ALSOKのATM管理事業を理解するうえで欠かせないのが、「アマンドシステム」と「コスモシステム」だ。
どちらもATMコーナーの無人運営を支える仕組みだが、担当する業務の範囲には違いがある。
アマンドシステムはATMコーナーの自動制御が中心アマンドシステムは、キャッシュコーナーの開店から閉店までを自動制御する仕組みだ。
ALSOKの公式サービス説明によると、主な機能は次のとおり。
- ATMコーナーの出入口の開閉制御
- 照明や空調などの設備管理
- ATMやキャッシュディスペンサーの稼働監視
- 侵入や盗難の監視
- 非常通報や火災の監視
- 閉店後の利用客の閉じ込め防止
ATMコーナーを無人で運営しながら、利用者の安全も確保することが目的だ。
特に注目したいのが、ATM監視盤を使って最大32台のATMを個別に監視できる点である。複数のATMを設置する大型キャッシュコーナーでも、管理を集約できる設計になっている。
コスモシステムは障害対応と警備輸送までカバーコスモシステムは、アマンドシステムによる自動管理に加えて、人的な対応を組み合わせたサービスだ。
現金カセットの交換やレシート用紙の装填といった日常的なメンテナンスに加え、ATMの現金残量が少なくなった場合や、障害が発生した場合の対応も担う。
この仕組みの中核にあるのが、ALSOKコスモセンターだ。ATMの総合受付センターとして、トラブルの受付や対応の調整を行う。
例えば、ATMの現金不足が近づいた場合や機器に障害が発生した場合、ALSOKコスモセンターがATMメーカーやALSOKの警備員に出動を要請する。現場の状況に応じて、それぞれの専門担当者が対応する仕組みだ。
つまり、コスモシステムはATMを遠隔監視するだけのサービスではない。システム管理と現場対応を結び付け、キャッシュコーナーの運営を支える包括的な仕組みといえる。
アマンドシステムとコスモシステムの比較| 比較項目 | アマンドシステム | コスモシステム |
|---|---|---|
| 開店・閉店制御 | 対応 | 対応 |
| 出入口・設備監視 | 対応 | 対応 |
| 侵入・火災監視 | 対応 | 対応 |
| ATM稼働監視 | 対応 | 対応 |
| 現金カセット交換 | 別途業務範囲による | 対応 |
| レシート装填 | 別途業務範囲による | 対応 |
| ATM障害対応 | 警備員の急行など | 総合受付センターを通じて対応 |
| 警備輸送 | 別途契約・業務範囲による | サービスに組み込み可能 |
導入する金融機関は、単純に機能数だけでなく、どこまでの業務を外部に任せたいかによって選ぶことになる。
例えば、ATMコーナーの無人化や出入口の自動制御が主な目的ならアマンドシステムが選択肢になる。一方、現金管理や障害対応、日常的なメンテナンスまで一括して任せたい場合は、コスモシステムが適している。
【セブン銀行ATMとALSOK】2026年最新の協力関係を検証

「セブン銀行のATMにALSOKが関係している」という情報は事実だ。しかも、単に警備契約を結んでいるだけではなく、ATMの安定稼働に直結する現金管理や障害対応で協力している。
セブン銀行ATMの現金補充・回収をALSOKが担当セブン銀行が2025年4月15日に公開した公式記事「よりサステナブルな事業へ。パートナー企業一体での挑戦」では、ATM事業の主要パートナー企業として綜合警備保障株式会社(ALSOK)が明記されている。
同記事で紹介されたALSOKの担当業務は、主に次の2つだ。
- 現金の補充・回収:セブン銀行ATMで利用する現金の輸送と管理を支援する。
- 障害時の駆け付け:ATMにトラブルが発生した際、現場での対応を支援する。
加えて、セブン銀行は2026年11月2日にもATM事業のビジネスモデルを紹介する公式記事を公開している。そこでは、ATMの運営に現金輸送、保守、システム開発などの専門企業が欠かせないことが説明されている。
セブン銀行・ALSOK・NRI・NECの役割分担セブン銀行のATMは、一社だけですべてを完結させる仕組みではない。複数の専門企業が異なる役割を担っている。
