作品の正式名称は『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(原題:Terminator Genisys)。シリーズ第5作にあたり、監督はアラン・テイラーです。
2015年7月1日に米国で公開され、日本では同年7月10日に劇場公開されました。パラマウント・ピクチャーズの作品情報でも、イ・ビョンホンは主要出演者の一人として記載されています。
イ・ビョンホンが演じるT-1000は、人工知能スカイネット側から送り込まれた液体金属型の暗殺用ターミネーターです。
任務は、未来の人類抵抗軍のリーダーとなるジョン・コナーの母親、サラ・コナーを殺害すること。サラが生き残れば、ジョンが人類を率いる未来につながるため、彼女を排除しようと執拗に追跡します。
イ・ビョンホン自身も2015年の韓国メディアのインタビュー映像で、T-1000の任務はサラ・コナーを殺すことだと説明しています。役柄について本人が語った内容からも、単なる脇役の警察官ではなく、物語の時間軸を脅かす暗殺者であることが分かります。
【能力を解説】T-1000の正体は液体金属でできた特殊型ターミネーター

T-1000の最大の特徴は、通常のターミネーターとは異なり、金属製の骨格と人工皮膚を組み合わせた構造ではなく、全身が液体金属で構成されている点です。
『ターミネーター2』で登場した際には、ミメティック・ポリアロイ(Mimetic Poly-Alloy)と呼ばれる特殊合金として説明されました。見た目は人間に近くても、その身体は自在に形状を変えられる液体金属です。
液体金属だから可能になる3つの能力1. 人間や物体への擬態
接触した対象の姿を模倣できます。警察官などの人間に姿を変え、周囲に溶け込みながら標的に接近することが可能です。
『ターミネーター2』では警察官の姿でジョン・コナーに接近しました。人間と見分けがつかない外見こそ、T-1000の恐ろしさを際立たせています。
2. 腕を刃物に変える攻撃能力
液体金属の身体を変形させ、腕や指先を鋭い刃物のような形状にできます。一般的な銃器を持たなくても、自分の身体そのものを攻撃手段にできるのです。
イ・ビョンホン版でも、腕から刃を形成する場面が登場します。視覚効果を担当したDouble Negativeの技術スタッフは、刃の形状やカメラに対する見え方まで調整した制作過程を明らかにしています。
3. 被弾しても再生する能力
銃撃を受けても、一般的な機械のように身体が破壊されたままになるわけではありません。液体金属が再び集まり、損傷した部分を修復します。
そのため、通常の銃撃だけで活動を停止させることは困難です。敵を倒すには、液体金属の特性を利用した特殊な方法が必要になります。
ロバート・パトリック版とイ・ビョンホン版の違いロバート・パトリック版
『ターミネーター2』(1991年)
イ・ビョンホン版
『新起動/ジェニシス』(2015年)
比較するうえで大切なのは、両者が同じT-1000というモデルを演じていても、俳優も作品内の時間軸も異なることです。
ロバート・パトリックは『ターミネーター2』でジョン・コナーを狙うT-1000を演じました。一方、イ・ビョンホンは歴史が変化した『新起動/ジェニシス』の世界で、サラ・コナーを狙うT-1000を演じています。
制作側は1991年版への敬意を保ちつつ、新しい動きや恐怖表現を作ることを意識していました。視覚効果制作を担当したDouble Negativeのスタッフも、旧作を尊重しながら新しい液体金属表現を実現したと説明しています。
立命館大学の田村秀行氏による映画の視覚効果解説でも、両者の顔の骨格や構え、歩き方の類似性が指摘されています。旧作ファンがイ・ビョンホン版に親近感を覚える理由の一つです。
整理すると、次のようになります。
- ロバート・パトリック:1991年版のT-1000を演じた俳優。
- イ・ビョンホン:2015年版のT-1000を演じた俳優。
- 共通点:液体金属の身体、擬態能力、執拗な追跡能力。
- 相違点:出演作品、標的、物語上の時間軸、演技表現。
【登場シーンを解説】イ・ビョンホン版T-1000はいつ現れる?
