2026年2月19日、ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルで、アメリカのアリサ・リュウが合計226.79点を獲得し、金メダルに輝いた。ショートプログラム(SP)では3位だったリュウが、フリースケーティング(FS)で150.20点を記録して首位に立ち、見事な逆転優勝を果たした。
日本勢も歴史的な結果を残した。坂本花織が224.90点で銀メダル、中井亜美が219.16点で銅メダルを獲得。さらに千葉百音も217.88点で4位に入り、日本女子フィギュアは五輪史上初となる同一大会でのダブル表彰台を実現した。勝敗を分けた得点の内訳、SPからの順位変動、選手それぞれの演技の特徴を振り返る。
【2026年ミラノ五輪】女子フィギュアスケートの金メダルはアリサ・リュウ

2026年のミラノ・コルティナ冬季五輪、フィギュアスケート女子シングルの金メダリストは、アメリカ代表のアリサ・リュウ(Alysa Liu)だ。
競技最終日の2月19日、ミラノ・アイススケートアリーナで行われた女子フリーで150.20点を獲得。SPの76.59点と合わせて226.79点とし、出場選手の頂点に立った。
銀メダルは日本の坂本花織、銅メダルは同じく日本の中井亜美。日本勢が女子シングルで同じ大会の表彰台に2人立つのは初めてのことであり、金メダルを獲得したリュウの演技と並んで、大会を象徴する出来事となった。
女子シングルの最終メダル順位- 金メダル:アリサ・リュウ(アメリカ)226.79点
- 銀メダル:坂本花織(日本)224.90点
- 銅メダル:中井亜美(日本)219.16点
- 4位:千葉百音(日本)217.88点
注目したいのは、金メダルと銀メダルの差がわずか1.89点だったことだ。リュウと坂本は最後まで接戦を演じており、ほんの少しの技術点の差が最終順位を左右した。
国際スケート連盟(ISU)の公式リザルトでも、リュウのSP3位、FS1位、坂本のSP2位、FS2位、中井のSP1位、FS9位という結果が確認できる。
【逆転の全貌】SP3位から金メダルへ!アリサ・リュウ226.79点の内訳
今回の女子フィギュアで最大の見どころとなったのが、アリサ・リュウの逆転劇だ。
SP終了時点で首位だったのは中井亜美。坂本花織が2位、リュウが3位につけていた。リュウはトップと2.12点差でフリーに臨み、逆転するには上位選手を上回る演技が必要だった。
SPの得点と順位はどうなっていた?2月17日に行われたショートプログラムの上位4人は次の通りだった。
- 1位:中井亜美 78.71点
- 2位:坂本花織 77.23点
- 3位:アリサ・リュウ 76.59点
- 4位:千葉百音 74.00点
リュウは首位の中井に2.12点、2位の坂本に0.64点の差をつけられていた。しかし、首位との差は大きくなく、フリーで十分に順位を入れ替えられる状況だった。
フリーで150.20点を獲得した演技フリーでリュウが記録した150.20点は、出場選手中トップの得点だった。
ISUの公式採点プロトコルによる内訳は以下の通り。
- 技術点(TES):77.74点
- 演技構成点(PCS):72.46点
- 減点:0.00点
- フリー合計:150.20点
技術点では、ジャンプの出来栄え点(GOE)を積み重ねたことが大きかった。
特に注目されたのが、トリプルルッツ+トリプルトウループのコンビネーションジャンプだ。この要素は11.53点を獲得。加えて、後半のトリプルルッツ+ダブルアクセル+ダブルトウループのジャンプシークエンスでは12.98点を記録した。
フリーでは7本のトリプルジャンプを組み込み、スピン3要素のうち2つでレベル4を獲得。ステップシークエンスもレベル4と判定された。
プログラムの完成度を示す演技構成点も72.46点。構成、表現、スケーティング技術の各項目で高い評価を受けた。
合計226.79点で逆転した理由リュウの最終得点は、SP76.59点とFS150.20点を合計した226.79点だ。
SPでは中井と坂本に先行を許したものの、フリーでは両選手を上回った。坂本に対してフリーで2.53点、中井に対して9.75点の差をつけたことが逆転につながった。
つまり、SPでの小さなビハインドを、フリーでの高い技術点と安定した演技によって取り戻したのである。
なお、150.20点は今回の五輪でのフリー得点であり、リュウのフリー自己ベストは2025年世界チームトロフィーで記録した150.97点。226.79点は今回樹立した総合自己ベストだった。
【女子フィギュア最終順位】坂本花織・中井亜美・千葉百音の得点を比較
今回の女子シングルでは、上位4人の日本勢とアメリカ勢の争いが大きな注目を集めた。
ISU公式結果をもとに、メダル獲得者と千葉百音の得点、SP・FSの順位を整理すると次のようになる。
