神戸山口組の組長について、最も重要な判断材料となるのが警察庁の公的資料だ。
警察庁が2026年4月に公表した「令和7年における組織犯罪の情勢」では、指定暴力団一覧表に神戸山口組が掲載され、代表する者の欄には井上邦雄と記載されている。
同資料の記載基準は、団体名・主たる事務所・代表者について2026年3月12日までに官報公示された情報。つまり、2026年春の公的な組織情報では、井上氏が引き続き代表者として扱われている。
少なくとも、2026年11月時点で確認できる公表資料からは、井上氏に代わる新組長への交代を裏付ける情報は見当たらない。
ただし、警察資料に代表者として掲載されていることと、本人の日常的な活動状況や組織内部での実際の指揮状況は別の問題だ。井上邦雄氏の現在の生活状況や具体的な所在まで、この資料から判断することはできない。
「神戸山口組の歴代組長」という検索も見られるが、組織の発足以来、代表者として公的資料に記載されている中心人物は井上氏だ。複数の組長が交代したかのような歴代一覧を作る根拠はない。
井上氏は神戸山口組の結成時に組長となった人物で、もともとは六代目山口組の有力傘下組織だった山健組の組長を務めていた。2015年の分裂において中心的な役割を担った人物でもある。
したがって、2026年現在の組長を調べる際には、報道上の呼称だけでなく、警察庁の代表者欄を確認することが最も確実な判断材料になる。
【神戸山口組の構成員数は約110人!10年間の縮小を数字で検証】

神戸山口組の現状を理解するうえで、組織の人数は重要な指標となる。
警察庁の2026年版資料によると、2025年末時点の神戸山口組の暴力団構成員数は約110人。前年末の約120人から約10人減少している。
加えて、準構成員等は約170人で、両者を合わせた勢力は約270人となっている。
ここで注意したいのは、構成員と準構成員等は警察統計上の別区分だという点だ。検索記事などで「神戸山口組の人数」として数字が紹介されていても、110人なのか、周辺者を含む270人なのかによって意味が異なる。
構成員数の推移警察庁の統計を時系列で見ると、神戸山口組の縮小は一時的な変動ではない。2016年末には約2,600人だった構成員が、2025年末には約110人となった。
2016年末から2025年末までの減少率は約95.8%。約10年間で構成員の規模が大幅に小さくなったことが分かる。
特に目立つのは、2020年末の約1,200人から2021年末の約510人への減少だ。その後も2022年末に約330人、2023年末に約140人と減少が続いた。
警察庁の統計では、神戸山口組からの傘下組織の離脱や、2017年以降の内部対立などが組織の変化を理解する背景となる。
ただし、構成員数の減少だけで組織の消滅や活動停止が決まるわけではない。実際、2025年末時点でも指定暴力団として存続し、六代目山口組との特定抗争指定も続いている。
【神戸山口組の分裂の経緯と歴史を年表で整理】
神戸山口組が誕生した背景には、六代目山口組内部の対立があった。
2015年8月末、六代目山口組から離脱した直系組長13人を中心に、新たな組織として神戸山口組が結成された。組長に就いたのが、当時の山健組組長だった井上邦雄氏である。
この分裂は、単に名称や代表者が変わったという話ではない。大規模な組織から複数の勢力が離れ、別々の指定暴力団へと発展していく長期的な対立の出発点となった。
主な出来事と関係団体出典:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」、兵庫県公安委員会関連資料、神戸新聞報道。
分裂によって生まれた関連組織神戸山口組を取り巻く関係を整理すると、六代目山口組との対立だけでなく、内部から離脱した組織の存在も見逃せない。
- 六代目山口組:神戸山口組が2015年に分裂する前に所属していた組織。現在も対立関係が続いている。
- 絆會:神戸山口組の傘下組織の一部が2017年に結成を表明した任侠山口組が前身。2020年に現在の名称へ変更した。
- 池田組:2020年7月に神戸山口組からの離脱を表明し、2021年11月に岡山県公安委員会から指定暴力団に指定された。
このように、神戸山口組は六代目山口組から分裂した後も、内部からの離脱や独立によって組織構造が変わってきた。
2026年の警察庁資料でも、これらの団体はそれぞれ別個の組織として扱われている。過去に同じ組織に属していたことと、現在も同じ組織として活動していることは区別しなければならない。
【六代目山口組との関係は現在も対立状態?特定抗争指定の最新状況】
2026年の神戸山口組を考えるうえで、六代目山口組との関係は避けて通れない。
両組織は2015年の分裂以降、長期にわたって対立してきた。2019年以降には銃器を使用した事件などが相次ぎ、2020年1月、兵庫県などの公安委員会が両団体を特定抗争指定暴力団等に指定した。
