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【4】右翼団体の街宣活動とは?街宣車の実態と活動目的

高杉 葵 高杉 葵 • 更新: • 公開: • 読了約 18 分
目次

右翼団体を象徴する活動として知られているのが、街宣車を使った街頭宣伝です。

大音量のスピーカー、日本国旗や団体旗、独特の標語などを掲げた車両が街中を走行し、政治的な主張や抗議の意思を伝えます。

ただし、街宣活動そのものが犯罪というわけではありません。憲法で保障された政治的な表現活動として認められる場合もあります。

街宣活動で主張されるテーマ

街宣活動で取り上げられるテーマは、国内政治から外交、安全保障、歴史認識まで幅広くあります。

代表的なものは次のとおりです。

- 領土問題:北方領土、竹島、尖閣諸島など。
- 外交問題:中国、韓国、北朝鮮、ロシアなどに対する抗議。
- 皇室関係:皇室や伝統文化に関する主張。
- 歴史認識:戦争の歴史や戦後の歴史教育に関する主張。
- 政治・憲法:自主憲法制定、安全保障政策、政府の外交方針など。
- 社会問題:教育政策、外国人政策、国内の政治・社会問題など。

公安調査庁が公表する活動記録でも、北方領土問題や竹島問題、建国記念の日、終戦の日など、特定の日付や国内外の出来事に合わせて活動が行われていることが分かります。

街宣車にはどのような特徴がある?

街宣車は、街頭で演説や政治的な主張を伝えるために使用される車両です。

公安調査庁の解説資料では、伝統的な大型街宣車のほか、中型・小型車両を使う団体や、活動テーマに応じて比較的穏やかなスタイルを採用する団体も紹介されています。

一般的に見られる特徴は次のとおりです。

- 車体に団体名や政治的な標語を表示する。
- スピーカーを使って街頭演説を行う。
- 日本国旗や団体旗を掲げる場合がある。
- 集会や抗議活動の際に複数の車両が参加することがある。
- 活動内容によって演説の口調や車両の外観が異なる。

大切なのは、街宣車を所有していることだけで、その団体が暴力団系であると判断することはできない点です。

公安調査庁も、団体の性格や活動内容によって街宣活動の形態が異なることを示しています。

街宣活動と企業への糾弾活動の違い

一般的な街宣活動は、政治的な主張や抗議の意思を公衆に伝えることを目的としています。

一方、一部の右翼団体は、企業を対象に大音量で執拗な街頭宣伝を行い、資金獲得につなげる活動を行っています。

警察庁の令和8年警察白書が掲載する令和7年の実績によると、街頭宣伝活動の対象となった企業は、延べ約130社、実数で約30社でした。

このような活動は、騒音被害や交通渋滞などを引き起こし、市民生活や企業活動に影響を及ぼす問題として扱われています。

政治的な抗議と、威圧や恐喝を伴う資金獲得活動は、明確に区別して考える必要があります。

【5】右翼団体と保守派の違いは?合法的な政治活動と違法行為の境界

右翼団体とは

右翼団体について調べると、必ず出てくる疑問が「保守派と右翼は同じなのか」という点です。

答えは、同じではありません。

両者には思想的な共通点が存在するものの、意味する範囲や組織形態が異なります。

右翼団体と保守派の比較
比較項目 右翼団体 保守派
基本的な意味 右翼思想を掲げる組織 伝統や既存制度を重視する政治的立場
主な関心 国家主義、民族主義、国益、皇室など 社会秩序、伝統、制度、経済政策など
組織形態 政治団体、運動団体など 政党、政治家、個人、政策グループなど
活動方法 街宣、集会、抗議、機関紙など 選挙、議会活動、政策提言、言論活動など
暴力団との関係 一部の団体に関係が見られる 保守という思想だけでは関係を判断できない

保守派は非常に広い概念です。

例えば、伝統文化を守りたいと考える人、急激な制度変更に慎重な人、財政規律を重視する人なども保守的な立場に含まれます。

一方、右翼団体は、特定の政治思想を掲げて組織的に活動する集団を指す言葉です。

そのため、保守政党の支持者や保守的な政治家を、すべて右翼団体の構成員とみなすのは誤りです。

右翼団体の活動はすべて合法なのか?

