2026年11月現在、髙島屋堺店はすでに営業を終了しています。1964年10月4日に開店し、南海高野線・堺東駅直結の百貨店として61年間にわたり堺の街を支えてきましたが、2026年1月7日、最後の営業日を迎えました。
閉店の背景には、2020年度から続いた営業赤字と建物賃貸借契約の満了があります。一方、跡地では南海電鉄による商業施設「HiViE(ヒビエ)堺東」へのリニューアルが進み、2026年12月にはスーパー「ライフ」が先行オープンする予定です。閉店に至った経緯から、地元での評判、今後の買い物環境まで整理します。
【閉店理由を検証】髙島屋堺店はなぜ61年で営業終了したのか?

髙島屋堺店の閉店は、単純な店舗整理ではありません。経営面の採算問題と、建物の賃貸借契約のタイミングが重なった結果です。
株式会社髙島屋は2024年12月3日、取締役会で堺店の営業終了を決議しました。
公式発表では、閉店に至った理由として大きく2つの事情が示されています。
1. 2020年度から営業赤字が続いていた最も大きな理由は、長期的な収益性の悪化です。
髙島屋の公式発表によると、堺店は2020年度に営業赤字を計上して以降、赤字基調が続いていました。
同社は、食料品売場の改装や大型テナントの誘致など、営業力を強化する取り組みを実施。業務効率化や人員配置の適正化にも取り組んできました。
しかし、こうした施策を進めても黒字化の見通しは立ちませんでした。
閉店発表資料に記載された2024年2月期の百貨店売上高は、103億3,700万円です。
これは百貨店区画の売上高であり、店舗全体の売場面積には専門店区画も含まれています。
2. 建物賃貸借契約の満了が判断の節目になったもう一つの理由が、建物の賃貸借契約です。
髙島屋堺店が入居していたのは、南海電鉄が運営する南海堺東ビルです。
髙島屋は自社所有の独立店舗として営業していたわけではなく、駅ビル内の核テナントとして長年営業していました。
そのため、契約満了の時期を迎えるにあたり、赤字が続く店舗をそのまま維持するのか、営業を終了するのかという経営判断が必要になりました。
公式発表には、次のように記されています。
黒字化の目処がたっておりません。これらのことから、建物賃貸借契約の満了時期をふまえ、2026年1月をもって堺店の営業を終了することを決定いたしました。
つまり、契約満了だけが原因だったわけではありません。
継続的な営業赤字と将来的な収益改善の難しさがあり、契約満了のタイミングで営業終了を決断したというのが実態です。
なお、閉店発表では、利用客への対応として大阪店と泉北店を中心に引き続きサービスを提供する方針も示されました。
【61年の歴史】1964年の開店から2026年1月7日までの歩み
髙島屋堺店が開店したのは、東京オリンピックが開催された1964年です。
開店日は1964年10月4日。南海高野線の堺東駅に直結する立地で、大阪府下初の郊外型百貨店として地域に根付きました。
南海電鉄の発表によれば、南海堺東ビルは1964年10月に開業し、以来60年以上にわたって髙島屋堺店を核テナントとして運営してきました。
単なる買い物施設ではなく、堺東の街を象徴する存在だったことが分かります。
髙島屋堺店の主な歴史と重要データ| 時期・項目 | 出来事・内容 | 意味・背景 |
|---|---|---|
| 1964年10月4日 | 髙島屋堺店が開店 | 堺東駅前の新たな商業拠点に |
| 1976年 | 南海堺東ビル東館が竣工 | 駅ビルの拡張が進む |
| 1984年 | 北館・駐車場棟が竣工 | 商業施設としての規模を拡大 |
| 1991年度 | 売上高が約300億円に到達 | 売上のピーク |
| 2020年度 | 営業赤字を計上 | 収益環境が悪化 |
| 2024年12月3日 | 営業終了を正式発表 | 契約満了と赤字継続が背景 |
| 2026年1月7日 | 最終営業日 | 61年の歴史に幕 |
| 2026年3月1日 | 地下1階の飲食・サービス店舗の一部が営業再開 | 駅ビルの段階的な再生が始まる |
| 2026年12月上旬予定 | ライフが1階に先行オープン | 日常の買い物機能を再整備 |
| 2027年春頃予定 | HiViE堺東がグランドオープン | 新しい商業施設へ転換 |