| 最終順位 | 選手・国 | SP得点・順位 | FS得点・順位 | 総合得点 |
|---|---|---|---|---|
| 1位・金 | アリサ・リュウ(米国) | 76.59・3位 | 150.20・1位 | 226.79 |
| 2位・銀 | 坂本花織(日本) | 77.23・2位 | 147.67・2位 | 224.90 |
| 3位・銅 | 中井亜美(日本) | 78.71・1位 | 140.45・9位 | 219.16 |
| 4位 | 千葉百音(日本) | 74.00・4位 | 143.88・4位 | 217.88 |
坂本花織はSPで77.23点を獲得して2位につけ、フリーでも147.67点で2位を維持。合計224.90点で銀メダルを手にした。
坂本のフリーは技術点72.83点、演技構成点74.84点。特筆すべきは、演技構成点でリュウの72.46点を上回ったことだ。
一方、技術点ではリュウが77.74点、坂本が72.83点となり、4.91点の差がついた。坂本は表現面やスケーティング技術で高い評価を得たものの、ジャンプ要素でリュウに及ばなかった。
2022年北京五輪では銅メダルを獲得しており、今回の銀メダルによって2大会連続の五輪表彰台となった。最後の五輪で再びメダルを獲得したことは、日本女子フィギュアの歴史に残る成果だ。
中井亜美:SP首位から銅メダルを守った17歳中井亜美はSPで78.71点を獲得し、出場選手中トップに立った。17歳で迎えた初めての五輪で、堂々とした滑りを披露した。
しかし、フリーでは140.45点で9位となり、最終的な総合順位は3位。合計219.16点で銅メダルを獲得した。
フリーではSPほど得点を伸ばせなかったものの、前半で築いたリードが大きかった。SP首位という結果が、最終的な表彰台につながったことが分かる。
今回の結果は、若い世代の日本女子選手が世界のトップレベルで戦えることを示すものでもあった。
千葉百音:SP・FSともに4位の安定した演技千葉百音はSPで74.00点、フリーで143.88点を獲得。両方の種目で4位となり、総合217.88点で最終4位に入った。
表彰台には届かなかったものの、SPとフリーの両方で上位を維持した安定感は評価できる。日本勢が2位から4位までを占めたことも、今回の大会の大きな特徴だった。
【勝敗を分けた演技】リュウ・坂本・中井の採点から見える違い
今回の結果を詳しく見ると、単純にジャンプの難易度だけで勝敗が決まったわけではないことが分かる。
リュウは技術点で優位に立ち、坂本は演技構成点で上回った。中井はSPで高得点を獲得した一方、フリーで得点を落とした。3人の結果には、それぞれ異なる特徴が表れている。
リュウは技術点の積み上げで逃げ切ったリュウのフリーで特に目立ったのは、ジャンプの成功に加えて、スピンやステップでも着実に得点したことだ。
技術点77.74点は今回の女子フリーで最高。ジャンプのコンビネーションや後半のジャンプシークエンスで高いGOEを獲得し、基礎点に加えて出来栄え点を積み上げた。
演技構成点でも72.46点を獲得しており、技術だけに偏らない総合力を示した。
坂本は演技構成点でリュウを上回った坂本のフリーの演技構成点は74.84点。リュウより2.38点高かった。
一方で技術点は72.83点にとどまり、リュウとの差は4.91点。演技構成点での優位を技術点の差が上回ったため、フリーの順位はリュウが1位、坂本が2位となった。
公式プロトコルには坂本の後半のトリプルフリップが「3F+REP」として記録されている。ジャンプの繰り返しに関する規定が得点に影響した点も、技術点の差を考えるうえで見逃せない。
中井はSPの貯金が銅メダルにつながった中井はSPで首位に立ちながら、フリーでは9位だった。それでも総合3位を維持できたのは、SPで78.71点という高得点を確保していたためだ。
フィギュアスケートの女子シングルは、SPとFSの合計で最終順位が決まる。フリーだけの順位がそのままメダル順位になるわけではない。
今回の中井の結果は、SPとフリーの両方をまとめることの重要性を示した。逆に、フリーで1位になったリュウも、SPの得点を含めた総合力があって初めて金メダルを獲得できた。
【アリサ・リュウの経歴】16歳で引退、2024年復帰から五輪金メダルへ
アリサ・リュウの優勝を語るうえで欠かせないのが、競技から離れた時期を経て、再び世界の頂点に戻ったキャリアだ。
2005年8月8日生まれのリュウは、幼い頃から高いジャンプ技術で注目を集めた。2019年には13歳で全米選手権を制し、2020年にも同大会で優勝。若くしてアメリカ女子フィギュアの有力選手となった。
2022年の引退と2024年の競技復帰2022年北京五輪では女子シングル6位。その後、同年4月に競技生活からの引退を発表した。
