稲荷卓央は、舞台を中心にテレビドラマや映画でも活動する日本の俳優だ。読み方は「いなり・たくお」。劇団唐組の劇団員であり、長年にわたって唐十郎作品に出演してきた。
2026年11月現在、56歳。基本プロフィールは次のとおりだ。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 名前 | 稲荷卓央 |
| 読み方 | いなり たくお |
| 生年月日 | 1970年1月16日 |
| 年齢 | 56歳(2026年11月現在) |
| 出身地 | 北海道網走市 |
| 身長 | 172cm |
| 所属劇団 | 劇団唐組 |
| 入団年 | 1991年 |
| 特技 | 空手(初段) |
| 趣味 | 料理 |
| 職業 | 俳優 |
これらは劇団唐組と東映東京撮影所の公開プロフィールに掲載されている情報だ。生年月日や出身地についても両者の記載は一致している。
北海道網走市から東京へ。俳優を志したきっかけ稲荷卓央が俳優を目指すようになった背景には、映画と演劇との出会いがある。
過去のインタビューでは、北海道網走市で過ごした高校時代について、地元には映画館が1軒ほどしかなく、演劇に触れる機会も限られていたと振り返っている。
俳優を意識するきっかけの一つになったのが、小林薫の出演作だった。さらに高校時代に森田芳光監督の映画『それから』を観たことも印象に残っていたという。
その後、唐十郎や野田秀樹、つかこうへいといった演劇人の名前に触れ、東京で実際に唐十郎の舞台を観劇する。
本人は当時の衝撃を次のように語っている。
そこで衝撃を受けちゃって。唐さんはもちろん、大久保鷹さんとか。もう震えちゃって、4,5回観に行きましたね。
特に印象に残った演目は『セルロイドの乳首』。この観劇が劇団唐組に入りたいと思う決定打になったと明かしている。
単に俳優という職業に憧れたのではなく、特定の劇団の舞台に衝撃を受け、その世界に入りたいと考えたことが、稲荷のキャリアを理解するうえで要点だ。
【劇団唐組での経歴】1991年の入団から舞台の中心俳優へ

1991年に劇団唐組へ入団。
稲荷卓央の俳優人生を語るうえで欠かせないのが、劇作家・唐十郎の作品を上演する劇団唐組での活動だ。
唐組は、紅テントを使った公演でも知られる劇団。一般的な商業劇場とは異なる独特の空間と、唐十郎が生み出す幻想的でエネルギッシュな戯曲を特徴としている。
稲荷は入団後、長年にわたって劇団の作品に出演。東映東京撮影所の公式プロフィールでも「劇団唐組看板俳優」と紹介され、多くの作品で主演を務めてきたと説明されている。
劇団唐組での主な代表作劇団唐組の公式プロフィールには、次の作品が代表作として掲載されている。
- 2004年『泥人魚』
- 2009年『盲導犬』
- 2013年『鉛の兵隊』
- 2019年『ビニールの城』
- 2022年『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』
これらは長年にわたる舞台活動の一部であり、稲荷が唐十郎作品の世界を継続的に担ってきたことを示している。
劇団外でも主演を経験。幅広い舞台活動稲荷の舞台活動は唐組だけにとどまらない。
劇団唐組の公開出演記録などには、次のような作品も確認できる。
- 2000年:新宿梁山泊『吸血姫』肥後守役
- 2007年:結城座『森の中の海』
- 2013年:新宿梁山泊『風のほこり』水守三郎役
- 2014年:オフィスコットーネ『密会』
- 2015年:プロジェクト・ニクス『新宿版 千一夜物語』
- 2018年:唐組VS東京乾電池『嗤うカナブン』アラン役
- 2022年:パルコステージ『幽霊はここにいる』
主演を務めた作品もあり、劇団内での活動と外部プロジェクトへの参加を両立してきた。
この経歴から見えてくるのは、特定の劇団だけに依存する俳優ではなく、異なる演出家や劇団の作品にも参加できる舞台俳優としての柔軟性だ。
【稲荷卓央の経歴年表】映画・ドラマ・舞台の出演歴を整理
稲荷卓央のキャリアは、舞台を出発点としながら、テレビドラマや映画へと活動領域を広げてきた流れに特徴がある。