※南海電鉄、髙島屋の公表資料および報道情報をもとに整理。
堺東駅直結という立地が持っていた価値堺東駅は南海高野線の主要駅の一つで、堺市役所をはじめとする官公庁街や商店街にも近い場所にあります。
髙島屋堺店は駅と直結していたため、電車を利用する人にとって非常に便利な買い物先でした。
また、百貨店の売場面積は15,957平方メートル、専門店部分は9,438平方メートル。合計25,395平方メートルという規模でした。
2024年11月末時点の従業員数は156人です。
こうした規模を持つ店舗が閉店したことは、地域経済や駅周辺の商業環境にも影響を与える出来事でした。
【最終日の評判と反応】並司店長が伝えた61年間の感謝
髙島屋堺店の評判を振り返ると、特に目立つのが地域住民との強いつながりです。
2026年1月7日の最終営業日には、多くの人が来店し、長年親しんできた店舗との別れを惜しみました。
並司店長の最後のあいさつ閉店時には、並司司(なみ・つかさ)店長が集まった来店客に向けて感謝を伝えました。
WWDJAPANの閉店当日の取材記事では、次の言葉が紹介されています。
高島屋堺店ではなく、堺の町の高島屋、そう言われるように歴代がんばってまいりました。
この言葉には、堺店が単に商品を販売する場所ではなく、地域に根差した存在であり続けようとしてきた姿勢が表れています。
並店長は、閉店発表当初について「最初は悔しさの方が大きかった」と振り返っています。
しかし、閉店までの約1年間を単なる撤退準備にせず、顧客への感謝を伝える期間にしようとスタッフと取り組んできたことも明かしています。
7,000枚を超えたメッセージカード閉店に向けて開催された「堺タカシマヤ61年の歩み展」では、顧客から寄せられたメッセージカードや思い出の写真が展示されました。
WWDJAPANの報道によれば、メッセージカードは7,000枚を超えたといいます。
そこには、幼い頃に母親と訪れた思い出、屋上のプレイランドで遊んだ記憶、家族の祝い事で利用した経験など、さまざまな思いが記されていました。
MBSニュースの取材では、41年間にわたって食品売場で働いた梅木雅子さんの姿も紹介されています。
梅木さんは長年の勤務を振り返り、髙島屋堺店について次のように語りました。
高島屋堺店はわたしにとっては宝箱かなと思っています。
この言葉は、店舗の価値が売上高や売場面積だけでは測れないことを示しています。
地元で評価されていたポイント報道で紹介された利用客の声から、髙島屋堺店の評判には次のような特徴が見えてきます。
- アクセスの良さ: 堺東駅直結で、日常的に立ち寄りやすかった。
- 百貨店としての安心感: きちんとした贈答品や衣料品を購入できる場所だった。
- 食品売場の親しみやすさ: 食品や催事を通じて、日常的に利用されていた。
- 長年の接客: 顔なじみの従業員との関係が築かれていた。
- 世代を超えた思い出: 親子や祖父母と孫の世代で利用されていた。
MBSの取材では、近年の売上の半分以上を食料品が占めていたことも紹介されています。
この点は重要です。
堺店は高級品を購入するためだけの百貨店ではなく、食品や催事を楽しむ日常的な商業施設としても利用されていたのです。
【2026年11月現在】跡地はどうなった?HiViE堺東への再開発計画
髙島屋堺店の跡地について、2026年現在の状況を知りたい人も多いでしょう。
結論から言えば、建物を取り壊して更地にするのではなく、南海電鉄が南海堺東ビルを改修し、新たな商業施設へ転換する計画が進んでいます。
新施設の名称は、HiViE(ヒビエ)堺東です。
南海電鉄は2024年12月3日にリニューアル計画を発表し、2026年2月24日には全館グランドオープンの時期などを公表しました。
2026年12月にはスーパー「ライフ」が先行オープン特に注目されているのが、1階へのスーパーマーケット「ライフ」の出店です。
NANKAIが2026年7月21日に発表した内容は次のとおりです。
| 項目 | 発表内容 |
|---|---|
| 新施設名 | HiViE堺東 |
| 出店店舗 | ライフ |
| 開業時期 | 2026年12月上旬予定 |
| フロア | 1階 |
| 営業時間 | 10時~21時 |
| 店舗面積 | 約1,800平方メートル |
| 全館開業 | 2027年春頃予定 |
