警察署の制服を着て敬礼し、パトカーに乗って街頭に登場する芸能人。ニュースやイベントで見かける「一日警察署長」は、華やかな広報イベントとして知られている。しかし、実際には何をする役職なのか、本物の警察署長と同じ権限があるのか、出演料はいくらなのかまで知っている人は少ない。
2026年は、俳優の舘ひろしが5月30日に調布警察署の一日警察署長として登場したほか、9月にはボーカル&手話パフォーマーのHANDSIGNが大磯警察署の一日署長を務めた。さらに秋には、マツコ・デラックスや庄司智春らも地域安全活動に参加している。警視庁への取材で明らかになったのは、一日警察署長の役割が大きく「交通安全」と「地域安全」の2つに分かれているという事実だ。
【基本知識】一日警察署長は何をする?警視庁が示す2つの役割

一日警察署長とは、警察署が実施する交通安全運動や地域安全キャンペーンなどで、著名人や地域にゆかりのある人物に広報活動への協力を依頼する取り組みである。
一般的には、警察署長から委嘱を受け、一定時間にわたって警察の広報イベントに参加する。制服や制帽を着用し、委嘱式、パレード、トークショー、街頭啓発などに登場するのが代表的な活動だ。
2026年11月1日付のオリコンニュースによる警視庁への取材では、一日警察署長の役割は大きく2種類に分けられると説明されている。これは単にイベントの内容が違うというだけでなく、警察が地域社会に伝えたい安全対策の違いを反映したものだ。
1. 交通安全を呼びかける活動一つ目は、交通事故を防ぐための啓発活動である。
春と秋の全国交通安全運動などに合わせて実施されることが多く、歩行者、自転車利用者、自動車運転者に交通ルールの遵守を呼びかける。
具体的な活動には、次のようなものがある。
- 自転車乗車時のヘルメット着用の呼びかけ
- 夜間の反射材着用の推進
- 横断歩道での安全確認や歩行者保護の啓発
- 交通安全パレードへの参加
- パトカーや白バイの出発式への出席
- 地域住民や子どもたちへの交通安全教室
2026年9月13日には、タレントのウエンツ瑛士が警視庁神田警察署の一日警察署長として交通安全宣言を行った。警視庁の公式イベント情報でも、交通安全を目的とした活動として紹介されている。
また、同年3月13日には俳優の加藤諒が青梅警察署の一日署長を務め、地域住民との交通安全トークショーを通じて交通事故防止を呼びかけた。
2. 地域安全・特殊詐欺防止を呼びかける活動もう一つが、犯罪を未然に防ぐための地域安全活動だ。
特に重視されるテーマが特殊詐欺の被害防止である。警察官を装った電話や、架空料金請求、還付金詐欺など、住民が日常生活で遭遇する可能性のある犯罪について注意を促す。
近年は特殊詐欺だけでなく、闇バイトを通じた犯罪への加担防止なども啓発テーマになっている。
活動内容は次のとおり。
- 特殊詐欺の手口や対策を紹介するトークショー
- 防犯パレードや街頭での声かけ
- 防犯グッズや啓発チラシの配布
- 高齢者や地域住民への注意喚起
- 闇バイトや不審な勧誘に関する啓発
2026年10月7日には、マツコ・デラックスが警視庁渋谷警察署の一日警察署長として地域安全キャンペーンに参加した。防犯トークショーなどを通じて、特殊詐欺への警戒を呼びかけている。
つまり、一日警察署長は警察の仕事を体験するための職業体験ではない。警察だけでは届きにくい層に、著名人の知名度や発信力を利用して安全情報を届ける広報活動なのである。
【2026年最新】舘ひろし・HANDSIGNらの一日警察署長就任事例
2026年は、俳優、タレント、音楽パフォーマーなど、異なる分野の人物が一日警察署長に起用されている。
注目したいのは、同じ一日警察署長でも、起用された人物と地域、キャンペーンの目的によって活動内容が大きく異なる点だ。
2026年の主な就任事例一覧| 時期 | 人物・グループ | 警察署・地域 | 主な活動内容 |
|---|---|---|---|
| 2月24日 | 大村崑 | 大阪府住之江警察署 | アクティブシニア文化祭、交通安全・特殊詐欺防止教室 |
| 3月13日 | 加藤諒 | 警視庁青梅警察署 | 交通安全トークショー、交通事故防止の啓発 |
| 5月30日 | 舘ひろし | 警視庁調布警察署 | 特殊詐欺防止、警察官採用試験の受験促進 |
| 9月13日 | ウエンツ瑛士 | 警視庁神田警察署 | 交通安全宣言 |
