日本とブラジルのサッカー交流は、1989年の国際親善試合から続いている。長い対戦史を振り返ると、ブラジルが圧倒的な優位を保ってきた一方、日本も少しずつ競争力を高めてきたことが分かる。
2025年10月14日の勝利は、それまでの14試合で一度も勝てなかった日本にとって、大きな転換点だった。しかし、2026年W杯ではブラジルが再び勝利。歴史的初勝利を挟んでも、実力差を完全に埋めたわけではない。
日本対ブラジルの歴代15試合一覧以下は男子A代表の国際試合を対象にした対戦記録だ。2026年W杯終了時点で、日本の通算成績は1勝2分12敗となっている。
出典:日本サッカー協会の大会記録、対戦データベースなど。スコアは日本代表から見た表記。
対戦成績から読み取れる3つの転換点2001年・2005年:初めて引き分けに持ち込む
2001年のコンフェデレーションズカップでは0-0、2005年には2-2。世界屈指の強豪を相手に、単に守るだけでなく得点を奪える可能性を示した。
2006年:W杯で突きつけられた実力差
ドイツ大会のグループステージでは1-4で敗戦。ブラジルの攻撃力と試合運びの巧みさが、日本にとって大きな課題として残った。
2025年・2026年:初勝利とW杯での再逆転
2025年に初勝利を挙げたものの、翌年のW杯では1-2で敗れた。親善試合で勝てることと、W杯の決勝トーナメントで勝ち切ることは別の課題だ。
【2025年10月14日の歴史的快挙】日本がブラジルに3-2で初勝利した理由

2025年10月14日、東京スタジアムで開催されたキリンチャレンジカップ2025。日本代表はブラジル代表に2点を先行されながら、後半に3得点を挙げて3-2の逆転勝利を収めた。
日本サッカー協会の公式試合レポートによれば、これはブラジルとのA代表対戦14試合目にして初めての勝利だった。
前半は0-2。それでも森保ジャパンが崩れなかった理由試合序盤、日本は3-4-2-1のシステムを採用。佐野海舟と鎌田大地をボランチに置き、堂安律と中村敬斗をウイングバックに配置した。
ブラジルはヴィニシウス・ジュニオールらを中心に攻撃を組み立て、26分に先制。さらに32分にはガブリエウ・マルティネッリが追加点を決めた。
日本は前半を0-2で終えたが、試合を諦めなかった。
転機になったのは後半の守備強度と前線からのプレッシングだった。
南野拓実、中村敬斗、上田綺世が決めた3ゴール
52分・南野拓実
堂安律、鎌田大地、上田綺世らが前線からプレスをかけ、ブラジルのボールを奪取。こぼれ球を南野が右足で決め、日本が2-1と追い上げた。
同点弾・中村敬斗
久保建英に代わって入った伊東純也が右サイドを突破し、正確なクロスを供給。ファーサイドに走り込んだ中村が合わせ、2-2とした。
逆転弾・上田綺世
70分、伊東純也のコーナーキックに上田が高い打点のヘディングで合わせた。日本がついに3-2と逆転した。
日本サッカー協会の公式レポートでは、3得点はいずれも後半に記録されている。終盤のブラジルの反撃に対しても、日本は鈴木彩艶の好セーブなどでリードを守り切った。
森保一監督の戦術変更が勝利を引き寄せたこの試合の要点は、単純な守備力の向上だけではない。
前半の日本はブラジルのサイド攻撃に対応するため、守備時に5-4-1の形まで下がる場面があった。相手にボールを保持され、攻撃への移行も難しい展開だった。
しかし、後半は前線からのプレスを強化。相手のミスを誘い、奪った瞬間にゴールへ向かう姿勢を明確にした。
日本サッカー協会の記録では、ボール支配率は日本37.9%、ブラジル62.1%。日本はボールを長く保持するのではなく、奪取後の速い攻撃とセットプレーを生かして勝利した。
つまり、この勝利はブラジルよりも技術的に優れていたことを示すものではない。相手の強みを理解し、試合の流れに応じて戦い方を変えたことが大きかった。