2026年11月6日現在、ライフの開店はまだ先で、具体的な営業開始日は公表された予定時期の範囲にとどまっています。
すでに営業を再開した店舗もある髙島屋堺店の営業終了後、駅ビル全体が完全に使えなくなったわけではありません。
南海電鉄によると、2026年3月1日から地下1階の飲食・サービス店舗11店舗が営業を再開しています。
また、改修計画では以下のようなフロア構成が示されています。
- 地下1階:飲食・サービス
- 1階:スーパーマーケット「ライフ」・金融機関
- 2階:食料品販売
- 3階:ファッション・雑貨・カフェ
- 4~6階:ファッション・雑貨・サービス
- 7~9階:サービス・クリニック
7~9階のサービス・クリニックフロアは営業を継続しており、4~6階も一部で営業が続いています。
百貨店からショッピングセンターへ変わる意味今回のリニューアルで注目すべきなのは、商業施設の役割そのものが変わる点です。
従来の髙島屋堺店は、衣料品、贈答品、食品、催事などを幅広く扱う百貨店でした。
一方、HiViE堺東は、通勤・通学で駅を利用する人や沿線住民の日常生活に密着したショッピングセンターを目指しています。
南海電鉄は「より良い毎日に“Direct SC”」をコンセプトに掲げています。
つまり、百貨店という業態は終了しても、堺東駅周辺の商業拠点としての機能は維持・再構築していく方針です。
髙島屋の閉店をもって堺東の買い物環境が終わったわけではありません。
【閉店後の買い物先】大阪店・泉北店はどう使い分ける?
髙島屋堺店の閉店後も、髙島屋の商品やサービスを利用したい場合は、大阪店と泉北店が主な代替先になります。
これは髙島屋自身が2024年12月の営業終了発表で案内していた方針です。
1. 髙島屋大阪店:幅広い百貨店商品を探したい人向け大阪店は大阪市中央区難波5丁目1番5号にあります。
南海なんば駅に近く、地下鉄なんば駅からもアクセスしやすい大型百貨店です。
営業時間は原則10時から20時までです。
婦人服、紳士服、化粧品、食品、贈答品、ブランド商品など、百貨店ならではの幅広い商品を探す場合に適しています。
特に、堺店で購入していた百貨店ブランドの商品や、フォーマル用品、特別な贈り物などを探す人には有力な選択肢です。
2. 髙島屋泉北店:堺市内で買い物を続けたい人向け泉北店は大阪府堺市南区茶山台1-3-1にあります。
泉ヶ丘エリアに位置し、堺市内で引き続き髙島屋を利用したい人にとって便利な店舗です。
営業時間は10時から19時までです。
食品や日用品、衣料品などを購入する場合、堺市内で買い物を完結させたい人に向いています。
3. 代替店舗の比較| 比較項目 | 大阪店 | 泉北店 |
|---|---|---|
| 所在地 | 大阪市中央区難波 | 堺市南区茶山台 |
| 主な特徴 | 大型百貨店 | 地域密着型百貨店 |
| 営業時間 | 10時~20時 | 10時~19時 |
| 向いている買い物 | ブランド・贈答品・幅広い商品 | 食品・衣料品・日常の買い物 |
| 利用の目安 | なんば方面へ出かける人 | 堺市南部・泉ヶ丘方面の人 |
※営業時間は通常の案内です。催事や臨時変更については各店舗の公式情報をご確認ください。
4. 友の会のお買物カードは閉店後も使える?堺店を利用していた人が気になるのが、タカシマヤ友の会の会員証・お買物カードです。
タカシマヤ友の会の公式案内では、堺店の営業終了後も、お買物カードは国内の対象店舗やオンラインサービスで引き続き利用できるとされています。
大阪店や泉北店も利用可能店舗に含まれています。
また、高島屋オンラインストア、TBEAUT、タカシマヤ通信販売、ローズキッチンなども対象です。
ただし、店舗や専門店によって利用対象外の売場・商品があります。利用前に最新の対象店舗一覧を確認しておくと安心です。
【プロの結論】髙島屋堺店の閉店が示す百貨店と地域商業の転換点
髙島屋堺店の閉店を、単に「赤字だから閉店した」という一言で片付けるのは適切ではありません。
今回の出来事から読み取れるのは、地域に愛される店舗であっても、事業として持続できる収益構造を維持することは簡単ではないという現実です。
地域から愛されることと黒字経営は別の問題61年間営業を続け、7,000枚を超えるメッセージカードが寄せられた事実は、地域での存在感を物語っています。