主要な出来事を時系列で整理すると、次のようになる。
大河ドラマ関連では、検索時に混同されやすい情報がある。
2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』で稲荷が演じたのは、跡部勝資(あとべ・かつすけ)だ。武田勝頼の重臣として記録されている。
一方、2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では、徳川慶勝を演じた。
つまり、徳川慶勝は『真田丸』ではなく『青天を衝け』の出演情報である。2作品の役名を混同しないことが大切だ。
『半沢直樹』への出演2020年、稲荷卓央はTBS日曜劇場『半沢直樹』第2話に出演した。
さらに同年の『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ』にも出演記録がある。
東映東京撮影所は2020年7月、稲荷の第2話出演を事前告知していた。ドラマでは堺雅人、賀来賢人、南野陽子らが出演する電脳雑伎集団をめぐる買収騒動が描かれた。
なお、公開プロフィールで確認できるのは出演話数であり、稲荷の役名まで一律に掲載されているわけではない。出演した事実と、役名の特定は分けて理解したい。
朝ドラ『ちむどんどん』では真境名商事専務役2022年のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』では、第3週に出演。
演じたのは、真境名商事の専務だ。
主人公・比嘉暢子を黒島結菜が演じた同作は、沖縄から東京へと舞台を移しながら、料理人を目指す女性の人生を描いた作品である。
稲荷は企業関係者という立場の人物を演じ、舞台とは異なる映像作品での表現を見せた。
【映画『室町無頼』】稲荷卓央が演じた彦次郎とは?
2025年1月17日公開の映画『室町無頼』にも出演。
『室町無頼』は、垣根涼介の小説を原作とする時代劇映画。監督・脚本は入江悠が担当し、大泉洋、長尾謙杜、松本若菜、堤真一、北村一輝らが出演した。
稲荷が演じたのは、彦次郎(ひこじろう)という人物だ。東映東京撮影所の告知でも、伏士頭・彦次郎役として紹介されている。
彦次郎役が注目される理由本作は、室町時代の混乱期を背景に、権力に抗う人々の姿を描くアクション時代劇だ。
主演の大泉洋が蓮田兵衛を演じ、長尾謙杜が才蔵、松本若菜が芳王子、堤真一が骨皮道賢を演じた。
その中で稲荷が担当した彦次郎は、主人公を取り巻く登場人物の一人として作品に加わっている。
映画の出演者一覧に名前が掲載されるだけでなく、役名まで公式の告知で明示されている点も押さえておきたい。
映画・ドラマでの主な出演作品映像作品の出演歴をさらに整理すると、次のようになる。
映画
- 『ガラスの使徒』(2004年):芹川洋次郎役・主演
- 『アゲイン』(2014年):長ヶ崎教授役
- 『龍馬裁判』(2017年):歴史取り締り検事役
- 『漫画誕生』(2019年):検事・古賀役
- 『胴鳴り』(2024年):沼田幸雄役
- 『室町無頼』(2025年):彦次郎役
テレビドラマ・配信作品
- 『ハンチョウ3・4』(2010~2011年):鑑識役
- 『真田丸』(2016年):跡部勝資役
- 『アシガール』(2017年):有山永季役
- 『獄の棘』(2017年):奈良岡一翔役
- 『半沢直樹』(2020年):第2話出演
- 『青天を衝け』(2021年):徳川慶勝役
- 『ちむどんどん』(2022年):真境名商事専務役
- 『エンジェルフライト』(2023年):第5話出演
- 『OZU ~小津安二郎が描いた物語~』(2023年):第6話出演
- ドラマ版『推しの子』(2024年):第3話出演
- 『ウイングマン』(2024年):第2話出演
- 『姫とボクはわからないっ』(2025年):第10話出演
こうした出演歴を見ると、稲荷の活動は舞台だけに限定されていない。時代劇、企業ドラマ、現代劇、映画など、異なるジャンルで役柄を重ねてきたことが分かる。
【2025年の東映退所とフリー転身】理由は公表されている?
