「大事をとって」は、「大事を取る」という慣用句から生まれた表現です。読み方は「だいじをとって」。物事を軽々しく判断せず、重大な問題や悪い結果を避けるために、用心して行動することを意味します。
小学館の『デジタル大辞泉』では、「大事を取る」を「軽々しく物事をしない。用心し、自重する」と説明しています。例として「大事を取って仕事を休む」が挙げられており、体調を考慮して休養を選ぶ場面にも適した言葉です。
「大事をとって」に含まれるニュアンスこの表現には、主に次の3つの意味合いがあります。
- 慎重な判断: 現在の状況を考え、無理をしない選択をする。
- 予防的な行動: 症状や問題が悪化する可能性を考慮する。
- リスクの回避: 万が一の事態を防ぐため、安全を優先する。
例えば、朝から少し熱があるものの、仕事に行けないほどではないと感じる場合でも、周囲への感染や症状の悪化を考えて休むことがあります。このような判断を説明するときに「大事をとって休みます」が使われます。
つまり、必ずしも重い病気や深刻なけがを意味するわけではありません。今は問題が小さくても、悪化させないために慎重な行動を選ぶという点が、この言葉の本質です。
「大事を取って」と「大事をとって」はどちらが正しい?漢字で書く場合は「大事を取って」です。辞書の見出し語も「大事を取る」となっています。
一方、「大事をとって」というひらがな表記も一般的に使われています。どちらかが誤りというわけではありません。
| 表記 | 特徴 | 使用場面 |
|---|---|---|
| 大事を取って | 漢字を使った表記 | 報告書、一般的な文章 |
| 大事をとって | 柔らかく読みやすい | メール、日常会話 |
| 大事を取る | 慣用句の基本形 | 辞書、解説文 |
ビジネスメールでは「大事をとって」と書いても問題ありません。読みやすさを重視するならひらがな、文章全体の漢字表記を統一したいなら「大事を取って」とするのが自然です。
【大事をとっての使い方】体調不良・休む・欠席するときの例文

「大事をとって」は、健康状態や安全面を考慮して、予定していた行動を控えるときに使います。特に、休む、欠席する、早退する、予定を変更するといった動詞と相性のよい表現です。
1.体調不良で会社を休む場合体調不良による欠勤連絡では、休む理由を簡潔に伝えたうえで「大事をとって」を使うと、無理を避ける判断であることが伝わります。
例文
- 昨夜から発熱があるため、大事をとって本日は休ませていただきます。
- 体調が万全ではないため、大事をとって本日は自宅で療養いたします。
- 朝から頭痛が続いているため、大事をとって本日は出勤を控えます。
- 体調不良が続いておりますので、大事をとって医療機関を受診いたします。
要点は、単に「休みます」と伝えるだけでなく、休むことを選んだ理由を簡潔に添えることです。ただし、症状の詳細をすべて説明する必要はありません。
2.学校や行事を欠席する場合学校の授業、部活動、習い事、旅行などを休む場合にも使えます。本人だけでなく、保護者が子どもの欠席を連絡するときにも自然です。
例文
- 微熱があるため、大事をとって本日の授業は欠席します。
- 昨日から体調が優れないため、大事をとって部活動を休みます。
- 子どもに咳の症状が見られるため、大事をとって本日は学校を休ませます。
- けがの回復を優先するため、大事をとって今回の行事は欠席いたします。
欠席連絡では、相手が出欠を管理しやすいように、対象となる日付や行事名を明確にすると親切です。
3.けがや疲労で予定を変更する場合この表現は、病気だけに限定されません。けがの悪化を防ぐために運動を控えたり、疲労が蓄積しているときに予定を変更したりする場合にも使えます。
例文
- 足を痛めているため、大事をとって本日の練習は見送ります。
- けがの回復を優先し、大事をとって試合への出場を辞退します。
- 疲労が蓄積しているため、大事をとって今日は早めに帰宅します。
- 天候が不安定なため、大事をとって外出を控えることにしました。
このように、現在の状況から将来的な悪化やトラブルを避ける判断を伝えるときに、幅広く活用できます。
4.相手の体調を気遣う場合自分が休む場合だけでなく、相手に無理をしないよう勧める場合にも使用できます。
例文
- まだ本調子ではないと思いますので、大事をとってお休みください。
