葬儀や弔問の場で「ご愁傷様です」と声をかけられたとき、どのように返事をすれば失礼にならないのでしょうか。「ありがとうございます」と答えてもよいのか、「恐れ入ります」のほうが適切なのか、突然のことに戸惑う人は少なくありません。
「ご愁傷様です」は、身内を亡くした人の悲しみに寄り添い、哀悼の気持ちを伝える言葉です。返事に決まった正解があるわけではありませんが、相手との関係や場面に応じて「お気遣いありがとうございます」「恐れ入ります」などを使い分けると、自然で丁寧な受け答えになります。
【まず知っておきたい】「ご愁傷様です」の意味と適切な返事

「ご愁傷様です」は、相手の悲しみを気の毒に思い、いたわる気持ちを表すお悔やみの言葉です。主に家族や親族を亡くした人に対して、通夜や葬儀、弔問などの場面で使われます。
小学館の『デジタル大辞泉』でも、身内を失った人に対するお悔やみの語として説明されています。一方、日常会話では相手の不運を軽くからかう意味で使われる場合もあります。葬儀の場で使われる場合は、基本的に哀悼と気遣いを伝える表現です。
「ありがとうございます」と返事をしても失礼ではない結論からいえば、「ご愁傷様です」に対して「ありがとうございます」と返しても問題ありません。
ここでの感謝は、身内が亡くなったことに対するものではなく、相手がお悔やみの言葉をかけてくれたことや、葬儀に足を運んでくれたことへの感謝です。
例えば、次のような返し方が自然です。
- 「ありがとうございます」
- 「ご丁寧にありがとうございます」
- 「お気遣いいただきありがとうございます」
- 「お忙しい中、ありがとうございます」
特に「お気遣いいただきありがとうございます」は、相手の思いやりを受け止める表現として幅広い場面で使えます。
迷ったときは「恐れ入ります」が無難目上の人や仕事関係者など、改まった場面では「恐れ入ります」という返事も適しています。
「恐れ入ります」には、相手の厚意に対する感謝や恐縮の気持ちが含まれています。長い言葉を返さなくても、相手への敬意を表現できるのが特徴です。
また、「痛み入ります」という表現もあります。こちらは相手の厚意をありがたく受け止める、やや改まった言い方です。ただし、普段使い慣れていない場合は無理に選ぶ必要はありません。
返事が思いつかないほど悲しみが深い場合は、無理に言葉を探さず、相手のほうを向いて静かに一礼するだけでも失礼にはなりません。
【相手別に解説】ご愁傷様ですへの失礼にならない返し方
お悔やみへの返答は、相手との関係によって適切な言葉が変わります。葬儀の参列者への対応では、形式的な正しさだけでなく、相手の気遣いを受け止める姿勢が大切です。
上司・同僚・職場関係者への返事職場の上司や取引先など、目上の人には丁寧な言葉遣いを選びましょう。
おすすめの短い返事は次のとおりです。
- 「お気遣いいただき、ありがとうございます」
- 「ご丁寧なお言葉をいただき、恐れ入ります」
- 「お忙しい中、お心遣いをいただきありがとうございます」
- 「生前は大変お世話になりました」
故人が職場関係者と親しくしていた場合は、「生前は父がお世話になりました」と付け加えると、より自然です。
また、休暇や忌引きについて心配してくれた上司には、「お心遣いありがとうございます。仕事のことまでご配慮いただき、感謝しております」と返す方法もあります。
職場復帰の予定が決まっているなら、必要に応じて「〇日から出社する予定です」と伝えると、業務上の連絡も円滑になります。
親族・親戚への返事親族からお悔やみの言葉をかけられた場合は、相手との距離感に合わせて、少し柔らかい表現を使っても構いません。
例えば、次のような返事が考えられます。
- 「お気遣いありがとう」
- 「来てくれてありがとう。心強いです」
- 「おかげさまで、無事に見送ることができました」
- 「遠いところからありがとう」
故人との関係が深い親戚には、「生前は本当にお世話になりました」と伝えるのもよいでしょう。
親族間では、形式的な敬語を重ねるよりも、普段の関係性を踏まえた自然な言葉のほうが気持ちを伝えやすい場合があります。
友人・知人への返事友人や親しい知人には、堅苦しい表現にこだわる必要はありません。
- 「ありがとう。気にかけてくれてうれしいよ」
