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【一億円のトイレとは?】香川県・JR鬼無駅前に誕生した施設の全貌

倉持 玲奈 倉持 玲奈 • 更新: • 公開: • 読了約 23 分
目次

場所は高松市鬼無町佐藤のJR鬼無駅前

話題の施設があるのは、香川県高松市鬼無町佐藤に位置するJR予讃線の鬼無駅前だ。

鬼無駅は高松駅から2駅目にある無人駅で、周辺には県立高松西高校や松盆栽の産地として知られる地域が広がっている。

新しい公衆トイレは、駅舎とは反対側の県道に面した敷地に設置された。駅の付属設備というだけでなく、駅利用者や地域住民、観光客も使える公衆トイレとして整備されている。

建物の面積は約41平方メートル。主な設備は次のとおりだ。

- 男女別のトイレ
- 多目的トイレ
- 水洗式の衛生設備
- 桃太郎をテーマにした壁画
- ガラス面を利用したデジタルアートの投影設備

従来の男女共用・和式くみ取り式から、男女別と多目的トイレを備えた施設へと変わった点は、日常的に駅を利用する人にとって大きな改善である。

特に通学で鬼無駅を利用する高校生にとって、衛生面と使いやすさの改善は、単なる建物の新設以上の意味を持つ。

なぜ香川県が約1億円をかけて整備したのか

疑問になるのは、なぜJR四国や高松市ではなく、香川県が費用を負担したのかという点だ。

背景には、地方鉄道の厳しい経営事情と、駅施設の管理責任をめぐる問題がある。

2024年2月、JR四国の西牧世博社長(当時)は、無人駅のトイレ改修について、投資資金が乏しく、できれば撤去したいという趣旨の説明をしていた。

鉄道会社にとって、利用者が少ない無人駅のトイレを改修し、維持管理し続けることは経営上の負担になる。

一方、駅を利用する高校生や住民にとって、トイレは欠かせない生活インフラだ。

高松市も、基本的には駅構内の施設はJR四国が主体となって対応するという考え方を示していた。2026年5月12日の市長定例会見では、大西秀人市長が、鬼無駅のトイレはJR四国の敷地内にあるため、基本的にはJR側で対応してもらう立場だったと説明している。

そこで香川県が整備に乗り出した。

県が重視したのは、県立高松西高校の最寄り駅であること、従来のトイレの老朽化が著しかったこと、さらに鬼無地区を訪れる盆栽関係の観光客への対応だった。

2026年7月21日の池田豊人知事の会見でも、県立高校の存在が整備判断の決め手だったと説明されている。

【整備経緯を時系列で整理】JR四国・香川県・高松市の関係とは?

一億円のトイレ

一億円のトイレは、突然生まれた事業ではない。

地元からの改善要望、政治家による働きかけ、JR四国の経営事情、県の文化芸術政策が重なって実現した施設だ。

完成までの主な出来事
時期 出来事・関係者 意味・背景 2021年 平井卓也衆院議員が鬼無駅トイレの改修を訴える 地元の改善要望が政治課題として表面化 2024年2月 JR四国の西牧社長(当時)が無人駅トイレの改修に慎重な姿勢を示す 鉄道会社の経営負担が課題に 2024年度 香川県が鬼無駅トイレ整備費を当初予算に計上 県主体の事業として具体化 2025年8~10月 デジタルアート作品を公募 7作品が応募され、受賞者は該当なし 2025年12月~2026年1月 制作業者のコンペを実施し、一旗と契約 映像制作体制を整備 2026年3月22日 鬼無駅前公衆トイレの完成式典 水洗化とアート施設が実現 2026年7月 香川県が新たなデジタルアート作品を公募 若手芸術家の発表の場として継続 2026年11月 完成後の利用状況や維持管理が報道される 費用対効果が引き続き論点に