右翼団体の活動がすべて違法というわけではありません。

日本国憲法第19条は思想・良心の自由を保障し、第21条は集会、結社、言論などの表現の自由を保障しています。

したがって、国家主義や民族主義を掲げること、政府の政策を批判すること、外交問題について抗議することなどは、それだけで犯罪になるわけではありません。

一方、政治活動という名目があっても、犯罪行為が許されるわけではありません。

具体的には、次のような行為が取締りの対象になります。

- 脅迫: 相手に危害を加えると告げて恐怖を与える行為。
- 暴行・傷害: 他人に暴力を振るい、身体を傷つける行為。
- 恐喝: 威圧や脅迫によって金品などを要求する行為。
- 詐欺: 虚偽の説明などによって金品や財産上の利益を得る行為。
- 公務執行妨害: 公務員の適法な職務執行を暴力や脅迫などで妨害する行為。
- 交通関係の違反: 車両の不正改造や交通規制・許可条件への違反など。

警察庁の公表資料では、右翼団体の構成員や代表者が、道路運送車両法違反、脅迫、公務執行妨害などで逮捕された事例も紹介されています。

また、政治団体として活動する場合には、政治資金規正法などのルールも守らなければなりません。

政治資金規正法第8条は、政治団体について、所定の届出がなされる前の政治活動に関する寄附の受領や支出を禁止しています。

ヘイトスピーチ解消法と右翼団体の関係

右翼団体や右翼系市民グループの活動を考える際、重要な法律が2016年に施行されたヘイトスピーチ解消法です。

正式名称は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」です。

2016年6月3日に施行されたこの法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動は許されないと宣言しています。

法務省は、特定の国の出身者やその子孫であることだけを理由に、日本社会から追い出そうとしたり、危害を加えようとしたりする言動などをヘイトスピーチの代表例として説明しています。

この法律が対象としているのは、単なる外国政府への批判や外交政策への反対ではありません。

例えば、外国政府の政策に対して抗議することと、特定の国籍の人々を一括りにして日本から排除しようとすることは、性質が異なります。

また、同法自体には刑事罰の規定がありません。

しかし、罰則がないからといって、脅迫や暴行などの犯罪行為まで許されるわけではありません。個々の行為については、刑法その他の関係法令に照らして判断されます。

警察庁と公安調査庁は何をしている?

両機関は、右翼運動に関する情報を扱っていますが、役割は異なります。

警察庁

右翼団体や右派系市民グループの活動状況を把握し、違法行為の捜査・取締り、抗議活動に伴うトラブルの防止などを行います。

公安調査庁

国内外の公共の安全に関わる動向について情報を収集・分析し、公表資料などを通じて治安情勢を説明しています。

また、破壊活動防止法などに基づき、暴力主義的破壊活動を行った団体について調査し、必要がある場合には公安審査委員会に規制を請求する役割も担います。

ここで注意したいのは、公安調査庁が右翼思想を持つ団体すべてを規制しているわけではないことです。団体規制には、それぞれの法律に定められた要件があります。

【6】右翼団体の現在と2026年最新動向!警察庁の統計から実態を検証

2026年の右翼運動を把握するには、警察庁の令和8年警察白書と、公安調査庁が公表する2026年の月別活動記録が参考になります。

特に注目したいのは、2025年の年間検挙実績と、2026年に入ってからも続いている街宣・抗議活動です。

警察庁が公表した2025年の右翼団体の検挙状況

警察庁の令和8年警察白書によると、2025年中の右翼運動に伴う違法行為の検挙状況は次のとおりです。


60件・85人


右翼運動に伴う事件の検挙件数・検挙人員(2025年)