| 9月29日 | HANDSIGN | 神奈川県大磯警察署 | パトカーによる街頭巡視、駅前での交通安全啓発 |
| 10月7日 | マツコ・デラックス | 警視庁渋谷警察署 | 地域安全キャンペーン、防犯トークショー |
| 10月17日 | 庄司智春 | 警視庁蒲田警察署 | 防犯広報パレード、特殊詐欺・闇バイト対策 |
上記は2026年の公表事例から選んだ代表例であり、全国の就任者を網羅した一覧ではない。各都道府県警や警察署がそれぞれイベント情報を発信している。
舘ひろしが2026年5月30日に調布警察署の一日署長に就任2026年の注目事例の一つが、俳優の舘ひろしによる調布警察署の一日署長就任だ。
東京都調布市は、2026年5月22日発表の公式プレスリリースで、5月30日に開催する「えきひろグランドオープニングDAY」のプログラムとして、一日警察署長任命式とトークイベントを実施すると発表した。
舘ひろしは、1976年に映画『暴力教室』で俳優デビュー。その後、石原プロモーションに所属し、ドラマ『西部警察』や『あぶない刑事』シリーズで人気を確立した。
今回の起用で注目されたのは、調布市との深いつながりである。かつて石原プロモーションの事務所が調布市にあったことから、同市は舘にとってゆかりのある土地だった。
当日は警視庁のマスコットキャラクター・ピーポくんとともにオープンカーで登場するプログラムも予定され、特殊詐欺への注意喚起や警察官採用試験の受験促進についてトークを行う内容だった。
単に知名度のある俳優を起用しただけではなく、地域との関係性と、警察広報のテーマを結びつけた事例といえる。
なお、舘ひろしは映画『あぶない刑事』シリーズなどで刑事役を演じてきた人物だが、俳優としての役柄と一日警察署長としての立場は別物である。今回の活動も、捜査や取り締まりではなく、防犯を呼びかける広報活動だった。
HANDSIGNが大磯警察署の一日署長に就任2026年9月29日には、ボーカル&手話パフォーマーの2人組グループHANDSIGNが神奈川県の大磯警察署で一日署長を務めた。
二宮町が9月18日に発表した公式資料によると、HANDSIGNは二宮町の観光親善大使でもあり、秋の全国交通安全運動に合わせて起用された。
当日の予定は、午後2時30分に大磯警察署で委嘱式を実施。その後、午後3時25分に大磯駅前、午後4時に二宮駅前で啓発活動を行うというものだった。
具体的には、パトカーによる街頭巡視、駅利用者への交通安全の呼びかけ、啓発物品の配布が実施内容に盛り込まれていた。
HANDSIGNの特徴は、音楽と手話を組み合わせたパフォーマンス活動にある。視覚的にも伝わる表現を取り入れていることから、幅広い人々にメッセージを届ける広報活動との親和性がある。
この事例は、一日警察署長が全国的な知名度を持つ大物芸能人だけに限定されないことも示している。地域の観光親善大使や、その土地に関係する活動を続けている人物も重要な起用対象となる。
2026年10月にはマツコ・デラックスや庄司智春も参加2026年10月の警視庁管内では、地域安全を目的とした一日警察署長の活動も目立った。
10月7日の渋谷警察署のイベントにはマツコ・デラックスが参加。防犯トークショーなどを通じて、地域住民に特殊詐欺への注意を呼びかけた。
10月17日には蒲田警察署が、蒲田出身のお笑い芸人・庄司智春を一日警察署長に起用。防犯広報パレードと、特殊詐欺被害防止や闇バイトについてのトークショーを実施した。
この2件は、警察署が地域とのつながりを生かして防犯情報を発信する好例だ。とりわけ庄司智春の場合は、蒲田出身という地域的な縁が公式発表でも紹介されている。
【任命・委嘱の仕組み】一日警察署長は誰が選ぶ?選ばれる理由を解説
一日警察署長になるための国家資格や警察学校での訓練は必要ない。警察署などが広報活動への協力者として人物を選び、依頼する仕組みである。
委嘱を行うのは警察署や関係機関一般的には、警察署の担当部署がイベントの企画を進め、候補者を選定して依頼する。
元警察官で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、2024年のピンズバNEWSの取材で、警務課から依頼が届くケースや、署長・副署長から直接連絡が来るケースがあると説明している。