JR四国が改修せず、県が整備した理由

この問題を理解するには、鉄道会社と自治体の役割分担を知る必要がある。

2026年3月31日、JR四国の四之宮和幸社長は、利用者が少ないため無人駅にしている駅もあり、公衆トイレの整備は自治体にお願いしてきたという趣旨を説明した。

一方、高松市も2026年5月の会見で、駅のトイレを市が順次改修する方針は現時点で持っていないと説明している。

つまり、鉄道会社は経営上の理由から改修を難しいと判断し、市は鉄道施設としての管理主体をJR側に求め、最終的に県が地域事情を考慮して整備を引き受けたという構図だ。

なお、鬼無駅のトイレはJR四国から土地を無償で借りて設置されたと、2026年11月の集英社オンラインの報道は伝えている。

【総事業費9900万円の内訳】トイレ本体7200万円とアート費用を検証

最大の注目点は、やはり建設費だ。

単に「トイレに1億円」と聞くと、通常の公衆トイレの建築費としては高額に感じる。

しかし、実際にはトイレ本体と文化芸術関連の2つの事業に分かれている。

7200万円はトイレ本体の建設費

香川県の交通政策課が担当したのは「地域公共交通確保維持改善事業」だ。

この事業には、トイレの設計、建築、設備、上下水道の整備などが含まれている。

KSB瀬戸内海放送が委託業者との契約書や見積もりなどを情報公開請求で調査したところ、関連費用は約7200万円と報じられた。

したがって、この金額を便器や個室だけの価格と理解するのは正確ではない。

建物の整備、給排水設備、設計などを含む建設関連費用である。

約2700万~2800万円は壁画・デジタルアート関連

もう一つの事業は、文化振興課が担当した「未来の芸術家育成のためのパブリックアートプロジェクト事業」。

こちらには、壁画やデジタルアートの制作、壁画の額装、新聞広告によるPR、映像投影設備などが含まれる。

金額については報道によって表現に違いがある。

- 集英社オンライン(2026年11月3日):約2700万円
- KSB瀬戸内海放送(2026年6月23日):約2800万円

いずれも概算額であり、7200万円との合計を約9900万円から約1億円としている。

特に注目すべきなのは、KSBの情報公開資料に基づく報道で、プロジェクターや音響機材、設置工事費が約2200万円とされていることだ。

つまり、アート関連費用のすべてが絵や映像の制作費というわけではない。投影するための設備投資も大きな割合を占める。

費用の構造をどう評価するべきか

約1億円という総額だけで、事業の妥当性を判断するのは難しい。

比較対象として報道された駅整備事業には、次のものがある。

- JR引田駅:駅舎とトイレを合わせて約4300万円
- JR高瀬駅:駅舎、駐輪場、パブリックスペース、トイレを合わせて約1億3400万円

ただし、これらは施設の範囲や整備内容が違う。単純にトイレの価格だけを比較できる数字ではない。

今回の鬼無駅についても、建物と上下水道の整備費、アート設備の初期費用、今後の維持管理費を分けて考える必要がある。

【光るトイレの仕組み】朝際イコ・穴吹デザインカレッジ・一旗の役割

この施設の特徴は、トイレの壁面とガラス面をアートの展示空間として活用していることだ。

関係するのは、イラストレーターの朝際イコさん、穴吹デザインカレッジ、映像制作会社の一旗の3者である。

朝際イコが手掛けた桃太郎の壁画

南側の壁面には、桃太郎をモチーフにした大きなイラストが描かれている。

制作したのは、東京を拠点とする漫画家・イラストレーターの朝際イコさんだ。

テーマは、鬼無地区に伝わる「鬼無桃太郎伝説」。

鬼無は桃太郎伝説との関係を地域の歴史・観光資源として発信している土地であり、壁画には地域の物語を公共空間に表現する役割がある。

単なる装飾ではなく、駅を訪れた人が地域の特色を視覚的に知るきっかけにもなる。

穴吹デザインカレッジの学生作品

映像面では、高松市にある穴吹デザインカレッジが関わっている。

学生たちが制作したデジタルアートには、盆栽や桃太郎に関連する作品が含まれる。

この取り組みの背景には、香川県が掲げる若手芸術家の育成という目的がある。

ただし、制作過程には議論もある。

KSBの取材によると、2025年8~10月の作品公募では7作品が応募されたが、審査の結果、大賞・優秀賞ともに該当者なしとなった。応募作品はいずれも穴吹デザインカレッジの学生によるものだった。

