警察庁の統計を見ると、暴走族は消滅したのではなく、規模を縮小しながら活動を続けていることが分かる。
令和8年交通安全白書に掲載された2025年末の全国統計は、次のとおりだ。
- 暴走族:153グループ、5,485人
- 旧車會:399グループ、5,392人
- 暴走族と旧車會の合計:10,877人、552グループ
注目したいのは、暴走族の人数が減っている一方で、グループ数は増えている点だ。
暴走族の人数は2024年末の5,880人から2025年末には5,485人へと395人減少した。しかし、グループ数は144から153へ9グループ増加している。
つまり、構成員の減少がそのまま集団の消滅につながっているわけではない。小規模なグループに分かれて活動している可能性も考えられる。
また、警察庁が把握する人数は、警察の定義に基づく集計であり、日本全国に存在するすべてのバイク愛好家や改造車愛好家の人数ではない。
【5年間の推移】暴走族の人数・グループ数・検挙人員を比較

暴走族の現在を理解するには、単年の人数だけでなく、過去数年間の変化を確認する必要がある。
内閣府の交通安全白書と警察庁の資料から、2021~2025年の主要な数値を整理した。
| 区分 | 2024年 | 2025年 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 暴走族グループ数 | 144 | 153 | +9 |
| 暴走族構成員 | 5,880人 | 5,485人 | −395人 |
| 旧車會グループ数 | 391 | 399 | +8 |
| 旧車會構成員 | 5,194人 | 5,392人 | +198人 |
| 暴走族検挙人員 | 6,098人 | 7,021人 | +923人 |
| 旧車會検挙人員 | 1,273人 | 1,887人 | +614人 |
出典:内閣府「令和8年交通安全白書」、警察庁資料。人数・グループ数は各年末、検挙人員は各年中。
特に注目すべきなのが、警察が把握した暴走族の集まりや集団走行の回数だ。
| 年 | 集まり・走行回数 | 参加人員 | 参加台数 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 1,746回 | 19,232人 | 13,482台 |
| 2022年 | 2,093回 | 18,883人 | 13,049台 |
| 2023年 | 2,513回 | 22,000人 | 16,882台 |
| 2024年 | 2,851回 | 27,199人 | 18,158台 |
| 2025年 | 3,236回 | 30,612人 | 20,860台 |
2021年から2025年までの4年間で、集まり・走行回数は約85%増加した。
2025年だけを見ても、前年に比べて385回増えている。
ここから読み取れるのは、構成員の総数が減少しても、集団走行の問題が同じ割合で解消されるわけではないということだ。
人数だけを見て「暴走族問題は解決した」と判断するのは早い。警察による取り締まりや地域住民への影響を考えるうえでは、活動回数や参加台数も重要な指標になる。
【旧車會の現在】暴走族との違いと実際の活動
暴走族の現在を調べる際、必ず理解しておきたいのが「旧車會」の存在だ。
旧車會は、旧型のオートバイなどを愛好する人たちを中心とした集団で、元暴走族の構成員などが中心となって結成したグループもある。
ただし、旧車會という名称だけで違法集団と判断することはできない。
警察庁の統計で集計されているのは、旧車會全体ではなく、違法行為を行う者として警察が把握した集団と人員である。この違いは非常に重要だ。
暴走族と旧車會は何が違う?両者は車両の外観や集団走行などに共通点がある一方、成り立ちや構成員の年齢層に違いが見られる。
| 比較項目 | 暴走族 | 旧車會 |
|---|---|---|
| 主な構成 | 少年・成人 | 成人が中心となる傾向 |
| 車両 | バイク・改造車 | 旧型バイクなど |
| 成り立ち | 集団暴走を行う集団 | 旧車愛好家や元暴走族関係者など |
| 活動形態 | 集団走行、暴走行為など | ツーリング、集団走行、車両交流など |
| 問題となる行為 | 共同危険行為、騒音、不正改造 | 違法な集団走行、騒音、不正改造など |
旧車會のすべてが暴走行為を行っているわけではない。趣味として旧型バイクを所有し、交通ルールを守ってツーリングを楽しむ人もいる。
一方、警察庁は、暴走族風に改造した旧型二輪車を連ねて大規模な集団走行を行うなど、迷惑性の高い旧車會の存在を問題視している。
旧車會の人数は増加傾向にあるのか2025年末の旧車會の統計は、399グループ・5,392人だった。
2024年末と比べると、グループ数は391から399へ8増加し、人員も5,194人から5,392人へ198人増えている。
加えて、検挙人員は2021年の798人から2025年の1,887人へ増加した。