イ・ビョンホン版T-1000は、映画の序盤、1984年の時間軸に登場します。
未来から過去へ送り込まれたカイル・リースの前に現れ、警察官の姿を利用しながら襲撃を仕掛けます。カイルを追い詰めるだけでなく、サラや守護者T-800にも脅威を与える存在です。
① 警察官の姿で標的に接近最初の注目点は、警察官の姿をしたT-1000です。
一見すると普通の警察官ですが、その正体は液体金属型ターミネーター。カイルを追跡し、周囲の状況に合わせて身体を変形させながら攻撃します。
『ターミネーター2』のロバート・パトリック版を知っている人なら、この警察官姿に懐かしさを感じるはずです。
② カイル・リースとサラ・コナーを追跡T-1000は、カイル・リースやサラ・コナー、守護者T-800を追い続けます。
本作のVFX制作を担当したDouble Negativeのスタッフによる解説では、T-1000が警察車両を突き破ってボンネット上で姿を形成する場面や、腕を刃物に変える演出についても紹介されています。
こうした場面では、実際の俳優の動きとCGによる液体金属の表現を組み合わせています。イ・ビョンホンは単に画面に登場するだけでなく、変形や破壊の演技を身体で表現する役割も担いました。
③ 酸を使った決着シーン物語の序盤から中盤にかけて続くT-1000との攻防は、下水道の酸を利用した場面で決着を迎えます。
このシーンは『ターミネーター2』の液体金属が溶鉱炉で溶けていく演出とは異なり、酸によって金属が変質し、燃焼して崩れていく表現が採用されています。
Double NegativeのVFXスーパーバイザー、ピート・ベブによる説明によれば、イ・ビョンホンは撮影現場で崩壊する動きを演じ、その動きをCGやモーションキャプチャーの素材として活用したとのことです。
出番は短いが、シリーズの伝統を受け継ぐ役ここで知っておきたいのが、イ・ビョンホン版T-1000の登場時間です。
本作の中心的な敵役は、後半に正体が明らかになるT-3000です。T-1000は物語の前半に登場する強敵であり、映画全体を通して主役級の活躍を続けるキャラクターではありません。
そのため、イ・ビョンホンの出演を期待して映画を観る場合、長時間にわたって彼の演技を楽しめる作品ではない点を理解しておくと、期待とのギャップが少なくなります。
【キャスト相関表】ターミネーター:新起動/ジェニシスの出演者と役柄
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は、イ・ビョンホンだけでなく、シリーズの中心人物を新しい俳優陣で再構成した作品です。
パラマウントの作品紹介や映画のキャスト情報を基に、主要人物の関係をまとめました。
このキャストの中でも、特に注目したいのはアーノルド・シュワルツェネッガーとイ・ビョンホンの関係です。
シュワルツェネッガーが演じるT-800はサラを守る存在であり、イ・ビョンホンのT-1000は彼女を抹殺しようとする存在です。両者の対立は、旧作から受け継がれるターミネーターシリーズの基本構造を引き継いでいます。
また、J・K・シモンズ演じるオブライエンは、1984年に起きた事件に遭遇し、その後も長年にわたって関連する出来事を追い続ける人物です。時間の経過を物語に組み込む役割も担っています。
【出演理由と経緯】イ・ビョンホンはなぜハリウッド映画に起用された?
イ・ビョンホンがT-1000に起用された背景には、ハリウッドで積み重ねてきたアクション俳優としての実績と、本人のシリーズへの思い入れがありました。
ハリウッドデビューは2009年の『G.I.ジョー』イ・ビョンホンのハリウッドデビュー作は、2009年公開の『G.I.ジョー』です。
同作ではストームシャドーを演じ、その後も『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013年)、ブルース・ウィリスらが出演する『REDリターンズ』(2013年)などに参加しました。
韓国映画振興委員会(KOFIC)の2014年4月の報道でも、これらの出演実績を持つ俳優として紹介され、ハリウッドでの活動を広げていたことが確認できます。
2014年4月に出演が報道される『ターミネーター:新起動/ジェニシス』への出演が報じられたのは、2014年4月です。
当時、韓国メディアの『The Korea Times』は、所属事務所BHエンターテインメントの関係者が、プロデューサーのアラン・テイラー側からのオファーを受け、出演が決まったと説明したことを報道しました。
発表当初は具体的な役名までは公表されていませんでした。その後、2015年6月には本人がT-1000役であることを語り、公開前に役柄が明らかになりました。
起用の決め手はアクション俳優としての身体能力出演理由を考えるうえで興味深いのが、制作側のコメントです。
2015年の制作資料に掲載されたプロデューサーのダナ・ゴールドバーグの説明によると、制作陣はT-1000を単純にロバート・パトリックの模倣として描くのではなく、独自の動きや不気味さを持つキャラクターにしたいと考えていました。