【2026年FIFAワールドカップ】ブラジル戦1-2の結果と佐野海舟のゴール
2026年6月29日(現地時間)、アメリカのヒューストン・スタジアムで、日本代表とブラジル代表がFIFAワールドカップの決勝トーナメント1回戦で対戦した。
結果はブラジル2-1日本。
2025年の歴史的勝利を経て迎えた再戦だったが、ブラジルが試合終盤に決勝点を奪い、日本のW杯はここで終わった。
佐野海舟が29分に先制ゴール日本は序盤から守備組織を維持し、ボールを奪った後の速攻を狙った。
そして29分、佐野海舟がブラジルのパスを中盤でカット。中央を持ち上がり、ペナルティーエリア外から低く正確なシュートを放った。
ボールはゴール隅に吸い込まれ、日本が1-0と先制する。
佐野にとって、このゴールはブラジル相手の大舞台で自身の存在感を示す重要な得点となった。2025年の歴史的勝利では中盤の守備を担い、2026年W杯では自ら得点を決める選手へと役割を広げた。
カゼミーロの同点弾とマルティネッリの決勝点前半を1-0で折り返した日本だったが、後半はブラジルの攻撃が強まった。
56分、ブラジルのセンターバックが前線に進出して右からクロスを供給。カゼミーロがファーサイドでヘディングを決め、1-1となった。
その後、日本は守備に追われる時間が増加。森保監督は66分に堂安律と中村敬斗を交代させ、さらに78分には田中碧と町野修斗を投入した。
しかし、ブラジルの圧力を完全には止められなかった。
そして後半アディショナルタイム、ブラジルがボールを奪い返して攻撃を展開。ガブリエウ・マルティネッリがシュートを決め、2-1と逆転した。
日本は最後まで追いつくことができず、試合終了。W杯の決勝トーナメント1回戦で敗退した。
2025年の勝利と2026年の敗戦は何が違ったのか両試合を比較すると、興味深い共通点と相違点が見えてくる。
- 2025年は後半の積極的なプレスで相手のミスを誘発した。
- 2026年は佐野海舟の先制点で理想的な展開を作った。
- しかし2026年は後半にブラジルの中盤が前進し、日本が自陣に押し込まれた。
- 2025年は攻撃を継続して逆転したが、2026年は守備に費やす時間が長くなった。
W杯の敗戦は、ブラジルとの実力差が依然として残っていることを示すと同時に、日本が世界トップクラスの相手に先制できる力を持っていることも示した。
【日本代表とブラジル代表の実力比較】注目選手と戦術の違い
日本代表
SAMURAI BLUE
組織的な守備、連動したプレス、素早いトランジションが特徴。
ブラジル代表
Seleção Brasileira
個人技、突破力、攻撃の選択肢の多さが大きな強み。
両国の実力を比較するとき、単純な勝敗だけで判断するのは十分ではない。
ブラジルはFIFAワールドカップで歴代最多の5回の優勝を誇る。優勝年は1958年、1962年、1970年、1994年、2002年。長年にわたって世界のトップレベルを維持してきたサッカー大国だ。
一方、日本は欧州主要リーグでプレーする選手が増え、個人の技術や戦術理解、フィジカル面でも成長を続けている。
日本とブラジルの強みを比較日本代表の強み
- 複数選手が連動する組織的な守備
- 前線からのプレッシング
- 攻守の切り替えの速さ
- サイドを使った速攻
- セットプレーでの得点力
ブラジル代表の強み
- 個人で局面を打開できる技術
- ドリブルとパスを組み合わせた攻撃
- 中盤からのゲームコントロール
- サイドからのクロスと中央突破
- 選手交代による攻撃の強度維持
2026年W杯の対戦では、後半にブラジルの中盤が前進し、日本の守備ブロックを押し下げた。これは日本が今後改善すべきポイントの一つだ。
