金星という言葉は、現在では大相撲を代表する用語の一つですが、実は日本相撲協会の規定における正式な制度名ではありません。
協会の制度上は、横綱を破った平幕力士の持ち給金に10円を加算する仕組みが定められており、「金星」はその勝ち星を指す通称として定着しています。
金星制度の主な歴史- 大正時代: 金星という呼び方が相撲界やファンの間で使われ始める。
- 1930年1月場所: 横綱を倒した平幕力士の勝ち星が、力士褒賞金の昇給対象として制度化される。
- 1947年: 優勝決定戦が始まる。平幕が決定戦で横綱に勝っても金星にはならない。
- 1991年5月場所: 貴花田が18歳9カ月で千代の富士を破り、最年少金星記録を樹立。
- 2025年7月場所: 玉鷲が40歳8カ月6日で金星を獲得し、昭和以降の最年長記録を更新。
- 2026年9月場所: 高安が横綱・大の里を破り、7個目の金星を獲得。
18歳9カ月
1991年5月場所初日、千代の富士を寄り切りで破った。後に大横綱となる若き力士が起こした世代交代を象徴する一番だった。
玉鷲
40歳8カ月6日
2025年7月22日、横綱・大の里を破って8個目の金星を獲得。
この2人の記録は、金星という制度の面白さをよく表しています。
貴花田は若さと勢いで大横綱を倒し、玉鷲は長年にわたって培った経験と技術で横綱を破りました。金星には、単なる番狂わせだけでなく、力士のキャリアや時代の変化を映す側面があります。
横綱側の記録「金星配給」にも注目金星を獲得する側だけでなく、横綱が平幕に敗れて金星を与えた数にも記録があります。
2026年9月場所までの集計では、歴代最多は第55代横綱・北の湖の53個です。
続いて日馬富士が40個、輪島と貴乃花が39個で並びます。
金星配給が多いからといって、横綱としての実績が低いというわけではありません。横綱として長く土俵に立ち、平幕力士との取組を数多く経験すれば、それだけ金星を与える機会も増えます。
横綱の在位期間や対戦回数も合わせて見ることが、記録を正しく理解するポイントです。
【プロの結論】金星の価値は個数だけでは測れない

金星を評価するとき、獲得数だけを比較するのは十分ではありません。
その理由は、金星の成立が番付に左右される制度だからです。
例えば、同じ力士でも前頭にいるときは横綱を倒せば金星になりますが、関脇に昇進すると、同じ横綱を倒しても金星にはなりません。
つまり、実力が上がって三役に昇進した結果、金星を獲得する機会がなくなることもあるのです。
金星ランキングを正しく読むための3つの判断基準1.獲得数と現役期間を分けて考える
安芸乃島の16個は圧倒的な記録ですが、金星を獲得できる番付で長期間活躍したことも背景にあります。単純に現役力士の獲得数と比較するだけでは、実績の全体像は見えません。
2.三役への昇進歴も考慮する
高安や大栄翔のように三役以上を経験した力士は、平幕に戻ったときに金星を積み上げる機会があります。三役での横綱撃破は金星にならないため、勝利数と金星数には差が生じます。
3.現役と引退力士の記録を混同しない
遠藤や北勝富士の7個という数字は歴史的な実績です。しかし、2026年の現役ランキングに入れることはできません。現役力士の順位を調べるときは、引退時期と最新の番付を確認する必要があります。
金星は、力士の強さだけでなく、番付制度、横綱との対戦機会、現役生活の長さが組み合わさって生まれる記録です。
【相撲の金星に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:相撲の金星1個はいくらもらえますか?
金星1個につき、力士褒賞金の持ち給金が10円加算されます。支給倍率の4,000倍を掛けると、1場所あたり4万円の増額です。年間6場所なら24万円相当になります。
Q2:大関や関脇が横綱に勝っても金星になりますか?
なりません。金星の対象は幕内の平幕力士だけです。大関・関脇・小結が横綱に勝った場合は、殊勲の白星として扱われます。
Q3:歴代最多の金星を持つ力士は誰ですか?
元関脇の安芸乃島です。通算16個を獲得しており、2026年11月時点でも歴代1位の記録です。
Q4:2026年現在、現役で最も金星が多い力士は誰ですか?
玉鷲の8個です。続いて高安の7個、大栄翔の6個となっています。
Q5:金星を獲得した後に大関へ昇進すると記録は消えますか?
消えません。金星は獲得した当時の番付によって判定され、その後に三役や大関へ昇進しても通算記録として残ります。
Q6:銀星と金星は同じように報奨金がもらえますか?
違います。銀星は平幕が大関を破った場合の俗称で、金星のような力士褒賞金の加算制度はありません。
相撲の金星は、幕内の平幕力士が本場所の本割で横綱を破ったときに認められる特別な勝ち星です。
獲得には番付や勝負の成立条件があり、三役以上の力士が横綱を倒しても金星にはなりません。
金星1個につき持ち給金が10円増え、4,000倍の支給倍率によって本場所ごとに4万円相当の褒賞金が加算される仕組みも、大きな特徴です。
2026年11月時点で押さえておきたい記録は次のとおりです。
- 歴代最多: 安芸乃島の16個
- 現役最多: 玉鷲の8個
- 現役2位: 高安の7個
- 現役上位: 大栄翔の6個
- 最年少記録: 貴花田の18歳9カ月
- 昭和以降の最年長記録: 玉鷲の40歳8カ月6日
今後の注目は、41歳で幕内に復帰した玉鷲が9個目を獲得できるか、そして7個の高安がどこまで記録を伸ばすかという点です。
横綱の強さが際立つほど、平幕力士がその牙城を崩した瞬間の価値も高まります。金星の数字を知ってから取組を見ると、一番の勝敗だけでなく、力士が積み重ねてきたキャリアや相撲界の歴史まで楽しめるようになります。
記事の記録基準:2026年11月6日。2026年11月場所の番付と、確認できる直近の本場所終了時点の獲得数を基準に整理。