特定抗争指定暴力団とは?特定抗争指定暴力団等は、通常の指定暴力団よりも厳しい規制を適用するための制度だ。
暴力団対策法に基づき、対立抗争によって生命や身体に重大な危害が生じるおそれがあると判断された場合、公安委員会が警戒区域を定めて指定する。
指定された団体には、警戒区域内での事務所使用や、おおむね5人以上での集団行動などに制限が課される。
これは単に団体の名称に付く肩書ではない。地域住民や事業者の安全を守るため、組織の活動に直接的な制約を設ける行政上の措置である。
2026年9月から10月にかけての重要な動き2026年には、六代目山口組と他の対立団体との関係で変化があった。
六代目山口組と池田組との特定抗争指定は、2026年9月8日に解除された。また、絆會との指定についても同月21日に解除されることになった。
しかし、神戸山口組との関係は異なる。
兵庫県公安委員会は2026年9月17日、六代目山口組と神戸山口組に対する特定抗争指定の期限を3カ月延長すると決定した。10月5日に官報で公示され、指定期限は2027年1月6日までとなった。
これで延長は27回目となる。
神戸新聞などの報道によると、兵庫県警の暴力団対策課は、両組織の対立抗争が終結したとは認められないとの判断を示している。
つまり、池田組や絆會との指定が解除されたからといって、六代目山口組をめぐる対立がすべて解消されたわけではない。神戸山口組との関係は、2026年11月現在も特定抗争指定の対象として残っている。
【井上邦雄の自宅が2026年5月に競売後、どうなった?】
2026年の神戸山口組をめぐる報道で大きな注目を集めたのが、井上邦雄氏の自宅の強制競売だ。
これは単なる不動産売却ではない。傘下組員のトラブルをめぐる損害賠償責任が背景にあり、暴力団対策法上の代表者責任が関係している。
自宅競売までの経緯神戸新聞の報道によると、井上氏は傘下組員のトラブルに関連する民事訴訟で、東京のコンサルティング会社側に対して約2億7,000万円を支払うよう命じられた。
この責任は、暴力団対策法における代表者責任に基づくものと報じられている。
損害賠償の支払いをめぐり、井上氏の土地と建物が差し押さえられ、強制競売の手続きが進められた。
2026年2月24日
神戸地裁が競売を公告。翌25日に報道され、売却基準価格は5,199万円とされた。
2026年3月24日
競売の開札が実施され、群馬県高崎市の民間企業が約8,089万円で落札。
2026年4月14日
神戸地裁が落札企業への売却を許可。買い手側の役員が暴力団員ではないことも確認された。
2026年4月22日
不服申し立て期間を経て売却が確定。
2026年5月22日
代金の納付が確認され、所有権が落札した民間企業へ移転したことが判明。
2026年5月22日の神戸新聞報道では、競売で落札した企業への所有権移転が確認された。
新しい所有者が明け渡しを求めた場合、井上氏が住み続けられなくなる可能性があるとして、兵庫県警も動向を注視していると報じられている。
ただし、ここで区別すべきなのは、所有権の移転と実際の退去は別の出来事だという点だ。
2026年5月の報道で確認できるのは、代金の納付と所有権の移転までである。その後、井上氏がいつ退去したのか、どこへ移転したのかについては、確定的な公表情報が確認できない。
したがって、「自宅を競売で失った」という事実から、直ちに「組長を辞任した」「組織から離れた」「引退した」と判断することはできない。
自宅競売は神戸山口組の組織運営にどう影響する?今回の競売で注目すべきなのは、暴力団対策法に基づく代表者責任が、個人の資産にまで及んだ点だ。
組員による不法行為をめぐって代表者に損害賠償責任が認められると、組織の代表者自身が経済的な負担を負うことになる。
これは、組織の構成員数や対立関係とは異なる角度から、暴力団の活動基盤に影響を与える仕組みだ。
組織が小規模化する中で、代表者個人に対する民事責任の追及が続くことは、組織の維持という観点からも無視できない動きとなっている。
【兵庫県公安委員会と兵庫県警の対策、今後の見通し】
神戸山口組が2026年現在も存続している背景を理解するには、指定暴力団と特定抗争指定暴力団等という2種類の制度を分けて考える必要がある。
2025年に4回目の指定暴力団再指定兵庫県公安委員会は2025年4月8日、神戸山口組を暴力団対策法に基づく指定暴力団として再指定した。
これは2016年の初回指定以降、4回目となる。指定期間は2028年4月までの3年間だ。
再指定に先立つ2025年1月23日には、兵庫県公安委員会が神戸山口組側から意見を聴く機会を設けたが、組側は欠席したと神戸新聞が報じている。
また、国家公安委員会の2025年3月の資料では、神戸山口組について、資金獲得活動における団体の威力の利用、構成員の犯罪経歴、階層的な組織構造などが指定要件に該当すると確認されている。
この指定は、用心棒代やみかじめ料の要求、不当な示談介入などに対する中止命令や、違反時の取り締まりにつながる。