注目選手の役割と両国の関係前線での連動性とゴール前の判断力が武器。2025年のブラジル戦では反撃の口火を切るゴールを記録した。
サイドからの突破と得点力を備えるアタッカー。2025年にはブラジル相手に同点ゴールを決めた。
高さとポジショニングを生かしたストライカー。2025年の決勝点は、セットプレーにおける準備と動き出しが光った。
中盤のボール奪取と前進力が持ち味。2026年W杯ではブラジルから先制点を奪った。
中盤での守備と試合の安定化を担う。2026年W杯では日本の守備を破る同点ゴールを決めた。
スピードとゴール前への侵入が特徴。2025年の対戦で得点し、2026年W杯では決勝点を記録した。
日本代表がブラジル代表を上回るためには、ボール支配率を高めることだけが正解ではない。
2025年の勝利が証明したように、相手のビルドアップに対して前線から圧力をかけ、ボールを奪った直後に複数人で攻撃へ移行する方法は有効だ。
ただし、2026年W杯では、後半に押し込まれたことで攻撃に出る余力が失われた。
今後は次の3点が勝敗を分ける。
1. 中盤の強度を90分間維持すること: 佐野海舟らがボールを奪うだけでなく、奪った後のパスコースを確保する必要がある。
2. 守備から攻撃への出口を複数作ること: 上田綺世への縦パスや、堂安律、中村敬斗らのサイド攻撃を使い分けたい。
3. 選手交代で試合の流れを変えること: ブラジルの交代選手に対応できるよう、後半の攻撃的な選択肢を準備する必要がある。
【2026年11月14日の日本対ブラジル】最新日程・代表メンバー・見どころ
次の日本対ブラジル戦は、2026年11月14日にシンガポールで開催される。
日本サッカー協会は11月4日に代表メンバーとスケジュールを発表。大会名は「MIZUHO BLUE CHALLENGE THE KALLANG FOOTBALL SERIES SINGAPORE」で、ブラジル戦とパラグアイ戦が組まれている。
11月14日の試合概要日本代表 vs ブラジル代表
日本代表
ブラジル代表
開催日
2026年11月14日(土)
キックオフ
18:15(シンガポール現地時間)
会場
シンガポール・ナショナルスタジアム
大会
国際親善試合
日本時間
19:15
日本サッカー協会の2026年11月4日発表に基づく。開始時刻は変更される場合がある。
11月14日のブラジル戦に向けて、森保一監督は28人を招集した。
注目は、2025年の歴史的勝利に貢献した選手たちが再びメンバーに名を連ねていることだ。
注目の招集選手
- GK:鈴木彩艶、早川友基、小久保玲央ブライアン
- DF:板倉滉、渡辺剛、町田浩樹、伊藤洋輝、菅原由勢、鈴木淳之介
- MF・FW:南野拓実、鎌田大地、伊東純也、堂安律、三笘薫ではなく今回は招集外、中村敬斗、久保建英、佐野海舟、前田大然、田中碧、鈴木唯人ら
※上記は注目選手の抜粋。全28人の正式メンバーはJFAの2026年11月4日発表に掲載されている。
今回のメンバーには、ドイツ、イングランド、フランス、オランダなど海外クラブでプレーする選手が多く含まれる。佐野海舟や中村敬斗、南野拓実など、過去のブラジル戦で結果を残した選手の再挑戦にも注目したい。
11月14日の試合で注目したい3つのポイント1. 佐野海舟が中盤でブラジルの攻撃を止められるか
2026年W杯でゴールを決めた佐野は、今回も重要な存在となる。ボール奪取だけでなく、奪った後に前線へボールを運べるかがポイントだ。
2. 南野拓実と中村敬斗が再び得点に絡むか
2025年の勝利を知る2人が、ブラジルの守備にどのような変化を生み出すのか。特にサイドから中央への連係は注目したい。
3. W杯で露呈した後半のスタミナと守備対応を改善できるか