また、候補者の紹介を受けたり、関係者から推薦を受けたりすることもあるという。
正式なイベントでは、委嘱式が行われ、委嘱状やたすきが手渡される。2026年10月の渋谷警察署のイベントでも、実際に署長からマツコ・デラックスへ委嘱状とたすきが渡されたことが報じられている。
選ばれる人物に共通する3つの特徴全国一律の公表された選考基準があるわけではないが、過去の警察取材や元警察官への取材からは、次のような傾向が見えてくる。
第一に、地域とのつながりがあること。
管轄地域に住んでいる人物、出身者、地域にゆかりのある芸能人などは候補になりやすい。舘ひろしの調布市での起用や、庄司智春の蒲田での起用は、この特徴に当てはまる。
第二に、知名度と発信力があること。
一日警察署長の最大の目的は、警察が伝えたい情報を多くの人に届けることだ。テレビ出演が多いタレントや人気俳優、スポーツ選手などは、ニュースやSNSを通じてキャンペーンの認知を広げやすい。
第三に、啓発テーマとの相性がよいこと。
交通安全ならスポーツ選手や地域に親しまれている人物、防犯活動なら幅広い世代に知られるタレントなど、イベントの目的に合う人選が考えられる。
ただし、これらは過去の取材から見える傾向であり、全国共通の公式採用条件ではない。
芸能人以外も一日警察署長になれる一日警察署長は芸能人だけの役職ではない。スポーツ選手、地元の学生、子どもたち、ご当地キャラクターなどが起用されることもある。
実際、FNNプライムオンラインの警察取材では、地域の子どもやご当地ヒーローなども一日署長を務めている事例が紹介された。
重要なのは芸能活動の実績ではなく、地域住民に安全のメッセージを伝えられるかどうかである。
【報酬・ギャラ・費用】一日警察署長はいくらもらえる?
一日警察署長について、読者が特に気になるのが報酬だろう。テレビで見る著名人が警察署長の制服を着てイベントに参加するため、通常の芸能人出演料が支払われているように感じるかもしれない。
しかし、実際の報酬事情は一般的なテレビ番組や企業イベントとは異なる。
全国一律の報酬・ギャラ制度はない一日警察署長に、全国共通の出演料や給与が定められているわけではない。
FNNプライムオンラインが2022年に報じた警察取材では、著名人の中には無償で協力する人もおり、謝礼が出る場合でも、お車代などの少額にとどまるケースがあると紹介された。
2024年のピンズバNEWSでは、元神奈川県警警察官の小川泰平氏が、報酬についてさらに具体的な説明をしている。
同氏によると、通常の意味でのギャラはなく、お車代として1万円程度が支払われる場合や、警察官友の会、交通安全協会などの関係団体から寄付という形で金銭が渡される場合があるという。後者については多くても3万円程度との説明だった。
ただし、これは取材に基づく一例であり、すべての警察署や芸能人に適用される料金表ではない。個別の契約やイベントによって異なる。
なぜ芸能人は低い謝礼でも協力するのか理由の一つは、社会貢献としての意味合いだ。
交通事故や特殊詐欺は、誰にとっても身近な問題である。知名度を持つ人物が警察の活動に協力することで、普段は防犯情報に関心を持たない人にもメッセージが届く可能性がある。
もう一つは、芸能人側にも社会的なメリットがあることだ。
地域活動への参加は、社会貢献への姿勢を示す機会になる。また、出身地やゆかりのある土地でのイベントなら、地域への恩返しという意味も持つ。
もちろん、すべての出演者が同じ考えで参加しているわけではない。出演の経緯や契約条件は個別に異なる。
イベント開催費用と本人のギャラは別問題ここで注意したいのが、一日警察署長本人に支払われる謝礼と、イベント全体の開催費用は別だという点だ。
会場の設営、音響、警備、交通整理、啓発チラシや防犯グッズの制作などには、それぞれ費用が発生する可能性がある。
また、イベントによっては警察署だけでなく、交通安全協会、防犯協会、自治体などが共同で主催する。
2026年のHANDSIGNによる大磯警察署の活動でも、大磯町・二宮町交通安全対策協議会と大磯警察署が主催者として公表されていた。
したがって、出演者が無償で協力したとしても、イベント全体が完全無料で運営されているとは限らない。反対に、イベントの開催費用から芸能人の高額なギャラが支払われていると決めつけることもできない。
【権限と本物の署長との違い】逮捕や捜査はできる?
