本の斜線に統一されています。
一万円札の場合、この識別マークは表面の左右中央に配置されています。
本物か不安な場合の注意点偽造防止技術を確認するときは、ホログラムだけで判断せず、透かしや触感など複数の特徴を確認することが大切です。
見た目に不自然な点がある場合は、紙幣を使用せず、警察または日本銀行に相談してください。
日本銀行も、不審な紙幣を発見した場合は速やかに知らせるよう案内しています。
【国立印刷局の製造技術】新一万円札はどのように作られている?
新一万円札の安全性を支えているのは、3Dホログラムだけではありません。
国立印刷局では、紙幣の用紙やインキの製造から、原図・原版の作製、印刷、仕上げまでを一貫して行っています。
一般的な印刷物とは異なり、紙そのものの製造段階から偽造防止を考慮している点が特徴です。
1.特殊な紙を製造する日本のお札には、みつまたやアバカ(マニラ麻)などを原料とした特殊な用紙が使用されています。
これらの原料によって、独特の手触りと風合い、長期間の流通に耐える丈夫さを実現しています。
また、紙をすく段階で厚さを調整することにより、精巧な白黒すかしを形成します。
この技術は、印刷後に模様を載せるだけでは実現できない、紙そのものに組み込まれた偽造防止技術です。
2.原版と特殊インキを準備する紙幣の肖像や細かな模様を再現するため、国立印刷局の工芸官が原図や印刷原版の制作を担当します。
彫刻部門では、金属板に専用の彫刻刀で細かな点や線を刻み、凹版印刷の原版を作製します。
加えて、細かな幾何学模様である彩紋模様なども設計されます。
こうした細密な線や図柄は、一般的なプリンターやスキャナーで正確に再現することが難しく、偽造への対抗力を高めています。
3.印刷・ホログラム貼付・検査を行う国立印刷局が公開する製造工程によると、印刷工程では、オフセット印刷と凹版印刷を連続して行う専用の印刷機が使用されています。
その後、ホログラムの貼付、記番号の印刷、断裁、検査、仕上げという工程を経て、日本銀行へ納入されます。
完成した紙幣は1枚ずつ機械で検査され、品質や枚数が確認されます。
このように、渋沢栄一の新一万円札は、紙・印刷・光学技術・検査の各工程を組み合わせて製造されています。
単にデザインを新しくしたのではなく、紙幣の耐久性、偽造抵抗力、利用者の識別しやすさを総合的に改善したものです。
【福沢諭吉の旧一万円札】2026年現在も使える?交換は必要?
渋沢栄一の新一万円札が登場してから、福沢諭吉の旧一万円札が使えるのか心配する人もいます。
結論は明確です。
福沢諭吉の一万円札は、2026年現在も有効な紙幣です。
新紙幣への切り替えによって、旧一万円札の通用力が失われたわけではありません。
日本銀行が認めている旧紙幣の通用力日本銀行によると、一度発行された銀行券は、法令に基づく特別な措置が取られない限り、通用力を失いません。
実際、日本銀行の現行銀行券一覧には、2004年11月1日に発行された福沢諭吉の一万円札も掲載されています。
したがって、2024年以前から持っている福沢諭吉の一万円札を、無理に新紙幣へ交換する必要はありません。
旧一万円札と新一万円札の違い| 比較項目 | 福沢諭吉の一万円札 | 渋沢栄一の一万円札 |
|---|---|---|
| 様式 | E券 | F券 |
| 発行開始日 | 2004年11月1日 | 2024年7月3日 |
| 表面の肖像 | 福沢諭吉 | 渋沢栄一 |
| 裏面 | 平等院の鳳凰像 | 東京駅の丸の内駅舎 |
| 寸法 | 76×160mm | 76×160mm |
| ホログラム | パッチ型ではなく旧方式のホログラム | ストライプ型3Dホログラム |
| 通用力 | 有効 | 有効 |
福沢諭吉の旧一万円札を持っている場合、基本的にはそのまま買い物や支払いに使用できます。
ただし、古い紙幣の中には、発行が停止されているものや、現行の紙幣とはデザイン・偽造防止技術が異なるものもあります。
日本銀行は、現在有効な紙幣と、発行停止後も有効な紙幣を区別して案内しています。
なお、流通に不便な古い紙幣については、日本銀行の本支店で現在発行されている紙幣と引き換えられる場合があります。
【渋沢栄一のお札に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:渋沢栄一の一万円札はいつから発行されていますか?
2024年7月3日から発行されています。日本銀行が同日午前8時に発行を開始し、その後、金融機関を通じて順次流通しました。
Q2:新一万円札の裏面に描かれている建物は何ですか?
東京駅の丸の内駅舎です。1914年に竣工した歴史的建造物で、2003年に国の重要文化財に指定されています。
Q3:新一万円札の3Dホログラムはどうすれば確認できますか?
紙幣を左右に傾けてください。肖像が立体的に見え、回転するように変化します。肖像以外の図柄も見る角度によって変わります。
Q4:福沢諭吉の旧一万円札は2026年も使えますか?
使えます。2004年発行の福沢諭吉の一万円札も現在有効です。新紙幣への交換は必要ありません。
Q5:渋沢栄一の新一万円札は何券と呼ばれていますか?
F券です。2024年7月3日に発行された新しい一万円札・五千円札・千円札は、日本銀行券F券に分類されます。
Q6:新一万円札の透かしにはどのような特徴がありますか?
渋沢栄一の肖像に加えて、背景に高精細な模様が施されています。また、一万円札には縦棒3本のすき入れバーパターンがあります。
渋沢栄一の新一万円札は、2024年7月3日に発行が始まり、2026年現在も日本の現行銀行券として流通しています。
肖像に選ばれた背景には、約500社の企業設立などに関わり、日本の産業・金融・経済の発展に貢献した実績があります。
裏面の東京駅丸の内駅舎も、明治・大正期の日本の近代化を象徴する歴史的建造物です。
加えて、今回の新紙幣では、世界初の紙幣用3Dホログラム、高精細すき入れ、深凹版印刷など、複数の偽造防止技術が採用されました。
【プロの結論】
渋沢栄一の新一万円札を理解するうえで押さえておきたい要点は、次の3つです。
1. 肖像の意味を知る: 渋沢栄一は、企業経営だけでなく教育や社会事業にも貢献した近代日本の経済人です。
2. 本物を見分ける: 3Dホログラムだけでなく、透かし、触感、潜像模様など複数の特徴を確認することが大切です。
3. 旧札を正しく扱う: 福沢諭吉の一万円札も有効なので、交換を急ぐ必要はありません。
紙幣は毎日の生活で使う身近な存在ですが、そのデザインには日本の歴史や技術が凝縮されています。渋沢栄一の新一万円札は、近代日本の経済発展の歴史と、現在の高度な紙幣製造技術を同時に伝える存在です。