稲荷卓央のキャリアにおける大きな節目が、2025年の東映退所だ。
2025年9月1日、東映株式会社東京撮影所の俳優ユニットは、稲荷に関する公式発表を掲載した。
発表によれば、稲荷は2025年8月31日をもって東映を退所。退所後はフリーランスとして活動することになった。
東映側は、これまでの応援に対する感謝を伝えたうえで、今後の活動への支援を呼びかけている。
東映を退所した理由は?検索されることが多いのが、東映を退所した理由だ。
しかし、公式発表に記載されているのは、退所日とフリーへの転身、新たなスタートを切るという内容までである。
退所の具体的な理由については説明されていない。
したがって、次のように整理できる。
- 2025年8月31日:東映を退所
- 2025年9月1日:東映が退所を公式発表
- 退所後:フリーランスとして活動
- 退所理由:公式発表では説明なし
事務所とのトラブル、契約上の問題、仕事上の対立などを理由とする情報は、今回確認できた公式発表からは読み取れない。
フリー転身で活動はどう変わった?フリーランスへの転身は、俳優としての活動形態が変わったことを意味する。
一般的に、事務所所属の俳優はマネジメントや仕事の窓口を所属先と共有する。一方、フリーランスの場合は、仕事の依頼や契約などを本人側で調整する機会が増える。
稲荷については、東映の発表に仕事用の問い合わせ先も掲載された。
ただし、退所によって俳優活動を縮小したわけではない。2026年には舞台『リア王』や劇団唐組の公演に出演している。
また、見落としたくないのが、東映を退所したことと劇団唐組を離れたことは別問題だという点だ。
劇団唐組の公式劇団員一覧には、2026年現在も稲荷の名前が掲載されている。東映退所後も劇団とのつながりが続いていることを確認できる。
【稲荷卓央の現在・2026年最新】舞台『リア王』と劇団唐組『虹屋敷』
2026年の稲荷卓央は、舞台俳優としての存在感を改めて示している。
特に注目されるのが、シェイクスピア作品への出演と、劇団唐組での活動だ。
2026年5月『リア王』でコーンウォール公爵役2026年5月、稲荷は彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd Vol.3『リア王』に出演した。
本作はW・シェイクスピアの四大悲劇の一つを舞台化した作品で、主演は吉田鋼太郎、演出は長塚圭史が担当。
稲荷が演じたのは、コーンウォール公爵だ。
主な出演者は次のとおり。
- 吉田鋼太郎:リア
- 石原さとみ:ゴネリル
- 松岡依都美:リーガン
- 矢崎広:エドマンド
- 吉田美月喜:コーディリア
- 藤原竜也:エドガー
- 山内圭哉:ケント伯爵
- 山西惇:グロスター伯爵
- 稲荷卓央:コーンウォール公爵
埼玉公演は2026年5月5日から24日まで彩の国さいたま芸術劇場大ホールで上演され、その後は宮城、愛知、大阪、福岡、岡山へとツアー公演が行われた。
吉田鋼太郎や藤原竜也、石原さとみといった幅広いジャンルで活躍する俳優陣と同じ舞台に立ったことは、稲荷のキャリアにおける注目すべき出来事だ。
2026年秋は劇団唐組第78回公演『虹屋敷』2026年秋には、劇団唐組第78回公演『虹屋敷』にも出演した。
作は唐十郎、演出は久保井研と唐十郎。
この作品は1992年に初演された戯曲で、自己破産や借金、人間の財産をめぐる問題を題材にしている。
稲荷が演じたのは、主人公の田口。ねずみ駆除に走り回る消毒マンという役柄だ。
公演日程は次のとおり。
| 時期 | 会場 |
|---|---|
| 2026年10月3日~11日 | 東京・猿楽通り沿い特設紅テント |
| 2026年10月17日・18日 | 水戸芸術館広場・特設紅テント |
| 2026年10月24日~11月2日 | 東京・雑司ヶ谷鬼子母神 |
特に興味深いのは、稲荷がこの『虹屋敷』で田口役を長く演じてきたことだ。
演劇の観劇記録では、1992年の初演から2002年、2012年、2026年の上演まで、同じ役を演じ続けていることが紹介されている。
30年以上にわたる作品との関わりは、一つの役柄を長い時間をかけて育ててきた俳優ならではの歩みだ。
『リア王』ではシェイクスピアの古典悲劇、『虹屋敷』では唐十郎の独特な劇世界。2026年は、異なる演劇表現に取り組む稲荷の姿が際立った年となった。
2026年11月現在、稲荷卓央は何をしている?2026年11月5日時点で確認できる活動を整理すると、次のようになる。
- 劇団唐組の劇団員として活動
- 2026年5月に舞台『リア王』へ出演
- 2026年10月から11月2日まで『虹屋敷』に出演
- 2025年9月以降はフリーランスとして活動
『リア王』の公演は終了し、『虹屋敷』も11月2日に東京公演を終えている。
今後の新しい出演予定については、公式に発表された情報を確認する必要がある。
現状では、フリーランスとして映像作品と舞台の両方に活動の可能性を持ちながら、劇団唐組での活動も継続している俳優と整理できる。
【稲荷卓央に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:稲荷卓央の生年月日と出身地は?