右翼運動に伴う事件

60件・85人



うち街頭宣伝活動に伴う事件は12件・22人



資金獲得目的の事件

22件・27人



恐喝や詐欺などに関係する事件



押収された拳銃

2丁



右翼及びその周辺者からの押収



テロ・ゲリラ事件

発生なし



2025年中の警察庁公表実績

出典:警察庁「令和8年警察白書」。検挙件数・人員には未遂事件を含む。

この数字から読み取れるのは、2025年中に右翼によるテロ・ゲリラ事件の発生はなかった一方で、街宣活動や資金獲得に関連する違法行為の検挙が続いていたことです。

特に、右翼運動に伴う事件の検挙人員は85人で、前年の52人から増加しました。

また、資金獲得を目的とする事件では27人が検挙されています。

これは、右翼団体をめぐる治安上の問題が、政治的な主張そのものだけでなく、組織の資金獲得や威圧的な活動にも関係していることを示しています。

なお、検挙人員は右翼団体の全構成員数を表すものではありません。違法行為として検挙された人の数であり、団体全体の規模とは区別する必要があります。

2025年の右翼系市民グループの活動

警察庁によると、2025年中、極端な民族主義・排外主義的主張を掲げる右派系市民グループは、韓国や北朝鮮との問題などを取り上げ、全国で約20件のデモを行いました。

これらの活動に対しては、参加者の過激な言動がヘイトスピーチに当たるとの批判もあり、反対する勢力による抗議活動も行われています。

警察は、双方の対立によって違法行為が発生しないよう警備措置を講じ、違法行為を認知した場合には法と証拠に基づいて対応するとしています。

ここから分かるのは、2025年の右翼運動が、従来型の右翼団体だけでなく、右派系市民グループを含む多様な集団によって展開されていることです。

2026年の街宣・抗議活動はどう変化している?

公安調査庁の2026年の月別公表資料を確認すると、右翼団体の活動は、特定の記念日や外交上の出来事に合わせて継続しています。



2月7日・北方領土の日

全国各地で北方領土返還などを訴える街宣活動が行われました。


2月11日・建国記念の日

紀元節を奉祝する街宣活動や神社参拝が行われました。


3月10日・東京大空襲の日

米国を批判する街宣活動が東京都内で行われました。


4月29日・昭和の日

武蔵野陵への参拝や、昭和の日の意義を訴える街宣活動が各地で行われました。


5月3日・憲法記念日

自主憲法制定を訴える街宣活動や、護憲集会に対する抗議活動が行われました。


8月6~9日・原爆の日など

米国による原爆投下を批判する街宣活動や、ロシア公館への抗議活動、北方領土奪還を訴える活動が行われました。


8月15日・終戦の日

靖国神社や各地の護国神社への参拝、戦没者慰霊祭への参列などが行われました。


9月29日・反中共デー

在日中国公館に対する抗議活動が東京や大阪などで行われました。

こうした活動の特徴は、北方領土問題や外交関係、歴史認識、皇室関連の記念日などを活動の契機としていることです。

2026年の動向を単純に「街宣活動が増えた」「減った」と判断することはできません。月別の活動記録は活動の存在やテーマを示すものであり、年間の動員規模や違法行為の増減を直接証明する統計ではないためです。

また、警察庁の2025年の報告では、高市内閣の発足に対して期待を示す右翼が多かった一方、靖国神社参拝を見送ったことを批判する一部の右翼もいたとされています。

同じ右翼という分類の中でも、政権に対する評価や政治的な要求が必ずしも一致していないことが分かります。

2026年の右翼団体を判断する際に注目すべき3つのポイント

2026年の動向を理解するうえでは、次の3点が重要です。

1. 街宣活動の内容

外交や領土問題への抗議なのか、特定の民族や国籍の人々を排除しようとする言動なのかを区別する必要があります。

2. 組織の資金と運営実態

暴力団との関係、政治資金の管理、企業への威圧的な活動など、思想だけでは見えない組織の実態を確認することが大切です。

3. 実際の行為と法律違反の有無

街頭演説やデモへの参加と、脅迫・暴行・恐喝などの違法行為を混同しないことが重要です。

2026年の右翼運動を理解するためには、思想、組織、活動、法的評価という4つの観点から見る必要があります。

【右翼団体とは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:右翼団体とは簡単にいうと何ですか?