- 「お気遣いありがとう。少しずつ落ち着いてきました」
- 「来てくれてありがとう。また落ち着いたら連絡するね」
相手が故人と親しかった場合は、「生前は仲良くしてくれてありがとう」と伝えることもできます。
ただし、悲しみが強いときに無理して明るく振る舞う必要はありません。短く返すだけでも、相手の気遣いに応えることはできます。
相手別の返事を一覧で比較| 相手・場面 | おすすめの返事 | 言葉選びのポイント |
|---|---|---|
| 上司・目上の人 | 恐れ入ります。お気遣いありがとうございます。 | 敬意と感謝を簡潔に表す |
| 同僚・職場関係者 | ご丁寧にありがとうございます。 | 必要に応じて仕事の予定も伝える |
| 親族・親戚 | お気遣いありがとう。来てくれて心強いです。 | 親しい関係に合った自然な表現にする |
| 友人・知人 | ありがとう。気にかけてくれてうれしいよ。 | 普段の話し方を基本にする |
| 葬儀の参列者 | お忙しい中ありがとうございます。 | 参列への感謝も伝える |
| 返事に困ったとき | 恐れ入ります。 | 短い一言と黙礼でもよい |
【そのまま使える】ご愁傷様ですへの短い返事・メール・LINEの例文
直接会ってお悔やみを受ける場合と、メールやLINEで言葉を受け取る場合では、適した返し方が異なります。
特に文章での返信は、相手が読みやすく、負担に感じない長さにまとめることが大切です。
ご愁傷様ですへの短い返事の例葬儀の受付や焼香後など、次々と参列者から声をかけられる場面では、長い会話をする必要はありません。
- 「恐れ入ります」
- 「ありがとうございます」
- 「お気遣いありがとうございます」
- 「ご丁寧にありがとうございます」
- 「お心遣い、痛み入ります」
特に迷ったときは「お気遣いありがとうございます」と覚えておくと便利です。
ご愁傷様ですとメールをもらった場合の返信仕事関係者や目上の人からメールでお悔やみをいただいた場合は、感謝を伝えたうえで、必要に応じて葬儀の終了や職場復帰について簡潔に知らせます。
【職場の上司・取引先への例文】
件名:お心遣いへのお礼
〇〇様
この度は温かいお言葉をいただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで、無事に葬儀を終えることができました。
お心遣いに心より感謝申し上げます。
なお、〇月〇日より出社する予定です。
今後ともよろしくお願いいたします。
【親しい知人へのメール例文】
メールをありがとう。
お気遣いいただいて、とてもありがたく思っています。
無事に葬儀を終え、少しずつ落ち着いてきました。
また落ち着いたら連絡します。
ご愁傷様ですとLINEをもらった場合の返事親しい友人や親族からLINEでお悔やみを受け取った場合は、普段の会話に近い自然な文章で構いません。
LINEでの返信は、相手が使った連絡手段に合わせることが基本です。丁寧な文章を長々と送るよりも、短い言葉で気持ちを伝えるほうが適しています。
【友人へのLINE例文】
連絡ありがとう。
気にかけてくれて本当にありがとうね。
今は少しずつ落ち着いてきています。
またゆっくり話そうね。
【親族へのLINE例文】
お気遣いありがとう。
おかげさまで無事に葬儀を終えることができました。
いろいろと気にかけてもらえて心強かったです。
本当にありがとう。
【職場の同僚へのLINE例文】
温かいメッセージをありがとうございます。
おかげさまで葬儀も無事に終わりました。
仕事のことまで気遣っていただき、感謝しています。
出社後、改めてご挨拶させてください。
返事をする気力がないときはどうする?大切な家族を亡くした直後は、精神的にも体力的にも余裕がなく、メッセージを返すことさえ難しい場合があります。
そのようなときに、無理して丁寧な文章を作る必要はありません。
どうしても一言だけ返したい場合は、次のような短文で十分です。
- 「お気遣いありがとうございます」
- 「温かいお言葉をありがとうございます」
- 「ご連絡ありがとうございます。少し落ち着いてから改めてご連絡します」
すぐに返信できない場合も、自分を責める必要はありません。心身の状態を優先し、落ち着いてから対応して構いません。
【失礼を防ぐ】お悔やみの言葉への返事で避けたい表現とマナー