A1:1970年1月16日生まれ。北海道網走市出身で、2026年11月現在56歳。身長は172cmで、特技は空手初段、趣味は料理だ。
Q2:稲荷卓央は劇団唐組を辞めたの?
A2:劇団唐組の公式劇団員一覧には、2026年現在も名前が掲載されている。2025年に退所したのは東映東京撮影所の俳優ユニットであり、劇団唐組からの退団とは異なる。
Q3:稲荷卓央が東映を退所した理由は?
A3:2025年9月1日に東映が退所を発表したが、具体的な理由は公表されていない。退所後はフリーランスとして活動している。
Q4:稲荷卓央は『半沢直樹』に出演していた?
A4:出演している。2020年のTBS日曜劇場『半沢直樹』第2話と、『半沢直樹イヤー記念・エピソードゼロ』に出演記録がある。
Q5:稲荷卓央が『真田丸』で演じた役は?
A5:2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』では跡部勝資役を演じた。徳川慶勝役は、2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』である。
Q6:映画『室町無頼』では何役だった?
A6:2025年公開の映画『室町無頼』では彦次郎役を演じた。主演の大泉洋をはじめとする出演者とともに作品に参加している。
Q7:2026年の舞台『リア王』では何役だった?
A7:彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.3『リア王』でコーンウォール公爵を演じた。吉田鋼太郎主演、長塚圭史演出の舞台である。
稲荷卓央の経歴を振り返ると、1991年の劇団唐組入団が、その後の俳優人生を形づくる大きな出発点になっている。
2004年の『泥人魚』、2009年の『盲導犬』、2013年の『鉛の兵隊』など、唐十郎作品を中心に舞台経験を積み重ねてきた。
一方で、『半沢直樹』『真田丸』『青天を衝け』『ちむどんどん』などのテレビ作品にも出演。2025年の映画『室町無頼』では彦次郎を演じ、映像作品でも存在感を示している。
2025年8月31日の東映退所とフリー転身は、キャリアの新しい節目となった。具体的な退所理由は明かされていないものの、2026年には『リア王』でコーンウォール公爵を演じ、秋には『虹屋敷』で田口役を務めている。
【プロの結論】稲荷卓央のキャリアを評価する3つの視点1. 劇団唐組で培った長期的な舞台経験
30年以上に及ぶ劇団での活動は、稲荷の俳優としての基盤だ。同じ作品や役柄に長い年月をかけて関わる姿勢は、映像作品だけでは見えにくい魅力である。
2. 舞台と映像を横断する演技の幅
大河ドラマや企業ドラマ、時代劇映画、シェイクスピア作品まで、出演ジャンルは幅広い。硬派な役柄からコミカルな人物まで演じる俳優として紹介されていることも特徴だ。
3. フリー転身後も続く劇団との関係
東映を退所したことだけでキャリアを判断するのは適切ではない。劇団唐組への所属を継続し、2026年も舞台に出演していることが、現在の活動を理解するうえで重要になる。
稲荷卓央は、テレビの露出だけで評価するのではなく、舞台で積み上げてきた実績と映像作品での役柄を合わせて見ることで、俳優としての個性がより鮮明になる人物だ。
2026年はフリーランスとしての活動と劇団唐組での舞台出演が確認できる節目の年。 今後の新作映画やドラマ、舞台でどのような役柄に挑戦するのか、引き続き注目したい。