右翼団体とは、国家主義や民族主義、皇室・日本の伝統の尊重、国家の独立や国益などを掲げて政治的・社会的活動を行う組織の総称です。歴史や組織形態、活動内容によって複数の種類があります。

Q2:右翼団体はすべて暴力団と関係していますか?

いいえ。暴力団との関係が見られる暴力団系右翼団体もありますが、関係が確認されない非暴力団系右翼団体も存在します。街宣車を使っているという理由だけで暴力団系と判断することはできません。

Q3:右翼団体と保守派の違いは何ですか?

保守派は伝統や既存制度を重視する幅広い政治的立場です。一方、右翼団体は右翼思想を掲げて組織的に活動する集団を指します。保守派の政治家や政党支持者が、必ずしも右翼団体に所属しているわけではありません。

Q4:右翼団体の街宣活動は違法ですか?

街頭演説や政治的な抗議活動そのものは、憲法で保障された表現活動として認められる場合があります。ただし、脅迫、暴行、交通規制違反、恐喝、騒音に関する法令違反などがあれば、取締りの対象となります。

Q5:ヘイトスピーチ解消法には罰則がありますか?

ヘイトスピーチ解消法自体には刑事罰の規定がありません。ただし、脅迫や暴行など別の犯罪に該当する行為については、関係法令に基づいて処罰される可能性があります。

Q6:2026年現在、右翼団体は活動していますか?

はい。公安調査庁の2026年の公表資料では、北方領土問題、建国記念の日、憲法記念日、終戦の日、外国公館への抗議などに関連する活動が確認されています。また、警察庁の2025年実績では、右翼運動に伴う事件の検挙が60件、85人となっています。

右翼団体とは、国家主義や民族主義、皇室や日本の伝統、国家の独立などを重視する思想を掲げ、政治的・社会的な活動を行う組織の総称です。

その歴史は明治14年の玄洋社に代表される明治期の政治運動にさかのぼり、戦前・戦後の変化を経て、新右翼や暴力団系・非暴力団系など、さまざまな組織形態へと広がりました。

2026年現在も、外交問題や領土問題、歴史認識、皇室関連の記念日などをテーマとする街宣活動や抗議活動が続いています。

一方、警察庁の2025年の統計では、テロ・ゲリラ事件の発生がなかったにもかかわらず、右翼運動に伴う事件の検挙は60件、85人に上りました。思想的な政治運動と、違法な資金獲得や威圧行為が別の問題として存在していることが読み取れます。

最後に、右翼団体について情報を見極める際には、次の判断基準を意識してください。

- 思想を見る: 国家主義、民族主義、保守主義など、何を主張している組織なのか。
- 歴史を見る: 玄洋社などの歴史的な系譜なのか、新右翼など戦後に生まれた運動なのか。
- 組織を見る: 暴力団との関係や組織運営、資金の流れはどうなっているのか。
- 活動を見る: 街宣、集会、抗議活動など、実際にどのような行動をしているのか。
- 法律面を見る: 表現の自由として認められる活動なのか、それとも具体的な違法行為があるのか。

最も重要なのは、右翼という思想的な分類だけで、個人や団体の危険性を決めつけないことです。

保守的な政治思想、愛国心、右翼団体への所属、暴力団との関係、違法行為は、それぞれ異なる概念です。

2026年の社会情勢を正しく理解するためにも、警察庁の統計と公安調査庁の活動記録を照らし合わせながら、思想と行為を分けて判断することが大切です。

主な参考資料:警察庁「令和8年警察白書」「焦点」、公安調査庁「内外情勢の回顧と展望(令和8年版)」「右翼運動のあらまし」、法務省「ヘイトスピーチ、許さない。」、日本国憲法、政治資金規正法。

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高杉 葵

アイドル・グラビア担当。所属事務所の公式発表を一次情報とし、憶測は書きません。

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