- けがが完全に治るまでは、大事をとって運動を控えてください。
- 体調が優れないようでしたら、大事をとって日程を変更しましょう。
- どうぞ無理をなさらず、大事をとってご静養ください。
相手に休養を勧める場合は、命令するような言い方を避け、気遣いを示す表現を組み合わせると印象がよくなります。
【ビジネス敬語・メール】目上の人にも失礼にならない伝え方
「大事をとって」は、ビジネスシーンでも使用できる表現です。ただし、言葉そのものが敬語というわけではありません。
上司や取引先、目上の人に対して使う場合は、後ろに続く動詞や文章全体を丁寧に整える必要があります。
「大事をとって」は目上の人に使ってもよい?基本的には問題ありません。「大事をとって」自体に失礼な意味や、相手を見下すニュアンスはありません。
ただし、誰の行動について話すかによって適切な表現は変わります。
- 自分が休む場合:「大事をとって休ませていただきます」
- 上司に休むことを伝える場合:「大事をとって本日は欠勤いたします」
- 目上の人に休養を勧める場合:「どうぞご無理なさらず、ご静養ください」
- 取引先に予定変更を伝える場合:「体調不良のため、日程を変更させていただけますと幸いです」
特に注意したいのは、相手に休養を勧める場合です。「大事をとって休んでください」でも意味は伝わりますが、目上の人には「どうぞご無理なさらず、お休みください」といった柔らかな言い方が適しています。
上司に送る欠勤メールの例文当日朝に体調不良で会社を休む場合は、件名で用件を明確にし、本文では症状、欠勤する旨、業務の引き継ぎ、今後の連絡について伝えます。
〇〇部長
おはようございます。〇〇部の〇〇です。
昨夜から発熱と倦怠感があり、体調が優れないため、大事をとって本日はお休みをいただきたく、ご連絡いたしました。
本日予定していた〇〇の業務につきましては、△△さんに引き継ぎをお願いしております。
明日以降の出勤については、体調の回復状況を確認のうえ、改めてご連絡いたします。
急なご連絡となり、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
何卒よろしくお願いいたします。
〇〇
このメールの要点は、欠勤する事実を最初に伝え、仕事への影響を最小限にするための対応も説明していることです。
取引先に日程変更をお願いするメール社外の相手に対しては、体調の詳細を必要以上に説明するよりも、予定変更のお詫びと今後の対応を優先します。
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の〇〇です。
本日予定しておりましたお打ち合わせにつきまして、体調不良のため、大事をとって日程を変更させていただきたく、ご連絡いたしました。
直前のお願いとなり、誠に申し訳ございません。
改めて日程を調整させていただければと存じます。
ご都合のよい日時をお知らせいただけますと幸いです。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
社外向けの文章では、「大事をとって」という表現を使わず、「体調不良のため、日程を変更させていただきたく存じます」としても十分に丁寧です。
上司や同僚から「大事をとって休んでください」と言われたときの返信相手から気遣いの言葉をかけられた場合は、感謝を伝え、休養する旨を簡潔に返せば問題ありません。
返信例
- お気遣いいただき、ありがとうございます。本日はゆっくり休ませていただきます。
- ご配慮いただきありがとうございます。お言葉に甘えて、しっかり休養いたします。
- ありがとうございます。体調の回復を優先し、無理をせず過ごしたいと思います。
丁寧な返信を心がける一方、体調が悪いときに長文で返す必要はありません。
ビジネスメールで避けたい表現次のような言い回しは、相手や状況によっては不自然に感じられることがあります。
- 「大事をとって休みます」:上司への正式な連絡としては少し簡素。
- 「大事をとってお休みさせていただきます」:敬語が重なった印象になりやすい。
- 「体調が悪いので行けません」:口語的で、業務上の連絡としては説明不足。
「大事をとって本日は休ませていただきます」「体調不良のため、本日は欠勤いたします」などにすると、落ち着いた印象になります。