ただし、検挙人員の増加だけで構成員全体の活動が活発化したと断定することはできない。取り締まりの強化や検挙対象の変化も影響するためだ。
旧車會については、愛好家としての活動と、交通秩序を乱す違法行為を明確に分けて考える必要がある。
【なぜ減った?】暴走族の歴史と現在までの変化
かつての日本では、暴走族は若者文化の一つとして社会的な存在感を持っていた。
昭和の時代には、大人数の集団が改造バイクや自動車で公道を走行する姿が各地で見られた。
法務省の犯罪白書によると、暴走族の構成員数は昭和57年(1982年)をピークとして減少傾向に転じている。グループ数も平成14年(2002年)を境に減少してきた。
暴走族が減少した主な背景1.法律の整備と警察の取り締まり強化
大きな転換点となったのが、1978年の道路交通法改正だ。
道路交通法第68条に共同危険行為等の禁止が設けられ、集団で交通の危険を生じさせたり、著しく他人に迷惑を及ぼしたりする行為が取り締まりの対象となった。
これによって、従来の交通違反だけでなく、複数の車両による危険な集団走行そのものに対応できる法的枠組みが整った。
2.少子化による若年層の人口構造の変化
若年層の人口が減少していることも、暴走族を取り巻く環境の変化を考えるうえで無視できない。
警察庁の2024年の資料では、暴走族構成員5,880人のうち20歳未満の少年は2,262人だった。全体に占める割合は38.5%である。
2015年には少年が3,464人で、割合は51.2%だった。
この10年間で、少年の人数も構成比も低下している。
3.家庭・学校・地域による加入防止と離脱支援
警察による取り締まりだけでなく、家庭や学校、保護司、地域団体などが連携する対策も進められている。
暴走族に加入させないための教育や、すでに加入した少年を集団から離脱させる取り組みが継続されている。
暴走族問題を単なる交通違反として扱うのではなく、少年非行や生活環境の問題として対応する方向に広がってきた。
減少したからといって、暴走族が消えたわけではないここで見落としてはいけないのが、現在の構成員の年齢構成だ。
2024年の統計では、20歳以上の構成員は3,592人。少年の2,262人を上回っている。
つまり、暴走族は10代の少年だけで構成される集団ではなくなっている。
昭和の時代に若者中心だったイメージをそのまま現在に当てはめると、実際の構成員の姿を見誤ることになる。
また、2025年末の暴走族全体の人数が前年より減っている一方で、グループ数は増加している。組織の規模や構成にも変化が生じていることが分かる。
【危険行為の現状】共同危険行為・不正改造・騒音問題
暴走族が現在も問題視される理由は、単に見た目や服装が昔の暴走族文化を連想させるからではない。
本質的な問題は、道路を利用する人々の安全と生活環境を脅かす行為にある。
共同危険行為等の禁止違反とは?道路交通法第68条では、2人以上の自動車または原動機付自転車の運転者が、2台以上の車両を連ねて通行・並進させる場合、共同して著しい交通の危険を生じさせたり、著しく他人に迷惑を及ぼしたりする行為を禁止している。
これが共同危険行為等の禁止だ。
具体的には、次のような行為が問題になる。
- 複数台で道路を占拠するような危険走行
- 集団での信号無視
- 一般車両の進行を妨げる走行
- 著しい速度超過を伴う集団走行
- 周囲の車両や歩行者に危険を及ぼす行為
同条違反には、道路交通法第117条の3により、2年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められている。
2025年の検挙状況はどうなっている?警察庁の2025年統計では、暴走族の検挙人員は7,021人だった。
このうち、道路交通法違反による検挙人員は6,914人で、共同危険行為に関する検挙人員は447人。そのうち逮捕者は214人だった。
検挙人員は、逮捕者だけを意味するものではない。警察が事件を検挙した際の被疑者の人数を示す統計だ。
旧車會についても、道路交通法違反1,866人、道路運送車両法違反21人で、合計1,887人が検挙されている。
騒音問題と不正改造の取り締まり暴走族や一部の旧車會に関する問題として、周辺住民からの苦情につながる騒音がある。
2025年の警察庁資料に掲載された暴走族の騒音関係違反の検挙人員は、次のとおりだ。
| 違反の種類 | 2025年検挙人員 |
|---|---|
| 騒音運転等 | 115人 |
| 近接排気騒音に係る整備不良 | 266人 |
| 消音器不備 | 1,227人 |
特に消音器不備の検挙人員は1,227人に上る。
排気音を大きくするための不適切な改造や、基準に適合しない消音器の使用などは、取り締まりの対象となる。
騒音問題は、走行している本人だけの問題ではない。住宅街や生活道路を利用する住民、通勤・通学する人、一般のドライバーにも影響する。
警察庁は不正改造車両の取り締まりに加え、暴走行為に使用された車両の押収や、改造を助長する関係者への責任追及も進めている。
【警察庁の対策】暴走族を減らすために何をしている?