一日警察署長について、もう一つ大きな誤解がある。それは、警察署長という肩書きを与えられることで、実際の警察官と同じ権限を持つのではないかという疑問だ。
答えは明確である。一日警察署長は、警察官として採用されたわけでも、正式な警察署長に任命されたわけでもない。
本物の警察署長は警察組織の責任者警察法第53条では、警察署に署長を置くこと、署長が警察本部長などの指揮監督を受けて管轄区域内の警察事務を処理し、所属する警察職員を指揮監督することが定められている。
つまり、正式な警察署長は警察組織の中で責任を負う立場にある。
事件や事故への対応、警察署の運営、職員の指揮監督など、幅広い責任を担う。
一日警察署長には警察官としての権限がない一方、一日警察署長は広報活動のために委嘱された協力者である。
そのため、次のような警察官・正式な署長の権限は持たない。
- 容疑者を警察官として逮捕すること
- 犯罪捜査を指揮すること
- 警察官に職務命令を出すこと
- 交通違反の取り締まりを行うこと
- 警察署の正式な業務上の決定を行うこと
イベント中に警察官の制服や制帽を着用したり、階級章を模した装飾を身に着けたりする場合があっても、それによって警察官としての身分や権限が生じるわけではない。
本物の署長が解任されることもなく、通常の警察署の業務はそのまま続く。
FNNプライムオンラインの解説でも、一日署長は交通安全運動に協力する広告塔であり、容疑者を逮捕することはできないと説明されている。
見た目は警察署長でも、実態は広報協力者。この違いを理解しておくと、一日警察署長のニュースを正しく読み取れる。
【歴代芸能人と評判】なぜ有名人が起用される?活動の実態を検証
一日警察署長は、特定の俳優やタレントだけが繰り返し務めるものではない。各地域のイベントや警察署の方針によって、さまざまなジャンルの著名人が起用されてきた。
過去に一日警察署長を務めた主な芸能人報道や各警察の公式イベント記録などで確認できる代表的な人物には、次のような名前がある。
- 舘ひろし:2026年に調布警察署の一日警察署長を担当。
- 松平健:警察署の広報イベントで一日警察署長を経験。
- 広瀬アリス:過去の警視庁関連イベントで一日署長を担当。
- 本田紗来:警察署の広報活動に参加。
- 田村真子:交通安全運動などの広報活動で一日署長を経験。
- 黒谷友香:過去の一日警察署長の事例として報道されている。
- 中村静香:過去の一日警察署長の事例として報道されている。
- 橋本環奈:福岡県内で一日警察署長を務めた実績がある。
- はるな愛:2025年に高輪警察署の一日署長を担当。
- 大原優乃:2025年に三田警察署の一日署長を担当。
また、大阪府警の公式サイトでは、天王寺警察署の一日警察署長の事例として、タージン、水森かおり、山下幸輝、ミルクボーイ、松平健、梅沢富美男、玉鷲らの名前が掲載されている。
このように、俳優、芸人、歌手、スポーツ選手など、起用される人物のジャンルは幅広い。
一日警察署長の評判は?芸能人の人気と実際の効果一日警察署長が注目される理由の一つは、制服姿そのものがニュースや写真記事として取り上げられやすいことだ。
普段はドラマやバラエティー番組で活躍する芸能人が警察官の制服を着用する姿には、視覚的なインパクトがある。特に、刑事役の経験がある俳優や、幅広い世代に知られているタレントは、イベントの話題性を高めやすい。
ただし、知名度が高いことと、防犯活動が成功することは同じではない。
評価する際には、イベントに何人集まったかだけでなく、参加者がどのような情報を持ち帰ったのか、啓発内容が地域の課題に合っていたのかという視点も必要になる。
2025年の調査から見える一日署長への期待ソニー損害保険が2025年7月に実施した全国カーライフ実態調査では、一日警察署長を務めてほしい有名人についてもアンケートが行われた。
調査対象は、月に1回以上自動車を運転する18歳から59歳までの男女1,000人。
男性芸能人では阿部寛が24人で1位、木村拓哉が23人で2位。女性芸能人では天海祐希が27人で1位、綾瀬はるかが19人で2位となった。
アスリート部門では、大谷翔平が男性1位で124人、吉田沙保里が女性1位で34人の支持を集めている。
この結果は実際に一日署長を務めた人物への評価ではなく、交通安全の啓発役として誰を起用してほしいかという希望を尋ねたものだ。
それでも、著名人の知名度や好感度が交通安全キャンペーンの広報に期待されていることは読み取れる。