その後、学生作品のよい部分を組み合わせ、教員も加わってブラッシュアップする形で制作が進められた。

学校側は、学生の発表機会や学校のPRにつながるとして、無償での制作協力を引き受けたと説明している。

一方、香川大学の三野靖名誉教授は、若い制作者の意欲や労力を無償で活用することについて批判的な見解を示した。

県側は、無償での協力は学校側からの申し出だったと説明している。

若手育成を目的とする事業だからこそ、作品の評価だけでなく、制作に携わる学生への対価や教育的な還元についても議論する余地がある。

映像制作会社「一旗」が担当したプロジェクションマッピング

プロジェクションマッピングを制作したのは、名古屋市の映像制作会社「一旗」だ。

同社は、あなぶきアリーナ香川で2025年3月に実施されたプロジェクションマッピングにも携わっていた。

KSBの報道によると、県は2025年12月26日から2026年1月9日までデジタルアート制作の委託業者をコンペ方式で募集。応募したのは一旗1社で、審査を経て約200万円で契約した。

ここで押さえておきたいのは、プロジェクションマッピングの制作委託費と、プロジェクターなどの設備費は別の項目だという点だ。

設備の導入と映像の制作を合わせて考えることで、アート関連費用の構造が見えてくる。

そもそもプロジェクションマッピングとは?

プロジェクションマッピングとは、プロジェクターから映像を投影し、壁や建物などの対象物の形状に合わせて映像を配置する技術だ。

一般的な仕組みは次のようになっている。

1. 投影対象となる壁面やガラス面の形状を確認する。
2. 対象物に合わせて映像コンテンツを制作する。
3. プロジェクターの位置や映像の形を調整する。
4. 対象面に映像を投影する。

鬼無駅の場合は、トイレ前の透明なガラス面をスクリーンとして利用する。

つまり、トイレそのものがLED照明のように発光しているわけではない。

プロジェクターからの光によってガラス面に映像を映し出すため、夜間には建物が光っているように見える。

香川県の公募資料では、投影面のサイズは幅約6.5メートル、高さ約2.7メートル。透明ガラスにフィルムシートを貼り、6分割で表示する仕様とされている。

2026年11月現在の上映時間と内容

2026年9月公開の県公式スケジュール

香川県が公開している投影スケジュールによると、映像は毎日2回上映される。


夜間の投影スケジュール



第1回

19:15~20:00


45分間




第2回

20:20~21:00


40分間


曜日による上映内容

曜日 主な内容
平日 通常は単色表示。途中で天使の羽が数回現れる
日曜日 通常は単色表示。天使の羽が現れる
土曜日 学生作品、プロジェクションマッピング、天使の羽
特別期間 連休やイベントに合わせた映像をループ再生