2つの指定制度は何が違う?| 項目 | 指定暴力団 | 特定抗争指定暴力団等 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 暴力団対策法に基づく規制 | 対立抗争の防止と地域の安全確保 |
| 神戸山口組の指定 | 2025年4月に4回目の指定 | 2020年1月から継続 |
| 現在の期限 | 2028年4月まで | 2027年1月6日まで |
| 主な規制 | 不当要求への中止命令など | 警戒区域内での事務所使用や集団行動などへの制限 |
| 判断する機関 | 兵庫県公安委員会 | 関係する各府県の公安委員会 |
この2つは別々の制度であり、片方の指定期限が到来しても、もう一方が自動的に解除されるわけではない。
神戸山口組の場合、指定暴力団としての指定期間が2028年4月まで続く一方、特定抗争指定については2027年1月6日が現在の期限となっている。
兵庫県警の暴力団対策と今後の焦点兵庫県警は、暴力団犯罪の捜査だけでなく、組織の資金源や活動実態の解明、暴力団排除活動、被害者保護などを含めた総合的な対策を進めている。
特定抗争指定の延長も、その一環として位置づけられる。2026年9月の延長判断では、池田組や絆會との指定が解除される一方、神戸山口組との指定は継続された。
この違いは、過去の抗争歴だけでなく、各組織の現在の状況を踏まえて公安委員会が個別に判断していることを示している。
今後の神戸山口組を判断するうえで、注目すべき要点は次の3つだ。
- 代表者の変更があるか: 井上邦雄氏に代わる人物が正式な代表者として公示されるか。
- 組織規模に変化があるか: 構成員数や準構成員等の人数が、次回の警察庁統計でどう変化するか。
- 特定抗争指定が継続されるか: 2027年1月6日の期限に向けて、兵庫県公安委員会などがどのような判断をするか。
特に重要なのは、構成員数の減少と組織の消滅を同一視しないことだ。約110人という規模は小さいが、指定暴力団としての法的な位置づけは維持されている。
また、2026年5月の自宅競売も、井上氏個人の資産に関する重要な出来事ではあるものの、組織の代表者交代や解散を意味するものではない。
【神戸山口組の組長に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:神戸山口組の組長は2026年現在も井上邦雄ですか?
A1:はい。警察庁が2026年4月に公表した資料では、神戸山口組の代表者として井上邦雄氏が記載されています。新しい代表者への交代を裏付ける公表資料は確認されていません。
Q2:神戸山口組の構成員数は何人ですか?
A2:2025年末時点で約110人です。準構成員等の約170人を加えた勢力は約270人となっています。
Q3:神戸山口組は指定暴力団から解除されましたか?
A3:いいえ。2025年4月8日に4回目の指定を受け、指定期間は2028年4月までです。また、六代目山口組との特定抗争指定も2026年10月の延長によって2027年1月6日まで続いています。
Q4:井上邦雄の自宅は競売後どうなりましたか?
A4:2026年5月22日、競売で落札した群馬県高崎市の民間企業に所有権が移転しました。実際に退去したかどうかや、その後の居住先については、公表情報から確定できません。
Q5:六代目山口組と神戸山口組の抗争は終結しましたか?
A5:2026年11月現在、特定抗争指定は継続しています。2026年9月に指定期限が延長され、2027年1月6日までとなりました。兵庫県警も対立抗争が終結したとは認めていません。
2026年11月現在、神戸山口組の組長は、警察庁の公表資料上、引き続き井上邦雄氏である。
2025年末の構成員数は約110人。2016年末の約2,600人から約96%減少しており、組織規模の縮小は明確な数字として表れている。
一方、2025年4月には指定暴力団として4回目の再指定を受け、2026年10月には六代目山口組との特定抗争指定も延長された。組織としての法的な位置づけは現在も維持されている。
井上邦雄氏の自宅についても、2026年5月に競売による所有権移転が確認された。しかし、この出来事だけで組長交代や組織の解散を判断することはできない。
今後の焦点は、井上氏の代表者としての位置づけ、構成員数の推移、そして2027年1月6日を迎える特定抗争指定の判断にある。
神戸山口組の現在を正しく理解するには、人物の動向だけに注目するのではなく、警察庁の統計、兵庫県公安委員会の指定状況、民事裁判や競売に関する公的記録を分けて確認することが欠かせない。
主な参照資料:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」(2026年4月)、国家公安委員会の指定確認資料、兵庫県公安委員会の公表資料、神戸新聞NEXTの2026年2月・4月・5月・9月の報道。