セブン銀行の2025年4月の公式記事で紹介された主な協力企業は、次の3社だ。
- セブン銀行: ATMの企画、設置、ネットワーク運営、現金管理など。
- ALSOK: 現金の補充・回収、障害発生時の駆け付け対応。
- 野村総合研究所(NRI): ATM取引を処理するコンピューターシステムの運用。
- 日本電気(NEC): 次世代ATMの共同開発やリユース・リサイクルへの取り組み。
この役割分担から分かるのは、ATMの現金管理と取引システムの運用は別の仕事だということだ。ALSOKが現金輸送を担当していても、ATMの取引処理システムまでALSOKが運営しているわけではない。
セブン銀行ATMは全国28,000台以上2026年11月2日のセブン銀行公式記事によると、セブン銀行ATMは全国に28,000台以上設置されている。2026年からはファミリーマートへの設置も始まった。
また、同記事では2026年3月末時点のATM稼働率が99.98%と紹介されている。これはセブン銀行のATMネットワーク全体に関する数値であり、ALSOK単独の実績を示すものではない。
ここで混同してはいけないのが、セブン銀行の28,000台以上と、ALSOKの75,142台という数字だ。
前者はセブン銀行のATMネットワークの規模、後者はALSOKが管理するATM全体の規模である。両者は対象範囲が異なるため、合算したり、同じ台数として扱ったりすることはできない。
【ATM管理サービスの費用】料金体系と管理会社の選び方
金融機関や事業法人がALSOKへのATM管理委託を検討する場合、気になるのが費用だ。
ALSOKのATM管理サービスに一律料金はある?ALSOKの公式FAQでは、ATM管理サービスの料金について、導入する金融機関によって業務範囲が大きく異なるため、打ち合わせ後に個別に算定すると説明している。
つまり、一般利用者向けの月額料金表のように、全国共通の固定価格が公開されているわけではない。
料金に影響すると考えられる検討項目は、次のとおりだ。
- 管理対象となるATMの台数
- 現金補充・回収を委託する範囲
- ATMコーナーの監視や警備の範囲
- 現金管理・鑑査照合の有無
- 障害発生時の出動や保守立ち会いの範囲
- ATMの営業時間や休日運用への対応
また、ALSOKによると、サービス開始までの導入期間は規模に応じておおむね3〜6カ月。既存のATM管理体制や業務移管の範囲によって準備期間が変わる。
ATM管理会社の違いはどこにある?ATM管理会社を比較するときは、会社名や警備員の人数だけで判断するのではなく、業務をどこまで一括して委託できるかを確認したい。
大きく分けると、管理体制には3つの考え方がある。
1. 金融機関による自社管理
現金管理やATM関連の業務を自社の人員・体制で運営する方式。業務の統制を自社で行いやすい一方、現金輸送や監視、障害対応の人員を確保する必要がある。
2. 個別業務ごとの外部委託
現金輸送、機器保守、監視などを専門会社に分けて依頼する方式。それぞれの専門性を活用できるが、複数の会社との連絡や業務調整が必要になる。
3. ALSOKなどへの包括的なアウトソーシング
現金輸送、現金管理、ATM監視、障害対応などをまとめて委託する方式。業務の窓口を集約しやすく、金融機関側の管理負担を軽減できる。
特にALSOKの特徴は、警備輸送事業とATMの無人管理システムを組み合わせられることだ。単独の現金輸送会社や機器メーカーとは、サービスの守備範囲が異なる。
ALSOKのATM管理が向いている金融機関ALSOKのサービスが特に検討対象になりやすいのは、次のようなケースだ。
- 店舗外ATMを多数運営している銀行
- ATMの現金補充・回収に人員を割いている金融機関
- 支店統廃合に伴いATMの無人運営を進めたい金融機関
- 現金管理と警備をまとめて外部委託したい信用金庫・信用組合
- ATMコーナーの営業時間延長や休日運用を検討している事業者
一方、管理台数が少なく、自社で十分な運営体制を確保できている金融機関では、包括委託が必ずしも最適とは限らない。