土曜日には、穴吹デザインカレッジの学生作品や一旗が制作した映像を楽しめる。

特別な映像を見たい場合は、曜日を意識して訪れる必要がある。

なお、県の2026年度作品募集は10月30日に締め切られている。新しい作品の選定・投影については、今後の県の発表を確認したい。

【一億円のトイレの評判】利用者と住民の本音は賛否両論

施設が完成した直後には、地域住民や高校生から歓迎の声が上がった。

一方、建設費やアートへの投資に対しては、疑問を持つ住民もいる。

2026年の報道を整理すると、評価は大きく3つに分かれる。

① 水洗化を歓迎する利用者の声

最も分かりやすいのは、日常的にトイレを利用する人の評価だ。

以前のトイレは男女共用のくみ取り式で、老朽化も進んでいた。

集英社オンラインの2026年11月3日の取材では、利用者の男性が、以前は衛生面への抵抗からトイレを我慢して帰宅することもあったと話し、改善を歓迎している。

近くの高校に通う女子生徒からも、きれいになってうれしいという反応が紹介された。

こうした声から分かるのは、建設費の議論とは別に、トイレとしての基本的な機能改善には確かな需要があったということだ。

② アートによる地域活性化を期待する声

明るい映像演出については、肯定的な意見もある。

KSBがJR高松駅で聞いた県外利用者からは、観光の楽しみになる、写真を撮りたくなる、トイレという場所の印象が変わるといった反応が紹介された。

また、鬼無駅周辺の住民からは、暗い場所にあるトイレよりも明るく、人目を引くため安心感があるという意見も出ている。

県が目指したのは、単なるトイレの更新ではない。

桃太郎伝説や盆栽といった地域資源を組み合わせ、駅前を観光や文化芸術の発信拠点にすることだった。

この目的が実現すれば、トイレの利用者以外にも施設の価値が広がる可能性がある。

③ 「税金の無駄」「他の駅にも使ってほしい」という批判

一方で、費用に対する疑問も根強い。

2026年11月3日の集英社オンラインの記事では、長年地域に住む男性が、完成直後だけ人が集まったのではないかという趣旨で、税金の無駄遣いだと批判している。

別の地元住民は、近隣の駅にも老朽化したトイレが残っていることを指摘し、鬼無駅だけに多額の費用をかけるのではなく、ほかの駅の改修にも目を向けてほしいと話した。

この意見には、数字で裏付けられる背景がある。

同記事によると、香川県内でJR四国が管理するトイレのある22駅のうち、9駅が依然としてくみ取り式だという。

また、KSBの2026年6月の報道では、香川県は鬼無駅をモデル的な施設として整備したものの、ほかの老朽化した駅トイレを県主体で整備する予定は現時点でないと説明している。

つまり、鬼無駅の成功がそのまま県内全体のトイレ環境改善につながるとは限らない。

2026年秋の現地取材で見えた変化

注目したいのは、完成直後と数か月後では、映像を取り巻く状況が変わっていることだ。

KSBは2026年4月25日の土曜日、夜間の投影時間帯に定点観測を実施した。

- トイレ前を通過した人:61人
- 前の県道を通過した車:877台

ただし、この数字は通行人数と車両数であり、映像を実際に鑑賞した人数ではない。

加えて、集英社オンラインは2026年10月下旬の土曜日夜に現地を訪問している。

約2時間の取材中、駅利用者は50人ほど確認できたものの、立ち止まって映像を鑑賞する人は見られなかったという。

近隣住民からは、近所の人はもう見ていないという声も紹介された。

一方、車で通りかかった際に映像がきれいだと感じるという意見や、観光客が立ち寄ることがあるという話もある。

この2つの調査は日時も観測方法も違うため、利用者数の増減を正確に示す統計ではない。しかし、完成時の話題性と、日常的な鑑賞行動が必ずしも一致しないことは読み取れる。

【プロの結論】一億円のトイレは税金の無駄なのか?費用対効果を検証

ここまでの事実から、公共施設としての価値を3つの視点で考えたい。

1. トイレ本体の7200万円とアート関連費用は分けて評価すべき

最初に、従来のトイレの環境が劣悪だったことは、県知事の会見や利用者の証言からも明らかだ。

男女共用のくみ取り式から男女別・多目的トイレを備えた水洗式に変わったことは、衛生面や利用者の安心感という点で意義がある。

一方、アート関連の約2700万~2800万円については、別の評価が必要だ。

設備を整備したことと、その設備が長期的に地域のにぎわいを生み出すことは同じではない。

投影設備を導入しただけで観光客が継続的に訪れるとは限らないからだ。

2. 維持管理費も含めた長期的な評価が必要

建設費は完成時点で終わるが、公共施設の費用はその後も発生する。

KSBは年間の電気・水道代を約65万円と報じている。

加えて、集英社オンラインの11月3日の報道によると、県はトイレの管理に年間230万円の予算を割り当てている。

この2つは報道上、異なる費用項目として示されているが、予算の重複関係は明確ではないため、単純に合算して維持費とすることはできない。

また、アート用ディスプレイなどが故障し、年間の管理予算を超える修理費が必要になった場合の対応も、関係者間で協議することになっている。

公共施設として長く使うのであれば、映像設備の耐用年数、修理費、更新費、電力消費なども公開されることが望ましい。

3. 若手芸術家の育成という目的をどう実現するか

もう一つの評価軸は、文化芸術事業としての成果だ。

香川県は2026年7月15日、令和8年度のデジタルアート作品募集を開始した。

対象は40歳未満の芸術家志望者や現役の芸術家で、大賞15万円、優秀賞3万円の賞金が設定された。

作品のテーマは香川県の魅力発信。鬼無駅前のガラス面に投影する作品を募集し、応募期限は10月30日だった。

これは、単発の映像演出に終わらせず、若手の作品発表の場として活用しようとする取り組みだ。

ただし、前年度は応募7作品に対して受賞者が出ず、学生作品の制作協力も無償だった。

芸術家育成を掲げる以上、作品を展示するだけでなく、制作に関わる若手が適切な評価や報酬、経験を得られる仕組みも重要になる。

公共施設として今後確認すべき5つの指標
評価項目 確認すべき内容
衛生・利便性 利用者数、設備の清潔さ、多目的トイレの利用状況
観光効果 施設目的の来訪者数、周辺観光地への回遊
アートの成果 鑑賞者数、作品応募数、若手制作者の参加実績
維持管理 年間電気代、修繕費、映像設備の稼働率
公平性 県内の老朽化した駅トイレへの今後の支援方針

