和田耕治氏は、臨床医学だけでなく、働く人々の健康を守る産業保健や、社会全体の感染症対策を研究してきた医師です。
専門領域は、次の5分野に整理できます。
- 公衆衛生学: 集団全体の健康状態を把握し、病気の予防や健康格差の改善を考える学問。
- 感染症対策: 新興感染症、インフルエンザ、HIVなどの感染予防と対策。
- 疫学: 病気の発生状況や死亡率を統計的に分析し、健康問題の原因を明らかにする研究。
- 産業保健・労働衛生: 職場環境、労働条件、医療従事者の健康管理などを扱う領域。
- 健康危機管理: 感染症の流行や災害など、社会の健康を脅かす事態への備えと対応。
資格面では、医師・医学博士に加え、産業保健修士、労働衛生コンサルタント(保健衛生)などの専門資格を持っています。
特に注目したいのは、医学博士の学位を北里大学大学院で取得していることです。さらにカナダのMcGill大学でも産業保健学を学んでおり、日本と海外の両方で専門的な教育・研究経験を積んでいます。
プロフィールの基本情報| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 和田耕治(わだ・こうじ) |
| 職業 | 医師・医学研究者 |
| 最終学歴・学位 | 北里大学大学院、博士(医学) |
| 出身大学 | 産業医科大学医学部 |
| 海外での研究歴 | カナダ・McGill大学 |
| 主な専門 | 公衆衛生、感染症、疫学、産業保健 |
| 2026年の主な所属 | 国立健康危機管理研究機構 |
| 兼務 | 産業医科大学 産業衛生教授(非常勤) |
なお、和田医師の特徴は、患者個人の診療だけを専門とする一般的な臨床医とは異なり、職場や地域、国全体の健康問題を研究・分析し、予防策や危機管理につなげてきた点にあります。
【経歴・年表】産業医科大学卒業から北里大学、国際医療福祉大学へ

和田医師のキャリアを理解するうえで重要なのは、産業医としての現場経験から研究者へ、さらに国際医療協力や健康危機管理へと活動領域を広げてきたことです。
2000年:産業医科大学医学部を卒業2000年に産業医科大学医学部を卒業。その後、茅ヶ崎徳洲会病院や新庄徳洲会病院で臨床研修を受けています。
2003年から2005年にかけては、荏原製作所藤沢事業所で産業医として勤務しました。
この時期に、企業で働く人の健康管理や職場環境に関わる実務経験を積んでいます。
2005~2007年:カナダのMcGill大学で研究2005年6月から2007年3月まで、カナダのMcGill大学で産業保健学の修士課程とポストドクトラルフェローとしての研究に携わりました。
その後、2007年に北里大学大学院で博士(医学)を取得しています。
2007~2013年:北里大学で公衆衛生学を研究帰国後は北里大学医学部に所属し、衛生学・公衆衛生学の助教、講師、准教授へとキャリアを進めました。
2009年には講師、2012年には公衆衛生学准教授に就任しています。
この時期にはWHOのコンサルタントとしての活動も経験し、国際的な感染症対策や労働衛生に関する知見を深めました。
2013~2018年:国立国際医療研究センターと海外協力2013年からは国立国際医療研究センターの国際医療協力局で医師として活動しました。
ミャンマーではJICAの主要感染症対策プロジェクトに長期専門家として参加し、HIV対策に携わっています。
さらに2017年から2018年には、ベトナムのチョーライ病院向けの病院運営・管理能力強化プロジェクトでチーフアドバイザーを務めました。
2018~2022年:国際医療福祉大学の教授に就任2018年4月、国際医療福祉大学医学部公衆衛生学の教授に就任しました。
医学系大学院でも教育・研究を担当し、公衆衛生や感染症、産業保健に関する専門的な活動を展開しています。
2022~2025年:企業・国立研究機関での経験2022年8月から2023年10月までは、ファイザー株式会社でmRNA・抗ウイルス医薬品のメディカルアフェアーズ・リードを務めました。