同年の世界選手権では銅メダルを獲得しており、若くして主要大会の表彰台を経験していた選手だった。
しかし、約2年間の休止期間を経て、2024年3月に競技復帰を発表。本人は米国フィギュアスケート連盟の発表で、スケートから離れた時間を経て新しい視点を得たことを復帰の背景として説明している。
2025年世界選手権優勝から2026年五輪金メダルへ復帰後のリュウは着実に競技力を高め、2025年には世界選手権で優勝。さらにグランプリファイナルも制し、再び世界のトップ選手として存在感を示した。
そして2026年のミラノ・コルティナ五輪では、団体戦でもアメリカの金メダルに貢献。女子シングルではSP3位から逆転して個人金メダルを獲得した。
引退を経験した選手が復帰後に世界選手権と五輪のタイトルを手にしたことは、リュウのキャリアにおける大きな転換点だ。
今回のフリーで使用した楽曲は、ドナ・サマーの「MacArthur Park」。ISUの選手プロフィールには、SPの使用曲としてLaufeyの「Promise」も掲載されている。音楽と演技を組み合わせたプログラムも、彼女の個性を表す要素となった。
【歴代金メダリスト】荒川静香からアリサ・リュウまでの五輪女子フィギュア
2026年大会の結果を過去の五輪と比較すると、今回の金メダルが持つ意味がより明確になる。
ISUの歴代メダリスト資料によると、近年の女子シングル金メダリストには、世界的な実績を残した選手が並ぶ。
- 2006年トリノ五輪:荒川静香(日本)
- 2010年バンクーバー五輪:キム・ヨナ(韓国)
- 2014年ソチ五輪:アデリナ・ソトニコワ(ロシア)
- 2018年平昌五輪:アリーナ・ザギトワ(OAR)
- 2022年北京五輪:アンナ・シェルバコワ(ROC)
- 2026年ミラノ・コルティナ五輪:アリサ・リュウ(アメリカ)
日本女子の個人種目における最後の五輪金メダルは、2006年トリノ大会の荒川静香が獲得したものだ。
2010年には浅田真央が銀メダル、2022年には坂本花織が銅メダルを獲得している。2026年には坂本が銀メダルに順位を上げ、中井亜美が銅メダルを獲得した。
今回、日本女子が同じ大会で2人のメダリストを輩出したことは、過去の成績と比較しても特別な意味を持つ。日本オリンピック委員会(JOC)も、女子フィギュアで日本選手2人が同時に表彰台に立ったのは初めてと発表している。
アメリカ女子にとっても歴史的な金メダル一方、リュウの優勝はアメリカ女子フィギュアにとっても大きな出来事だった。
アメリカの女子シングルで個人金メダルを獲得したのは、2002年ソルトレークシティ五輪のサラ・ヒューズ以来。実に24年ぶりの快挙となった。
日本勢のダブル表彰台とアメリカ女子の金メダル奪還が同時に実現した今回の大会は、国際女子フィギュアの勢力図を考えるうえでも印象的な大会となった。
【フィギュアスケート女子金メダル】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年ミラノ・コルティナ五輪の女子フィギュア金メダリストは誰?
A1:アメリカ代表のアリサ・リュウです。SP3位からフリーで150.20点を獲得し、合計226.79点で金メダルを獲得しました。
Q2:アリサ・リュウの226.79点の内訳は?
A2:SPが76.59点、フリーが150.20点です。フリーの内訳は技術点77.74点、演技構成点72.46点、減点0.00点となっています。
Q3:坂本花織、中井亜美、千葉百音の最終順位は?
A3:坂本花織が224.90点で銀メダル、中井亜美が219.16点で銅メダル、千葉百音が217.88点で4位でした。日本女子フィギュア史上初の五輪ダブル表彰台も達成しています。
2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪の女子フィギュアスケートは、アリサ・リュウが合計226.79点で金メダルを獲得した。SP3位からフリー1位へと順位を上げた逆転劇は、技術点77.74点を中心とした完成度の高い演技によって実現した。
坂本花織は224.90点で銀メダル、中井亜美は219.16点で銅メダル。千葉百音も4位に入り、日本勢が女子シングルの上位を占めた。特に、日本女子史上初となる五輪ダブル表彰台は、今回の大会を象徴する歴史的な成果だ。
今回の結果を正しく理解するうえで大切なのは、フリーの順位と最終順位を混同しないこと。SPとフリーの合計点、技術点と演技構成点のバランスを確認すれば、なぜリュウが優勝し、坂本が銀、中井が銅となったのかが見えてくる。
荒川静香以来となる日本女子の個人金メダル獲得には届かなかったものの、坂本と中井が切り開いた新たな歴史は、今後の日本女子フィギュアにとって大きな財産となる。リュウの復活劇と日本勢の躍進が重なった2026年大会は、長く記憶される五輪となった。