この5項目が継続的に公表されれば、施設の費用対効果を県民が具体的に判断できる。

現段階では、トイレとしての改善効果は確認できる一方、アートに投じた費用が長期的な観光効果や地域経済への波及につながるかは、まだ評価が定まっていない。

【一億円のトイレ】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:一億円のトイレは香川県のどこにありますか?

高松市鬼無町佐藤にあるJR予讃線・鬼無駅の駅前です。駅舎とは反対側の県道に面した場所にあり、駅利用者だけでなく一般の人も利用できる公衆トイレです。

Q2:約9900万円の内訳はどうなっていますか?

トイレ本体の設計・建築・設備・上下水道整備などに約7200万円、壁画やデジタルアート、プロジェクションマッピング関連に約2700万円と報じられています。KSBの情報公開資料に基づく報道では、アート関連を約2800万円としています。

Q3:なぜJR四国ではなく香川県が建設したのですか?

JR四国は無人駅のトイレ改修に慎重な姿勢を示していました。高松市も基本的にはJR側が主体となるべきとの考えを示しており、県立高松西高校の生徒などの利用環境を改善するため、香川県が整備を引き受けました。

Q4:夜に光る仕組みは何ですか?

透明なガラス面にプロジェクターで映像を投影する仕組みです。平日は天使の羽をモチーフにした映像など、土曜日や特別期間には学生作品やプロジェクションマッピングが上映されます。

Q5:一億円のトイレは税金の無駄だと批判されていますか?

はい。衛生環境の改善を歓迎する声がある一方、アート関連費用の大きさや、ほかの駅の老朽化したトイレとの整備優先順位を疑問視する住民の声も報じられています。

Q6:2026年11月現在、映像はいつ見られますか?

香川県の公式スケジュールでは、毎日19時15分~20時、20時20分~21時の2回です。学生作品やプロジェクションマッピングを見たい場合は、土曜日や特別期間が対象です。

Q7:今後、ほかの駅にも一億円のようなトイレが整備されますか?

2026年6月のKSB報道では、香川県はほかの老朽化した駅トイレを県主体で整備する予定は現時点でないとしています。県内では、くみ取り式の駅トイレが依然として残っています。

香川県高松市のJR鬼無駅前に誕生した「一億円のトイレ」は、約9900万円という事業費だけを見ると、非常に大胆な公共投資に映る。

しかし、その背景には長年改善されなかった衛生環境の問題、高校生の利用環境、JR四国の経営事情、地域観光の振興、若手芸術家の育成という複数の課題があった。

トイレ本体の水洗化には生活インフラとしての明確な意義がある。一方、アート関連費用については、継続的な鑑賞者や観光客の増加、地域への経済効果が実証されて初めて投資の妥当性を評価できる。

2026年11月現在、施設は完成から約8か月。話題性だけでなく、日常利用と観光の両方で成果を残せるかが問われている。

今後、香川県に求められるのは、映像の上映を続けることだけではない。利用者数や維持費、観光効果、若手芸術家の育成実績を公開し、ほかの老朽化した駅トイレへの対応方針も示すことだ。

一億円のトイレが本当に地域の財産になるのか。それを決めるのは、完成式典の盛り上がりではなく、これから何年にもわたる公共施設としての運営実績である。

主な参考資料:香川県知事記者会見(2026年3月23日・7月21日)、香川県「ご提言等の内容(鬼無駅のトイレについて)」、香川県「令和8年度デジタルアート作品募集」「投影スケジュール」、KSB瀬戸内海放送(2026年6月23日)、集英社オンライン(2026年11月3日)。

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倉持 玲奈

テクノロジー分野を担当。一次情報(公式発表・公式サイト)と発表日を必ず確認し、推測は推測と明記する編集方針に従っています。

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