そこで注目されたのが、イ・ビョンホンの身体能力です。制作側は『G.I.ジョー バック2リベンジ』での彼のアクションを評価し、T-1000役に必要な身体的な表現力を備えていると判断しました。
加えて、イ・ビョンホン自身がシリーズのファンだったことも、起用を後押しする要素となりました。
本人も学生時代からターミネーターに縁があった制作資料には、イ・ビョンホン本人の興味深いエピソードも掲載されています。
本人によれば、高校時代には腕相撲が得意で、外見もターミネーターに似ていると思われていたため、周囲からターミネーターと呼ばれていたそうです。
学生時代に親しんだ映画シリーズに、国際的な俳優として参加することになったのは、本人にとっても特別な経験だったことがうかがえます。
ハリウッドでのキャリアはその後も拡大『ジェニシス』出演後も、イ・ビョンホンの海外活動は続きました。
2016年には西部劇『マグニフィセント・セブン』に出演。2017年3月には、所属事務所が米国の大手タレントエージェンシーであるユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)との契約を発表しています。
聯合ニュースは、2009年のハリウッドデビューから『G.I.ジョー』シリーズ、『REDリターンズ』、『ジェニシス』を経て、米国での活動基盤を広げてきた経緯を報じています。
この経歴から分かるのは、T-1000役が突然与えられた一度きりの海外出演ではないということです。韓国で築いた知名度に加え、アクション映画での実績を積み重ねた結果、世界的なSFシリーズへの参加につながりました。
【日本語吹き替え】イ・ビョンホンの声を担当したのは阪口周平
日本語吹き替え版のT-1000担当
日本語吹き替え版でイ・ビョンホン演じるT-1000の声を担当したのは、声優の阪口周平です。
日本語吹き替え版のキャスト情報では、次のように記載されています。
- イ・ビョンホン(T-1000):阪口周平
- アーノルド・シュワルツェネッガー(守護者):玄田哲章
- エミリア・クラーク(サラ・コナー):藤村歩
- ジェイソン・クラーク(ジョン・コナー):小山力也
- ジェイ・コートニー(カイル・リース):細谷佳正
この配役は、東京テレビセンターが掲載した日本語吹き替え版の作品資料にも明記されています。パラマウントの日本向け作品情報にも、イ・ビョンホン役の吹き替えとして阪口周平の名前が掲載されていました。
オリジナル音声ではイ・ビョンホン本人の演技を楽しめます。一方、日本語吹き替え版では阪口周平の声によって、T-1000の冷徹さや不気味な雰囲気が日本語で表現されています。
俳優本人の表情や身体表現を重視するなら字幕版、ストーリーを日本語で追いたいなら吹き替え版という選び方がおすすめです。
【よくある質問】イ・ビョンホンのターミネーター出演に関するFAQ
Q1:イ・ビョンホンはターミネーターの何作目に出演していますか?
A1:2015年公開のシリーズ第5作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』です。T-1000という液体金属型ターミネーターを演じています。
Q2:イ・ビョンホンが演じたT-1000はロバート・パトリックと同じ人物ですか?
A2:演じている俳優は異なります。ロバート・パトリックは1991年の『ターミネーター2』、イ・ビョンホンは2015年の『新起動/ジェニシス』でT-1000を演じました。同じモデル名を持つキャラクターですが、作品の時間軸や設定が異なります。
Q3:イ・ビョンホン版T-1000の日本語吹き替えは誰ですか?
A3:声優の阪口周平です。日本語吹き替え版の作品資料に、T-1000役の声の出演者として明記されています。
イ・ビョンホンが出演したターミネーター作品は、2015年公開の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』です。演じたのは、自在に姿を変えられる液体金属型ターミネーターのT-1000でした。
1991年の『ターミネーター2』でロバート・パトリックが演じたT-1000への敬意を引き継ぎながら、イ・ビョンホンならではの身体能力とアクション表現を取り入れたキャラクターになっています。
出演の背景には、『G.I.ジョー』シリーズなどで培ったハリウッドでの実績、制作側が評価した身体能力、そして本人がシリーズのファンだったという偶然のような縁がありました。
作品を楽しむ際は、次の3点を押さえておくと理解が深まります。
- イ・ビョンホンの出演を見たい人: 1984年の時間軸で登場する序盤のT-1000の追跡シーンに注目。
- T-1000の歴史を知りたい人: ロバート・パトリック版と比較し、液体金属の演出や動きの違いを楽しむ。
- 日本語吹き替えで鑑賞したい人: 阪口周平が担当する吹き替え版を選ぶ。
公開から11年が経過した2026年現在も、イ・ビョンホンのハリウッド出演歴を振り返るうえで、『ジェニシス』のT-1000役は外せない仕事の一つです。出演時間の長さだけでは測れない、国際派俳優としての存在感を感じられる作品です。