イベントの形だけで終わらせないことが課題一日警察署長には、華やかなイベントになる一方で、制服姿の写真撮影やパレードだけで終わってしまうのではないかという見方もある。
確かに、芸能人が登場したという話題だけが広がり、交通安全や防犯の具体的な知識が伝わらなければ、啓発活動としての効果は限定的になる。
その意味で、2026年の活動には参考になる事例がある。
舘ひろしの調布市での活動では、特殊詐欺防止だけでなく警察官採用試験への受験促進もテーマに盛り込まれた。庄司智春の蒲田での活動では、特殊詐欺だけでなく闇バイトも取り上げられている。
このように、その時期や地域で必要とされる課題を具体的に扱うことが、一日警察署長という広報活動の価値を高める。
【プロの結論】一日警察署長の本当の価値は警察と住民をつなぐ広報力
一日警察署長を理解するうえで、最も大切なのは「署長」という肩書きではなく、なぜその人物がその地域のイベントに参加しているのかを考えることだ。
警察には、犯罪を捜査し、事故を防ぎ、地域の安全を守る役割がある。しかし、警察官が情報を発信するだけでは、すべての住民に必要な情報を届けることは難しい。
そこで、著名人や地域の人気者が加わることで、普段は警察の広報に関心を持たない人にも情報が届く可能性が生まれる。
この仕組みには、次の3つの価値がある。
1つ目は、情報の到達範囲を広げること。
テレビやSNSで知られる人物が参加すれば、イベントに参加していない人にもニュースを通じて防犯情報が届く。
2つ目は、地域との距離を縮めること。
地元出身の芸能人や地域の観光大使が参加すれば、住民にとって身近な活動として受け止められやすい。
3つ目は、安全情報を記憶に残すこと。
人気タレントのトークショーやパフォーマンスを通じて、交通ルールや特殊詐欺対策を印象づけることができる。
ただし、イベントの成功を判断するなら、著名人の人気だけで評価してはいけない。何を呼びかけたのか、対象となる住民に情報が届いたのか、実際の防犯行動につながる内容だったのかを確認する必要がある。
一日警察署長は警察官の代わりになる存在ではない。警察の活動を社会に伝えるための協力者であり、その役割はあくまで広報と啓発にある。
【一日警察署長】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:一日警察署長になるには資格や試験が必要ですか?
A1:特別な国家資格や警察官採用試験は必要ありません。警察署などが広報イベントへの協力者として候補者を選び、本人や所属事務所などに依頼するのが一般的です。芸能人だけでなく、スポーツ選手や地元の学生、地域の著名人などが選ばれることもあります。
Q2:一日警察署長のギャラはいくらですか?
A2:全国共通の報酬制度はありません。無償で協力するケースや、交通費・お車代程度の謝礼が支払われるケースなどがあります。元警察官への取材では1万円程度のお車代や、関係団体からの少額の寄付について説明された事例もありますが、すべての出演者に当てはまる金額ではありません。
Q3:一日警察署長は逮捕や交通取り締まりができますか?
A3:できません。一日警察署長は警察官ではなく、警察官としての逮捕権や捜査権、警察官への指揮監督権を持ちません。正式な警察署長もそのまま職務を続けており、一日警察署長は広報活動を担当する立場です。
一日警察署長は、芸能人や地域にゆかりのある人物が警察の広報活動に協力する取り組みであり、中心となる役割は交通安全と地域安全の2つだ。
2026年には、舘ひろしが調布警察署で特殊詐欺防止や警察官採用を呼びかけ、HANDSIGNが大磯警察署で交通安全キャンペーンに参加した。加えて、マツコ・デラックスや庄司智春らも地域の防犯活動に協力している。
報酬は全国一律ではなく、本物の警察署長のような捜査権限や指揮監督権もない。あくまで警察と住民をつなぐための広報上の役割である。
今後、一日警察署長の活動を見る際には、誰が制服を着たのかという話題性だけでなく、どのような安全情報を発信したのかにも注目したい。交通事故や特殊詐欺、闇バイトなど、身近な危険を防ぐための具体的な行動につながってこそ、この取り組みの本当の価値が生まれる。
主な参照資料:警視庁公式イベント情報、調布市・二宮町・大磯町の2026年公式発表、警察法、オリコンニュース(2026年11月1日)、FNNプライムオンライン、ピンズバNEWS、ソニー損害保険の2025年調査。