2026年の敗戦では、後半にブラジルの中盤が前進し、日本が自陣に押し込まれた。交代選手を含めて、試合終盤まで攻撃の出口を確保できるかが重要になる。
なお、11月14日の試合はW杯の再戦ではなく国際親善試合だ。勝敗だけでなく、森保監督がどの選手を組み合わせ、どの戦術を試すかも評価したい。
【日本ブラジルサッカーの今後】次の対戦で歴史は変わるのか
2025年の3-2は、日本代表にとって長年の壁を破った試合だった。2026年W杯の1-2は、ブラジルとの間に残る課題を改めて浮き彫りにした。
両試合から分かるのは、日本には世界的な強豪から得点を奪い、勝利する力がある一方で、試合全体をコントロールする能力には改善の余地があるということだ。
特に、相手が戦い方を変えた後にどう対応するかが大きなテーマとなる。
今後の対戦で注目すべき評価基準- 攻撃面: ブラジルの守備ブロックを崩す回数と決定機の質。
- 守備面: サイド攻撃やクロスへの対応、中盤のセカンドボール回収。
- 選手層: 先発選手だけでなく、途中出場の選手が試合の流れを変えられるか。
- 戦術面: 前線からのプレスと自陣で守る時間のバランス。
- 精神面: 先制された場合やリードを失った場合にも、チームとして冷静に対応できるか。
ブラジルに勝ったという過去の実績だけで、今後の対戦も優位に進められると考えるのは早い。反対に、W杯で敗れたからといって、日本の成長が止まったわけでもない。
11月14日の試合は、2025年の勝利と2026年の敗戦をどのように次の成長につなげたのかを確認できる機会になる。
【ブラジル日本サッカー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本代表とブラジル代表の通算対戦成績は?
A1:2026年W杯終了時点で、男子A代表の対戦成績は日本の1勝2分12敗です。2025年10月14日に日本が初勝利を挙げ、2026年6月29日のW杯ではブラジルが2-1で勝利しました。
Q2:日本がブラジルに初めて勝った試合の得点者は?
A2:2025年10月14日のキリンチャレンジカップで、南野拓実、中村敬斗、上田綺世が得点しました。日本は0-2から3-2に逆転しています。
Q3:2026年W杯の日本対ブラジル戦の結果は?
A3:2026年6月29日(現地時間)の決勝トーナメント1回戦で、ブラジルが2-1で勝利しました。日本は29分に佐野海舟が先制しましたが、カゼミーロとマルティネッリのゴールで逆転されました。
Q4:次の日本対ブラジル戦はいつ?
A4:2026年11月14日(土)、シンガポール・ナショナルスタジアムで開催予定です。キックオフは現地時間18時15分、日本時間19時15分です。
Q5:ブラジル代表はW杯で何回優勝している?
A5:ブラジルはFIFAワールドカップで5回優勝しています。1958年、1962年、1970年、1994年、2002年の5大会です。
ブラジルと日本のサッカー対決は、長年の歴史を経て新しい段階に入った。
2025年10月14日の3-2は、日本代表がブラジルに初めて勝った歴史的な試合だった。南野拓実、中村敬斗、上田綺世の活躍は、日本の攻撃力と戦術的な対応力を世界に示した。
しかし、2026年W杯では佐野海舟の先制点を生かし切れず、1-2で敗戦。ブラジルの個人能力と試合終盤の修正力が、日本にとって依然として高い壁であることも明らかになった。
そして、2026年11月14日にはシンガポールで再戦が予定されている。
今後の日本代表に求められるのは、一度の歴史的勝利に満足することではない。強豪国に対して90分間戦い続ける力を身につけ、親善試合だけでなくW杯の決勝トーナメントでも結果を残すことだ。
ブラジルに勝てる日本から、ブラジルに何度でも勝負を挑める日本へ。 11月14日の一戦は、その成長を測る重要な試合となる。