一方、顧客から支持されていることが、そのまま企業の利益につながるとは限りません。
消費者の購買行動の変化、オンラインショッピングの普及、郊外型百貨店の競争環境など、店舗経営を取り巻く条件は大きく変わっています。
加えて、駅直結という利便性があっても、百貨店としての売場面積や運営コストを維持しながら黒字化することは容易ではありません。
堺店の場合、地域ニーズに合わせた改装やテナント誘致を進めても、最終的に収益改善の見通しが立たなかったことが公式発表から読み取れます。
跡地活用で注目すべきは日常利用の回復今後の堺東にとって重要なのは、HiViE堺東がどれだけ地域の日常生活に定着するかです。
特に、1階に予定されているライフの出店は大きな意味を持ちます。
百貨店のように特別な買い物をする場所から、食品や日用品を日常的に購入する場所へと役割を変えることで、駅利用者の来館機会を増やす狙いがあります。
ただし、百貨店時代に利用できたブランドや贈答品売場、専門的なサービスがそのまま戻るわけではありません。
そのため、今後の評価では、単純な店舗数だけでなく、食品、ファッション、サービス、飲食などのバランスを見る必要があります。
今後の堺東で注目したい3つのポイント1. ライフの営業開始と利用状況: 2026年12月上旬の先行オープンによって、日常の買い物環境がどの程度改善するか。
2. 2027年春の全館開業: 2~6階を中心としたテナント構成がどのようになるか。
3. 百貨店利用者の購買先の変化: 大阪店・泉北店とHiViE堺東が、それぞれ異なる需要をどの程度取り込めるか。
髙島屋堺店が築いてきた地域との関係を、新しい施設がどのように引き継ぐのかが今後の焦点です。
【髙島屋堺店の現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:髙島屋堺店はいつ閉店しましたか?
A1:2026年1月7日(水)に営業を終了しました。1964年10月4日の開店から61年間、堺東駅直結の百貨店として営業を続けてきました。
Q2:髙島屋堺店の閉店理由は何ですか?
A2:2020年度に営業赤字を計上して以降、赤字基調が続き、将来的な黒字化の見通しも立たなかったためです。建物賃貸借契約の満了時期も踏まえて、髙島屋が営業終了を決定しました。
Q3:髙島屋堺店の跡地には何ができますか?
A3:南海電鉄が商業施設「HiViE堺東」へのリニューアルを進めています。2026年12月上旬には1階にスーパーのライフが先行オープンする予定で、全館グランドオープンは2027年春頃の予定です。
Q4:髙島屋堺店の閉店後はどこで買い物できますか?
A4:髙島屋大阪店と泉北店が主な代替店舗です。大阪店は大阪市中央区難波、泉北店は堺市南区茶山台にあります。
Q5:堺店で使っていた友の会のお買物カードはどうなりますか?
A5:堺店の営業終了後も、対象となる高島屋各店やオンラインサービスで利用できます。大阪店や泉北店も対象ですが、売場や商品によって利用条件が異なります。
Q6:髙島屋堺店は何年に開店しましたか?
A6:1964年10月4日です。大阪府下初の郊外型百貨店として開店し、堺東の商業拠点として親しまれてきました。
髙島屋堺店は、2026年1月7日に61年間の営業を終了しました。
閉店の直接的な背景は、2020年度以降の営業赤字継続と建物賃貸借契約の満了時期です。地域に長く愛されてきた店舗であっても、収益性を確保できなければ営業を継続することは難しいという、百貨店業界の厳しい現実が表れています。
一方、跡地では南海電鉄によるHiViE堺東への再整備が進行中です。2026年12月上旬にはライフが先行オープンし、2027年春頃には全館グランドオープンが予定されています。
髙島屋堺店という百貨店はなくなりましたが、堺東駅周辺の商業拠点としての役割は次の段階へ進みます。
61年間、地域住民の暮らしに寄り添ってきた場所が、これからどのような街の風景をつくっていくのか。HiViE堺東の今後の展開に注目が集まります。
主な根拠資料:髙島屋の2024年12月3日付公式発表、南海電鉄の2024年・2026年発表、WWDJAPANの2026年1月の取材記事、MBSニュースの閉店特集、髙島屋各店の公式案内。