なお、欠勤の連絡方法については会社の規則が優先です。法務省が公開するビジネスマナー教材でも、体調不良で休む場合は上司に早めに連絡し、始業前に症状や業務上の必要事項を簡潔に伝えることが案内されています。
【言い換え・類語を比較】「念のため」と「大事をとって」の違い
「大事をとって」と似た表現には、「念のため」「用心して」「慎重を期して」「万が一に備えて」などがあります。
いずれもリスクを避けるための行動に関係する言葉ですが、伝わるニュアンスには違いがあります。文章の目的に合わせて使い分けることで、より自然な日本語になります。
類語・言い換え表現の比較表特に混同しやすいのが「念のため」です。どちらも慎重な行動を表しますが、焦点が少し異なります。
「大事をとって」は、体調や状況を考慮した結果、休む、取りやめる、延期するなどの判断そのものに重点があります。
一方、「念のため」は、問題がない可能性も考えながら、確認や準備を追加するという意味合いが強くなります。
使い分けの例
- 大事をとって:少し熱があるため、大事をとって会社を休みます。
- 念のため:少し熱があるため、念のため体温をもう一度測ります。
前者は休むという判断を伝え、後者は確認という行動を伝えています。
マイナビニュースやForbes JAPANの言葉の解説でも、「念のため」は確認や準備、「大事をとって」は慎重な判断を伴う行動という使い分けが紹介されています。
ビジネスで使いやすい言い換えは?仕事の連絡では、相手に伝えたい内容によって表現を選ぶと便利です。
- 丁寧で柔らかい表現:「無理をせず、本日は休養いたします」
- 事務的で明確な表現:「体調不良のため、本日は欠勤いたします」
- 改まった表現:「慎重を期し、本日の予定を変更いたします」
- 安全性を強調する表現:「安全を優先し、参加を見送ります」
- 予防的な意味を強調する表現:「念のため、医療機関を受診いたします」
迷った場合は、休むこと自体を伝えるなら「本日は休養いたします」、慎重な判断の理由を伝えるなら「大事をとって本日は休ませていただきます」が使いやすい表現です。
【目上の人・休むときの注意点】自然に伝えるための判断基準
「大事をとって」は便利な言葉ですが、どのような状況でも使えばよいわけではありません。伝える相手や休む理由によっては、別の表現を選んだほうが誤解を避けられます。
「大事をとって休みます」は甘えた印象になる?必ずしもそうではありません。体調やけがの状態を考慮して休むことは、悪化を防ぎ、周囲への影響を抑えるための判断でもあります。
ただし、仕事上の連絡では「大事をとって休みます」だけで終わらせると、当日の業務がどうなるのかが伝わりません。
例えば、次のように伝えると、休む理由と仕事への対応が明確になります。
体調不良のため、大事をとって本日は休ませていただきます。本日予定していた業務については、〇〇さんに引き継ぎをお願いしております。
休む判断を伝えるだけでなく、必要な引き継ぎまで説明することが、職場での円滑なコミュニケーションにつながります。
体調不良が軽い場合にも使える?使えます。高熱や重いけがなど、深刻な状態である必要はありません。
例えば、微熱、軽い頭痛、疲労、けがの回復途中など、無理をすると悪化する可能性がある場合にも自然に使えます。
ただし、単なる気分転換や私的な都合で休む場合に使うと、実際の理由と表現が一致しなくなる可能性があります。そのようなときは「私用のため」「休暇を取得するため」など、実情に合った表現を選びましょう。
「大事をとって」を使うべき場面・避けたほうがよい場面| 状況 | 判断 | 適切な表現 |
|---|---|---|
| 微熱があり仕事を休む | 適している | 大事をとって休みます |
| けがの悪化を避けて試合を辞退する | 適している | 大事をとって出場を見送ります |
| 病院で再検査を受ける | 適している | 念のため検査を受けます |
| 私用で会社を休む | やや不自然 | 私用のため休暇を取得します |
| 会議の資料を再確認する | 別表現が自然 | 念のため再確認します |
| 安全上の理由で作業を中断する | 適している | 安全を優先して作業を中断します |
判断の基準は、実際に何らかのリスクや体調面の懸念があり、それを避けるために行動を変更するのかどうかです。
【大事をとっての英語表現】海外でも自然に伝えるには?