2023年11月には国立国際医療研究センターの臨床研究センターで特任国際臨床研究推進部長に就任。その後、2024年10月から2025年3月までは企画戦略局次長を務めています。
2025年以降:JIHSの危機管理部門へ2025年4月から、国立健康危機管理研究機構の危機管理・運営局に所属しています。
同時期に産業医科大学の産業衛生教授(非常勤)にも就任しました。
和田耕治医師の経歴・転換点まとめ
この年表から分かるのは、大学教授という肩書だけでは捉えきれないキャリアの広さです。大学、国際協力機関、製薬企業、国立研究機関という異なる環境を経験してきたことが特徴です。
【2026年最新】和田耕治医師の現在は?JIHSでの役職と仕事内容
2026年11月時点で、和田医師の現在の活動を把握するうえで最も重要なのが、国立健康危機管理研究機構(JIHS)での役職です。
2025年4月に発足したJIHSとは?JIHSは、2025年4月1日に国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが統合して発足した組織です。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックで明らかになった課題を踏まえ、感染症をはじめとする健康危機への対応能力を高めることを目的としています。
組織が担う主な機能は4つです。
1. 情報収集・分析・リスク評価: 国内外の感染症情報を集め、流行状況やリスクを評価する。
2. 研究・開発: 感染症に関する基礎研究から臨床研究、研究開発までを推進する。
3. 臨床機能: 医療提供体制を通じて感染症や健康危機に対応する。
4. 人材育成・国際協力: 専門人材を育成し、海外の関係機関とも連携する。
これらはJIHSの公式資料や設立に関する解説で示されている組織の基本機能です。
和田医師の役職は危機管理参事J-GLOBALの2026年7月24日更新の研究者情報では、和田医師はJIHS危機管理・運営局の危機管理参事として登録されています。
一方、JIHSの国立国際医療センターが公開する2026年8月現在の医療安全監査委員会名簿では、和田医師の所属・役職は「危機管理・運営局 次長」と記載されています。
また、2025年9月の専門誌の紹介では「危機管理・運営局 危機管理参事 次長」と両方の肩書が併記されています。
つまり、公開資料では危機管理参事と次長の両方の表記が確認できます。所属先はいずれもJIHSの危機管理・運営局です。
現在の大学との関係は?ここは検索する読者が間違えやすいポイントです。
和田医師は国際医療福祉大学の教授を2018年4月から2022年7月まで務めています。2026年現在も同大学の教授であるという情報は、研究者情報に記載された経歴とは一致しません。
現在の大学での役職として確認できるのは、2025年4月からの産業医科大学・産業衛生教授(非常勤)です。
そのほか、研究者情報では日本公衆衛生協会理事やAMED評価委員などの活動も掲載されています。
【専門分野と研究業績】和田耕治医師が公衆衛生・感染症対策で取り組んできたこと
和田医師の研究業績を読み解くと、単純な感染症の治療や予防にとどまらず、病気が発生する社会的・職業的な背景を分析する研究が多いことが分かります。
1.職業による健康格差と死亡率の研究代表的な研究の一つが、2012年に医学誌「BMJ」に掲載された論文です。
研究タイトルは、1980~2005年の日本人男性の職業別死亡率の推移を分析したものです。
職業と死亡率の関係を調べることで、働く人の健康状態にどのような格差が生じているのかを検討しています。
また、2017~2022年には、科研費による「ナショナルデータを用いた労働者世代の職業別の健康指標の推移と必要な対策の検討」という研究課題の研究代表者を務めました。
その研究成果報告書では、25~64歳の労働者について、1980~2015年の死亡率の推移を分析しています。
報告書では、男性の死亡率が全体として低下し、ホワイトカラーとブルーカラーの死亡率の差も縮小したことが示されています。