2026年現在、警察の暴走族対策は、違反者を検挙するだけではない。
内閣府の令和8年交通安全白書では、暴走族や違法行為を行う旧車會に対して、複数の方向から対策を進めていることが示されている。
1.都道府県警察による情報共有旧車會などによる集団走行は、地域をまたいで行われる場合がある。
そのため、各都道府県警察が情報を共有し、広域的な取り締まりにつなげる取り組みが行われている。
2.車両の押収と不正改造業者への責任追及暴走行為に使われた車両については、積極的な押収が進められている。
また、車両を不正に改造するなど、暴走行為を助長する行為についても背後責任を追及する。
運転者だけでなく、違法行為を支える周辺環境にも対応する方針だ。
3.少年の加入防止と離脱支援警察は家庭、学校、保護司などと連携し、暴走族への加入を防ぐ教育や、既存の構成員を集団から離脱させる活動を進めている。
少年が暴走族に加入する背景には、人間関係や居場所の問題が関係する場合もある。
そのため、取り締まりと並行して、本人の生活環境を改善する支援が必要になる。
4.暴走行為ができない道路環境づくり集団が集まりやすい施設や場所については、管理者に協力を求め、迷惑行為を防ぐための環境整備も推進している。
単に警察官を配置するだけではなく、暴走行為や見物人の集合を防ぐための地域連携も対策の一つとなっている。
【暴走族の現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、日本に暴走族は何人いる?
A1:2026年公表の令和8年交通安全白書によると、2025年末時点で警察が把握している暴走族は5,485人、153グループだ。別枠の旧車會は5,392人、399グループとなっている。
Q2:暴走族と旧車會は同じもの?
A2:同じではない。暴走族は集団で危険な走行や迷惑行為を行う集団を指す。旧車會は旧型バイクなどを愛好する集団を中心とするが、その中には違法な集団走行や不正改造を行うグループも存在する。旧車愛好家全体を違法集団とみなすことはできない。
Q3:暴走族はなぜ昔より減った?
A3:共同危険行為を禁止する法律の整備、警察の取り締まり、家庭や学校による加入防止・離脱支援、若年人口の減少など、複数の背景がある。特に少年の構成員数は2015年の3,464人から2024年には2,262人に減少している。
Q4:暴走族の集団走行は現在も行われている?
A4:行われている。2025年の警察庁統計では、暴走族の集まり・走行回数は3,236回、参加人員は30,612人、参加台数は20,860台だった。
Q5:旧車會に所属しているだけで逮捕される?
A5:旧車會に所属しているという理由だけで、直ちに逮捕されるわけではない。実際の違法行為や個々の関与が問題となる。車両の不正改造や共同危険行為などは、該当する法律に基づいて取り締まりの対象になる。
2026年現在、暴走族は全国各地に存在している。
令和8年交通安全白書が示す2025年末の数字は、暴走族5,485人・153グループ、旧車會5,392人・399グループだ。
昭和の時代と比べれば大幅に縮小しているものの、問題が解決したわけではない。
特に注目すべきなのは、次の3点だ。
- 暴走族の構成員数は減少しているが、グループ数は増えている。
- 集団走行の回数や参加台数は増加している。
- 旧車會による違法行為や騒音、不正改造の取り締まりも続いている。
暴走族の歴史を振り返ると、昭和の大規模集団から、現在の小規模な集団や成人を含む旧車會へと、その姿は変化してきた。
今後の動向を判断する際に重要なのは、構成員の人数だけでなく、実際の集団走行、交通違反、騒音被害、検挙状況を合わせて見ることだ。
暴走族は過去の文化として完全に終わったわけではない。形を変えながら残る交通安全上の課題として、今後も継続的な対策が求められている。
主な参考資料:内閣府「令和8年交通安全白書」、警察庁「令和8年警察白書」「令和7年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」、警察庁「令和6年中における少年の補導及び保護の概況」、法務省「令和元年版犯罪白書」、e-Gov法令検索「道路交通法」。