「大事をとって」に完全に一致する英語表現はありませんが、状況に応じて近いニュアンスを伝えることができます。
代表的な英語表現- Just to be safe:大事をとって、念のため
- Play it safe:安全策をとる、慎重に行動する
- To be on the safe side:万が一に備えて、安全を考えて
- Take it easy:無理をせずゆっくりする、休養する
Cambridge English Dictionaryでは「play it safe」を、注意深く行動し、リスクを避けることを表す慣用表現として説明しています。
英語の例文と日本語訳例文1:体調不良で仕事を休む
I'm going to stay home and rest today, just to be safe.
日本語訳:大事をとって、今日は家で休むことにします。
例文2:けがの悪化を防ぐ
I'll play it safe and skip today's training.
日本語訳:大事をとって、今日の練習は休みます。
例文3:相手に休養を勧める
You should take it easy and get some rest.
日本語訳:無理をせず、ゆっくり休んだほうがいいですよ。
英語では、休むことを伝えるなら「stay home and rest」、慎重な判断を強調するなら「just to be safe」や「play it safe」を組み合わせると自然です。
【大事をとっての意味・使い方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「大事をとって」は敬語ですか?
A1:「大事をとって」自体は敬語ではなく、慎重な行動を表す慣用的な表現です。目上の人には「大事をとって休ませていただきます」「大事をとって本日は欠勤いたします」のように、後ろに続く言葉を丁寧に整えましょう。
Q2:「大事をとって休みます」と「念のため休みます」は同じ意味ですか?
A2:似ていますが、ニュアンスが異なります。「大事をとって休みます」は体調や状況を考えて休む判断をしたこと、「念のため休みます」は万が一に備えて休むことを強調します。体調不良による欠勤では、どちらも自然に使えます。
Q3:「大事を取って」と「大事をとって」はどちらが正しいですか?
A3:どちらも使用できます。慣用句の基本形は「大事を取る」であり、漢字表記は「大事を取って」です。ひらがなの「大事をとって」も一般的な表記として使われています。
Q4:目上の人に「大事をとってお休みください」と言っても失礼ではありませんか?
A4:基本的には失礼ではありません。ただし、より丁寧に伝えたい場合は「どうぞご無理なさらず、ご静養ください」「どうかお身体を大切になさってください」といった表現もおすすめです。
Q5:会社を欠席するときに「大事をとって休みます」とメールしてもよいですか?
A5:問題ありません。「体調不良のため、大事をとって本日はお休みをいただきたく、ご連絡いたしました」のように書くと丁寧です。会社の連絡規則に従い、始業前のできるだけ早い時間に連絡しましょう。
Q6:「大事をとって」は英語で何と言いますか?
A6:代表的な表現は「just to be safe」「play it safe」「to be on the safe side」です。体調不良で休む場面なら「I'll stay home and rest today, just to be safe.」などが自然です。
Q7:「大事をとって」は病気やけが以外にも使えますか?
A7:使えます。天候や安全面、仕事上のリスクなど、重大な問題を避けるために慎重な判断をする場面でも使用できます。例えば「大事をとって出張を延期します」「大事をとって作業を中止します」などです。
「大事をとって」は、体調不良やけがなどの状況で、悪化や重大な問題を避けるために慎重な行動を選ぶことを表す慣用句です。2026年現在も、日常会話からビジネスメールまで幅広く使える自然な日本語表現です。
使い方を整理すると、次のポイントが重要です。
- 基本的な意味は「用心して行動する」「無理をせず慎重に判断する」。
- 漢字では「大事を取って」、ひらがなでも「大事をとって」と書ける。
- 体調不良による欠勤、けがによる活動の辞退、学校行事の欠席などに使える。
- ビジネスでは「休ませていただきます」「欠勤いたします」など、丁寧な表現と組み合わせる。
- 「念のため」は確認や準備、「大事をとって」は慎重な判断を伴う行動に重点がある。
- 英語では「just to be safe」「play it safe」などが近い表現になる。
特にビジネスシーンでは、休むことを申し訳なく感じて、必要以上に長い説明をしてしまう人もいます。しかし、相手が知りたいのは、休む理由、当日の業務への影響、今後の予定です。
「大事をとって本日は休ませていただきます」と簡潔に伝え、必要な引き継ぎや今後の連絡について補足すれば、十分に丁寧な連絡になります。
無理をして状況を悪化させるのではなく、必要なときに休養や予定変更を選ぶ。その判断を相手に分かりやすく伝えられることが、「大事をとって」を自然に使いこなすポイントです。