一方、女性では製造業の死亡率の低下が2000~2015年に停滞したことや、農業・サービス業で死亡率が比較的高かったことも報告されました。
この研究の意義は、職業によって健康リスクが異なることをデータで示し、企業や行政による予防策の必要性を考える材料を提供した点にあります。
2.医療従事者の産業保健と感染対策和田医師の研究テーマには、医療従事者自身の健康を守るという視点もあります。
医療現場では、患者への感染対策だけでなく、医師や看護師などの職員が感染症や過重労働による健康被害を受けないようにすることも重要です。
J-GLOBALに掲載された研究業績には、次のようなテーマが確認できます。
- 医療機関の産業保健活動
- 医療従事者の職業感染対策
- 医療機関での感染症曝露後の対応
- 医師の働き方改革に関連する産業保健
- 労働者のメンタルヘルス
2025年には、関東地方の医療機関における産業保健活動と、医師の働き方改革への準備状況を扱った論文にも共著者として参加しています。
感染症対策を医療機関の運営や職場環境の改善と結びつけている点が特徴です。
3.新型コロナウイルス感染症への対応和田医師は、新型コロナウイルス感染症への対応にも関わってきました。
研究者情報には、2020年以降の厚生労働省新型コロナウイルス対策本部参与としての活動が記載されています。
また、2020年の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードのメンバーとしても紹介されています。
こうした経験は、感染症の発生状況を分析する研究だけでなく、行政や医療機関がどのように対応するかという実務面にも関係しています。
4.2026年の最新研究は感染症と社会環境の関係2026年の活動として注目したいのが、医学書院の専門誌「公衆衛生」90巻8号に掲載された論文です。
タイトルは「感染症に関連する健康の商業的決定要因(CDoH)」。
CDoHとは、Commercial Determinants of Healthの略称で、企業活動や商業的な仕組みが人々の健康に与える影響を考える概念です。
論文では、感染症の拡大と社会環境との関係を扱っています。
主な論点は次のとおりです。
- 人の移動や移住が感染症の拡大に与える影響
- 動物との接触と感染症リスク
- 食品や生活環境と感染症の関係
- ワクチン・治療薬の開発やアクセスにおける製薬企業の役割
- 規制や国際競争が感染症対策に与える影響
注目すべきなのは、感染症を病原体だけの問題として扱っていないことです。
人々の移動、生活環境、産業活動、医薬品へのアクセスなど、社会の仕組み全体を視野に入れています。
これは、従来の公衆衛生や疫学の研究領域ともつながるテーマです。
5.国際医療協力と受賞歴和田医師の実績は国内の研究活動だけではありません。
ミャンマーでのHIV対策や、ベトナムのチョーライ病院の運営・管理能力強化など、国際医療協力にも携わってきました。
受賞歴としては、次のものが研究者情報に掲載されています。
- 2012年:日本産業衛生学会奨励賞
- 2013年:日本公衆衛生学会奨励賞
- 2015年:日本医師会医学研究奨励賞
- 2018年:外務大臣表彰(コンゴ民主共和国の黄熱対策)
- 2021年:ヘルシーソサエティ賞(医師部門)
特に2018年の外務大臣表彰は、国際的な感染症対策への貢献を示す実績として注目できます。
【誤解を整理】和田耕治医師について知っておきたい3つのポイント
経歴を調べる際には、古いプロフィールと最新の所属情報を区別する必要があります。
誤解1:現在も国際医療福祉大学の教授なのか国際医療福祉大学の教授としての在籍期間は、研究者情報では2018年4月から2022年7月までです。
2026年現在の所属として確認できるのは、JIHS危機管理・運営局と、産業医科大学の非常勤教授です。
誤解2:専門は感染症だけなのか感染症は重要な専門分野ですが、それだけではありません。
研究業績には、職業別死亡率、健康格差、職業性ストレス、医療従事者の健康管理なども含まれています。