判断する際には、委託費用だけでなく、自社で管理した場合の人件費、現金輸送費、システム維持費、障害対応に必要な負担まで含めて比較する必要がある。
【プロの結論】ALSOK ATM管理の実態から見える強み
ALSOKのATM事業を分析すると、強みは単純な警備員の派遣や現金輸送の規模だけではないことが分かる。
最大の特徴は、現金管理・警備・無人管理システム・障害対応を組み合わせた運営体制にある。
特に2026年3月期の75,142台というATM綜合管理台数は、金融機関やコンビニなど幅広い顧客のATM運営を支えてきた実績を示している。
加えて、セブン銀行との協力関係は、ALSOKの仕事が従来型の銀行ATMに限定されないことを示す事例だ。全国規模のコンビニATMネットワークでも、現金補充・回収や障害対応という専門業務を担っている。
今後の注目点は3つある。
- 現金輸送の効率化: キャッシュレス化と現金需要の両方に対応しながら、輸送効率を高められるか。
- ATM管理の自動化: アマンドシステムやコスモシステムを活用し、無人運営と安全性を両立できるか。
- 金融機関のアウトソーシング需要: 店舗統廃合や人手不足に伴うATM管理業務の外部委託を取り込めるか。
セブン銀行とパートナー企業が進めるATM事業の持続可能性への取り組みも、今後の重要なテーマになる。現金輸送の効率化やATMのリユースなど、ATMを維持するためのコストと環境負荷の両方が問われている。
【ALSOKグループのATM】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ALSOKグループのATM管理台数は何台ですか? A1:2026年3月期のALSOK公式決算説明資料によると、ATM綜合管理台数は75,142台です。前年度の74,116台から約1,000台増加しています。
Q2:ALSOKはセブン銀行ATMの現金補充を担当していますか? A2:はい。セブン銀行の公式記事で、ALSOKはセブン銀行ATMの現金補充・回収と障害発生時の駆け付け対応を担うパートナー企業として紹介されています。ただし、ATM事業全体の運営主体はセブン銀行です。
Q3:アマンドシステムとコスモシステムの違いは何ですか? A3:アマンドシステムはATMコーナーの開店・閉店制御、設備監視、防犯などを中心とする無人管理システムです。コスモシステムは、それに現金カセット交換、レシート装填、障害対応、警備輸送などの人的支援を組み合わせています。
Q4:ALSOKのATM管理サービスの費用はいくらですか? A4:一律の公開料金はありません。委託するATMの台数や現金管理、警備、障害対応などの業務範囲に応じて個別見積もりとなります。導入期間はおおむね3〜6カ月です。
Q5:ALSOKはATMそのものを所有しているのですか? A5:管理台数と所有台数は別です。ALSOKの75,142台は管理・運用に関わるATMの総合管理台数であり、ALSOKがすべてのATMを所有しているという意味ではありません。ATMの運営主体や所有関係は金融機関やATM事業者ごとに異なります。
ALSOKグループのATM事業は、ATMの所有・運営と管理業務を切り分けて理解することで、その実態が明確になる。
2026年3月期のATM綜合管理台数は75,142台。現金補充・回収、資金管理、監視、障害対応などを幅広く手掛けている。
アマンドシステムはATMコーナーの無人化を支え、コスモシステムは現金管理やトラブル対応まで含めて運営をサポートする。加えて、セブン銀行との協力関係からも、ALSOKが国内のATMネットワークを支える重要なパートナーであることが分かる。
ATMを利用する人にとっては、現金を引き出せることが当たり前に感じられるかもしれない。しかし、その当たり前を維持するには、現金輸送、資金管理、設備監視、障害対応など、多くの専門業務が必要だ。
今後、金融機関の店舗再編やキャッシュレス化が進むなかでも、ATMの安定稼働を支えるアウトソーシング事業は重要な役割を持ち続ける。ALSOKの2026年以降の動向を見る際には、管理台数だけでなく、警備輸送事業の効率化や無人管理システムの展開にも注目したい。