お悔やみへの返答では、言葉そのものの丁寧さだけでなく、相手の気持ちを傷つけない配慮も必要です。
特に気をつけたいのが、忌み言葉や重ね言葉、相手を励まそうとする何気ない表現です。
「重ね重ね」「たびたび」などの重ね言葉重ね言葉は、不幸が繰り返されることを連想させるため、弔事では避けるのが一般的です。
- 重ね重ね
- たびたび
- くれぐれも
- ますます
- いよいよ
- 再び
例えば「重ね重ねありがとうございます」と言いたくなった場合は、「温かいお心遣いをいただき、ありがとうございます」と言い換えると自然です。
死や不幸を直接的に連想させる表現弔事では、亡くなったことを直接的に表現する言葉もできるだけ避けます。
- 「死ぬ」→「亡くなる」
- 「死んだとき」→「亡くなったとき」
- 「急死」→「突然のご逝去」
- 「生きていた頃」→「生前」
また、「消える」「絶える」「終わる」など、不吉な印象につながる言葉も状況に応じて言い換えましょう。
「元気を出して」「頑張って」は慎重に相手を励ましたい気持ちから、次のような言葉をかけることがあります。
- 「元気を出して」
- 「しっかりして」
- 「頑張って」
- 「時間が解決してくれるよ」
- 「前を向いて」
しかし、遺族の悲しみの深さは本人にしか分かりません。励ましのつもりでも、悲しみを早く乗り越えるよう求められていると感じさせる可能性があります。
返事をする側も、相手に気を遣わせないよう、無理に明るい言葉を選ぶ必要はありません。
宗教・宗派によって異なる表現にも注意お悔やみの言葉には、宗教や宗派によって使い分けが必要なものがあります。
例えば「ご冥福をお祈りします」は、仏教で用いられる表現です。神道やキリスト教では一般的な表現ではないため、相手の宗教が分からない場合は避けたほうが無難です。
一方、「お悔やみ申し上げます」や「心よりお悔やみ申し上げます」は、幅広い場面で使いやすい表現です。
なお、「ご愁傷様です」は主に口頭で使うお悔やみの言葉です。文章で弔意を伝える場合は、「お悔やみ申し上げます」などを選ぶと自然です。
【返信はいつまで?】葬儀後のお礼と参列者への対応
「ご愁傷様です」と言われたときの返事と、メールやLINEでお悔やみを受け取った後のお礼は、分けて考える必要があります。
対面で声をかけられた場合は、その場で短く返答すれば十分です。一方、メッセージで受け取った場合は、すぐに一言返す方法と、葬儀後に改めてお礼を伝える方法があります。
対面でのお悔やみにはその場で返事をする通夜や葬儀で参列者から「この度はご愁傷様です」と声をかけられた場合は、その場で「ありがとうございます」「恐れ入ります」と返しましょう。
参列者が多い場合、すべての人と長く話す必要はありません。短い返事と一礼を基本にすれば、葬儀の進行にも支障をきたしにくくなります。
メールやLINEへの返信はできるだけ早く簡潔に訃報を受けた人が遺族にお悔やみのメッセージを送った場合は、できるだけ早く弔意を伝えることが望ましいとされています。
ただし、遺族側が受け取ったお悔やみへの詳しいお礼については、必ずしも即日で返す必要はありません。葬儀の準備や各種手続きなどで忙しい時期は、まず自分の体調や家族の事情を優先しましょう。
2026年1月20日更新のイオンのお葬式のマナー案内でも、訃報を受けた側はできるだけ早くお悔やみを伝えること、相手がLINEやメールを選んだ場合は同じ手段で返信してよいことが紹介されています。
つまり、メッセージのやり取りでは、送る側と受け取る側の負担をそれぞれ考慮することが大切です。
葬儀後に改めてお礼を伝える場合葬儀が終わって落ち着いたら、特にお世話になった人や、丁寧なお悔やみをいただいた人に改めてお礼を伝えるとよいでしょう。
例えば、次のような文章が使えます。
先日は温かいお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで無事に葬儀を終えることができました。
皆様のお気遣いに心より感謝申し上げます。
相手との関係によっては、LINEやメールで簡潔に伝えても構いません。特に改まった相手には、後日直接会った際に改めてお礼を述べると丁寧です。