むしろ、産業保健と公衆衛生を土台に、感染症や健康危機管理へ研究領域を広げてきた人物と捉える方が正確です。
誤解3:JIHSで感染症の診療だけを担当しているのかJIHSの危機管理・運営局に所属していることは確認できますが、個別の診療担当や具体的な日々の職務分担は、公開された肩書だけでは判断できません。
JIHS自体が研究、情報分析、医療提供、人材育成、国際協力などを一体的に進める組織であるため、和田医師の専門である公衆衛生や健康危機管理との関係から理解することが大切です。
和田医師の情報を調べる際の判断基準情報の新しさと正確性を確認するなら、次の順番が参考になります。
1. 所属・役職: JIHSや産業医科大学の公的な掲載情報を確認する。
2. 学歴・職歴: J-GLOBALやresearchmapの研究者情報を参照する。
3. 研究業績: PubMed、科研費の研究成果報告書、専門誌の論文を確認する。
4. 過去の活動: JICAや厚生労働省などの公的な活動記録と照合する。
特に、大学教授時代のプロフィールを現在の所属情報として紹介しているページには注意が必要です。
【和田耕治医師に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:和田耕治医師の現在の勤務先はどこですか?
2026年時点では、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の危機管理・運営局に所属しています。危機管理参事として登録されており、公開資料では同局次長の肩書も確認できます。
Q2:和田耕治医師はどこの大学を卒業していますか?
2000年に産業医科大学医学部を卒業しています。その後、カナダのMcGill大学で産業保健学を学び、2007年に北里大学大学院で博士(医学)を取得しました。
Q3:和田耕治医師の専門分野は何ですか?
公衆衛生、感染症、疫学、健康危機管理、産業保健・労働衛生です。特に職業別の健康格差や医療従事者の感染対策などに研究実績があります。
Q4:国際医療福祉大学の教授は現在も務めていますか?
研究者情報では2022年7月まで教授を務めています。2025年4月からは産業医科大学の産業衛生教授(非常勤)に就任しています。
Q5:2026年の最新の研究活動は何ですか?
2026年8月15日発行の専門誌「公衆衛生」に掲載された「感染症に関連する健康の商業的決定要因(CDoH)」があります。感染症と人の移動、動物との接触、食品、製薬企業などの社会的要因を扱っています。
【プロの結論】和田耕治医師の経歴から見える公衆衛生の専門性
和田耕治医師のキャリアを振り返ると、産業医として働く人々の健康を守る経験から出発し、大学での公衆衛生研究、国際医療協力、製薬企業での経験、そして国立健康危機管理研究機構での危機管理へと発展してきたことが分かります。
特に注目すべき点は3つあります。
第一に、産業保健と感染症対策を結びつけていること。
感染症は患者だけの問題ではありません。医療従事者の職業感染、企業活動への影響、労働環境の変化など、社会全体に関係する課題です。和田医師の研究歴には、こうした複数の視点が反映されています。
第二に、統計データから社会の健康課題を読み解いてきたこと。
職業別死亡率や健康格差の研究は、病気の予防策を個人の努力だけに委ねず、企業や行政の仕組みとして考えるための基礎になります。
第三に、2025年以降のJIHSでの活動です。
感染症危機への対応では、発生してから対策を考えるだけでは十分ではありません。平時からの情報収集、リスク評価、研究、人材育成、医療機関との連携が欠かせません。
2026年8月の論文が感染症と社会環境の関係を取り上げていることも、こうした公衆衛生の視点を理解する手がかりになります。
和田耕治医師は、大学教授という肩書だけでなく、研究・国際協力・産業保健・健康危機管理を横断してきた専門家です。
2026年以降の動向を追う際には、JIHSでの役職だけでなく、感染症対策や公衆衛生に関する研究発表、産業医科大学での活動にも注目すると、その専門性と社会的な役割をより立体的に理解できます。