なお、返信の期限に一律の決まりがあるわけではありません。相手との関係や連絡内容、葬儀後の状況に応じて対応しましょう。
【プロの結論】ご愁傷様ですへの返事は形式よりも気持ちが大切
お悔やみの言葉への返事で大切なのは、完璧な敬語を使うことではありません。相手が伝えてくれた思いやりを受け止め、自分の状態に合った言葉で感謝を伝えることです。
場面ごとの判断基準を整理すると、次のようになります。
- 葬儀で直接声をかけられた場合:「恐れ入ります」「ありがとうございます」と短く返す。
- 上司や目上の人の場合:「お気遣いいただきありがとうございます」と丁寧に伝える。
- 親族や親しい友人の場合:普段の関係性に合わせた自然な言葉で返す。
- メールやLINEの場合:簡潔に感謝を伝え、必要なら葬儀後の状況も知らせる。
- 気持ちが追いつかない場合:無理に話さず、黙礼や短い返事で対応する。
また、「ありがとうございます」は決して間違った返事ではありません。相手の気遣いに対する感謝として自然に使える表現です。
反対に、相手との関係や場の雰囲気に合わない過度に長い説明、悲しみを軽く扱う励まし、忌み言葉の使用は避けたいところです。
葬儀の場では、遺族も参列者もそれぞれに気を遣っています。短い言葉でも、落ち着いて一礼し、相手の気持ちを受け止めることが、失礼のない対応につながります。
【ご愁傷様ですと言われたときの返事】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「ご愁傷様です」には「ありがとうございます」と返しても大丈夫ですか?
A1:問題ありません。相手のお悔やみや気遣いに対する感謝として自然な返事です。より丁寧にしたい場合は「お気遣いいただきありがとうございます」と伝えるとよいでしょう。
Q2:「ご愁傷様です」への返事で最も無難な言葉は何ですか?
A2:「恐れ入ります」や「お気遣いありがとうございます」が使いやすい表現です。目上の人にも使いやすく、葬儀の場でも自然に受け答えできます。
Q3:返事が思いつかず黙ってしまっても失礼ではありませんか?
A3:失礼にはなりません。悲しみが深く言葉が出ないときは、相手のほうを向いて一礼するだけでも気持ちは伝わります。
Q4:LINEで「ご愁傷様です」と言われた場合はどう返せばよいですか?
A4:「お気遣いありがとう」「温かい言葉をありがとう」など、短い文章で感謝を伝えれば十分です。親しい相手なら普段の話し方に近い文章でも構いません。
Q5:職場の上司からお悔やみを受けた場合はどう返しますか?
A5:「この度はお気遣いいただき、誠にありがとうございます。おかげさまで無事に葬儀を終えることができました」といった丁寧な返事が適しています。必要に応じて出社予定も伝えましょう。
Q6:お悔やみへの返信はいつまでにすればよいですか?
A6:対面ならその場で短く返答します。メールやLINEの場合は、余裕があれば早めに一言返し、詳しいお礼は葬儀後に落ち着いてからでも差し支えありません。決まった期限はありません。
Q7:「すみません」と返事をするのは間違いですか?
A7:必ずしも間違いではありませんが、謝罪の意味にも受け取られるため、弔意への返答としては「恐れ入ります」「ありがとうございます」のほうが意図が伝わりやすくなります。
「ご愁傷様です」と言われたときの返事には、決められた一つの正解があるわけではありません。
基本となるのは「ありがとうございます」「恐れ入ります」「お気遣いありがとうございます」の3つです。職場の上司には丁寧に、親族や友人には関係性に合わせて自然に返すとよいでしょう。
メールやLINEでは簡潔さを意識し、忌み言葉や相手を急かすような表現を避けることも大切です。
大切な人を亡くした直後は、言葉を選ぶ余裕さえなくなることがあります。無理に立派な返事をしようとせず、一言の感謝や静かな一礼で相手の気遣いを受け止めてください。それだけでも、十分に丁寧な対応になります。
参考資料・事実確認
- 小学館『デジタル大辞泉』「御愁傷様」の意味
- イオンのお葬式「訃報への返信例文ーLINE・メールで使えるお悔やみの言葉と基本マナー」(2026年1月20日更新)
- 株式会社家族葬「『お悔やみ申し上げます』の返答とは」
- あんしん祭典「『ご愁傷様です』を使ってはいけない、はウソ!返事の仕方や基本マナー」